総括する、 まとめる、 要約する
ニュース番組や新聞・雑誌記事で見聞きするのが、
可算名詞の ” roundup “。
ハイフン入りの ” round-up ” とも表記する
【発音】 ˈrɑʊndˌʌp
【音節】 round-up (2音節)
多忙な現代人が、 情報を短時間で概観するための、
–
「 まとめ 」 「 総括 」
–
roundup
–
–
◆ 報道メディアでは、 次のように多用される。
- a news roundup
- a sports roundup
- a daily roundup
- a weekly roundup
- a monthly roundup
- a roundup of today’s news
–
▲ メルマガの件名
※ お薦めメルマガ一覧は、 「 自分の世界 」 が広がる英語
” round-up ”
a summary of the most important points
of a particular subject, especially the news.
( オックスフォード、OALD9 )
※ 下線は引用者
–
ワードプレス も、 この通り。
–
▲ ワードプレスの通知
–
まとめなので、
「 要約 」 「 総集編 」 「 ダイジェスト 」
–
このように訳されることが多い。
–
可算名詞 ” roundup ” は、 句動詞 ” round up ” が
名詞となったもの。
意味はそのまま引き継ぐ( 後述 )。
” round up ” の構造は、
- 他動詞 ” round “
- 副詞 ” up “
他動詞の句動詞 ( phrasal verb ) なので、
「 句他動詞 」 ( transitive phrasal verb ) となる。
◇ 「 句動詞 」「 句自動詞 」「 句他動詞 」について
https://mickeyweb.info/
【発音】 ˈrɑʊndˌʌp
【音節】 round-up (2音節)
◆ 句他動詞 ” round up ” の主な意味は、次の4つ。
-
寄せ集める
-
総括する、要約する
-
一斉検挙する
-
端数を丸める ( 切り上げる )
–
3. は意味からしてニュース中心だが、 それ以外は常用語。
これら4つには、 一見脈略のない模様。
しかし、語源から考えると、 つながりが見えてくる。
” round ” は、
形容詞・副詞・名詞・前置詞・他動詞・自動詞
がそろい、 非常に多義。
語源は、ラテン語「 円形の 」( rotundus )。
形容詞・副詞・名詞の基本的意味は、カタカナ「 ラウンド 」と重なる。
–
ラウンド【round】
- 丸いさま。 円形の。
- 一周。 一巡。
- 運動競技で、 勝負を構成する単位。
ア. ボクシング試合の各回( 1回3分間 )
イ. ゴルフの1コース( 18ホール )
ゥ. サッカー・ラグビーなどの大会で、
—-予選・決勝などの各段階。 - 一連の会議。特に、関税などについての一括交渉。
–
( 広辞苑 第七版 )
–
この中には、 動詞用法が見られないが、 英語 ” round ” でも
主要用途は 形容詞 と 副詞。
” round ” の重要度と頻出度の高い順に、
形容詞 → 副詞・前置詞 → 名詞 → 動詞
( ロングマン、 LDOCE6 の表記より )
–
◆ 一方、表題は他動詞。
他動詞 ” round ” の基本的意味は、
- 丸くする、円形にする
- まとめて完成させる
- 囲む
- 端数を丸める
- 一周する
–
語源「 円形の 」から、なんとか連想できるものばかり。
【発音】 raund (1音節)
–
◆ 他動詞 ” round ” に、副詞 ” up ” を加える。
句動詞に不可欠な副詞 “ up ” も多義。
ここでは「 集めて 」「 まとめて 」の意味合い。
ばらばらの多数を一つにまとめる 様子を表す。
同じ用法の副詞 ” up ” には、次のような句動詞がある。
◆ 句動詞 ” round up ” の語源は、「 牛追い 」。
つまり、牛を駆り集める行為。
https://www.etymonline.com/word/roundup
- 他動詞 ” round “( 囲む )
- 副詞 ” up “( 集めて )
→ 散り散りばらばらの牛を 「 囲い集める 」
すなわち、 一箇所にまとめる。
–
「 牛追い 」を端緒として、 4つの意味に派生した
–
◇ round up
語源 「 牛追い 」 → 寄せ集める → 総括・要約する → 切り上げる
– ———- – — —– ↓
———— – — 一斉検挙する
–
鮮やかな流れではないだろうか。
これぞ語学の面白さ。
多義の表現には、このような連鎖が存在するのが一般的。
ところが、一般的な辞書は紙面に限りがあるため、
そのつながりをほとんど解説しない。
その結果、学習者は < 丸暗記 > する羽目になる。
だが、 広がりの 流れを理解 すれば、 負担は軽くなるもの。
特に、 常用語の場合、 分かりやすい派生パターンが目立つ。
” round up ” は、その一例である。
◆ 先述の通り、” round up ” の4つの意味は、 人々の日常に根付いている。
英単語全体から見れば、頻出には至らないが、どれも日頃使われている用法。
以下、3つずつ例文を添えた。
1. 寄せ集める
to find and gather together a group of
people, animals, or things.
( LDOCE6 )
- “My dog helped me round up the cattle.”
(愛犬が牛の群れを集めるのを助けてくれた。)
–
【注意】
” cattle ” は、通常、複数扱いの「 複数名詞 」( plural noun )。
–
→ 普通、 ” a cattle ” や ” cattles ” といわない
–
【発音】 kǽtl
【音節】 cat-tle (2音節)–
– - “Let’s round up volunteers.”
(ボランティアの人たちを集めようよ。)
– - “Teachers are rounding up funds for the program.”
(そのプログラムのため、先生方が資金をかき集めている。)
–
2. 総括する、要約する
- “We will round up the news of the day.”
“Here is a roundup of today’s news.”
(今日のニュースをまとめてお伝えします。)
– - “I have to round this up for the presentation.”
(プレゼン用に、これを要約しなければならない。)
– - “She needs to round up the survey results.”
(彼女は調査結果をまとめる必要がある。)
3. 一斉検挙する–
to find and arrest people.
( マクミラン )
–
・ 「 検挙 」
捜査機関が被疑者を特定し、必要な捜査を遂げること。
被疑者を漢書に引致することもいう。
・ 「 被疑者 」
犯罪の嫌疑を受けた者でまだ起訴されない者。容疑者。
( 広辞苑 第七版 )
- “The police rounded up the suspects.”
(警察が容疑者を一斉に検挙した。)
– - “They were rounded up and questioned.”
(彼らは検挙され、取り調べを受けた。)
– - “All criminals were rounded up.”
(すべての犯人が検挙された。)
4. 切り上げる–
to increase an exact figure to the
next highest whole number.
( LDOCE6 )
※ ” whole number ” = 整数
- “Round up if the value is 5 or greater.”
(その数値が5以上なら切り上げる。)
– - “Round up dollar amounts that have 50 to 99 cents.”
(端数が50~99セントの場合、1ドルに切り上げる。)
– - “Use the ‘ROUNDUP function’ to round up 123 to 130.”
(123を130に切り上げるには「ラウンドアップ関数」を使え。)
–
▲ ラウンドアップ関数
–
【反意表現】
■ ” round down ”
( 端数を切り捨てる ) → ” round up “(切り上げ)の反対
※ 副詞 ” up ” と 副詞 ” down ” が対
【関連表現】
■ ” Whoa ! ”
https://mickeyweb.info/archives/4701
( どうどう ) → 牛や馬を停止させる時の掛け声
( ちょっと待った ! )
–
–
< 同義語の比較 > 日常用途では、 厳密に区別されていない印象
- summary ( 名詞・形容詞 )
→ 「 要約 」の最も一般的な単語
文書・口頭
– - outline ( 名詞・他動詞 )
→ 概略を示す
文書・口頭 ※ 文書が多め
– - overview (名詞・他動詞)
→ 全体像を示す
文書・口頭 ※ 文書が多め
– - summarize ( 自動詞・他動詞 )
→ 要約する
文書・口頭
– - brief ( 名詞・他動詞 ) ※ 形容詞 「 短い 」 もある
→ 口頭で端的に状況説明する
文書・口頭
– - sum up ( 句自動詞・句他動詞 )
→ 要約する
文書・口頭 ※ 口頭が多め
–ー - recap ( 自動詞・他動詞 )
→ 要約する
口頭中心
– - rundown ( 名詞 )
→ 要約
口頭中心–
–
◆ 「 ラウンドアップ 」は、 除草剤の名称として、 世界的に有名。
除草剤の代表格である。
1970年、 米・モンサント社 ( 2018年、独バイエル社により買収完了 )
が開発した除草剤。
世界中で発がん性を指摘されている 「 グリホサート 」 を主成分とする。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000168500.pdf
( 厚生労働省、 PDF 全78頁、 6.74MB )
モンサント社に対する訴訟が相次ぎ、 欧米諸国で販売や使用が禁止
されてしまった挙句、 2010年代以降の主販路は日本になった。
日本は、 遺伝子組み換え作物の輸入大国であり、 重要な取引相手。
知るや知らずや、 発がん性物質を含む作物を私たちは日夜摂取する。
とはいえ、 ラウンドアップの 「 安全性 」もついては、 日本でも
絶え間なく、 週刊誌や女性雑誌に取り上げられている。
https://www.roundupjp.com/information/
モンサント社がもたらした数々の問題を語る上で、
「 ラウンドアップ 」 は欠かせない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ラウンドアップ
除草剤の商品名に採用されたわけは、 これまで学んできた
” round up ” の4つの意味から、 察することができよう。
- 寄せ集める
- 総括する、要約する
- 一斉検挙する
- 端数を丸める ( 切り上げる )
【参考】 ※ 外部サイト
- Bayer to pay $10.9bn to settle weedkiller cancer claims
独バイエル、除草剤の発がん性めぐる訴訟で和解 1兆円超
https://www.bbc.com/news/business-53174513
2020年6月25日付 ※ 和訳版 2020年6月25日付
– - 売上No1除草剤に発がん疑惑、禁止国増える中、日本は緩和
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7d41ea9f1cd7d1cbdecbfc6eac2ffd6e7c433ccb
2019年7月25日付