プロ翻訳者の単語帳

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The thing is –

      2020/11/07

要するに、  実際には

ビジネス場面では、停滞した会話に活を入れる
効果がある前置き表現。

しどろもどろの話や紛然とした見解を前に、
がつんと食らわす勢い を帯びる “The thing is”。

錯綜した中、いきなり、

  こういうことなのです。

と言い切られると、周囲はびくっとひるむ。

当否は別としても、一応は耳を傾けざるえない。

皆が身構える中、発言することになるため、
“The thing is” は意見に自信があるか、
難局打開の意気込みのある人が用いる言葉。

時には、単にうんざりして、とっとと結論したい
人が使う場合もある。

会議中、”The thing is” が出てきた時は、続く内容
次第で、発言者の思考レベルが露呈したりするので、
見物ではある。

「要は、変化が必要」   「その通り」

 

◆  前置きの “I mean“ や “Let’s see” と同じく、
口頭中心で文頭に置くことが多い。

直後にコンマを入れるのが通例。

両者ほど日常的に頻出ではないが、珍しくもない。

“I mean“ とは意味合いも似ている。

  ” I mean ”  =  “I mean to say”

(私が言おうとしているのは)

  • つまり
  • えっと
  • というか
  • いやその

相手に分かりやすいように言い直したり、
自分の説明を補う。

  ” Let’s see. ”  =  “Let us see”

(私たちに考えさせて)

  • えっと
  • うーん
  • どれどれ


※  いずれも、2語の方が一般的な言い回し

ビジネス用途の “The thing is” の出番は、
次のような流れが目立つ。

  •  そうでなく、本当はこういうこと
  •  それよりも、こういうこと
  •  実際には、こういうこと
  •  率直に言えば、こういうこと
  •  言いたいことは、こういうこと
  •  要するに、こういうこと
  •  結局、こういうこと

つまり、”The thing is” に続く内容の大半は、
状況説明、要約、釈明、社会通念、一般論

◇  ビジネス用途では、自分の意見を加えるのが主目的

必ずしも、相手を否定するものではないものの、
実はこういうなんだよ」との思いを明らかにしたい

そのため、”I mean”(というか)に比べて、主張が強め。

◇  片やプライベートな会話では、
話し掛けに使う場合も少なくない

あのさ」 「ねえ」 「聞いてよ

【関連表現】

  • “I’ll tell you what.” (ではこうしよう。)
  • You know what ? “(ちょっといい?)
  • Here’s the thing.“(こういうことなのです。)


◆  “thing” は名詞のみで、可算名詞と不可算名詞を兼ねる。

【発音】  θíŋ  (1音節)

1音節なので、腹の底からゲロする勢いで、一息に発声する。

  “th” の発音は2種類  

◇  有声の摩擦音「ð
→  有声歯摩擦音 (ゆうせい は まさつおん)

 無声の摩擦音「θ
→  無声歯摩擦音 (むせい は まさつおん)

※  「θ」 「ð」 の具体例は、 “smooth out” へ

■  “thrill” はθ”  →  無声歯摩擦音

  無声歯摩擦音「θ  (むせい は まさつおん)

舌先が上の前歯の裏側に軽く触れ、そのすき間から呼気
が押し出されて調音される。  その間声帯は振動しない。

新装版 英語音声学入門 CD付き』  p. 94、
竹林 滋 (著)、大修館書店、2008年刊

発音時に声帯を使わないため、喉がぶるぶる震えない。

それゆえ、声帯振動なしの無声の摩擦音となる。

thrill“、”threshold“、”math“、”theory“、
thumb“、”thought”  と同じ。

発音時の 声帯振動(喉ぶるぶる)の有無で、θ と ð に分かれる。

θ」もð」も、日本語には存在しない発音。

舌の先端と上顎前歯で、隙間を作って発音する点は共通する。

両者こんな感じ。

θ「無声歯摩擦音」
  声帯振動なし :  喉ごろごろ   


θ」と「ð」については、”smooth out” で詳しく取り上げた。

◆  “thing” の原則は可算名詞。

  基本的意味は、

「物事」=「物」「事」

日本語の「物事」と同様、
抽象的・総称的な意味合いがある

◆  表題の用法では、冠詞 “the”、単数 “thing” が常。

“A thing is” または “The things are” とは言わない。
これではまったく別の意味となる。

“The thing is – ” の直訳は「そのことは~です」。
実際の文脈では、上掲一覧のような流れで使われる。

ビジネス用法を挙げる。 和訳は一例。

  • “The thing is, they don’t know what’s going on.”
    (実のところ、彼らは何が起きているか理解していない。)
  • “The thing is, she is too difficult to work with.”
    (要するに、彼女と一緒に働くのは大変すぎます。)
  • “The thing is, they never tried to help us out.”
    (実際、彼らはまったく助けてくれようとしなかった。)
  • “The thing is, I don’t feel comfortable working for him.”
    (実は、あの人の下で働くのは適切と思えないのです。)
    (正直言えば、彼の元では働きたくないのです。)
  • “The thing is, she is not qualified for the job.”
    (要は、彼女はその仕事に適格ではないということ。)
    (はっきり言うと、彼女はあの仕事に不適格。)
  • “The thing is, we must move forward.”
    (要するに、我々は前に進む必要があります。)
    (とにかく、我々は前進しなくちゃ。)
  • “The thing is, they don’t trust us.”
    (要するに、彼らは我々を信用してないということです。)
    (結局、うちらは信用されてないんですよ。)
  • “The thing is, its buildings are aging and in need of care.”
    (実際問題として、建物が老朽化して、修繕が必要なのです。)

  • “The thing is, he has never provided any support for us.”
    (結局、彼は何の支援もしてくれなかったということです。)
  • “The thing is, I didn’t know anything about this matter.”
    (本当に、私はこの件について何も知らなかったのです。)
  • “The thing is, they fired me.”
    (要は、クビになったんだ。)

【類似表現】

“The bottom line is – ”
https://mickeyweb.info/archives/26351
(最重要なのは~です、要するに~なのです)

“as it turned out”
https://mickeyweb.info/archives/474
(蓋を開けてみれば)

“at the end of the day”
https://mickeyweb.info/archives/2498
(最終的には)

“as it turned out”
https://mickeyweb.info/archives/474
(蓋を開けてみれば)

 

 

 

 

 

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