プロ翻訳者の単語帳

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For the rest of one’s life

      2022/07/01

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 6 minutes

死ぬまでずっと

非日常的なことが起きた時に、よく出てくる。

使用者は、 自他問わない。

「 死ぬまでずっと 」 となれば、 相当なこと。

嫌でも銘記し、 互いに忘れないはず。

事の重大さを強調する趣旨  の常套句である。

もっとも、年がら年中使われているため、 大方聞き慣れている。

その結果、真剣な動機を与える力は弱まっている印象。

◆ このフレーズの鍵となる単語は  ” rest “。

【発音】  rést  (1音節)

その他は、 単語も用法も基本的である。

「 休息 」「 休む 」 の  “ rest ” とは別の単語


発音は同じだが、 語源の異なる完全な別物である。

「 休息 」「 休む 」の ” rest ” には、 名詞・自動詞・他動詞がある。

【参照】  ” final resting place


一方、  表題 ” rest ” には、 名詞と自動詞はあるものの、
他動詞はない。

語源は、ラテン語 「 残っている 」( restāre )。

多義でなく、 この語源から派生する意味ばかり。

  •  名詞 「 ~ の残り 」「 残余 」「 その他の人々・物 」
  •  自動詞 「 ~ のままである 」 「 依然として ~ である 」   ※  まれ


◆  ” rest ” は、名詞中心
で、 自
動詞はまれ。

” for the rest of one’s life ” でも、 ” rest ” は名詞。

動詞としては、 同義の自動詞 ” remain ” の方が頻出で、
自動詞  ” rest ”  の出番は少ない。

【発音】  riméin
【音節】  re-main  (2音節)

語源は、 古フランス語 「 残っている 」( remaindre )。

” remain ”  が名詞化したものが、 ” remainder “。

【発音】  riméindər
【音節】  re-main-der  (3音節)

名詞 ” rest ” と同義で、 「 ~ の残り 」 の意。

とりわけ算数・数学では欠かせない。

  •  引き算 「 残り 」  →  the remainder
  •  割り算 「 余り 」 「 剰余 」  →  the remainder

表題  ” for the rest of one’s life ” を換言すると、

  • ” for the remainder of one’s life ”

◇  唯一、 自動詞用法で押さえておくべきは、

rest assured

安心する 」

かつては顧客宛の文書に多用された文言。

やや古めかしく、 近頃はあまり見かけない。

  •  Please rest assured that – 
  •  You can rest assured that –
  •  Rest assured that – 
    ( ~ なので、 ご安心ください。)

妙な言い回しに感じるが、 昔からある決まり文句。

こちらも 「 休む 」の  ” rest ” ではなく、
表題の  ” rest “。


◆ 名詞用法では  the rest   の使い方が大切。

定冠詞  ” the ” と「 2語ワンセット 」 になるのが通例。

上述の  ” the remainder ”  も同様。

主な意味は2つ。

表題は、(1)の「 ~ の残り 」。

(1) 「 ~ の残り 」 「 残余 」 「 その他の ~ 」

  • “The rest of my kids are boys.”
    (その他の私の子どもは男の子です。)
  • “The rest of us were angry.”
    (残された者たちは怒ってました。)
  • “I will do the rest.”
    (残りはやっておきます。)
  • “Please keep the rest for yourself.”
    (残りはお受け取りください。)
    ※  「 おつり 」など

(2) 「 その他の人々・物 」    ※  複数扱い  

  • “The rest are gone.”
    (その他の人たちはいなくなった。)
  • “The rest were girls.”
    (その他は少女だった。)
  • “The rest have to quit.”
    (その他の人たちは、辞めなければならない。)


■  for は、 期間を示す前置詞 「 ~ の間 」「 ずっと 」。

■  life は、名詞のみの単語。

可算名詞と不可算名詞がある。

ここでは 可算名詞 「 人生 」「 生涯 」「 終生 」。

■  one’s ”  は、「 誰々の 」。

「 死ぬまでずっと 」と、
圧力をかけたい相手( 自分自身も可 ) を入れる。

” one’s ” は、所有格の代表形 として、辞書などで起用される。

具体的には、不定代名詞( an  indefinite  pronoun
” one ”  の所有格が  ” one’s “。

いわば、 所有格のワイルドカードとして使われる。

◇  人称代名詞の所有格 であれば、次のいずれか。

  •  my   私の
  •  your   あなたの
  •  his   彼の
  •  her   彼女の
  •  their   彼らの
  •  our   我々の
  •  its   それの

上記の所有格を代表するのが、 ” one’s “。

【参照】  ” On one’s terms


◆  代名詞でなく、 固有名詞や一般名詞でもよいが、
この用途では代名詞が目立つ。

頻繁に見聞きするのは、” your ” 及び  “ my “。

圧力をかけたい相手 は、「 あなた 」と 「 私 」。


◆ 以上より、表題 ” for the rest of one’s life ” は、

■  直訳では 誰々の人生の残りの間
■  換言して 誰々の残りの人生の間
■  ずばっと 死ぬまでずっと

◇  「 発言 」した時点から「 残りの人生の間 」だから、

< 現在 > から < 死 > までを指す


◆  通常、死期は予測できないため、
” for the rest of one’s life ” の期間の長さは、
不確実 ( uncertain ) である。

とすれば、-‐

生きている限り、 終わりはない


ゴールが見えないまま、 ず~~~~と 続く

こう考えると、” for the rest of one’s life ”
は、 恐ろしくインパクトのある表現である。

なんだか怖い。

 「 死ぬまで 」 続く 


本質的に重く、 深刻な言葉。

自ら述べても、 他者に言われても、プレッシャーが伴う。

場合によっては、 脅迫じみた気配。

◆  自他に圧力を加える効果があるのは、
以下の例文を見れば一目瞭然だろう。

  • “I will never forgive you for the rest of my life.”
    ( 死ぬまであなたを絶対許さない。)
  • “Unfortunately, my father was paralyzed from
    the neck down for the rest of his life.”
    ( 不幸にして、父は死ぬまで、首から下が麻痺していた。)
  • “I will do this for the rest of my life.”
    ( 私は死ぬまでこれをやりたい。)
    ( 一生をこれにかけたい。)
  • The rest of your life is in my hands.”
    ( 君の今後は俺次第。)
  • “He will have to work for the rest of his life.”
    ( 彼は死ぬまで働かなければならないはず。)
  • “What are you going to do with the rest of your life ? ”
    ( 残りの人生、どうするつもりなのよ
  • “He spent the rest of his life in prison.”
    ( 残りの人生を彼は刑務所で過ごした。)


日常の穏やかな話題に使われることもある。

  • “Your English ability will be useful for the rest of your life.”
    (あなたの英語力は今後の人生において、きっと役立ちます。)

 

◆  「 死ぬまでずっと 」 とくれば、 プロポーズ。

  • “I want to be with you for the rest of my life.”
    ( 死ぬまで一緒にいたい。)
  • “I would like you to be with me for the rest of my life.”
    ( 死ぬまで一緒にいてもらいたいです。)
  • “I will love you for the rest of my life.”
    ( 死ぬまであなたを愛します。)


◆  結婚生活がうまくいかなければ、 一転してこうなるかも。

  • “She threw away the rest of her life.”
  • “He threw away the rest of his life.”
  • “They threw away the rest of their lives.”
    ( 残りの人生を棒に振った。)

心ならずも、 「 死ぬまでずっと 」 が裏目に出てしまう。

やはり怖い。

  • “She will regret it for the rest of her life.”
  • “He will regret it for the rest of his life.”
  • “They will regret it for the rest of their lives.”
    ( それを終生後悔するだろう。)

人称代名詞  ” it “( それを ) は、 ” the marriage “( その結婚 )
を指す、 目的格の  ” it “( objective  pronoun )。

動詞を名詞の働きに変える 「 動名詞 」( gerund )で、
” marrying him “、 ” marrying her ”  とも置き換え可能。

  •  it   →   the marriage  /   marrying him  /  marrying her

複数形主格  ” they ”  に呼応するのは、

  •  it   →   the marriage  /  marrying each other


◆  なお、 間違いやすい点として、 ” it ” は 「 人称代名詞 」。

” this ” や ” that ” と違い、 「 指示代名詞 」 ではない。

具体的には、「 三人称中性単数目的格 」 などと称する用途。

日本語の「 人称代名詞 」 は、「 名詞 」 の中でも、
「 人物 」 のみを代用する。

” it ” は 無生物 中心ゆえか、 「 指示代名詞 」 と勘違いしがち

【参考】  it ”  人称代名詞、  ” that ”  指示代名詞

” it ” に 「 指示代名詞 」 はない

◆  「 プロポーズ 」 はさておき、 既に触れたように、
常日頃より割かし安易に使われることが多く、
使い手の希望通りの効力は発揮できなかったりする。

自分に発破をかける上で役立つ表現だが、
大上段に振りかぶると、 みっともない。

◆  ” the rest of your life ” を用いた有名な格言としては、

  • “Tomorrow is the first day in the rest of your life.”
    (明日は残りの人生の初日。)
  • “Today is the first day of the rest of your life.”
    (残された人生の初日は今日。)

「 初日 」 は、 今日か明日か。

基準となる起算日( initial date )に、初日を算入するか否かで、
当日起算か翌日起算か決まる。

特に定めがない限り、 初日は期間に算入せず、
翌日から計算するのが、 日本の期間計算の原則。
( 初日不算入の原則 )

この原則に従えば、 こちらが有力。

  • “Tomorrow is the first day in the rest of your life.”
    (明日は残りの人生の初日。)  →  翌日起算

しかし日本でも、 年齢、 戸籍の届出期間、 さらに刑法など、
初日不算入の例外は少なくないので、 解釈は各人各様だろう。

 

 

【類似表現】

  • to one’s dying day
    ( 生きている限り ) ( 死ぬまで ) ( 終生 )
    →  直訳 「 誰々の死ぬ日まで 」

 

 

 

 

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