時期尚早な、 早期の、 未熟児
” premature ” は、形容詞。
形容詞だから、「状態」 を表す。
【発音】 prìːmətúər
【音節】 pre-ma-ture (3音節)
強さアクセント( 強勢 )は、 最後の第3音節に来る。
癖のある発音なので、要注意。
定訳は 「 時期尚早な 」。
これに加えて 「 早期 」 。
この2つの意味を覚えておけば、基本はOK。
ビジネス場面でも、ニュース用法でも、
この2つを押さえておけば、概ね用が足りる。
「 先走る 」などと、動詞で和訳される場面も多々ある。
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名詞もあり、「 未熟児 」「 早発砲弾 (軍事) 」を表す。
いずれも、なかなか専門的。
「未熟児」であれば、 ” a premature baby ” と
形容詞で表す方が、一 般人の日常使用にふさわしい。
現に、 < 名詞 > を記載しない辞書も少なくない。
3大学習英英辞典( EFL辞典 )にもなし。
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次の有名どころの辞書には、 名詞用法も記載されていた。
< 名詞 >は、 判で押したように 「 未熟児 」「 早発砲弾 」。
だが先述の通り、 前者は ” a premature baby ” の方が一般的。
したがって、普段は
◇ premature → 形容詞
と考えて差し支えない。
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◆ 語源は、 ラテン語「 早すぎる」( praemātūrus )。
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この語源に忠実な意味合いしかない。
実に使い勝手のよい形容詞である。
英単語全体からみた頻出度・重要度は、
大したことはない。
- 重要度:<6001~9000語以内>
- 書き言葉の頻出度:3000語圏外
- 話し言葉の頻出度:3000語圏外
( ロングマン、 LDOCE6 の表記より )
これから見ていく用例でも、形容詞が中心となる。
◇ 多用される2パターン
- be動詞 に続く 「 時期尚早な 」
- 名詞 に続く 「 早期〇〇 」
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2パターンを、用例とともにそれぞれ見ていこう。
1. be動詞 に続く 「 時期尚早な 」
じきしょうそう【時期尚早】
名詞、形動
ある事を行なう時機としては、まだ早すぎること。
また、そのさま。
(精選版 日本国語大辞典)
–
“premature”
done too early or too soon.
( LDOCE6、ロングマン )
happening or made too soon.
( OALD9、 オックスフォード )
【発音】 prìːmətúər
【音節】 pre-ma-ture (3音節)
※ 下線は引用者
–
下線部をご覧いただきたい。
–
両英英辞書に共通する ” too soon ” は、
国語辞典の「 まだ早すぎる 」にぴったり。
とっつきにくい語感も似通っており、
互いに定訳とされる。
国語辞典にある「 形動 」とは、「 形容動詞 」の略。
英訳は、“ adjective verb ”。
形容詞 “ adjective ” + 動詞 “ verb ” で 「 形容動詞 」。
日本語の品詞のひとつで、用言である。
形容詞と同じく状態を表すが、 活用は異なる。
本来は名詞。
意味的に形容詞の要素があれば、 形容動詞として作用する。
–
「 時期尚早 」の基本は名詞だが、 形容詞的に用言として
使えるということ。
「 形容動詞 」については、 日本最大の国語辞典と名高い
『 日国 』を交えて、 ” conclusive ” で事細かに取り上げている。
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◆ 一方、 形容詞 ” premature ” は「 be動詞 」に続く
のが最多パターン。
※ be動詞 = be、 am、 was、 been、 will be、 is、 were、 are。
なぜ、 形容詞が「 be動詞 」 に続くかは、
” aware ” と ” vocal ” で事細かにご案内している。
be動詞以外では、 自動詞 “ seem “( ~ のように見える、
思える )がよく使われる。
先走って、別れてしまった …
- “I was premature in saying goodbye.”
(さよならを言うには時期尚早だった。)
– - “It would be premature to point the finger at him.”
(彼を名指しで非難するのは時期尚早であろう。)
– - “It might be premature to file a complaint.”
(苦情を申し立てるのは時期尚早かもしれない。)
– - “It is premature to talk about failure at this point.”
(現時点で失敗について話すのは時期尚早である。)
– - “It’s premature to speculate about the cause.”
(その原因を推測するには時期尚早だ。)
— - “Their predictions seem premature.”
(彼らの予測は時期尚早に思える。)
– - “It seems premature to upgrade the software.”
(そのソフトをアップグレードするのは時期尚早
に思える。)
下線は、「 be動詞 」及び 自動詞 ” seem “。
–
◆ 「 時期尚早な 」の ” premature ” が名詞に続くこともある。
–
形容詞として見分けがつきやすい用法である。
代表例は次の3つ。
- a premature conclusion
( 時期尚早の結論 )
–
- a premature judgment
( 時期尚早の判断 )
–
- a premature decision
( 時期尚早の決定 )
副詞は、様態の接尾辞 ” ly ” を伴う ” prematurely “。
【発音】 primʌˈtʃʊrli
【音節】 pre-ma-ture-ly (4音節)
強さアクセント( 強勢 )は、第3音節 のまま。
- “President prematurely declares victory”
( 大統領、先走って勝利宣言 ) ※ ニュース見出し
–
2. 名詞 に続く 「 早期〇〇 」
” premature “
happening before the natural or proper time.
( LDOCE6、ロングマン )
happening before the normal or expected time.
( OALD9、オックスフォード )
【発音】 prìːmətúər
【音節】 pre-ma-ture (3音節)
※ 下線は引用者
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「 早期の 」「 早めの 」との意味合い。
形容詞 ” premature ” を冠する場合、
ほぼ例外な く「 早すぎる 」 を意味する。
事に、症状の名称に目立つ。
私たち一般人が理解できるものを挙げると、
- premature aging
( 早老 )
–
- premature graying
( 若白髪 )
–
- premature baldness
( 若はげ )
–
- a premature death
( 早死 ) ( 早世 )
–
- premature ejaculation
( 早漏 )
どれも常用語に近い。
早まった様子は、この5つでイメージできるだろう。
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◆ 既述の “a premature baby”(未熟児)関係
については、別項を設けて説明している辞書が多い。
“premature”
a premature baby is born before the
usual time of birth.
(LDOCE6、ロングマン)
happening or being born before the normal
length of pregnancy has been completed.
(OALD9、オックスフォード)
【発音】 prìːmətúər
【音節】 pre-ma-ture (3音節)
- a premature birth
(早産)
–
- a premature delivery
(早期分娩)–
–
- “My son was five weeks premature.”
(息子は5週間早く生まれました。)
–
- “I was born premature.”
“I was a premature baby.”
(私は未熟児でした。)
◆ 以上をまとめると、
- 時期尚早な
- 早期〇〇
- 未熟児 関係
この3つを頭に入れておけばよい。
動詞 「 先走る 」 なども、たやすく連想できるはず。
ラテン語「早すぎる」が語源であることを思えば、
見事な一貫性である。