「自分の世界」が広がる英語
2021/01/03
一般の日本人にとって、英語って必要?
30年以上に渡り、しょっちゅう聞かれた質問である。
「あまり必要ないと思います」
嘘つくのは嫌なので、率直に持論を述べてきた。
英語を使わなくても、普通に生きていける日本で、
—英語を学ぶ必要性は高くない。
終生、日本居住なら「必要」に至ることはないだろう。
仕事で英語が必須なら「 報酬獲得条件 」と覚悟して学ぶ。
どうしても苦手で嫌なら「 転職する 」。
学生時代はともかく、いい大人が貴重な可処分時間を、
不要かつ不得手なことに費やすのはもったいない。
人生の浪費。
本気でこう思う。
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◆ 2018年、訪日外国人旅行者が史上最高を更新した。
前年比 8.7%増で、3,119万 2千人。
(日本政府観光局 2019年1月16日発表)
これほど外国人を迎え入れた年は、いまだかつて存在しない。
主要20市場すべてで過去最高を記録した2017年を上回る総人数。
統計を取り始めた1964年以降、最多となった。
このようなニュースも、大方の日本人には影響ないはず。
国内に住む限り、英語ができなくても大きな問題はない。
近年、数々の <英語不要論> が出版されている。
特に話題になった本は、次の2冊。
いずれも基本的に同感する内容だった。
祥伝社(2011年刊)
http://amzn.to/2ipUWXQ
–
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文藝春秋(2014年刊)
http://amzn.to/2ipLOm3
–
◆ 同様の考えをもつ私だが、同時に強く願うことがある。
「もしも興味があるなら、ぜひ英語を学ぼう」
国際的に英語が共通言語となっている分野は多い。
これは現実。
インターネットでは、7割方が英語。
英語が読めれば、
<情報収集>の面で断然強い
リスニング・ライティング・スピーキング
が苦手だとしても、
読めるだけで、圧倒的な強みとなる。
この世を見る目が変わる。
例えば、大切な人が難病にかかった時に、
自分で英文記事を調べられる。
■ 和訳を待たなくても、最新情報を自ら取りに行ける。
■ 情報格差と「情弱」化の回避にも期待できる。
一般人向けの良質記事は無限に公開されている。
英語で検索すれば、何でも見つかると言っても過言ではない。
これぞ世界のすごさ。
【参考】 – ※ 外部サイト
翻訳ソフトは便利だが、
ある程度、自力でこなせると心丈夫である。
興味ある対象について、英文を自由自在に読める喜び。
時に投稿にトライしたりと、日常に刺激と楽しみが加わる。
◇ 英語を学ぶと「自分の世界」が一気に広がる。
「英語って必要?」
こうした議論と次元の異なる、永続的な喜びと楽しさ を味わえる。
自分の心から興味のあること を、
世界中の同志と共有する喜び は、
<生きる支え>となりうる
楽しいね …
生まれてきてよかったわ。
こんな喜び。–
お互い提供できる価値があれば、英語力はさして問われない。–
■ 国内に友達はできなくても、外国人の友達は作れたりする。
■ 人間関係が苦手なら、長い物理的距離感は安心できるかも。
■ こういった感性の持ち主は、世の中には大勢いるのである。
–
海外の同好の士とやり取りする知的興奮
日々の倦怠感や厭世観の苦しみを打ち破るよすが。
少し勇気を出して踏み出せば、自宅に居ながらにして、
たった独りで、異次元の世界にすっと触れ合える。
–
そんな時代がとっくに到来している。
英語は、本来は「コミュニケーション手段」にすぎない。
このことを忘れた人が多すぎる。
大半の日本人が普通に生きていく上で、英語は不要。
大多数にとって「資格」または「受験」のための存在。
つまり、非日常そのもの。
■ 普段、使わないから「資格」「受験」に直結する印象
■ 日本人にとって、英語学習は「不自然な努力」に近い
「不自然」だからこそ、必要以上に要件に組み込み、
強迫的に数字に拘泥するようになってしまったと考える。
【参考】 母語が日本語だと、英語習得のハードルは恐ろしく上がる
- 仕事ではお金をもらっているので、数値化は必然
- 学生は勉強が本分ゆえに、点数を気にするのは当然
他方で、あえて
「数値化」しない英語の取り組み方
があってもよいだろう。
◆ 英語が実質不要な方々には、こんな付き合いをお勧めしたい。
興味があるなら、ぜひ英語と向き合ってみよう。
他人の目やTOEICなんか、どうでもよい。
- 純粋に自分のため
- 自分がハッピーになるため
- 人生をより豊かにするため
語学は<老化防止><認知症予防>に効果ありと検証済み。
これを実証する有力な学術論文(英文)は次の通り。– 2010年発表。
要旨は、
「バイリンガルはアルツハイマー病を発症しにくい」
Craik & Freedman (2010).
Delaying the onset of Alzheimer disease
Bilingualism as a form of cognitive reserve.
Neurology. 2010 Nov 9; 75(19): 1726-1729.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3033609/
【PDF】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3033609/pdf/8193.pdf
※ PDF 全4頁、855KB
–
さらに、人間の能力のうち、語彙力のピークは遅め。
読み言葉、話し言葉とも、60歳代から70歳代まで伸びる
との説も提示されている。
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[O]ur vocabulary skills, written and verbal, require
many more years before they peak in our 60s and 70s.2015年3月23日付
【 当該記事が根拠とする学術論文 】
Hartshorne, J. K., & Germine, L. T. (2015).
When Does Cognitive Functioning Peak?
The Asynchronous Rise and Fall of Different
Cognitive Abilities Across the Life Span.
Psychological science, 26(4), 433–443.・ https://doi.org/10.1177/0956797614567339
・ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25770099/
–
「頭の体操」「舌の運動」「発声練習」「ボケ防止」
くらい気軽に構える方が、無理なく続いたりする。
ー
◆ 私自身、口の機能の低下を防ぐ「口腔ケア」を兼ねて、
発音練習は毎日欠かさない。
口腔器官の運動は大事。 人体は使わないと衰える。
–
廃用退行が怖い。
【参考】 –※ PDF 全17頁、441KB
ー
寄る年波には勝てなくても、構わず続けていくつもり。
ー
—
もっと気楽にいこう。
疲れたら、休止してもよいのだ。
誰も強制していない。
–
【参考】 単語の覚え方
ー
–
◆ ネットに絞れば、お金はそれほどかからない。
無料メルマガ(newsletter)は無数あり、
たやすく登録できる。 解除も簡単。
—現在、錚々たる新聞・雑誌が、
—メルマガを無料配信している。
例えば、
- ニューヨーク・タイムズ
https://www.nytimes.com/newsletters - ワシントン・ポスト
https://subscribe.washingtonpost.com/newsletters/#/newsletters - ウォール・ストリート・ジャーナル ※ 有料版も含む
https://www.wsj.com/newsletters#all - ボストン・グローブ
https://www.bostonglobe.com/newsletters - ロサンゼルス・タイムズ
https://membership.latimes.com/newsletters/ - タイム
https://time.com/newsletters/ - ニューズウィーク ※ “FREE SIGN UP” に入力(右下あたり)
https://www.newsweek.com/ - ザ・ニューヨーカー
https://www.newyorker.com/newsletters - ピープル
https://pages.email.people.com/newsletters?source - US Weekly
https://www.usmagazine.com/newsletter-signup/ - USA TODAY
https://profile.usatoday.com/newsletters/manage/ - CNN
https://edition.cnn.com/email/subscription - NPR
https://www.npr.org/newsletter/breaking-newsー
有名メディアから、無料で英文記事がメールされてくる。
プロの手によるネイティブ向け記事。 本場の英語である。
かつてを思うと、隔世の感がある。
“zip code“(郵便番号)の入力が必須の場合
もしも日本の郵便番号が通用しないならば、
米国の任意の郵便番号を入力すればよい。
【例】 90001(ロサンゼルス近辺)
https://www.phaster.com/zip_code.html
無料メルマガの場合、参考統計の目的で入力させる
発行元がほとんど。 任意でもほぼ問題ない。
–
◆ YouTubeのコメントや商品レビュー(アマゾンなど)も、
一般ユーザーが気軽に発した生の英語に触れるチャンス。
旧来の新聞・雑誌の読者欄は言うまでもない。
玉石混交とはいえ、手近な教材となる。–
「コメント回り」と称し、めぼしい日英表現を見つけては、
せっせと単語帳に登録するのが、私の長年の日課である。
わくわくしつつ、こうして語彙採集している。
◇ コツは、自分の得意で大好きな分野から手をつける こと。
【例】
スポーツ、芸能、車、バイク、コレクション、ギャンブル、ガーデニング、
筋トレ、ペット、エロス、旅行、パソコン、ゲーム、アニメ、登山、建築、
コスプレ、IT、インテリア、釣り、映画、音楽、軍事、料理、絵画、時事–
■ イラストや写真を眺めているだけでも、幸せな気分に包まれる
■ 心身のストレスが一気に解かれる、夢見心地の自分だけの世界
–
そこに、にじり寄るように、じわりじわり
英語をからめていく
今まで非日常的な存在だった英語を 得意分野経由 で、
「自分の生活」「自分の世界」「自分の人生」
に取り入れてしまおう。
–
◆ 試験勉強に勤しむ受験生や学生は別として、
その他の「英語が実質不要な方々」であれば、
早めに好きな分野の英文に取り掛かる とよい。
ご自分に合った英文法書と英単語集を各1~2冊しっかり学び、
さっさと得意分野に移る方が、学習は捗る と考えている。
市販の単語集にいつまでも執着する真剣さは、
日本人学習者にありがちな姿。
なんだかもったいなく、ちょっと違う気がする。
あたかも「勉強のための勉強」といった具合で、
思わず動機を問いたくなってくる。
英語習得を義務としない、いわば身軽な立場にある
のだから、教材は思いっきり自由に選べるだろう。
–
◆ 私は、こちらの方法を採用した。
◇ インターネットで、
自分好みのサイトやメルマガを捜し当てて、
当面、それをテキスト代わりに活用し、
定期的に読み続ける。
ただし、何十年も昔なので、サイトとメルマガの選択肢はない。
実際には、有料の週刊誌 ( Newsweek と Time )中心だった。
心構えは、
「これだ!」 と自ら掘り出した素材に、
–がっつり食らいつく
「得意で大好きな分野」であれば、苦痛は覚えにくい。
私の知る日本人以外の非英語母語話者(ノンネイティブ)には、
初級教材を読了早々、読みたい本に向かっていく学習者が目立つ。
筋トレ雑誌に、エロ雑誌と、それはもう好き放題に楽しんでいる。
日本人に見られる、あの几帳面で生真面目な悲壮感から程遠いのに、
盤石な動機づけのおかげか、あっという間に英語に親しんでしまう。
なんといっても、うれしそう。
必死な努力なんて、どこ吹く風。
–
◆ インターネットが身近になかった頃、各種雑誌の定期購読のため、
毎年、中央郵便局にて「国際郵便為替」を組んでもらっていた。
米国から自宅直送の方が、洋販経由より安かったのである。
1990年代後半まで、これが私の年間行事。
為替発送後の深い安堵感は、今では遠い記憶になった。
ー
英語が好きになると人生は100倍楽しくなる
プレジデント社(2017年刊)
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