苦労して ~ を学ぶ
有名・無名の人物を問わず、手記でよく見かける。
「 苦しんで ~ を学んだ 」と表す時の典型表現。
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◆ ” learn ” には、 自動詞と他動詞がある。
【発音】 lərn
【音節】 learn (1音節)–
語源は、古英語「 学ぶ、読む、思案する 」( leornian )。
ドイツ語 ” lernen “( 学ぶ )、” lesen “( 読む ) と同根。
原義( もともとの意味 )については、後掲アプリをご参照のこと。
自他動詞ともに「 学ぶ 」「 知る 」「 覚える 」 で意味が一貫している。
【活用形】 learns – learning – learned ( または learnt )
過去形と過去分詞形は、 ” learned ” と ” learnt ” のいずれも使える。
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◇ ” learned ”
【発音】 lə́ːrnid | lə́ːrnd
【音節】 lear-ned (2音節) learned (1音節)
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◇ ” learnt ”
【発音】 lə́ːrnt
【音節】 learnt (1音節)
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◆ ” hard ” には、形容詞・副詞・名詞がある。
【発音】 hɑ́rd
【音節】 hard (1音節)
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語源は、古英語「 激しく 」( heard )。
多義だが、 ここでは基本的意味の形容詞
「 苦しい 」「 つらい 」。
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◆ ” way ” は名詞で、 可算と不可算兼用。
【発音】 wéi
【音節】 way (1音節)
語源は、古英語「 道路 」( weg )。
基本的意味は「 道 」と「 やり方 」。
区別があいまいなケースもあるが、
ここでは「 やり方 」が適切だろう。
【参照】
◆ ” the hard way ” は、成句に近い。
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「 成句 」とは、慣用語句のこと。
そのため、 定冠詞 ” the ” をつけるのが通例。
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「 つらいやり方 」が直訳で、定訳がないに等しいので、
文脈に合わせて和訳する。
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◆ ダッシュ部には、学んだ内容( ” something ” )を入れる。
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関連の前置詞 ” about ” や ” regarding “( ~ に関して、 〜 について )
を続けて、内容を後に置く言い回しもある。
” regarding “( ~ に関して )は、” about ” より堅い表現。
” In / with regard to – ” で詳述している。
【発音】 rigɑ́ːrdiŋ
【音節】 re-gard-ing (3音節)
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” learn ( something ) the hard way”
to understand a situation or develop a skill by
learning from your mistakes and bad experiences.
( LDOCE6、 ロングマン )
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◆ その内容が、比較的単純な名詞であれば先に置き、
動詞や副詞と組み合わせるのであれば、前置詞
( ” about ” や ” regarding ” )つきで後に据える傾向。
その方が、文章がスムーズに流れる。
- “I learned English the hard way.”
(英語を苦労して学びました。)
– - “He had learned it the hard way.”
(彼女はそれを苦労して学んだ。)
– - “I learned the hard way about how to speak English.”
(英語の話し方を苦労して学びました。)
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◆ 個人体験の場合、自分の過去に基づくため、
” learn ” は 「 過去形 」 または 「 過去分詞 」 中心。
以下、 ” lessons learned ” から再掲。
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< ” learn ” の過去形・過去分詞形 >
一般的に、以下のように区分されている。
- アメリカ英語 ” learned “
- イギリス英語 ” learnt “
どちらも使われているが、 現在は “ learned ” が優勢。
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《米》では learned が普通。
《英》では特に過去分詞で learnt が用いられる
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『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、2001年刊 ( アプリ版 )
… “ learn ” の語釈より
<大修館書店HP>
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◆ さらに、オックスフォード系のオンライン辞書によれば、
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Both are acceptable, but learned is often used in
both British English and American English,
while learnt is much more common in British English
than in American English.
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” Learnt ” Or ” Learned ” ?
https://www.lexico.com/grammar/learnt-vs-learned( リンク切れ )※ 2022年6月13日 アクセス
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- “I learned the hard way that married life is tough.”
- “I learnt that married life is tough the hard way.”
(きつい経験を経て、結婚生活は難しいことを学んだ。)
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◆ 一方、一般論の場合は、「 現在形 」 が普通。
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過去の具体例に基づく内容であっても、 今に生きる教訓として
論じており、 過去形にする必要はないから。
この点は、日本語と共通している。
- “We all learn the hard way about life’s lessons .”
- “We all learn life’s lessons the hard way.”
(私たちは皆、苦しい経験を経て人生の教訓を学ぶ。)
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◆ 過去40年以上で見聞きした ” I learned – the hard way ”
には、< 自虐 >と< 反省 > が混じっている印象を受ける。
中には、< 武勇伝 >のように吹聴している人もいた。
けれども、 大半は、
「 当時、 自分は本当に未熟だったので、
こんなに苦労する結果になってしまった 」
という流れで使われていたと感じる。
その苦しみの経緯と克服こそ、 自伝の普遍的テーマ。
” I learned – the hard way. ” は、それを象徴するフレーズ。
【関連表現】
- ” lesson learned ”
https://mickeyweb.info/archives/26273
( 学んだ教訓 )