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Initial

      2022/09/28

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 5 minutes

最初の、  初期の

” initial ” は、「 イニシャル 」。

日本の一般社会に根付いた 「 イニシャル 」 は、
通常 「 頭文字( かしらもじ )」 を指す。

 イニシャル 

《名》( 英 initial )
ローマ字で書いたもの、または欧文のことばの、
最初の文字。 特に人名の姓や名の最初の文字
さしていうことが多く、これらはふつう大文字
で書く。 頭文字。  [  新しい言葉の字引 ( 1918 ) ]

( 精選版 日本国語大辞典 )


《名》が示すように、名詞である。

名+姓 」の イニシャル   複数形  initials
( 「 名 」or「 姓 」のみ  →  単数形  “ initial ”  )




◆  ” initial ” には、形容詞・名詞・動詞がある。

名詞 “initial” の重要度は同等だが、頻出度では
形容詞が上回る。

LDOCE6( ロングマン )の表記によれば、

 形容詞  “ initial ”   →  最初の、初期の

  • 重要:<3001~6000語以内>
  • 書き言葉頻出:<1001~2000語以内>
  • 話し言葉頻出:<2001~3000語以内>

 可算名詞  “ initial ”   →  頭文字

  • 重要:<3001~6000語以内>
  • 書き言葉頻出3000語圏外
  • 話し言葉頻出3000語圏外

さらにマイナーなのが動詞。 完全ノーマーク。

自動詞はなく、他動詞のみ。

 他動詞  “ initial ”   →  頭文字を書く

  • 重要9000語圏外
  • 書き言葉頻出3000語圏外
  • 話し言葉頻出3000語圏外

【 活用形 】
initials – initialed – initialed – initialing

イギリス英語 ( ” L ” が2重 )
initials – initialled – initialled – initialling

 

  • Please initial your name.
    (イニシャルでご署名ください。)

  • You have to initial every correction.
    (すべての訂正箇所にイニシャルをご記入ください。)

  •  I initialed each page of the contract.
    (その契約書の全ページにイニシャルを記した。)

イニシャルで ご署名ください

 

◆  発音は共通。

3音節で少々難しい。

「  イ  ッ  ショー  」 などと聞こえる。

【発音】   iníʃəl
【音節】   in-i-tial  (3音節)

「音節」( syllable )とは、発音の最小単位。

日本語の場合、原則として「仮名一字が1音節」。

そのため、 音節を意識する機会は乏しい。

音節の差異が顕著な日英比較は、” integrity ”  で詳らかにした。


◆  語源も共通。

ラテン語 「 最初 」( initiālis )である。

嚆矢となったのは、 形容詞で1520年代から。

続いて名詞が1620年代、 最後に動詞で1830年代。

「 形容詞  →  名詞  →  動詞 」の発生順は、

上掲の重要度・頻出度の順位と同じ。

こうした単語では、 語義の順序は辞書間でほぼ一致する。

つまり、出てくる意味の順番は、 英和・英英問わず、
どの辞書を引いても変わらないということ。

このような単語は多くない。

語義の配列は、 各辞書の編集方針に従う。

それゆえ、頻度順または発生順の方針次第で、
使い勝手に差が生じてしまう。

その具体例は、 ” just checking in ”  でご紹介した。

発生順は「歴史主義」と言われ、語義を系統的にたどるには最適。
しかし、
一般的な英語学習者には、頻度順の方が実用的と考える。


手元の 著名英和を調べると、概ね以下の模様。

学習者対象の 学習英英辞典(EFL辞典)は、大方「頻度順」。

英語ネイティブ向けの英英辞典は「発生順」が目立つ印象。

弊サイトが日本人にお勧めするネイティブ用辞書は、

世界最大の英語辞典の ” OED ”  =  『 オックスフォード英語辞典
も、発生順(歴史主義)。–   

成り立ち重視の表れである。

【公式サイト】   http://www.oed.com/

国語辞典では、『 広辞苑 』は発生順、『 大辞林 』は頻度順

【参照】

■  英語辞書は「紙」か「電子版」か
■  「自炊本」「紙」の辞書を含む 使用辞書一覧
— –→  世界最大 “ OED ” と 日本最大『 日国 』入手済み


◆  英語辞典を選ぶ上で、語義の配列は大切な着眼点である。

配列の違いの意義と影響を真に実感できるようになるのは、
おそらく中級の実力に達してから。

初学者に、差異はよく分からないだろう。  私もそうだった。

そもそも、有名どころの学習者向け辞書は、先述の通り、
どれも様々な工夫を凝らして構成されている。

学習目的に特化しており、もともと親切な作りなのである。

だから、心配無用

その代り、学習専一の限界も伴う。

とりわけ、英和辞典には、実務とかけ離れた用例が散見される。

語学の持ち味は、学ぶほどに、難儀が増えてくること。

「 あの頃は英語が楽しく、質問にも即答できたのに … 」

過ぎ去りし日々をしきりに思い起こし、悩ましさが増していく。

  •  こんなに勉強してるのに …
  •  もう英語なんか辞めたい …

このしんどい段階( plateau )をどうにか乗り越えれば、
きっと 英語を見る目が一変する



【参照】
語学は「きりがない」と割り切る覚悟が必要

【参考】     ※  外部サイト
成長の停滞時期「プラトー現象」とは?



◆  ” initial ” に話を戻す。

形容詞・名詞・動詞の全部が、 語源「 最初 」を継承する意味合い。

]それぞれの基本的意味は、上表の青字が表す。

すなわち、

  •  形容詞  →  最初の、初期の
  •  可算名詞  →  頭文字
  •  他動詞  →  頭文字を書く

 

見事なまでに、 語源「 最初 」に忠実。

” initial ”  の基本は、 青字を押さえれば十分。

こうして眺めると、
形容詞以外の使い道に応用力は見込めない ことに気づく。

普段使いでは、「 頭文字 」関連だらけの名詞と動詞。

発展性は望むべくもない。

したがって、 本稿では形容詞に主眼を置く。


◆  ビジネス用法の  ” initial ” も、 形容詞中心。

  1.  initial  cost   ( 初期費用 )
  2.  initial  finding  ( 初期所見 )
  3.  initial  investment  ( 初期投資 )
  4.  initial  payment  ( 頭金 )
    →  down  payment ”  とほぼ同義
  5.  initial  phase  ( 初期段階 )
  6.  initial  plan / initial planning  ( 初期計画 )
  7.  initial  preparation  ( 初期準備 )
  8.  initial  price  ( 当初価格 ) 
  9.  initial  public offering  IPO、 新規株式公開 )
  10.  initial  release  ( 初回リリース )
  11.  intial  stage  ( 初期段階 )
  12.  initial  value  ( 初期値、 デフォルト値 )
  13.  initial  investigation  ( 初動調査 )

 

◆  お次は、もっと感情あらわな使用例。

プライベートはもちろん、職場でも使われる。

  1.  initial  enthusiasm  ( 最初の情熱 )
  2.  initial  excitement  ( 最初の興奮 )
  3.  initial  hesitation  ( 最初の戸惑い )
  4.  initial  impression  ( 最初の印象、 第一印象 )
  5.  initial  instinct  ( 最初の直感 )
  6.  initial  reaction  ( 最初の反応 )
  7.  initial  response  ( 初期反応、 初動対応 )
  8.  initial  result  ( 初期結果、 初期成果、 初期成績 )
  9.  initial  shock  ( 最初のショック、 初震 )
  10.  initial  surprise  ( 最初の驚き )
  11.  initial  thought  ( 最初に思ったこと )

後に覆される感情であるがゆえに「 最初 」を示す
形容詞  ” initial ”  を名詞に添えている。

当初の 知覚 が当てになるとは限らないことを示唆する。

誰しも経験上分かるに違いない。

感情は水物だったりする。


◆  以上の < 2語単語 > は、代表的な用例。

日頃、見聞きするものばかりで、日常にしっくりなじむ感。
形容詞 “initial” を用いた「決まり文言」に近い。
出番がまれな表現は、ひとつもない。

4大学習英英辞典(EFL辞典)よりかき集めたのだから、当然。

形容詞 “initial” の語釈は実にスマート。

“initial”

■  happening at the beginning.
(LDOCE6、ロングマン)

■  happening at the beginning; first.
(OALD9、オックスフォード)

■  of or at the beginning.
(CALD4、ケンブリッジ)

■  You use initial to describe something that happens
at the beginning of a process.
(COBUILD9、コウビルド)

【発音】   iníʃəl
【音節】   in-i-tial  (3音節)


4辞書とも、 可算名詞 ” beginning “( 最初 ) を含む。

COBUILDの個性的だが、 冗長 気味の語釈は相変わらず。

語源「 最初 」を一貫して引き継いでいる点は、既述した。

要するに、 ” beginning ” としか表しようがないほど、
単純な意味合いなのである。


◆  本稿では、 形容詞に焦点を絞ってきた。

初出年・重要度・頻出度を比較検討した結果、 名詞・動詞用法
よりも、 形容詞用法の位置づけが上回ったからである。

「 頭文字 」で凝り固まりがちな ” initial ”  を 語源から再確認
し、 理解をぐっと深めるのが趣旨。

取っ掛かりさえ見つければ、なんてことない表現も多い。

中級学習者 であれば、そうした有力な手掛かりを、既に
いくつも握っているはず。

自信をもってよい。



◆  弊サイトで、 語源を重視している一因がここにある。

  語源に遡ることで、理解への足掛かりを作る試み。

万能ではないものの、有益な場面は数多い。

まさしく、 手始め( at the initial stage )に役立つ。
機械的に辞書を引く作業だけで、 ほとんど 手間なし

本稿で挙げた英和・英英辞典のうち、
語源解説をことさら強化  しているのは、 次の3辞書。

その他の辞書にも語源の記載はあるが、 この3点は格別。

加えて、 オンラインの語源辞典がこちら。

” Online Etymology Dictionary ”  を冠する名の通り、
語源専門の英文サイトである。

※  etymology( ètəmɑ́lədʒi )  =  語源(学)

◆  医学博士・文学博士であった森鴎外( 1862-1922 )
も、 語源に立ち返る学習効果に着目していた。


その日の講義のうちにあった術語だけを、
希臘拉甸( ギリシャラテン )の語原を調べて、
赤インキでペエジの縁に注して置く。

教場の外での為事は殆どそれ切である。

人が術語が覚えにくくて困るというと、
僕は可笑しくてたまらない。

何故語原を調べずに、 器械的に覚えようと
するのだ  と云いたくなる。

森鴎外 『 ヰタ・セクスアリス 』( 1909年刊 )

 

術語   =  専門語  ( technical term の訳語 )
語原   =  語源

発禁処分 を受けた自伝的な短編小説。

鴎外 ( 森林太郎 ) の医学生時代の勉強法は参考になる。

著作権が消滅しているため、 パブリックドメイン  に属する
作品として、  青空文庫  では  全文公開 されている。

 

 

 

 

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