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For the rest of one's life

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死ぬまでずっと

非日常的なことが起きた時に、 よく出てくる。

使用者は、 自他問わない。

「 死ぬまでずっと 」 となれば、 相当なこと。

嫌でも銘記し、 互いに忘れないはず。

事の重大さを強調する趣旨  の常套句である。

もっとも、 年がら年中使われているため、 大方聞き慣れている。

その結果、 真剣な動機を与える力は弱まっている印象。

◆ このフレーズの鍵となる単語は  ” rest “。

【発音】  rést  (1音節)

その他は、 単語も用法も基本的である。

「 休息 」「 休む 」 の  “ rest ” とは別の単語


発音は同じだが、 語源の異なる完全な別物である。

「 休息 」 「 休む 」 の  ” rest ”  には、 名詞・自動詞・他動詞がある。

【参照】  ” final resting place


一方、  表題  ” rest ”  には、 名詞と自動詞はあるものの、
他動詞はない。

語源は、 ラテン語 「 残っている 」( restāre )。

多義でなく、 この語源から派生する意味ばかり。


Evacuation orders remain in place for the rest of
the
Sea of Japan coast.

( 日本海側の他の地域には、 まだ避難命令が出されている。)
( 日本海側の他の地域の避難命令は解除されていない。 )


上記  ” remain ” は、 以下に説明する自動詞 ” remain ” である。


◆  ” rest ” は、名詞中心
で、 自
動詞はまれ ( 後述 )。

” for the rest of one’s life ” でも、 ” rest ” は名詞。

動詞としては、 同義の自動詞 ” remain ” の方が頻出で、
自動詞  ” rest ”  の出番は少ない。

【発音】  riméin
【音節】  re-main  (2音節)

語源は、 ラテン語 「 後にとどまる 」( remanēre )。

◆  ” remain ”  が名詞化したものが、 ” remainder “。

語源は、 古フランス語 「 残っている 」( remaindre )。

【発音】  riméindər
【音節】  re-main-der  (3音節)

名詞 ” rest ” と同義で、 「 ~ の残り 」 の意。

とりわけ算数・数学では欠かせない。

表題  ” for the rest of one’s life ” を換言すると、

◆  唯一、 自動詞用法で押さえておくべきは、

  rest assured ( 安心する )

かつては、 顧客宛の文書に多用された文言。

やや古めかしく、 近頃はあまり見かけない。

妙な言い回しに感じるが、 昔からある決まり文句。

こちらも 「 休む 」の  ” rest ” ではなく、
表題の  ” rest ”  に属する。

すなわち、 自動詞 ( intransitive  verb ) の

弊サイトに、 日々大量に届く海外スパムでは、 割と目にする。


You can  rest assured  that I will handle all aspects
of
content creation,  including writing and editing.

(  執筆・編集など、 コンテンツ制作全般を
担当させていただきますのでご安心ください。)


売り込む熱意は素晴らしいけれども、 日本語 お得意

送り付ける前に、 サイトの主要言語くらい確認してね。

実物の スクショ は、 「 Gmail 」で作る単語帳  に掲載した。

 


◆ 名詞用法では  the rest   の使い方が大切。

定冠詞  ” the ” と「 2語ワンセット 」 になるのが通例。

上述の  ” the remainder ”  も同様。

ただし、 名詞 ” rest ” 直前に形容詞がある時は、 不定冠詞 ” a ”
になる。

 

◆  名詞 ” rest ” の主な意味は2つ。

表題は、(1)の「 ~ の残り 」。

(1) 「 ~ の残り 」 「 残余 」 「 その他の ~ 」

  • “The rest of my kids are boys.”
    (その他の私の子どもは男の子です。)
  • “The rest of us were angry.”
    (残された者たちは怒ってました。)
  • “The rest is history.”
    ( その後の話はご存じの通り。)
  • “I will do the rest.”
    (残りはやっておきます。)
  • “Please keep the rest for yourself.”
    (残りはお受け取りください。)
    ※  「 おつり 」 など

(2) 「 その他の人々・物 」    ※  複数扱い  

  • “The rest are gone.”
    (その他の人たちはいなくなった。)
  • “The rest were girls.”
    (その他は少女だった。)
  • “The rest have to quit.”
    (その他の人たちは、辞めなければならない。)


■  for は、 期間を示す前置詞 「 ~ の間 」「 ずっと 」。

■  life は、名詞のみの単語。

可算名詞と不可算名詞がある。

ここでは 可算名詞 「 人生 」「 生涯 」「 終生 」。

■  one’s ”  は、「 誰々の 」。

「 死ぬまでずっと 」と、
圧力をかけたい相手( 自分自身も可 ) を入れる。

” one’s ” は、所有格の代表形 として、辞書などで起用される。

具体的には、不定代名詞( an  indefinite  pronoun
” one ”  の所有格が  ” one’s “。

いわば、 所有格のワイルドカード として使われる。

◇  人称代名詞 ( personal pronoun ) の
所有格 ( possessive ) であれば、 次のいずれか。

  •  my   私の
  •  your   あなたの
  •  his   彼の
  •  her   彼女の
  •  their   彼らの
  •  our   我々の
  •  its   それの

上記の所有格を代表するのが、 ” one’s “。

【参照】  ” On one’s terms


◆  代名詞でなく、 固有名詞や一般名詞でもよいが、

この用途では代名詞が目立つ。

頻繁に見聞きするのは、 ” your ” 及び  “ my “。

圧力をかけたい相手 は、「 あなた 」と 「 私 」。


◆ 以上より、 表題  ” for the rest of one’s life ”  は、

■  直訳では 誰々の人生の残りの間
■  換言して 誰々の残りの人生の間
■  ずばっと 死ぬまでずっと

◇  「 発言 」した時点から「 残りの人生の間 」だから、

< 現在 > から < 死 > までを指す


◆  通常、 死期は予測できない。

” for the rest of one’s life ”  の期間の長さは、
さしあたり 不確実 ( uncertain ) と考えられる。

とすれば、 -‐

生きている限り、 終わりはない


ゴールが見えないまま、 ず~~~~と 続く

こう考えると、” for the rest of one’s life ”
は、 恐ろしくインパクトのある表現である。

なんだか怖いわ。

 「 死ぬまで 」 続く 


本質的に重く、 深刻な言葉。

自ら述べても、 他者に言われても、プレッシャーが伴う。

場合によっては、 脅迫じみた気配。

◆  自他に圧を加える効果があるのは、 以下より一目瞭然だろう。

◆  日常の穏やかな話題に使われることもある。

 

◆  「 死ぬまでずっと 」 とくれば、 プロポーズ。

求婚に応じるなら、 例えば、

【参照】  ” Will you marry me ? ”  は、 怖すぎる求婚か

 

 

◆  “ for the rest of one’s life ”  を、 短くした表現が、

■  for life


自動詞  ” rest ”  も、 人称代名詞の所有格  ” one’s ” も不要。

2語完結で、 便利である。

けれども、 ” for life ”  には、 「 死ぬまでずっと 」 の他にも、

命をかけて 」 「 命を救うために 」 も意味する。

どれも重く深刻な様子であるから、 誤解は避けるべき。

したがって、 一見して明白な内容以外では、 きちんと

” for the rest of one’s life ”  と表す方がよいだろう。

for life ” で代替可能な文を、 前出から2つ例示する。

両方の内容からして、 「 命をかけて 」 「 命を救うために 」

と解釈される余地はない。

よって、 混乱を招く可能性はなく、 ” for life ”  でもよい。


◆  結婚生活がうまくいかなければ、 一転してこうなるかも。

心ならずも、 「 死ぬまでずっと 」 が裏目に出てしまう。

やはり怖いわ。

人称代名詞  ” it “( それを ) は、 ” the marriage “( その結婚 )
を指す、 目的格の  ” it “( objective  pronoun )。

動詞を名詞の働きに変える
動名詞 」 (  verbal  noun   または  gerund  ) で、

” marrying him “、 ” marrying her ”  とも置き換え可能。

複数形主格  ” they ”  に呼応するのは、


◆  なお、 間違いやすい点として、 ” it ” は 「 人称代名詞 」。

” this ” や ” that ” と違い、 「 指示代名詞 」 ではない。

具体的には、「 三人称中性単数目的格 」 などと称する用途。

日本語の「 人称代名詞 」 は、「 名詞 」 の中でも、
「 人物 」 のみを代用する。

” it ” は 無生物 中心ゆえか、 「 指示代名詞 」 と勘違いしがち

【参照】  it ”  人称代名詞、  ” that ”  指示代名詞

” it ” に 「 指示代名詞 」 はない



『 研究社 新英和大辞典 第6版 』
研究社、2002年刊 ( ロゴヴィスタ  アプリ版 )
…  ” it 1 ”  の語釈より

◆  「 プロポーズ 」 はさておき、 既に触れたように、
常日頃より割かし安易に使われることが多く、
使い手の希望通りの効力は発揮できなかったりする。

自分に発破をかける上で役立つ表現だが、
大上段に振りかぶると、 みっともない。

◆  ” the rest of your life ”  を用いた有名な格言としては、

「 初日 」 は、 今日か明日か。

基準となる起算日( initial date )に、初日を算入するか否かで、
当日起算か翌日起算か決まる。

特に定めがない限り、 初日は期間に算入せず、
翌日から計算するのが、 日本の期間計算の原則。
( 初日不算入の原則 )

この原則に従えば、 前者が有力。

しかし日本でも、 年齢、 戸籍の届出期間、 さらに刑法など、
初日不算入の例外は少なくないので、 解釈は各人各様だろう。

 

 

【類似表現】

 

 

 

 

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