プロ翻訳者の単語帳

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Lessons learned

      2019/05/15

学んだ教訓

トラブル発生後、実務担当者などの当事者がよく
書かされる報告書に “lessons learned” がある。

組織によって、この文書の位置づけは異なるだろうが、
トラブルより得た教訓に焦点がある点は共通するはず。

学んだ教訓が直訳だからである。

「教訓」
教えさとすこと。また、その教え。
(大辞林 第三版)

  内部資料としての報告書
概ねこんな役割と推定する。

少なくとも、私の所属する組織ではそうである。

文書名は、ずばり “Lessons Learned”。
柱は3つ。

  1. 経緯説明(descriptions)
  2. 根本原因(root causes)
  3. 是正措置(corrective actions)

死亡、重傷、または長期休業を伴う重大事故であれば、
適正手順に従い、専門家を交えて調査が実施される。

担当者で処理するレベルを超えており、組織の社会的責任
の一環として、厳格な検証が必要となる。

◆ だが、そのような深刻な事態は、めったに発生しない。

そのため、その都度 “lesson learned” で反省する手法に
落ち着く。

過ちから教訓を学び取ると言えば、殊勝な心構えに聞こえる。
実際のところ、それ以外に手の施しようがない現実も大きい。

時の流れは不可逆的。 過去は取り返しがつかない。
もう後の祭。 責任が重くのしかかる。
いざ起きてしまえば手遅れで、ほぞを噛むしかない。

◆ そこで、今回得た「教訓」を、予防措置として
機能させようとする。

視点を未来に据え、再発防止に重点を置く

そうすれば、どんな災難も無駄なく意味づけることができる。

この点、”It won’t happen again.” と重なる姿勢である。

労働災害や品質管理に欠かせない「ヒヤリ・ハット」、「PDCA
ハインリッヒの法則」は、どれも経験則に基づく。

そして、責任追及に終始しない視点が、すべての根底を流れる。

当事者の精神面の救いのためにも、今後に活かすしかない。
活動していれば、ミスの完全回避は無理。

次の名言も、それを示唆する。

A person who never made a mistake
never tried anything new.
(ミスしたことのない人は、
新しいことに挑戦したことのない人)
– アインシュタイン Albert Einstein(1879 – 1955)

Experience is the name that
everyone gives to their mistakes.
(経験とは皆が失敗に漬ける名前)
– オスカー・ワイルド Oscar Wilde(1854 – 1900)


◆ “lesson” には、名詞と他動詞がある。

語源は、ラテン語「読むこと」(lēctiō)。
名詞は、カタカナ「レッスン」と同じ。

【”lesson” 発音】 lésn

レッスン【lesson】
1. 稽古。練習。
2. 学課。課。教程。
(広辞苑 第七版)

他動詞は「教える」「訓戒する」。
他動詞用法は現在ではまれ。

《古》と表記するのは、『ジーニアス英和大辞典』
や『ランダムハウス英和大辞典 第2版』。

つまり、”lesson” は名詞用法が基本。
可算名詞である。

先の広辞苑の語釈以外の基本的意味は、
教訓」「懲らしめ」「見せしめ」。
表題では「教訓」。

◆ “learn” には、自動詞と他動詞がある。

語源は、古英語「学ぶ」(leornian)。

自他動詞ともに「学ぶ」「知る」「覚える」
で意味が一貫している。

【”learned” 発音】lə́ːrnid | lə́ːrnd

語形変化は、
learns – learning – learned(または learnt)

過去形と過去分詞は “learned” か “learnt”
のいずれも使える。

【”learnt” 発音】lə́ːrnt

< “learn” の過去形・過去分詞形 >

一般的に、次のように区分されている。

  • アメリカ英語  “learned
  • イギリス英語  “learnt

どちらも使われているが、現在は “learned” が優勢

《米》では learned が普通。
《英》では特に過去分詞で learnt が用いられる

(ジーニアス英和大辞典)

さらに、オックスフォードのオンライン辞書によれば、

Both are acceptable, but learned is often used in
both British English and American English,
while learnt is much more common in British English
than in American English.

‘Learnt’ or ‘learned’ – オックスフォード

【”learned” 発音】 lə́ːrnid | lə́ːrnd
【”learnt” 発音】 lə́ːrnt

表題の用途で起用されるのは、”learned” ばかり。

“lessons learned” の “learned” は、
自動詞「学ぶ」の過去分詞形。
直訳は「学んだ教訓」。

action required“(要行動、対応必須)に似たパターン。

“lessons learned” の場合、2語まとめて
「学んだ教訓」として名詞的に扱われている。

  事故から学ぶ「教訓」は、複数あるのが一般的。

よって、複数形 “lessons” の方が多めだが、
単数形 “lesson learned” も使われている。
「学んだ教訓」として単複両方使われているということ。

  • “Here are the lessons learned from
    the incident.”
    (これらが今回の出来事から学んだ教訓です。)
  • “The lessons learned from in this incident
    should not be forgotten.”
    (この出来事から学んだ教訓を忘れてはならない。)
  • “Let’s apply the lessons learned from the incident.”
    (この出来事から学んだ教訓を活用しましょう。)
  • “We revised the policy based on the lessons
    learned.”
    (学んだ教訓に基いて、方針を改訂しました。)
  • “I want to share the lessons learned with
    everyone.”
    (学んだ教訓を全員と共有したい。)

 

【関連表現】
“life’s lesson”
https://mickeyweb.info/archives/778
(人生の教訓)

“learn – the hard way”
https://mickeyweb.info/archives/9990
(苦労して~を学ぶ)

 

 

 

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