即効で得られる喜び
人の 性格 または 顧客満足 を表す時に出てくる、
「 2語ワンセット 」の決まり文句。
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時事ニュースには、ほぼ出てこない印象。
” immediate gratification “ ともいう。
” instant gratification ” は、 もとより中立的な表現だが、
人に関してはネガティブ用途が目立つのが特徴。
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◆ ” instant ” は、 お馴染み「 インスタント 」。
「 インスタントラーメン 」は、“ instant noodles ”
または ” instant ramens “。 ※ めん類は、 複数形が通例
名詞と形容詞がある。
語源は、ラテン語「 近くに立っている 」( instantem )。
” in ” ( 近くに ) + ” stant ” ( 立つ ) → 「 即時の 」 → 「 緊急の 」
– 名詞 「 即時 」「 瞬間 」
– 形容詞 「 即時の 」「 にわか仕込みの 」「 緊急の 」
【発音】 ínstənt
【音節】 in-stant (2音節)
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◆ ” gratification ” は、 「 満足 」「 喜び 」「 満足を与えるもの 」。
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品詞は、 名詞( 可算及び不可算 )のみ。
語源は、 他動詞 ” gratify ” に、 接尾辞 ” fication ” を加えたもの。
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” gratify ” は、 ラテン語「 親切にする 」( gratificari )より。
” fication ” は、 ” fy ” で終わる動詞を「 ~ 化 」に名詞化する接尾辞。
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【発音】 græ̀təfikéiʃən
【音節】 grat-i-fi-ca-tion (5音節)
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” gratification ” は、可算と不可算を兼ねる名詞だが、
通常は不可算名詞として用いられる。
「 満足 」「 喜び 」という概念は、抽象的でつかみどころがない。
すなわち、 不可算名詞の 抽象名詞 ( abstract noun )である。
【参照】 不可算名詞は「 物質 」「 抽象 」「 固有 」の3つ
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◆ ” instant gratification ” の ” instant ” は形容詞。
語源は、ラテン語「 近くに立っている 」( instantem )。
よって、「 即時の喜び 」が直訳となる。
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■ すぐに得られる喜び
を指す。
顧客満足や人間を取り上げる記事・映画で
見聞きする ” instant gratification “。
本来であれば、中立的な表現である。
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◆ ところが、人間の様子について語る場合は、
その人の「 悪癖 」を指摘していることが多い。
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◇ 映画・ドラマなどで、耳にする 陰口 がこちら。
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He(She) wants instant gratification.
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次のような 「 悪口 」 を含む意味合いが中心となる。
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- 地道な作業が苦手で、すぐ結果を求める
- 経験が浅いくせに、承認欲求が高すぎ
- 努力嫌いな快楽主義者で、顕示欲の塊
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えらく生意気で、 むき出しの反感をあおっている感じ。
真の満足とは、 たやすく入手できるものでないことを、
人は経験的に理解している。
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「 にわか仕込み 」では、 たいてい不十分。
相応の 準備 と努力を要するのが、現実の厳しさ。
それゆえに、やたらと ” instant gratification ”
を求める大人は侮られやすいのだろう。
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◆ 一方、 顧客満足では ” proactive ” に、
- “Let’s give our customers instant gratification.”
(お客様を直ちに満足させましょう。)
(お客様に気軽に喜んでいただきましょう。)
通常使用では、内容のネガポジは問わない。
- “Drugs give people instant gratification.”
(薬物は即席の快楽を与える。)
– - “Workout brings me instant gratification.”
(私にとって、運動はすぐに満足感をもたらす。)
– - “Most kids seek instant gratification.”
(大多数の子どもは目先の満足を求める。)
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【反意語】
■ delayed gratification
■ deferred gratification
” instant gratification ” と異なり、いずれも
一般社会への定着には至っていない感がある。
しかし、れっきとした心理学用語である。
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” delayed gratification “
the ability to resist the temptation for
an immediate reward and wait for a later reward.
( Wikipedia )
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◆ 2010年創刊のイギリス雑誌 ” Delayed Gratification” は、
「 スロー・ジャーナリズム 」 界の急先鋒とされる季刊誌。
速報主体の既存の報道に対し、 事実確認( fact-check )
に時間を費やし、 ニュースを深掘りする紙の雑誌。
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【参考記事】 ※ 外部サイト
- あえて紙媒体で勝負する、 英国スロージャーナリズム誌の挑戦
ーhttps://forbesjapan.com/articles/detail/27476
ー2019年6月2日付
ー→ ” Delayed Gratification ” の特長と成功に至る経緯の紹介和文