あなたをサポートします。
- You have my support in this.
(これについて、しっかり支援します。)
–- You have my full support.
(全面的に支援します。)
–
受け手にとって、大変心強い言葉である。
「味方になります」「支援します」
と救いの手を差し伸べてくれているからである。
“You have my support.” の直訳は、
「あなたは私の支援を持っている」。
転じて「あなたは私の支援を手に入れている」。
“I” の所有格 “my” を用いた “my support”
は、「私の手による支援」の意味合い。
◆ 特に、深刻な困難に直面する相手に対して
用いる際は、注意を要する。
冗談や社交辞令では済まされない。
救援の前提として、遂行できるだけの資力
と自信が必要となるため、強い心構えを伴う。
生半可な手出しのもたらす迷惑及び信用失墜の
リスクを考慮すれば、覚悟があってこその発言。
それこそ < 物心両面の援助 > に近い。
すなわち、「 私が責任を負って面倒見る 」と
宣言する感じ。
「 私が支援する。大丈夫だよ、ケン。」
” She is so supportive ! ” – or so Ken thought.
そうそう気軽に使える表現ではない。
“support” や “help” のような、他者に介入
する名詞に<所有格>を加えるということは、
そういうことである。
日本語の所有格は省かれる機会が多いが、
英語の場合、”my” や “our” がやたらと
ついて回るため、なおさら印象が強化される。
【参照】
・ 日本語は非言語のコミュニケーション
・ 言語ルーツが異なるから工夫が必要
所有格 “my” つきで語る際は、普通は
<自分のもの><自分のこと>
とみなす意思表示
これだけで、本人の真剣度を推し量る
ことができる。
頼み少ない身の上には、救世主が現れた
かのように希望が心にきざすだろう。
–
◆ 文法は基礎レベル。
- “You have my support.”
の構造は、
- “You have my pen.”
と変わらない。
「あなたは私のペンを持っている。」と
「あなたは私の支援を持っている。」
少々意訳すると、先述の通り、
「あなたは私の支援を手に入れている。」
<所有格>の論理を適用すると、
- “my support“( 私の支援 )を
- “you have“( あなたは持っている )
–
したがって、My support is yours.
( 私の支援はあなたのもの )
日常的な使い方では、所有権の移転
のような法律上の縛りを想定しない。
それでも、安易な発言は慎むべき重み
がのしかかることに、改めて気づく。
◆ ここで、ふと疑問に思う。
- “You have my pen.”
(あなたは私のペンを持っている。)
の場合、常識的には
- “My pen is yours.”
(私のペンはあなたのもの。)
の流れに行き着かない点である。
「あなたのもの」どころか、
- “Give me back my pen. You thief ! “
(私のペンを返せ。 このドロボーめが!)
と食ってかかる方が自然かもしれない。
「 待てよ、ドロボーめ ! 」
She was just a thief after all.
文法構造と “have” の意味は一緒なのに、
なぜこうも解釈が違ってくるのであろうか。
◆ 理由は、「持つ」に至った経緯が異なるから。
当然、当事者の意図も違ってくる。
使い手(話者)は、相手が手にした状態を
他動詞 “have”(持っている)で表している。
この点は共通する。
ところが、ドロボー呼ばわりされた当人の
ペンの入手経路は甚だ怪しい。
その人が「ペンを持っている」のは、
“You have my pen.” と言った持ち主の
意思にそぐわない様子。
だからこそ、所有者として、
“You have my pen.” → “Give me back.”
と返却を求めたのである。
一方、”My support is yours.” の場合、
自ら “You have my support.” と申し出ている。
換言すると、”I will support you.”。
自分から進んで「あなたをサポートします」と
手助けを引き受けている。
これまで強調してきたように、ここには相当の自覚
があり、自らの意思に基づくことは確実である。
相手が持つことになった経緯は、実に使い手側の
望みに他ならない。
自分から相手に持たせているのだから、
“My support is yours.” が成り立つ。
そのため、つむじ曲がりな見方をするならば、
この使い手は、一方的に好意を押し付け、
「私の支援はあなたのもの」などとほざき、
悦に入っているナルシスト。
援助を受けることを潔しとしない人間にとって、
大層厄介な存在になりかねない。
もっとも、普段は自立的な人であっても、
いざ絶体絶命の窮地に追い詰められれば、
- “You have my support.“
の声掛けを頼もしく感じたりする。
–
◆ 使用単語も基礎レベル。
ここでの “have” が他動詞であることは
既記の通り。
語源は、古英語「持つ」「手に入れる」(habban)。
“have” の最も基本用法であり、語源そのもの。
“you”(あなたは) は主格、”my”(私の)
は所有格。ともに人称代名詞。
“support” の基本的意味は、カタカナ
「サポート」と重なる。
サポート【support】
■ 支えること。支持。支援。助け。
(広辞苑 第七版)
■ 支えること。支持すること。
後援すること。元気づけること。
また、それを行なう人。
〔 外来語辞典(1914)〕
(精選版 日本国語大辞典)
英語 “support” の基本的意味は、この
2冊の国語辞典の語釈が網羅している。
語源は、ラテン語「運ぶ」(supportāre)。
他動詞と名詞がある。
自動詞はない。
【発音】 səpɔ́ːrt
【音節】 sup-port (2音節)
【活用形】 supports – supported – supported – supporting
名詞は不可算と可算があるが、基本は不可算。
「支持」「支援」「助け」「支え」「援助」
など、代表的な「サポート」は概ね不可算。
「支柱」「脇役」「サポーター」など、
目に見える物品が可算。
表題も、基本の不可算名詞である。
国語辞典のままの語義。
よって、”You have my support.”
は、文法も単語も基本で構成されている。
上述した “have” のからくりを押さえた上で
使えば、便利なシンプル表現として重宝する。
- “Keep up the good work.
You have my support.”
(この調子でがんばってください。応援します。)
※ 社交辞令
– - “You have my support in any way
I can give it.”
(私にできる限りのことは支援しよう。)
– - “You have my support in whatever you need.”
(あなたが必要なことは何でも支援する。)
– - “You have my support in everything you do.”
(あなたのやることすべてにおいて、応援します。)
– - “You have my full support in purchasing this.”
(これを購入するため、全面的に支持します。)
– - “You have my support in this fight.”
(この戦いではあなたの味方です。)
– - “You have my full support to address
this issue on my behalf.”
(私の代理で問題に対処するため、全面的に支持します。)