最重要なのは ~ です、 要するに ~ なのです
- The bottom line is that
we need to move forward.
(最も大切なことは、我々は
前進する必要があるということです。)
– - The bottom line is, I want to marry her.
(要するに、彼女と結婚したいのです。)
こうして公私を問わず使える口語フレーズ。
文面にも使えるが、口頭の方が目立つ感がある。
–
堅めの成り立ちを考慮すれば、大上段に
振りかぶる印象を伴っても不思議でない。
–
だが、常套句として日頃より聞き慣れているため、
大人が使う分には、不自然な感じを与えにくい。
むしろ気軽に使われすぎている感がある。
–
◆ “bottom line” の本来の意味は、
損益勘定(profit and lossaccounting)における
収益報告(決算表)の最下行
形容詞 “bottom” + 可算名詞 “line”
で、決算表の最下部(bottom)の行(line)
を指す。
この最下行には、最終的な損益額
(profit and loss = PL)が記してある。
–
収支決算で、いわゆる「総決算」のこと。
「帳尻」とほぼ重なる意味合い。
ちょうじり【帳尻】
名詞
帳簿・帳面の記載の終わり。また、
帳簿の最後にしるす収入・支出の最終的計算。
帳簿の決算の結果。
(精選版 日本国語大辞典)
したがって、”The bottom line is – ” の直訳は、
「総決算は~です」。
- “X’s costly bets on such companies had
taken a huge toll on its bottom line.”
(そうした企業に対する巨額投資が、
X社の総決算に大打撃を与えた。)–
「堅めの成り立ち」と既述したように、一見
とっつきにくい、ビジネスライクなイメージ。
ところが、乱用された挙げ句、ごく普通の
日常表現として根付いた現状にも先に触れた。
–
◆ “bottom line” の主な意味は3つ。
“bottom line”
1. the bottom line
(a) the most important part of something;
the most important thing to consider
(b) the final result or outcome
2. [singular] : a company’s profits or losses
3. [singular] : the least amount of money
you are willing to consider for something
–
< 参考和訳 >
1. the bottom line
(a) 最重要事項
(b) 最終結果
2. [単数名詞] : 企業の損益
3. [単数名詞] : 最低金額
※ 「単数名詞」とは、単数形で使われるのが一般的な名詞
–
3の「最低金額」は、通常 “someone’s bottom line”
の形になる。つまり、所有格の直後に置く。
人称代名詞であれば、所有格は、
my / your / his / her / their / our / its
–
◇ ” BLUF ” = Bottom Line Up Front
はじめに 結論 を述べ、詳細は後回しの文書の書き方。
「 頭括型 」または「 統括構成 」 と和訳される。
米軍などで採用されている。
メールをはじめとする文書の本文冒頭に置き、5Wを一気に提示。
– who( 誰が )
– what( 何を )
– where( どこで )
– when( いつ )
– why( なぜ )
長文になると、” BLUF 1 “、” BLUF 2 “、” BLUF 3 ”
と複数のまとめに分かれたりする。
–
◆ 今回調べた6点の英英辞典のうち、もっとも簡潔に
まとまっていたのは、「メリアム ウェブスター」
提供の英語学習者向けサイト。それが上記である。
3大学習英英辞典(EFL辞典)は、総じてまとまり
に欠け、今回ばかりは見劣りした。
–
◆ 語釈1 “the bottom line” をご覧いただきたい。
–
これだけ、定冠詞 “the” を明示している(枠内の青字)。
実際には、語釈2と3でも、”the” がつく場合が多い。
ー
語釈1 が格別なのは、”the” が常につく点にある。
つまり、必ず<3語ワンセット>なのが、語釈1。
他の冠詞や無冠詞の余地はない。
ー
なぜなら、これは「最重要事項」または「最終結果」を示す。
すなわち「唯一」「ベスト」。
ゆえに “the”。
–
内容からして、いくつも存在するわけなく、単数形となる。
だから、be動詞も単数 “is” が基本。
過去形 “was” もありうる。
–
◆ 語釈2と3は、主に組織の決算で使う。
–
本稿では、語釈1 “the bottom line” に絞って見ていく。
日常生活に密着しているのは、語釈1だから。
無論、収支決算とは無関係な用途である。
–
◆ 冒頭の通り、使用場面はプライベートでもよい。
–
乱用され気味とはいえ、あくまでも「最重要事項」
や「最終結果」を述べるのに用いるフレーズ。
–
よって、使い手には最低限の論理的思考が求められる。
様々な要素を考察の上、要約したり結論したりするからである。
–
このプロセスを端折る輩も数多いが、説得力を伴うためには、
それなりの検討が欠かせない。
–
表題では、語釈1を出だしに起用した。
この<3語ワンセット>の最頻出用途と考えるからである。
“The bottom line is – ” の2大パターン
(1)コンマを用いる
(2)従属接続詞「that節」を加える
それぞれこうなる。
(1)コンマ
“The bottom line is, health is wealth.”
(最も大切なことは、健康は財産ということ。)
“The bottom line is, he decided not to go.”
(結局、彼は行かない決意をした。)
“The bottom line is, I want to call it quits.”
(要するに、私は終わりにしたいということ。)
“The bottom line is, we are short-staffed.”
(要は、我々は人手不足ということ。)
(2)that
“The bottom line is that health is wealth.”
(最も大切なことは、健康は財産ということ。)
“The bottom line is that he decided not to go.”
(結局、彼は行かない決意をした。)
“The bottom line is that I want to call it quits.”
(要するに、私は終わりにしたいということ。)
“The bottom line is that we are short-staffed.”
(要は、我々は人手不足ということ。)
–
【類似表現】
“The thing is – ”
https://mickeyweb.info/archives/17132
(要するに、実際には)
“Here’s the thing.”
https://mickeyweb.info/archives/18051
(こういうことなのです。)
【関連表現】
“rock bottom”
https://mickeyweb.info/archives/10672
(どん底)