プロ翻訳者の単語帳

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I have a question for you.

      2021/06/11

1つ質問があります。 

会議中によく聞く。

何の変哲もない質問の仕方。

「 1つ質問があります 」そのもの。

 

ご質問 1つ

 

特に丁寧でも無礼でもない。

相手の立場は不問で、目上でもよい。

平常に淡々と口にする限り、
嫌味はなく(後述)、中立的な言い回し。

◇  意味と用法は、以下とほぼ同様

  •  I have a question.
  •  Here is my question for you.
  •  Here is my question.


通常の会議では、必要以上の丁寧さは不要。

主として情報共有と話し合いの場なので、
参加者の時間を無駄にしないためにも、
手短に越したことはない。

その結果、上記のような淡白な言い方が飛び交う。

日本の学校で学ぶ、文法的に正しく丁寧な表現は、
時に 他人行儀で、堅苦しく聞こえがち

常用語は、大半がそっけなかったりする。

毎日会う人に、いちいち愛想など振りまいていられない。

英語に限らず、日本語でも似たり寄ったりだろう。

「 日常 」とはそういうもの。

日本の学校教育では、英文法を重視するため、
常用表現を教える機会が自ずと少なくなる。

母国語と異なり、外国語学習では「文法」が不可欠なため、
優先順位 を考慮すればやむを得ないと私は考える。

学校教育の< 限界 >を理解するからこそ、実用的な
頻出英語をお伝えしようと弊サイトでは試みている。

◆  表題は、文法的にも非常に簡単である。

< 基本中の基本>のレベル。

” I have a question for you ” 

  • 主格の代名詞  I(私は)
  • 他動詞 have(持つ)
  • 単数のための不定冠詞  ” a
  • 可算名詞  question(質問)
  • 対象の前置詞  ” for(のための)
  • 目的格の代名詞  you(あなた)

直訳は「 私はあなたのための1つ質問を持つ 」。

ならして「 1つ質問があります 」。

 

◆  “Here is my question for you.” では、

  • 副詞  ” Here “(ここに)
  • be動詞の三人称単数の現在形  ” is “(ある)
    … 以下同様 …

直訳は「ここにあなたのための質問が1つある」。
同じく「1つ質問があります」と換言できる。

◆  “for you” は「あなたのための」または
「あなたのために」を意味する頻出フレーズ。

英語ではごく自然で、一般的に他意はない。

ところが、そのまま日本語に訳すと、一転して
恩着せがましく聞こえる 場合が少なくない。

主語・主格や目的語・目的格を省略しても普通に通じる
ことの多い日本語では、 くどくて 嫌みを帯びがち
なフレーズの代表格である。

そのため、”for you” は訳出しないケースが多い。

原文にない、皮肉めいた ニュアンス が加わると
困るからである。

◆  “for you” は、日本語と英語の違いが
如実に出ている例なので、ここで考察してみる。

【参照】  日英の言語ルーツは大きく異なる

日本語の特徴の1つは、
非言語のコミュニケーションが多い

調和や協調を重視する密接な人間関係に基いて
発達したため、 相手側の状況判断と相まって
言葉に表さなくても   会話が成立してしまう。

人口密度が高く、体験を共有している濃い関係。

言葉以外の「 場の雰囲気 」「 あうんの呼吸
を自ら察知して、すんなり理解できる。


そのため、あいまいな表現がやたらと多く、他の言語では
通常
不可欠な 主語を略しても、難なく通じたりする。

日本語の持ち味である。

一方、英語は 個人主義的な文化から生まれた言語で、
個性重視の主体性 がある。

とかく、自我が強い

人口密度が低めで、事前に共有している情報が少ない。

同質的でないため、言語化しないとお互い分かりえない


日本語が 相手側の状況判断にかなり依存する言語 に対し、

英語は 伝達情報を言語にはっきり表す 姿勢を基本とする。

同質社会でなく、共有体験が少ないため、日本人のように
場の雰囲気 」「 あうんの呼吸 」にゆだねるのは困難。
ゆえに、きちんと言葉で示さなければ通じない。

  言語化しない内容は「 存在しない 」ようなもの  

↑↑↑↑↑  これぞ、 英語の大原則  ↑↑↑↑↑


【参照】   ※  外部サイト、和文

■  高コンテクスト文化と低コンテクスト文化
↑  文化人類学者 E.T.ホール の賛否両論ある学説 
■  High-context and low-context cultures (英文)

◇  このような 文化・言語の違い があるため、

非言語コミュニケーションを基盤とする日本語

訳出すると、くどくどしくなったり、皮肉を帯びる

英語が多発 する。

 

【参考】     ※  外部サイト、英文

“Aimai: A Dynamic Intertwined in Japanese Culture and Language”

英語ネイティブの日本語学習者による「あいまいさ」の考察。

学者による論文より読みやすく、的を射た指摘の数々がすばらしい。
主語なしで通じる不思議についても言及する。

Japanese is an  implicit language  while
English is an  explicit language.

Since often times a clear definition of the
subject is not known
,  translating from
implicit to explicit  requires the ability to
infer meaning and insert the appropriate
words/phrase into the explicit.

“Aimai: A Dynamic Intertwined in Japanese Culture and Language”
by Kyle Von Lanken

2015年1月30日付

中級学習者 の実力があれば、一読して把握できるはず。


◆  ” for you ” のネガティブ作用は、 “do a little math
にて、以下の通り説明した。

Let me do a quick math for you.
あなたのために、ちょっと計算してみますね。 )


一見何でもないが、危うい場面での本音は、

  • 「 お前、なにほざいてんの。
    お前のために
    さっさと計算してやるから、よく見とけ。」

” for you “( あなたのために ) が、特に皮肉を帯びる。

この場合、” little “、” bit of “、” minor “、” quick “、
small “、” simple
には、
相手を見くびる ニュアンス が加わったりする。

どこか 威圧的 で、小馬鹿にした感じ。

  • 「 こんな簡単な計算なのに、お前のオツム空っぽかよ。」

平時であれば、親切心を示す無難な表現のはず。

人間のコミュニケーションは単純でない。

冒頭で触れたように、平時に普通の口調で述べれば、

“for you” の有無に関わらず、いずれも中立的な口調となる。

すなわち、他意はなく無難な話し振り。

◆  とにかく、筆舌も相手も問わない基本的な質問表現
として、先の4つを押さえておこう。

「1つ質問があります。」

  •  I have a question for you.
  •  I have a question.
  •  Here is my question for you.
  •  Here is my question.

 

 

【参考】     ※  外部サイト

◇  英語母語話者を対象とする「 言語習得難易度表 」

米国務省の外務職員局( FSI : Foreign Service Institute )発表

日本語は最難関 ( 4段階中、最高ランキング )

超難しい

Super-hard

exceptionally difficult for native English speakers

https://www.state.gov/foreign-language-training/


割かし頻繁に引用される資料なので、信用に値すると考えられる。

70 years of experience in teaching languages to U.S. diplomats

米外交官に、70年間、外国語教育を施した実績が叩き出したランキング。

英語ネイティブにとって、日本語がかなり難しいのは、確かであろう。

要は、我ら双方にとって大変であり、まったくもって、お互い様。

integrity ” にて、「音声」 「音節」 の日英比較を深掘りしている。

 

 

 

 

 

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