〜についてしゃべりまくる
調子に乗って、べらべら話す勢い。
夢中でしゃべり、深く考えていない様子。
どこか軽率で無責任な印象を伴う。
大して事情も知らないくせに、
自分の感情のまま、有頂天で話している。
そのためだろう、爆弾発言も期待でき、
大衆受けしたりする。
<芸能記事>によく出てくる “gush about”。
一般紙ではめったに目にしない。
べらべら話すだけの記事をむやみに載せない
メディアでは、敬遠される表現である。
◆ “gush” には、自動詞・他動詞・名詞がある。
【発音】 gʌ́ʃ
語源は、中期英語「噴出する」(guschen)。
擬音語説もある。
この語源のイメージが一貫するのが、
“gush” の特徴。
– 自動詞「噴出する」「ほとばしる」「まくし立てる」
– 他動詞「噴出させる」「まくし立てる」
– 名詞「噴出」「噴出した液体」「大げさな言動」
勢いよくほとばしる様子は、
上記の基本的意味すべて共通する。
ガーッと湧き出て “gush”。
上述の擬音語説も不自然でない。
同義語は「ラストスパート」の “spurt”。
“gush” は、堰を切ったように抑制できない
強い言動も示す。
“gush”
2. to express your praise, pleasure etc
in a way that other people think is too
strong.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 gʌ́ʃ
※ 下線は引用者
- “the gush of tears”
(止めどなく流れる涙) - “the gush of blood”
(どくどく流れる血) - “a gush of rage”
(激高)
表題 “gush about” もこの流れ。
ここでは、自動詞の “gush”。
“about” は、関連の前置詞「~について」。
同じく関連の前置詞 “over“「~について」
を使うこともある。
“about” と “over” の違い
“over” の方が、長期間に及ぶ話題
に用いる場合が多い。
自制なく、とうとうとまくし立て、
あたかも自分に酔ってしまっている。
悪気はないので、かえってたちが悪い。
若者ならともかく、いい大人が分別なく
“gush” していると、時にみっともない。
ーー
ーー
それを承知で、インタビューするレポーター。
特ダネに仕上がった芸能記事。
視聴して喜ぶ私たち。
芸能ニュースは、あこぎなビジネスかもしれない。
◆ 実際の<芸能見出し>を見てみよう。
3つとも、ある有名人カップルの馴れ初めを
取り上げた記事である。(X:俳優、Y:女優)
- “Y Gush About Her New Boyfriend”
(Yが新恋人について熱く語る)
– - “Watch X Gush About Y in This Interview”
(XがYを熱く語るインタビュー公開)
– - “X gush about his love for Y”
(XがYへの愛を熱く語る)
“gush about” にぴったりな和訳は、
どうも見当たらない。
「べらべら話す」の意の “gush” は、
女性中心に使われると注記された英和辞典
は少なくない。
この3文のみでも推量できるかもしれないが、
周囲を眺めると、必ずしもそうとは言えないはず。
せいぜい「女性が多め」の程度だろう。
<芸能見出しで多用される表現>
- “open up about –“(~について打ち明ける)
- “break the silence“(沈黙を破る)
- “snub“(鼻であしらう、無視する)
- “slam“(激しく非難する)
- “smitten with“(~に夢中)
- “dish on – “(~についてべらべらしゃべる)
ー
※「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語