プロ翻訳者の単語帳

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Here’s the thing.

      2020/09/26

こういうことなのです。

思い切った切り口で、意見をずばり述べる。

成人男女の口語としてよく耳にする。

やや言いにくい話を切り出す前に、
相手に呼び掛け、注意を促す表現

決めの文句として、相手の注目を一身に浴びる
効果が期待できる。

少々くだけた語感だが、ビジネスでも使われる。

適訳が見つからないが、こんな感じ。

  • こういうことなのです
  • こんな感じです
  • こうなのです
  • こうしましょう

◆  “Here is the thing.” は、高校生くらいから
使われ始める印象。

同じ呼び掛けでも、日本の学校教育で学ぶ
“Listen.” は「聞いてよ」。

こちらは万能に近いものの、妥協や受身の余地がある。

ところが、

◇  “Here’s the thing.” は、呼び掛けと同時に、
「こうだ」と最初から主張を前面に出す強気な言い様。

単なる 呼び掛けや注意喚起にとどまらず、自分の
主張を論理的に説明し、相手を説得する能力
が問われる。

したがって、小学生も使う “Listen.” に比べて、ハードル高め。

“Here’s the thing.”  がビジネスでも重宝されるのは、
このような言い回しが何かと便利だからであろう。

堅苦しすぎず簡潔で、相手の反感を刺激しにくい。

これは出し抜けの自分の主張に傾聴を求める上で
大切な要素となる。

◆  同じ特色は、次の3表現にも通じる。

  • I’ll tell you what.” (ではこうしよう。)
  • You know what ? ” (ちょっといい?)
  • The thing is ” (要するに)

上記3つと比較しても、”Here’s the thing.” は
何だか分かりにくい。

対応する的確な日本語が存在しないので困る。
基本的な用途と印象は既述の通り。

直訳は「物事は以下の通り」。
平たく言えば「こういうこと」。

シンプル表現で、文法も単語も難しくはない。

 

◆  “here’s” は、”here is” の縮約形。

副詞 “here”(ここに)+ 動詞 “is”(ある)
で「ここに~があります」。

転じて「以下の通り」で、これから自分が示す内容
を紹介する文言となる。

複数を示す場合は “here are” だが、表題の用法では
単数形が通例。

“Here are the things – ” または “Here are things – ”
は文法的に何ら問題ないが、文字通り「以下の通り」
となり、単なる紹介に他ならない。

よって、表題の趣旨とは違ってくる。

◆  “thing” は名詞のみで、可算名詞と不可算名詞を兼ねる。

原則は可算名詞。

■ 基本的意味は「物事」=「」「

日本語の「物事」と同様、
抽象的・総称的な意味合いがある。

【参照】   “in place“、  “take action“、  “paperwork

【参考】    ※   外部サイト

・ 可算と不可算を見分ける簡単なコツ
・ 可算と不可算を兼ねる名詞について
・ 可算と不可算についてよくある質問
・ 不可算名詞は「物質」「抽象」「固有」の3つ

単数 “here is” が通例であれば、”thing” も単数。
すなわち、発言者の紹介したい「物事」は1つ。
論理的にはこうなる。

この “the” は「限定」を受ける名詞の前に置く定冠詞であり、
最も基礎的な “the”。

定冠詞 “the” にも、名詞単数形の前で
「~というもの」を意味する<総称用法>があるが、
ここでは「限定の語句を伴う」基本用法が該当する。

限定された “thing” である以上、中身がいくつも
あってはならないことになる。

だが実際のところ、”Here is the thing.” の
直後に出てくる内容は1つに限らない。

“the thing” と啖呵を切っておきながら、その後も
とりとめなくベラベラ話す人は少なくないのだ。

日常的に見かける姿だが、せっかくの決め台詞が
台無しである。

◆  “Here is the thing.” など、周囲に直接作用する
慣用句を用いる際は、言いたい内容を前もって
整理しておくことが必要がある。

特に、英語ネイティブでない私たちの場合、
準備の心構えをぜひ大切にしたい。

即興でどうにかなると、ゆめゆめ思うことなかれ。

なめてかかると、いずれ痛い目を見る。

ビジネスの場でこのような失態を繰り返すと、
徐々に軽視される立場に落ちていく。

つまり、自分自身がなめられるようになる。


http://www.wnycstudios.org/shows/heresthething/episodes

米俳優のアレック・ボールドウィン(1958年~)の
ラジオトークショー、”Here’s The Thing“。

公営ラジオの番組で、2011年から毎月2〜4点新作がアップされている。

有名人へのインタビューを、ボールドウィンが単独担当する構成。

無料なのに、米ショウビズ界を中心とする錚々たる人物が出ている。
本音や裏事情が聴けておもしろい。

Podcasts などのメディアでも楽しめる。

ボールドウィンはしゃがれ声の持ち主だが、
発音は非常に明瞭で聞き取りやすい。

さすが、ベテラン俳優である。

彼のきれいな発音は、一聞に値する。

インタビューを受ける側の英語は自然体。
ネイティブ英語そのものなので、中級~上級学習者向けとなる。

各インタビューは、20分から1時間程度。

 

【類似表現】

“The bottom line is – ”
https://mickeyweb.info/archives/26351
(最重要なのは~です、要するに~なのです)

 

 

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