プロ翻訳者の単語帳

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It is imperative that –

      2019/08/17

~は不可欠である、~は必須である 

評論文手引書で好まれる堅い表現

【発音】 impérətiv

“It is imperative that” で、
<4語ワンセット>の決まり文句
として使われるのが常。

口頭でも使うが、文面の方がずっとふさわしい。

口頭であれば、”imperative” ではなく、
以下の類義の形容詞の方が一般的。

  • critical
  • crucial
  • important
  • pressing
  • urgent
  • vital

“imperative”

1. (formal) very important and needing
immediate attention or action.
[synonym] vital
2. (formal) expressing authority.
3. expressing an order an imperative sentence.
(オックスフォード、OALD9)

※ 下線は引用者

【発音】 impérətiv

上記 OALD9 には “formal” 表示がある。
英和辞典の一部にも「正式」と明記されている。
(『ジーニアス英和大辞典』など)

正式な言い回しであるため、堅苦しくて、
しかつめらしくて、話し言葉としては
敬遠される向きがある(後述)。

LDOCE6(ロングマン)を調べると、”imperative” は
重要度・頻出度ともランク外。すなわち、

  • 重要度 :9000語圏外
  • 書き言葉の頻出度:3000語圏外
  • 話し言葉の頻出度:3000語圏外

したがって、大した英単語ではないと考えられる。

にもかかわらず、ここで取り上げるのは、
特定のジャンルでは目立つから。

代表格は、冒頭に述べた評論文手引書

  書き手がここぞと強調したいポイント 

に、でんと置かれる。

   生真面目な煙たさが緊張感をもたらし、
   要点を際立たせるのに役立つ表現   

この点、”Please be advised that –
(~をご承知おきください)に似通う効果が期待できる。

◆ “imperative” には、形容詞と名詞がある。

語源は、ラテン語「命ずる」(imperātivus)。
形容詞も名詞も、語源に沿った気詰まりな
厳しさが漂う。

– 形容詞「絶対必要な」「避けられない」「命令的な」
– 名詞「命令」「義務」「不可避なこと」

これらの基本的な意味に加え、英文法の「命令法
を “imperative” または “imperative mood” という。

これは不可算名詞だが、名詞 “imperative” の原則は可算名詞。

命令法
imperative mood)インド – ヨーロッパ語の文法
での法の一。命令・要求・懇願(否定の場合は禁止)
など、相手に対する注文を述べるもの。命令文に用いる。
(大辞林 第三版)


命令法
名詞
1.(英 imperative mood の訳語)用言の用法の一つ。
話し手が相手に対して命令・要求する意を特定の語形
で表わす場合をいう。
2. = 命令形
3. = 強行規定
(精選版 日本国語大辞典)

命令形
《名》
国文法で、活用語の第六活用形。命令の意を表して
文を終止する形。「来い」「休め」「起きろ」などの類。
(明鏡国語辞典 第二版)

命令形
活用形の一つ。命令の意を表すもの。
四段(五段)活用動詞以外は助詞「よ」「ろ」「い」
を付けて表す。
「読め」「起きよ」「起きろ」「来い」の類。
(広辞苑 第七版)

※「命令形」= imperative form

【例】

  • Sit still. (じっと座ってろ。)
  • Pack your bags.(出て行け。)
  • Raise your hands.(両手を上げなさい。)
  • Get out of here!(ここから出て行け!)
  • Turn left at the intersection.(交差点で左折して。)
  • Let’s –(~しましょう)※ 要求・勧誘

【参照】
“please” と「ください」は、失礼な「命令形」になりうる

【注意】
「命令法」の「法」(mood)は、「感覚・気分」の意味合い。
仮定法」(subjunctive mood)や「直説法」(indicative mood)
なども同様で、「方法」または「法律」のニュアンスはない。

表題では、形容詞「絶対必要な」「必須な」。
文法は、次の通り基礎レベルである。

  • it” は後方照応的な代名詞で、後にくる主語を
    受ける形式的主語。通常は訳出しない。
  • that は接続詞。 典型的な「that節」で、
    形式的主語である “it” に導かれる用途。
  • imperative は形容詞なので、be動詞
    (ここでは “is“) に続くのが基本パターン。
    → その理由は “aware” にて詳説


◆ “imperative” の意味は、どれも窮屈で重い。

日常使用で遠ざけられるのは、既述の “formal”
ゆえの「堅苦しくて、しかつめらしくて」に加えて、
内容そのものにある。

上掲 OALD9 の下線にあるように、

very important” であり、
immediate attention” を要す

あたかも 息が詰まるような迫感 を放つ。

だが、その非日常的な緊張感が、特定分野の文書
で活かされている強みについては、既に触れた。

<注意喚起>の役割を担う堅い表現なのである。

◆ まず、今年2018年発表の時事評論から、用例を5点抽出。

Inline image 1

  • It is imperative that doctors provide advice
    only in the areas of their professional expertise.”
    (医者の助言は自分の専門分野に限定すること
    が必須となる。)
  • It is imperative that we stop glorifying
    violence on screen.”
    (映画で暴力を美化するのをやめることが
    不可欠である。)
  • It is imperative that Congress hear our
    children’s cries of anguish.”
    (子どもたちの苦痛の叫びに、議会が
    耳を傾けることが絶対必要である。)
  • It is imperative that we provide patients
    with the resources to make decisions.”
    (患者が決断するための手段を我々が提供
    することは不可欠となる。)
  • It is imperative that elections can
    be held in a timely manner.”
    (適時に選挙を実施できることが必須となる。)


どれも強迫的で説教臭い(preachy)印象。
文面でそう感じるのだから、口頭ではなおさらうざい

日頃、”imperative” が避けられるのも不思議でない。

◆ 次に、手引書・指示書より5点。

Inline image 1

  • It is imperative that you finish this
    by the deadline
    .”
    (これを締切りまでに終えることが必須です。)

  • It is imperative that supervisors should be
    good communicators.”
    (監督者はコミュニケーションに長けていな
    ければならない。)
  • It is imperative that you team up with experts.”
    (専門家と組むことが絶対必要です。)
  • It is imperative that you exercise regularly
    to lose weight.”
    (定期的に運動することが減量には必須となります。)
  • It is imperative that you change your
    password immediately.”
    (パスワードを今すぐ変える必要があります。)

◆ 掉尾を飾るのは、太平洋戦争末期の米海軍の極秘電文。

TOP SECRET(最高機密)と銘打つ。

相応の中身の「命令」。

「(原爆投下担当の)第509群団の作戦を妨害しないこと必須である

It is imperative that there be no interference with
Operations of 509th Bomb Group.”

image.png
<米海軍:原爆投下前に電文「長崎、小倉、広島に入らぬよう」>
毎日新聞ウェブサイト、2018年8月10日付

【和文】
https://mainichi.jp/articles/20180810/k00/00m/040/188000c#cxrecs_s
【英文】
https://mainichi.jp/english/articles/20180810/p2a/00m/0sp/002000c

※ 2018年8月10日アクセス

 

 

 

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