Keep up the good work.
2021/03/05
この調子でがんばってください。
企業や個人への応援文言の典型。
事業の継続発展を目指す企業にとっても、
一個人であっても、もらってうれしい言葉。
- 顧客からの感謝のメールやレター
- 格別な業績を挙げた部下への賞賛
- 優秀な成績( 学業・スポーツ・芸術 )
をおさめた学生への表彰 - 個人的な励まし
◆ これまでの努力と成果への称賛にとどまらず、
- これからも応援しています!
- 今後ともよろしくお願いします!
と将来にも期待する温かさがにじむ。
褒め称えつつ、鼓吹する感じ。
筆舌不問のポジティブ表現である。
簡単な単語のみで、誤解の余地はない。
すっきりさわやかな応援歌のよう。
学童対象のスヌーピー作品の題名に
使われるほど、分かりやすい。
–
◆ “Keep up the good work.” は、
基礎5単語で完結する。
5語すべて、英単語として最頻出かつ最重要
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)
ロイヤルストレートフラッシュばりの最強の布陣がきらめく。
–
◆ 文法面に、取り立てて難しい部分はない。
あえて言えば、3点。
句動詞 “keep up“、定冠詞 “the“、そして
<命令形>の文体である。
それぞれ説明する。
–
◆ まず、”keep up“。
いくつか意味がある。
最も主要な意味は、「続ける」(continue)
と「維持する」(maintain)。
これは、”keep” の自動詞「続ける」と
他動詞「維持する」をそのまま継承した意。
これに、接触の副詞 “up”(ついていく)を
加えて、句動詞の出来上がり。
結果的に、句動詞 “keep up” としても、
自動詞(句自動詞)と他動詞(句他動詞)がある。
【参考】 句自動詞と句他動詞の区別
“Keep up the good work.” では、句他動詞。
この場合、日本語では「続ける」と「維持する」
のどちらでも、意味合いに大差ない。
ロングマンでは、”continue” 。
“Keep up the good work ! ”
continue to work hard and well.
(ロングマン、LDOCE6)
◆ 次に、定冠詞 “the” について。
ロングマンと同じく、主な英英辞書すべてに
おいて、”the” つきで掲載されている。
「現在のよい仕事を、引き続きがんばって」
が趣旨であり、今の「この」仕事を指す。
だから、”the” を伴う。
原則は、この文法解釈でよい。
だが、実際には “the” 抜きも多々ある。
特に口頭では、”Keep up good work ! ”
と言っても違和感はない。
“the” 入りが通例だが、”the” なしも普通に
使われているということ。
–
◆ “work” は「仕事」で、不可算名詞。
不可算を原則とする名詞であるが、
「作品」を表す “work” は、可算名詞となる。
この点、”collaboration” と同じ。
形容詞 “good“(よい) を加えて、「よい仕事」。
可算名詞 “job”(仕事) を用いて、
“Keep up the good job.” とも換言できる。
◆ 最後に、<命令形>の点について。
“imperative” または “imperative mood” という。
【参考】 “It is imperative that – “(~は必須である)
“Keep up the good work.” は、文法的には命令形
となる。
したがって、基礎文法に忠実に和訳すると、
「よい仕事を続けよ。」となる。
なぜ、顧客らに命令されなければならないのか。
見方によっては、応援どころでなく、ぶしつけである。
押さえるべきは、英語の命令形の特色。
日本語の命令形は、「~しろ!」「やれ!」と、
主に目下に対して命じたり、指示したりする語形。
片や、
英語の命令形の用途はもっと広い。
「~しろ!」「やれ!」に加えて、「すること」
「してみて」「してください」などの、もう少し
柔らかい言い回しも担う。
ズバッと言い切る命令形の簡潔さは、実務で重宝する。
簡明直截なため、分かりやすいから。
日本語でも、敬語が回りくどく聞こえがちな一方、
断言調の命令形だと理解が早かったりする。
ぶっきらぼうだが、無駄がないので、パパッと把握しやすい。
したがって、英文マニュアル・取扱説明書・料理本の他、
要領と視認性の求められる箇条書きなどの文書には、
命令形が多用されるのが英語の世界。
これらは、受け手の上位・下位を問わない。
英語の命令形は、日常生活にあふれる。文法上の
命令形であることを意識しないのが普通なほど。
- “Write e-mail in a professional manner.”
(プロしくメールを書きましょう。)
– - “Put a new battery in the slot.”
(溝に新品の電池を入れる。)
– - “Shake well before using.”
(使用前によく振ること。)
– - “Add salt and pepper for seasoning.”
(味付けに、塩とコショウを入れる。)
– - “Follow these steps in the event of a fire.”
(火事の際は、以下の手順に従うこと。)
表題を一言で言えば、
「 がんばれ ~ 」
掛け声に、命令形が起用される場面は、日本語にも見られる。
この迫力は、命令形が随一だろう。
” Keep up the good work. You have our support. “
( この調子でがんばってください。応援しています。)
シンプルで使いやすいので、自ら使えるようにしておくとよい。
【類似表現】
“You are doing a great job ! ”
(よい仕事をしていますね!)
※ “job” は可算名詞
“Keep it up.”
(これからもがんばってください。)
※ 上述と同じ句動詞
“You’re on the right track.”
(正しい方向に進んでいます。)
※ “the right track” =「正しい軌道」