組む、コラボする
近年のビジネスに欠かせないのが「コラボ」。
それぞれの強みを活かし、販促や制作を一緒に行う。
認知度の高い者同士がコラボすると、やたら話題となり、
双方のブランド力強化につながる利点がある。
「コラボ」
コラボレーションの略。特に、異分野の人や
団体が合同で商品で商品などを開発すること。
(広辞苑 第七版)
2018年1月発売の<第七版>に初登場の「コラボ」。
※「コラボレーション」は<第六版>に初登場
名詞 “collaboration”(共同、協力)が語源。
英語でも “collab” と略して用いられることがある。
【例】
“Collabs with YouTuber X”
(YouTuber X氏とのコラボ作品)
※ “collab” = “collaboration”
“collaboration” は不可算名詞が原則だが、
「作品」を指す場合は可算名詞。
この点、”work” と同じ。
先の広辞苑にあるように、共同で仕事をする
こと、すなわち「協働」が「コラボ」。
これを句動詞で表すと、”team up”。
句他動詞と句自動詞を兼ね、句自動詞が多用される。
【参考】
「句動詞」「句自動詞」「句他動詞」について
https://mickeyweb.info/
–
◆ “team” には、名詞・他動詞・句動詞・形容詞がある。
語源は「子孫」(tēam)。
全品詞の基本的イメージは「チーム」そのものだから、
分かりやすい。
【参照】”team effort“(チームワークのたまもの)
– 名詞「チーム」「班」
– 他動詞「チームにまとめる」「組み合わせる」「調和させる」
– 自動詞「チームを作る」「協力する」「調和する」
– 形容詞「チームの」
名詞は可算名詞で、集合的に使う。
“team” がチームメンバーを表す場合は、複数扱い。
【例】”The team are – “(チームメンバーたちは)
※ “teams“(↑)でなく、単数形なのに “are”
チームそのものならば、単数扱いとなる。
【例】”The team is – “(そのチームは)
※ “team / is” で基礎文法に従う
句動詞 “team up” の “team” は、他動詞・句動詞の
両方ある。
自他動詞の意味合いがほぼ重なる動詞なので、
違いを意識しにくい。
◆ これに、副詞の “up” を加える。
句動詞に多い副詞 “up” は、非常に多義だが、
ここでは「まとめて」「集めて」を意味する。
ばらばらの多数を一緒にまとめる様子。
同じ用法の副詞 “up” には、次のような句動詞がある。
◆ “team” も “up“ も、英単語として最頻出かつ最重要。
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
( LDOCE6 の指標による)
※ ただし、”team” については、名詞として
さらに、”team” は<Academic Word List>(※)入りしている。
※ 英語圏の大学教科書の頻出単語570語
(以上、ロングマン LDOCE6 の表記より)
“team up” が、身近な単語で構成される句動詞だ
だということを示す。
“collaboration”(kəlæ̀bəréiʃən)や動詞 “collaborate”
と異なり、小学生にも理解でき、発音も容易。
–
◆ 同業種または異業種間の「コラボ企画」は、
新たな商品・サービスを生む契機となる。
当事者の売り上げのみならず、経済全体の活性化が
見込める場合も少なくない。
世界的な時代の潮流に乗ったマーケティング手法のひとつ。
とすれば、”team up” の出番もますます増えると予想できる。
“team up“
to join with someone in order to work on something.
(ロングマン、LDOCE6)
「組む」
3. 事をするために仲間になる。組になる。
(広辞苑 第七版)
※ 下線は引用者
LDOCEの “team up” は、広辞苑の「組む」の語釈に
ほとんど重なる。
それを敷衍したのが「コラボ」と考えてよいだろう。
上記の “work on” は、句動詞「取り組む」。
下線の「事をする」と同じ意味合い。
「働く」も含むが、あくまでも「取り組む」の一部。
仕事に限らず、趣味、遊び、何でもよい。
つまり、ビジネス用途以外にも使えるのが “team up”。
(例文参照)
–
◆「コラボ」と等しく、使用場面と用途が広がる傾向にある。
その反面、言葉としてのあいまいさも増している。
とにかく便利には違いないので、自ら使えるようにしておこう。
- “Let’s team up.”
(コラボしよう。)(一緒にやりましょう。)
– - “I need to team up with an experienced teacher.”
(経験豊富な先生と組む必要がある。)
– - “We want to team up with your group.”
(あなたのグループと組みたい。)
– - “It is imperative that we team up with experts.”
(専門家と組むことが絶対必要です。)
– - “Three programmers will team up to develop
a new system.”
(新しいシステムを開発するため、
3名のプログラマーが組むことになる。)
– - “Famous singers teamed up for a concert.”
(コンサートのため、有名歌手たちがコラボした。)
– - “Let’s team up and get it over with.”
(みんなで一緒にやって、けりつけてしまおう。)
– - “John teamed up with Mary for the presentation.”
(そのプレゼンのため、ジョンはメリーと組んだ。)
–
- “We teamed up for the first time.”
(私たちは、初めてコラボした。)
– - “She teamed up with the doctor on the project.”
(このプロジェクトで、彼女はその医者と組んだ。)
以上のように、「随伴」の前置詞 “with” を伴うのが基本。
【類似表現】
“tie up” ※句自動詞、句他動詞
(提携する)