残り物 ( 食べ残し、売れ残り )
I’m so hungry.
May I have your leftovers ?
(ものすごくお腹が空いているのです。
残されたものを、いただいてもよいでしょうか。)
普段遣いの “leftover” は「食事の残り物」を表す。
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この用途では、”leftovers” と 複数形で使うのが通例。
「単数名詞」(singular noun)の反対の
「複数名詞」(plural noun)である。
【発音】 léftòuvər
【音節】 left-o-ver (3音節)
単に複数形であるばかりでなく、通常は「複数形
でしか使わない名詞」が “plural noun”。
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【例】
“strings“、“doldrums“、”grounds“、”odds“、
”belongings”、”clothes”
「単数名詞」に比べると地味な存在。
単数名詞とは、単数形で使われるのが一般的な名詞。
英英辞書では “S” または “sing” と略記されたりする。
主要な英和辞典では「通例 leftovers」と記載するだけで、
特に区分していない。
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片や、主な英英辞典では [plural] と明示し、
「複数名詞」であることをきちんと説明する。
3大学習英英辞典の “LDOCE”、”OALD”、”CALD”
を含む、次の6つのオンライン英英辞典のすべてが
[plural] と明記する。
複数名詞 “leftovers”「食事の残り物」は、
必ずしも「残飯(ざんぱん)」を意味する
わけでない。
ざんぱん【残飯】
食い残りの飯。 食べ残した食事。 のこりめし。
(精選版 日本国語大辞典)
“leftovers” も食べ残りには違いないが、
多くの場合、後日再び食卓に出す対象 を指す。
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つまり、その時点では食べ残されているが、
最終的には残らないはずの食物。
日本で社会問題になっている<残飯処理>は、
廃棄対象または家畜飼料にするような残り物。
米国などの外食産業では一般的な<持ち帰り>
( “doggy bag” )の習慣が日本にないため、
問題につながっているとの指摘もある。
「残飯」と聞くと、何となくイメージがよくない。
しかし、”leftovers” は再び食すものと考えられて
いるため、「残飯」レベルの暗い印象は少ない。
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◆ 名詞 “leftover” の主要用途は、複数名詞「食べ残し」。
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これだけ覚えておけば、日常的には間に合う。
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マイナー用法として、
単数名詞「(時代錯誤の)遺物」
がある。–
この場合は、可算名詞となる。
「単数名詞」とは、単数形で使われるのが一般的
な名詞であることは既記した。
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名詞 “leftover” の特色は、
「単数名詞」と「複数名詞」を兼ねる こと。
数量次第で単複に分かれる、ごく普通の可算名詞
の「単数形」「複数形」との違いに注意。
–
【例】単数形 “a dog”、複数形 “dogs”
■ 名詞 “leftover”
- 「残り物」
複数名詞 “leftovers“(複数)
– - 「時代錯誤の遺物」
単数名詞 “a leftover”(単数)
–
■ 形容詞 “leftover”
- 「残りの」
・ 汁物 (leftover soup)
・ 飲み物 (leftover drinks)
上記のように、形容詞「 残りの 」もある。
日頃は「 食べ残りの 」「 売れ残りの 」
で使われることが多い。
◆ いずれも「 残り 」の意味合いを貫く。
–
最も多用される「残り物」さえ覚えておけば、
その他はイメージできる範囲内。
その理由は語源にある。
- 句他動詞 “leave over” (2語)の
- 過去分詞 “left over”(2語)が、
- 形容詞 “leftover” (1語)に転じて、
- 名詞 “leftover”(1語)に派生
【発音】 léftòuvər
【音節】 left-o-ver (3音節)
“leave” は「去る」を意味する自動詞・他動詞。
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句動詞 “leave over” では、他動詞 “leave” なので、
句動詞の他動詞で「句他動詞」となる。
“leave” の語源は、古英語「残しておく」(lǣfan)。
これに副詞 “over” を伴う句動詞。
◇ ここでの副詞 “over” は、
「 数量を 超えて 」 → 「 余って 」「 残って 」
カタカナ「オーバー」に通じる。
すなわち、”leave” と “over” の2語とも「余る」意味合い。
そのため、2語を重ねた句動詞 “leave over”(残しておく)で、
なおさら「残す」が強調される。
動詞 “leave” の活用形は、
leaves – left – left – leaving
先述の通り、”leave over” の過去分詞 “left over” が
形容詞 “leftover” となり、さらに名詞に派生した。
以上の成り立ちから、”leftover” は語源に忠実で自然な流れ。
「残り」が一貫するので、分かりやすい。
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■ 複数名詞 「残り物」 ※ 最も多用される印象
- “I’m having leftovers again.”
(また残り物を食べています。)
– - “I gave the leftovers to my cat.”
(その残り物を飼い猫にやった。)
– - “Leftovers should be taken home.”
(食べ残しは持ち帰るべきだ。)
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■ 単数名詞 「(時代錯誤の)遺物」
- “It’s a leftover from the bubble economy
in the 1980s.”
(これは1980年代のバブル時代の遺物さ。)
– - “He was a leftover from the high economic
growth era.”
(彼は高度成長期の名残だ。)
– - “This law is a leftover from the Meiji period.”
(この法律は明治時代からの遺物だ。)
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■ 形容詞 「残りの」
- “I used leftover rice to make lunch.”
(残り物のご飯で昼食を作った。)
– - “Give me a discount on this leftover car.”
(売れ残りのこの車を割り引いてよ。)
– - “Let’s clean up the floor with a leftover rag.)
(余った布切れで床掃除しよう。)
– - “Leftover ordnance is regularly found across Japan.”
(不発弾は日本各地でよく見つかる。)
◇ “leftover”(残り物の) + “ordnance” (兵器) → 不発弾
【参照】 ※ 外部サイト
- 食品ロスとは ? なぜ食品ロスの削減が必要なの ?(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/
– - 食べ残し給食の持ち帰りダメ、教諭を懲戒処分…堺市に「24年前の教訓」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200114-OYT1T50168/
2020年1月14日付