On one’s radar
2021/01/29
~の認識内にある
直訳は「 ~のレーダーの上 」。
その人(one’s)に着目されている状態を示す。
「レーダー」を用いて、認識の有無を表す<比喩>。
さほどフォーマルな表現ではないが、口頭ではよく聞く。
–
◆ “one’s” とは、「誰々の」。
“one’s” には、通常は人称代名詞の
所有格 を入れる。
- my 私の
- your あなたの
- his 彼の
- her 彼女の
- their 彼らの
- our 我々の
- its それの
“one’s” は、所有格の代表形 として、
辞書などで起用される。
具体的には、不定代名詞 ”one” の所有格が “ one’s ”。
上記の所有格を代表する。
–
いわば、所有格のワイルドカードとして使われる。
代名詞でなく、固有名詞や無生物でもよい。
- “on John’s radar”
(ジョンの認識下に)
– - “on the company’s radar”
(その会社の認識内に)
◇ 「認識」という 内面の作用 を示すため、
主体は自分側 (my radar、our radar)
である場合が多い。
他者の認識を推察して描写するのは、容易でないからである。
【参照】 perceive
–
◆ “radar” とは、「 電波探知機 」のこと。
電波を探知するのでなく、電波で探知する装置。
目標物から電波が反射する時間・方向で、
位置を決定している。
【発音】 réidɑr
【音節】 ra-dar (2音節)
radio detecting and ranging
または
radio detection and ranging
“radar“
初出は、戦時中の1941年。
品詞は名詞のみで、可算名詞 と 不可算名詞 を兼ねる。
-
「 装置 」としての “radar” → 可算名詞
-
<比喩>としての「 探知能力 」「 探知網 」 → 不可算名詞
ここでは後者の<比喩>なので、不可算名詞。
よって、無冠詞または定冠詞 “the” が原則である。
レーダーに仮託
–
◇ レーダーの探知能力 を、人間のもの
( one’s → 所有格 )に見立てた表現
“on one’s radar”
“on” は、接触の前置詞「~の上に」。
“He was on TV.” と同様の用法。
したがって、”on one’s radar” とは、
「~のレーダーの上に」。
これは「状態」表す。
したがって、<3語ワンセット>で 形容詞
のような役割を担う。
◆ 「レーダーの上に」は形容詞の役割なので、
「be動詞」に続くのが基本パターンになる。
※ 「be動詞」= be、am、was、been、will be、is、
なぜ、形容詞が「be動詞」に続くのかは、
”aware”、”vocal about”、”conclusive” で詳述した。
英文法の基本であるので、ぴんとくることがなければ、
この機会におさらいしていただくとよいかもしれない。
◆ 能動態で意訳すると、「~のレーダーが捕らえている」。
be動詞の主語となるのは、対象となる人や物。
下図であれば、「AのレーダーがBを捕えている」で、「B」が主語。
話題の主は、Aに狙われた「B」となる。
Aの認識(レーダー)内のB↑ A(所有格)の発する「レーダー」の狙いは B ↑
◆ 主に会話で使うが、比較的分かりやすい<比喩>である。
なんだか、様になる感じ。
文面に使っても不自然ではない。
「レーダー上」「レーダーが捕らえている」
とはいえ、敵対的な内容に限定するものではない。
肯定的にも否定的にも使える フレーズである。
“on somebody’s radar”
“on the radar”
if something is on your radar,
you have noticed it and are giving it
some attention.
(ロングマン、LDOCE6)
※ 下線・ハイライトは引用者
–
ざっくり分かるものの、どこかあいまい。
定訳もない。
そのため、認識の度合いの把握が難しい。
一体、どのくらい真剣に意識しているのだろうか。
それは、状況や言い方から判断するしかない。
仕事では、進捗報告または言い訳に使う印象がある。
–
- “I couldn’t prevent it because
this was never on my radar.”
(まったく認識していなかったことなので、
自分には防ぎようがなかったのです。)
– - “This issue is on our radar.”
(これは、我々が注目している問題だ。)
– - “She is not on my radar.”
(彼女なんか俺の眼中にない。)
(彼女は圏外だ。)
– - “No worries, this must be on his radar.”
(心配無用だよ、彼がチェックしてるはずだから。)
–
◆ 逆に「見落とした」は、
■ “slip under one’s radar”
■ “fly under one’s radar”
to not be noticed by someone.
(ロングマン、LDOCE6)
表題に比べると、それほど見聞きしない模様。
- “This new item slipped under my radar.”
(この新作に気づかなかった。)
– - “Their under-the-radar relationship became public.”
(彼らの秘密にしていた関係が表沙汰になった。)
– - This is the best under-the-radar product at X.”
(X社の知られざる天下の逸品はこれです。)