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Bombshell

      2021/03/19

爆弾、  突発事件、  衝撃 

“bombshell” には、名詞と形容詞がある。

最も基本となるのが、可算名詞

形容詞はマイナー用法。

英単語全体から見れば、重要でも頻出でもない。

今回調べた  9点の英英辞典 すべてがノーマーク。

例えば、LDOCE6(ロングマン)では、全3項目ランク外。

  • 重要 : 9000語圏外
  • 書き言葉頻出3000語圏外
  • 話し言葉頻出3000語圏外

しかし、ニュース見出しにはちょくちょく顔を出す。

重要でも頻出でもない割に、いざお出ましの際は、
強烈な存在感を放つ “bombshell”。

記事の中身は、軒並み衝撃的である。

“bombshell” の描く「衝撃」は、度合いの激しさ及び
変化や動きが突然の様子、すなわち急激さの両方をカバーする。

その結果「 思いがけない出来事 を表すことに。
ひいては「 発事件 」を指す。

受け手にとっては予想外。

「 寝耳に水」「 不意打ち」と激しく動揺し、
ぶったまげたり、 びっくり仰天したり。

程度の差はあれど、天下の耳目を驚かす出来事こそ、
“bombshell”。

◆  語原は、

  •  名詞  ” bomb “(爆弾)
  •  名詞  ” shell “(砲弾)

この上なく物騒な2語が合体したもの。

内容が激しくなるのは、自然の数。

  •  語原通りの爆発物 としての初出は、18世紀 (1708年)
  •  ここから展開した思いがけない出来事 は、19世紀 (1860年)
  •  さらに発展した俗語官能的で魅力のある女性 は、20世紀 (1942年)

    …  語原サイトより
    https://www.etymonline.com/word/bombshell#etymonline_v_27278


◆  “bombshell” の主な意味は、上記3つのハイライト。

派生の流れを追うのは、難しくない。

こんな感じ。

 

どちらも感情の高ぶりを覚えがちの対象であろう。

a blonde bombshell ” ときたら、「 ブロンド美人 」。

先の英英9点全部が記載する語釈である。

例えば、

” blonde bombshell “

humorous a sexually attractive woman
with
 light-coloured hair.
(LDOCE6、ロングマン)

” a blond(e) bombshell “

a very attractive woman with blonde hair.
(OALD9、オックスフォード)

※  下線は引用者

【発音】   blɑ́nd bɑ́mʃɛ̀l


LDOCE が “sexually” と明け透けに説明するのに対し、
OALD は “very attractive” と控え目。

blond bombshell” で、”b” と “b”。

2単語が出だしで韻を踏み、耳心地がよい。

これは「  頭韻( とういん )」である。

英語では、” head rhyme ”  または  ” alliteration “。

同例を挙げると、


有名な頭韻の商標名・固有名詞の例は、
first and foremost” で一覧にした。

◆  「頭韻」の反対は「  脚韻( きゃくいん )」。

この “end rhyme” の一例は、”nitty-gritty“。

blond bombshell” は、妙になまめかしく、
同時に迫力のみなぎる語感を印象づける。

“blond” も “bombshell” も、子音 “b” から始まる( 頭子音 )。

 [b] は、英日共通 破裂音 ( はれつおん )

具体的には有声両唇破裂音 」。

多くの言語に存在する音である。

頭子音が韻を踏んでおり、日本語ネイティブにも
威勢のよい雰囲氣を読み取ることができる。

  •  日本語音声の [b] 例  →  か 」 「 き 」 「 し 」

    ※  ぶ = [bɯ]、 ば = [ba]、 べ = [be]、  ぼ = [bo]  の頭子音
  •  英語音声の [b] 例  →  bad ”  ” book ”  ” booze

口角泡を飛ばして、

  •  
  •  
  •   バァ 
  •  
  •   イン 

とありったけの いけず口ぬかす 場面の語調は激しい。

皆一様に、有声両唇破裂音

→  「音声」「音節」の詳細と日英比較は、”integrity” 参照



◆  “blonde bombshell” 系の使い道は、いかんせん限られる。

時事ニュースとビジネスでは、魅惑の匂い立つ「 悩殺的な美女
は場違い。

お堅いメディアにそぐわない。

したがって、ニュース用法としては、語原に沿った「 爆弾 」。

そして「 突発事件 」。

この辺の意味合いが一般的。

3大学習英英辞典(EFL辞典)でも明らか。

持ち前の「激しさ」は、下線の形容詞が示す。

“bombshell”

  an unexpected and very shocking piece of news.
(LDOCE6、ロングマン)

■  Usually singular, informal
an event or a piece of news which is unexpected
and usually unpleasant.
(OALD9、オックスフォード)

■  INFORMAL
a sudden and often unpleasant piece of news.
(CALD4、ケンブリッジ)

※  下線は引用者

【発音】   bɑ́mʃɛ̀l
【音節】    bomb-shell  (2音節)

OALD と CALD は、 ” informal ” と表示する。

くだけた表現、非正式ということ。

OALDの “usually singular” は、「通常は単数名詞」の意。

単数名詞(singular noun)とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞

英英辞書で “S” また “sing” 略記されたりする。

単数名詞の辞書表示には、かなりのばらつきがみられる。

他の2点には記されていない。


◆  多用される名詞用例を3つ。

  • bombshell announcement
    ( 爆弾発表 )
  • bombshell question
    ( 爆弾質問 )
  • bombshell statement
    ( 爆弾発言 )

3つとも「爆弾」が定訳なのは分かりやすい。
日本のメディアも使う言い回しだからである。

動詞を用いて表現すると、

  • “He dropped his bombshell during the press conference.”
  • “He dropped a bombshell during the press conference.”
    ( 彼はその記者会見中に 爆弾〇〇 をした。)

他動詞 “drop”(落とす)で「爆弾を落とす」が直訳。

  •  彼は会見中に  爆弾発表  をした。
  •  彼は会見中に  爆弾質問  をした。
  •  彼は会見中に  爆弾発言  をした。
  •  彼は会見中に  爆弾宣言  をした。

「 爆弾を落とす 」は比喩であるのが通例なので、
状況に応じて和訳は違ってくる。

そのため、「 ○○ 」で示した。

“drop” の代わりに、他動詞  ” explode “( 爆発させる )もOK。

【発音】   iksplóud
【音節】   ex-plode  (2音節)

意味が重なるのは、中級学習者 なら理解できよう。

また、自動詞 “come”  や  be動詞 を用いて、

  • His bombshell  came  during the press conference.
  • The bombshell  came  during the press conference.
  • His              came as  a bombshell
  •               came as  a bombshell
  • His              was  a bombshell

ここに示した黄ハイライトは、次のコロケーション辞典
にそのまま記載されている。

時制などにより、語形変化(活用)を伴うのは言うまでもない。

【例】  come  →  came (過去形)

 


Oxford Collocations Dictionary for Students of English
(アプリ版)より転載


新編 英和活用大辞典
(アプリ版)より転載


ともに、定評のある辞典。

重要度・頻出度が大半の辞書でランク外にもかかわらず、
でかでかと取り上げられる “bombshell”。

マイナーな単語のはずなのに、 なぜ

英単語全体から見た評価と、実務における有用性の差異
を示唆するものと考えられる。

要は、< 実務上の需要 > が高い。

以下に似通う持ち味である。

  •  threshold ( 敷居、境界、しきい値、基準値 )
  •  presence ( 存在感 )
  •  downfall転落、失脚、没落 )
  •  disparity ( 相違、格差 )

◆  2019年新年早々、大々的に発表されたニュース見出しから、
“bombshell” を抽出してみた。


※  2019年1月7日 初稿時点

  • “Dow slides after X delivers bombshell warning”
    (NYダウ、X社の衝撃発表後に急落)
  • “Dow falls 660 points on X bombshell
    (NYダウ、X社の爆弾発言で660ドル安)
  • “ROYAL BOMBSHELL: Letter reveals how
    Queen Begged King not to abdicate
    (王室の衝撃事実:王に退位せぬよう女王は
    手紙でどう懇願したか)
  • “Y Makes Bombshell Admission About Not
    Being The Greatest Of All-Time
    (Yの爆弾告白:自分は史上最高の選手でない)
  • “Z bombshell: President can be indicted in office”
    (Zの爆弾発言:大統領は在任中でも告発されうる)
  • “MD Drops Bombshell About 5G Technology Dangers”
    (5G通信の危険性について医師が爆弾発言)


採集に要したのは、たった5分。

本当にもてもての有様であった。

◆  2020年以降のニュース報道からも、追加でご紹介。

  • “The Royal Family has officially responded to
    the bombshell news that they are stepping down.”
    (王室は彼らが離脱するとの衝撃ニュースに公式対応)
  • “President’s Tax Records Bombshell
    (大統領の納税記録の衝撃)

◇  「見出し」英語の解説は、ここが秀逸  ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

 

< コロケーションについて >

・ “aware
・ LDOCE(ロングマン現代英英辞典)
・ 辞書の「自炊」と辞書アプリ
・ 英語辞書は「紙」か「電子版」か

【実例】    ※  辞書アプリの転載あり

threshold“、”damage“、 “scrutiny“、
backdrop“、”paperwork“、”struggle”、
downfall“、”alternative”、”feasible”、
disparity“、”presence

 

 

 

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