人手不足の
「人手不足」の英語表現は多数ある。
名詞・形容詞・副詞・動詞で、多様に表せる点は
日本語同様である。
ひとで【人手】
- 他人の手。他人の所有。
- 人のしわざ。人工。
- 他人のたすけ。
- 働く人。働き手。
(広辞苑 第六版)
◆人事問題は、一般組織の恒久的な課題。
会議でも年中飛び交う話題であり、
個人的にメモする機会が多い。
こうして集めた「人手不足」単語集から、
応用が効くシンプル表現をご紹介したい。
–
◆ 名詞と形容詞を2つずつ示す。
動詞を用いた文章「人手が足りない」よりも、
覚えやすく、活用しやすいと考えるからである。
【形容詞】
(1) short-staffed
(2) understaffed
【名詞】
(3) a manpower shortage
(4) a labor shortage
それぞれ説明してみたい。
(1) short-staffed
“shortstaffed” とハイフンなしで表記すること
もあるが、使い方は同じ。
ポイントは “staffed”。
“staff” は、「職員」「スタッフ」。
カタカナでも、お馴染みの名詞。
英単語としては、集合的な名詞として学んだはず。
※ 後述の名詞 “labor”「労働者」 も集合的な名詞
語源は、古英語「杖」(staf)。
監督者を支える「杖」だから、「職員」に。
“staff” には、この名詞に加えて、
形容詞と他動詞がある。
– 形容詞「職員の」「スタッフの」
– 他動詞「配置する」「職員として働く」
“short-staffed” では、
他動詞「配置する(あてがう)」の
過去分詞 “staffed” が形容詞となったもの。
「過去分詞の形容詞用法」である。
【例】”any given“、”self-inflicted“、”shell-shocked”
形容詞 “short” は、実は多義。
長さが「短い」は中学校で学ぶが、これは
本義「基準に足りない」から派生している。
つまり「不足して」「乏しい」の方が語源に近い。
ここでは、形容詞「不足して」。
よって、”short-staffed” は、<配置が不足して>の意
で「人手不足」となる。
※ “staff”(職員 = 名詞) が “short”(不足して)
との解釈もあるようだが、ここでの “staff”
他動詞「配属する」が妥当である。
(2) understaffed
“short-staffed” が理解できれば、
この形容詞は難しくはない。
考え方は重なる。
接頭辞 “under”(不十分)を、他動詞「配置する」
の過去分詞 “staffed” に合成したもの。
<配置が不十分で>だから「人手不足」。
– 反意語は “overstaffed”(人員過剰の)。
(接頭辞 “over” = 過剰)
– 同義語は “undermanned”。
(manned = 他動詞「配置する」)
※ “man” であっても、女性を含む「無性語」
(3) a manpower shortage
不定冠詞 “a”+不可算名詞 “manpower”(人手)+
可算名詞 “shortage”(不足)
“manpower” と “shortage” は、ともに名詞のみ。
いずれも可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
「人手」「労働力」を意味する “manpower” は、
不可算名詞(無性語)が通例。
※ 工数・工率単位としての「人力」は、可算名詞。
“shortage” は、上述の形容詞「不足して」”short”
の名詞形。
“manpower” と異なり、可算・不可算は明確に
分かれていない。
名詞「○○不足」のパターンでは、可算名詞の
“shortage” として、冠詞 “a” をつけるのが通例。
- a chronic shortage(慢性的な不足)
- global shortage(世界的不足)
- a water shortage(水不足)
- a food shortage(食糧不足)
- a severe shortage(深刻な不足)
- a shortage of 5 personnel (5名不足)
“a manpower shortage” で、名詞「人手不足」。
次の (4) も同様。
(4) a labor shortage
“labor” には、名詞・自動詞・他動詞がある。
語源は、ラテン語「苦難」。
ここから「労働」、さらに「生みの苦しみ」。
全品詞に共通するイメージは、苦労して働く様子。
ここでは、名詞「労働者」。
可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
名詞 “staff”(職員) と同じく、集合的な意味合い。
これに、可算名詞 “shortage” と 冠詞 “a” を加えた
ものだから、(3) と似た名詞「人手不足」。
◆「人手不足」の表現はさまざまだが、
以上の4つをまず押さえておくとよい。
■ 形容詞の場合、主に「be動詞」を用いて、
“We are understaffed.”
“We are short-staffed.”
形容詞ゆえ、「be動詞」に続くのが基本パターン。
※「be動詞」= be、am、was、been、will be、is、were、are
”aware” や ”vocal about” で詳述している。
分解して展開もできる。
–
→ “We are short on manpower.”
→ “We are short on labor.”
–
■ 名詞であれば、
“We suffer from a manpower shortage.”
(人手不足に見舞われる。)
“We face a labor shortage.”
(人手不足に直面する。)
“We have a workforce shortage.
(人手不足の状態です。)
◆ 多彩に表現できるようになれば、かなり自信がつく。
その前提として、応用の効く基礎表現から学ぶことが、
私たち英語学習者には大切だと考える。
【参照】 “workplace“(職場)
「人手不足」
【形容詞】 (1)(2)
(1) short-staffed
(2) understaffed
【名詞】 (3)(4)
(3) a manpower shortage
(4) a labor shortage
【関連表現】 ※ 人事関係
“turn over”
https://mickeyweb.info/archives/4347
(引き継ぎ、引き継ぐ)
“shakeup”
https://mickeyweb.info/archives/12795
(大変革、大改造)