プロ翻訳者の単語帳

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I have a question for you.

      2022/01/18

1つ質問があります。 

会議中によく聞く。

何の変哲もない質問の仕方。

「 1つ質問があります 」そのもの。

 

ご質問 1つ

 

特に丁寧でも無礼でもない。

相手の立場は不問で、目上でもよい。

平常に淡々と口にする限り、
嫌味はなく(後述)、中立的な言い回し。

◇  意味と用法は、以下とほぼ同様

  •  I have a question.
  •  Here is my question for you.
  •  Here is my question.


通常の会議では、必要以上の丁寧さは不要。

主として情報共有と話し合いの場なので、
参加者の時間を無駄にしないためにも、
手短に越したことはない。

その結果、上記のような淡白な言い方が飛び交う。

日本の学校で学ぶ、文法的に正しく丁寧な表現は、
時に、他人行儀で、堅苦しく聞こえがち

常用語は、大半がそっけない。

毎日会う人に、いちいち愛想など振りまいていられない。

英語に限らず、日本語でも似たり寄ったりだろう。

「 日常 」とはそういうもの。

日本の学校教育では「 英文法 」を重視するため、
常用表現を教える機会が自ずと少なくなる。

人間が 「 本能的に 」 習い覚える第一言語( 母語 )と異なり、
( 真っ当な )外国語学習には「 文法学習 」が不可欠  
なため、優先順位 を考慮すれば、やむを得ないと私は考える。

母語と外語とでは、 習得過程が違う。

文法学習なしで、4技能 ( 聞く ・ 読む ・ 書く ・ 話す )を万遍なく、
一定水準以上まで会得できるのは、特殊な環境・才能に恵まれた人
を除けば、「 母語に限る 」と考えられている。

この点をしっかり認識しておきたい。

学校教育の < 限界 > を理解するからこそ、実用的な
頻出英語をお伝えしようと弊サイトでは試みている。

【参照】  母語が確立できていない 「 セミリンガル 」 の悲惨

◆  表題は、文法的にも非常に簡単である。

< 基本中の基本 > のレベル。

” I have a question for you ” 

  • 主格の人称代名詞  I( 私は )
  • 他動詞 have( 持つ )
  • 単数のための不定冠詞  ” a
  • 可算名詞  question( 質問 )
  • 対象の前置詞  ” for( のための )
  • 目的格の代名詞  you( あなた )


直訳は「 私はあなたのための1つ質問を持つ 」。

ならして「 1つ質問があります 」。

 

◆  ” Here is my question for you.” では、

  • 副詞  ” Here “(ここに)
  • be動詞の三人称単数の現在形  ” is “(ある)
    …   以下同様   …

直訳は「 ここにあなたのための質問が1つある 」。

同じく「 1つ質問があります 」と換言できる。

◆  ” for you ” は「 あなたのための 」または
「 あなたのために 」を 意味する頻出フレーズ。

英語ではごく自然で、 一般的に他意はない。

ところが、そのまま日本語に訳すと、一転して
恩着せがましく聞こえる 場合が少なくない。

主語・主格や目的語・目的格を省略しても、
通じることが普通にある。


こういう特色のある日本語では、
くどくて「 嫌み 」を帯びかねない
なフレーズの代表格である。

そのため、” for you ” は訳出しないケースが多い。

原文にない、皮肉めいた ニュアンス が加わると
悪印象を与え、困るからである。

【参照】  日英の言語ルーツは大きく異なる

◆  ” for you ” は、日本語と英語の違いが
如実に出ている例なので、ここで考察してみる。

日本語の特徴の1つは、
非言語のコミュニケーションが多い

調和や協調を重視する密接な人間関係に基いて
発達したため、 相手側の状況判断と相まって
言葉に表さなくても   会話が成立してしまう。

人口密度が高く、体験を共有している濃い関係。

言葉以外の「 場の雰囲気 」「 あうんの呼吸
を自ら察知して、すんなり理解できる。


あいまいな表現がやたらと多く、他の言語では
通常
不可欠な  主語を略しても、難なく通じたりする。

日本語の持ち味である。

それゆえに、AI( 人工知能 )による和訳はそう容易ではない。

主語・目的語の省略がもたらす支障は、” vocal about – ” に詳述した。

◇  一方、英語は 個人主義的な文化から生まれた言語 で、
個性重視の主体性 がある。

とかく、自我が強い

人口密度が低めで、事前に共有している情報が少ない。

同質的でないため、言語化しないとお互い分かりえない


日本語が 相手側の状況判断にかなり依存する言語 に対し、

英語は 伝達情報を言語にはっきり表す 姿勢を基本とする。

同質社会でなく、共有体験が少ないため、日本人のように
場の雰囲気 」「 あうんの呼吸 」にゆだねるのは困難。

ゆえに、きちんと言葉で示さなければ通じない。

日本語は「 寡黙の表現 」で、 表白抜きでも含蓄に富むのに対し、
英語は「 饒舌の表現 」と呼ばれたりする。

  言語化しない内容は「 存在しない 」ようなもの  

↑↑↑↑↑   これぞ、 英語の大原則   ↑↑↑↑↑


【参考】    ※  外部サイト、和文

  高コンテクスト文化と低コンテクスト文化
↑  文化人類学者 E.T.ホール の賛否両論ある学説 

  High-context and low-context cultures (英文)

◇  このような 文化・言語の違い があるため、

非言語コミュニケーションを基盤とする日本語

訳出すると、くどくどしくなったり、皮肉を帯びる

英語が多発 する。

 

【参考】    ※  外部サイト、英文

“Aimai: A Dynamic Intertwined in Japanese Culture and Language”

英語ネイティブの日本語学習者による「 あいまいさ 」の考察。

学者による論文より読みやすく、的を射た指摘の数々がすばらしい。

主語なしで通じる不思議についても言及する。

Japanese is an  implicit language  while
English is an  explicit language.

Since often times a clear definition of the
subject is not known
,  translating from
implicit to explicit  requires the ability to
infer meaning and insert the appropriate
words/phrase into the explicit.

“Aimai: A Dynamic Intertwined in Japanese Culture and Language”
by Kyle Von Lanken

2015年1月30日付

※  ハイライト・色字は引用者


中級学習者 の実力があれば、一読して把握できるはず。


◆  ” for you ” のネガティブ作用は、 ” do a little math
にて、以下の通り説明した。

Let me do a quick math for you.
あなたのために、ちょっと計算してみますね。 )


一見なんでもないが、危うい場面での本音は、

  • 「 お前、なにほざいてんの。
    お前のために
    さっさと計算してやるから、よく見とけ。」

” for you “( あなたのために ) が、特に皮肉を帯びる。

この場合、” little “、” bit of “、” minor “、” quick “、
small “、” simple
には、

相手を見くびる ニュアンス が加わったりする。

どこか 威圧的 で、小馬鹿にした感じ。

  • 「 こんな簡単な計算なのに、お前のオツム空っぽかよ。」

平時であれば、親切心を示す無難な表現のはず。

人間のコミュニケーションは単純でない。


冒頭で触れたように、平時に普通の口調で述べれば、

” for you ” の有無に関わらず、 いずれも中立的な口調となる。

すなわち、 他意はなく無難な話し振り。

◆  とにかく、筆舌も相手も問わない基本的な質問表現
として、先の4つを押さえておこう。

「 1つ質問があります。」

  •  I have a question for you.
  •  I have a question.
  •  Here is my question for you.
  •  Here is my question.

 

 

【参考】    ※  外部サイト

◇  英語母語話者を対象とする「 言語習得難易度表 」

米国務省の外務職員局( FSI : Foreign Service Institute )発表

日本語は最難関 ( 4段階中、最高ランキング )

超難しい

Super-hard

exceptionally difficult for native English speakers

https://www.state.gov/foreign-language-training/


割かし頻繁に引用される資料なので、信用に値すると考えられる。

70 years of experience in teaching languages to U.S. diplomats

米外交官に、70年間、外国語教育を施した実績が叩き出したランキング。

英語ネイティブにとって、日本語がかなり難しいのは、確かであろう。

要は、我ら双方にとって大変であり、まったくもって、お互い様。

integrity ” にて、「音声」 「音節」 の日英比較を深掘りしている。

 

 

 

 

 

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