プロ翻訳者の単語帳

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Break the silence

      2018/06/07

沈黙を破る

“break the silence” は、これまで
ずっと黙ってきた人が、話し始めること。

「沈黙を破る」は、日本語でも多用される
ので、感覚的に理解しやすいだろう。

耳目を驚かすインパクトがあるため、
特に芸能ニュースと相性がよい。

◆ 芸能系の見出し(headlines)で多用される表現:

  • open up about –“(~について打ち明ける)
  • snub“(鼻であしらう、無視する)
  • gush about – “(〜についてしゃべりまくる)
  • slam“(激しく非難する)
  • smitten with“(~に夢中)
  • dish on – “(~についてべらべらしゃべる)

※「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

———————————————
“break the silence” は堅めのニュースでも
使われるが、使用頻度は高くない。

人々の興味をむやみに煽り立てる記事や表現は、
ニュースの性質にそぐわないからであろう。

反意語は、”keep the silence”(沈黙を守る)。

 

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日本語の「沈黙を破る」は、
<休止後の再活動>をも意味する。

しかし、”break the silence” は、
この意味合いを含まない。

他方で、音を出すことで静けさを打ち破る
文字通りの内容は、日英共通した用法である。

“The sound of the engine broke the silence.”
(エンジンの音が沈黙を破った。)

———————————————
◆ “break” には、他動詞・自動詞・名詞がある。
語形変化は、break – broke – broken。
語源は、古英語「壊す」(brecan)。

基本的で、幅広い分野をカバーする多義の単語。
試験頻出の句動詞や成句も数多い。

  • break down(故障する、分類する)
  • break even(収支とんとん)
  • break in(侵入する)
  • break off(外れる)
  • break out(勃発する)
  • break through(切り抜ける)
  • break up(ばらばらになる)
  • break one’s heart(悲嘆させる)
  • break one’s neck(努力する)
  • break the ice(突破口を開く)

多義とはいえ、大半は語源のイメージを帯びる。
またカタカナ「ブレーク」も根付いている。
分かりにくくはないだろう。

基本的意味は、
– 他動詞「壊す」「中断する」「破る」「知らせる」
– 自動詞「壊れる」「中断する」「発生する」
– 名詞「破壊」「割れ目」「脱走」「中断」「休憩」

ここでは、他動詞「破る」。

◆ “silence” には、名詞・他動詞・自動詞・間投詞がある。
語源は、ラテン語「静かである」(silere)。
語源の意味が全品詞を貫くため、理解しやすい。

– 名詞「静寂」「沈黙」「忘却」
– 他動詞「黙らせる」「鎮圧する」
– 自動詞「沈黙する」「静かになる」
– 間投詞「静かに!」「静粛に!」

※「間投詞」(interjection)とは、
感動や応答を表す語で、
単独で文となりうる呼掛け言葉。
【例】”Oh ! “、”Alas ! “、”Oops ! “、
Whoa ! “、”Gross ! ” “Welcome back ! ”

ここでは、名詞「沈黙」。
原則として、不可算名詞かつ抽象名詞。
だが、不定定冠詞 “a” がついたり、複数形になったり、
文法的な例外もある。
– “a short silence”(短い沈黙)
– “There is a silence within each of us.”
(我々の中にそれぞれ沈黙がある。)

◆ 「沈黙を破る」の主な表現パターンは2つ

  • break the silence
  • break one’s silence

“one’s” には、人称代名詞の所有格を入れる。
my、his、her、their、our など。

この2つの用法と和訳には、大差はない。
日常的には、ほぼ同じように使われている。

ただ、特定の人間が関わらない場合は、
必然的に “the” となる。

逆の「沈黙を守る」は、他動詞 “keep” で置き換えて、
keep the silence” と “keep one’s silence“。
または、自動詞 “keep” で “keep silent“(無冠詞)。

◆「沈黙」は、ニュースになりにくい。
新たな情報が出てこないから、当然だろう。

一方「沈黙を破る」際は、大いに注目され、
時に特ダネ記事になったりする。

扇動的な意味合いは特に含まないはずの
“break the silence” が、芸能見出しの煽り文言
によく使われることは、既述の通りである。

◆ 芸能見出しは、とりわけ集客・販促の役割を求められる。

  • “X Breaks the Silence about His Divorce”
    (Xが離婚について沈黙を破る)
  • “Y Breaks Her Silence on Accident”
    (Yが事故について沈黙を破る)
  • “X Breaks His Silence on the Arrest”
    (Xが逮捕について沈黙を破る)
  • “Y Breaks Her Silence about the Controversy”
    (Yが論争について沈黙を破る)
  • “X’s Husband Breaks His Silence After Her Death”
    (Xの死後、夫が沈黙を破る)
  • “Z Breaks His Silence on His Daughter’s Death”
    (Zが娘の死について沈黙を破る)
  • “The former President finally broke his silence about the scandal.”
    (元大統領があのスキャンダルについて、ついに沈黙を破った。)

「~について」を意味する前置詞は、このように
on” または “about” が一般的。

【関連表現】
“a moment of silence”
https://mickeyweb.info/archives/3513
(黙祷)

“Silence is gold.”
“Silence is golden.”
(沈黙は金。)

 

 

 

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