予防措置
事件・事故・病気などを防ぐために、
前もって講じる対策が「予防措置」または
「予防処置」。
形容詞 “precautionary” + 名詞 “measure”
で、2語ワンセットで名詞扱いされる。
問題が起こっていない時点で未然に防ぐ
のが趣旨であり、リスク回避に欠かせない。
組織としての体系的な運用(マネジメント
システムなど)はもちろんのこと、個人レベル
でも誰もが実行しているもの。
「予防措置」と意識しなくても、日々の生活に
根付いているからこそ、多くの病気や事故は防げている。
例えば、うがいをしたり、曇りの日に傘を持参する
ことも、広く「予防措置」に含まれる。
「予防措置」同様に、 “preventive measure”
は一般人の日常生活で多用される言葉ではない。
しかし、言語や業種を問わず、身近な行為である
ことは、上記例からも想像がつくだろう。
ニュースやビジネスでは、業務上の運用に加え、
無意識レベルの行為まで明確に表現する必要が
あるため、多く見聞きすることになる。
「予防措置」主な英訳6つ
- precautionary measure
- precautionary step
- precaution
- preventive measure
- preventive action
- preventive step
–
※ 実用では “s” つきの複数形が多い
(後述)
業界により、意味合いが少々異なるケースもある
ものの、この6つが代表格。
この中から “precautionary measure” を
表題に選んだ理由は、中級学習者であれば、
“preventive” は既習と考えるから。
– 名詞「予防手段」「予防薬」
– 形容詞「予防する」「予防の」
少なくとも日本人学習者にとっては、
“precautionary” の方がハードルが高いだろう。
どちらも同程度に使われるため、あえてこちらを
取り上げる。
–
◆ “precautionary” は、形容詞のみ。
【発音】 prɪkˈɔːʃənèri
意味も単純で「予防の」「警告の」。
名詞形が “precaution”。
語源は、ラテン語「前もって保護する」(praecavēre)。
【発音】 prɪkˈɔːʃən
上記の3番目で、名詞と他動詞がある。
接頭辞 “pre”(前)+ “caution”(注意)
で、「予防措置」「警戒させる」。
名詞 “precaution” は単独で「予防措置」。
一方、”precautionary” は形容詞のみなので、
「予防措置」にならない。
–
そこで、名詞 “measure” を伴う。
–
◆ “measure” には、他動詞・自動詞・名詞がある。
名詞は多義だが、語源のラテン語「測定する」
(mētīrī)に関連する意味中心。
【発音】 méʒɚ
とりわけ、物差し「メジャー」のイメージ通り。
–
–
–
基本的意味は、
– 他動詞「測定する」「評価する」
– 自動詞「測定する」
– 名詞「測定」「測定器」「基準」
「手段」「措置」「施策」
ここでは、名詞「措置」「処置」。
名詞 “measure” は可算名詞と不可算名詞を
兼ねるが、この用法では可算名詞。
よって、単数形は “a” がつく。
–
◆ 「予防措置」は複数用意されるのが一般的。
したがって、無冠詞の複数形 “precautionary measures“
で使われることが多い。
同じ理由で、上記5つの同義語でも複数形が多用される。–
–
◆ 典型表現は次の2つで、同じく5つの同義語にも適用される。
■ “take a precautionary measure“
(予防措置を講じる)※ 複数は “measures”
■ “as a precautionary measure“
(予防措置として)(念のため)
“He was rushed to hospital as a precautionary measure.”
(念のため、病院に運ばれた。)
“We need to take precautionary measures against them.”
(彼らに対する予防措置を講じなければならない。)
“Let’s take precautionary measures to prevent
the rumor from spreading.”
(うわさが広まるのを防ぐため、予防措置をとりましょう。)
–
–
【関連表現】※ 措置、手段
“play hardball”
https://mickeyweb.info/archives/9248
(強硬手段をとる、強気で渡り合う)
“proactive”
https://mickeyweb.info/archives/5888
(積極的な、事前対応の、予防的な)
【類似表現】※ 念のため
“For safety”
https://mickeyweb.info/archives/651
(安全のために)
“Better safe than sorry.”
https://mickeyweb.info/archives/3457
(念には念を入れて)
“Just to be safe”
https://mickeyweb.info/archives/2895
(念のため)