プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

「自分の世界」が広がる英語

      2020/10/01

一般の日本人にとって、英語って必要?

30年以上に渡り、しょっちゅう聞かれた質問である。

「あまり必要ないと思います」

嘘つくのは嫌なので、率直に持論を述べてきた。

  英語を使わなくても、普通に生きていける日本で、
英語を学ぶ必要性は高くない。

終生、日本居住なら「必要」に至ることはないだろう。

仕事で英語が必須なら「 報酬獲得条件 」と覚悟して学ぶ。

どうしても苦手で嫌なら「 転職する 」。

学生時代はともかく、いい大人が貴重な可処分時間を、
不要かつ不得手なことに費やすのはもったいない。

人生の浪費。

本気でこう思う。

◆  2018年、訪日外国人旅行者が史上最高を更新した。

前年比 8.7%増で、3,119万 2千人。
日本政府観光局   2019年1月16日発表)

これほど外国人を迎え入れた年は、いまだかつて存在しない。

主要20市場すべてで過去最高を記録した2017年を上回る総人数。
統計を取り始めた1964年以降、最多となった。

このようなニュースも、大方の日本人には影響ないはず。
国内に住む限り、英語ができなくても大きな問題はない。

近年、数々の <英語不要論> が出版されている。
特に話題になった本は、次の2冊。

いずれも基本的に同感する内容だった。

祥伝社(2011年刊)
http://amzn.to/2ipUWXQ


文藝春秋(2014年刊)
http://amzn.to/2ipLOm3


◆  同様の考えをもつ私だが、同時に強く願うことがある。

「もしも興味があるなら、ぜひ英語を学ぼう」

国際的に英語が共通言語となっている分野は多い。
これは現実。

インターネットでは、7割方が英語。

英語が読めれば、

<情報収集>の面で断然強い。

リスニング・ライティング・スピーキング
が苦手だとしても、

  読めるだけで、圧倒的な強みとなる。

 この世を見る目が変わる。 

例えば、大切な人が難病にかかった時に、
自分で英文記事を調べられる。

  和訳を待たなくても、最新情報を自ら取りに行ける。
■ 
情報格差と「情弱」化の回避にも期待できる。

一般人向けの良質記事は無限に公開されている。

英語で検索すれば、何でも見つかると言っても過言ではない。

これぞ世界のすごさ。

【参考】 –  ※  外部サイト

学術研究論文の「オープンアクセス」急拡大中

翻訳ソフトは便利だが、

ある程度、自力でこなせると心丈夫である。

興味ある対象について、英文を自由自在に読める喜び。

時に投稿にトライしたりと、日常に刺激と楽しみが加わる。

  ◇  英語を学ぶと「自分の世界」が一気に広がる。

「英語って必要?」

こうした議論と次元の異なる、永続的な喜びと楽しさ を味わえる。

自分の心から興味のあることを、
世界中の同志と共有する喜びは、
 <生きる支え>となりうる  

楽しいね …
生まれてきてよかったわ。

こんな喜び

お互い提供できる価値があれば、英語力はさほど問われない。

  国内に友達はできなくても、外国人の友達は作れたりする。

■  人間関係が苦手なら、長い物理的距離感は安心できるかも。
■  こういった感性の持ち主は、世の中には大勢いるのである。

  海外の同好の士とやり取りする知的興奮  

日々の倦怠感や厭世観の苦しみを打ち破るよすが。

少し勇気を出して踏み出せば、自宅に居ながらにして
たった独りで異次元の世界にすっと触れ合える。

  そんな時代がとっくに到来している。

英語は、本来は「コミュニケーション手段」にすぎない。
このことを忘れた人が多すぎる。

大半の日本人が普通に生きていく上で、英語は不要。
大多数にとって「資格」または「受験」のための存在。

つまり、非日常そのもの

■  普段、使わないから「資格」「受験」に直結する印象
■  日本人にとって、英語学習は「不自然な努力」に近い

「不自然」だからこそ、必要以上に要件に組み込み、
強迫的に数字に拘泥するようになってしまったと考える。

【参考】   母語が日本語だと、英語習得のハードルは恐ろしく上がる

  •  仕事ではお金をもらっているので、数値化は必然
  •  学生は勉強が本分ゆえに、点数を気にするのは当然

他方で、あえて

「数値化」しない英語の取り組み方

があってもよいだろう。

 

◆  英語が実質不要な方々には、こんな付き合いをお勧めしたい。

興味があるなら、ぜひ英語と向き合ってみよう。

他人の目やTOEICなんか、どうでもよい

  •  純粋に自分のため
  •  自分がハッピーになるため
  •  人生をより豊かにするため

語学は<老化防止><認知症予防>に効果ありと検証済み。

これを実証する有力な学術論文(英文)は次の通り。 2010年発表。

要旨は、

バイリンガルはアルツハイマー病を発症しにくい

Craik & Freedman (2010).
Delaying the onset of Alzheimer disease
Bilingualism as a form of cognitive reserve.
Neurology. 2010 Nov 9; 75(19): 1726-1729.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3033609/

【PDF】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3033609/pdf/8193.pdf


さらに、人間の能力のうち、語彙力のピークは遅めで、読み言葉、
話し言葉とも60歳代、70歳代まで伸びるとの説が提示されている。

[O]ur vocabulary skills, written and verbal, require
many more years before they peak in our 60s and 70s.

https://www.forbes.com/sites/daviddisalvo/2015/03/23/
new-study-shows-that-your-brains-powers-change-as-you
-age-some-peaking-in-your-70s/#7b448dc31ef8

2015年3月23日付

【当該記事が根拠とする学術論文】
Hartshorne, J. K., & Germine, L. T. (2015).
When Does Cognitive Functioning Peak?
The Asynchronous Rise and Fall of Different
Cognitive Abilities Across the Life Span.
Psychological science, 26(4), 433–443.

https://doi.org/10.1177/0956797614567339
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25770099/


「頭の体操」「舌の運動」「発声練習」「ボケ防止」

  くらい気軽に構える方が、無理なく続いたりする。 


私自身、口の機能の低下を防ぐ「口腔ケア」を兼ねて、
発音練習は毎日欠かさない。

口腔器官の運動は大事。 人体は使わないと衰える。

廃用退行が怖い。

【参考】   ※  PDF 全17頁、441KB

「廃用症候群」(東京都福祉保健局)


寄る年波には勝てなくても、構わず続けていくつもり。

もっと気楽にいこう。

疲れたら、休止してもよいのだ。

誰も強制していない。

【参考】   単語の覚え方


◆  ネットに絞れば、お金はそれほどかからない。

無料メルマガ(newsletter)は無数あり、
たやすく登録できる。  解除も簡単。

現在、錚々たる新聞・雑誌が、
メルマガを無料配信している。

例えば、

  有名メディアから、無料で英文記事がメールされてくる。

プロの手によるネイティブ向け記事。 本場の英語である。

かつてを思うと、隔世の感がある。

zip code“(郵便番号)の入力が必須の場合
もしも日本の郵便番号が通用しないならば、
  米国の任意の郵便番号を入力すればよい。

【例】  90001(ロサンゼルス近辺)
https://www.phaster.com/zip_code.html

無料メルマガの場合、参考統計の目的で入力させる
発行元がほとんど。   任意でもほぼ問題ない。


◆  YouTubeのコメントや商品レビュー(アマゾンなど)も、
一般ユーザーが気軽に発した生の英語に触れるチャンス。

旧来の新聞・雑誌の読者欄は言うまでもない。

玉石混交とはいえ、手近な教材となる。

「コメント回り」と称し、めぼしい日英表現を見つけては、
せっせと単語帳に登録するのが、私の長年の日課である。

わくわくしつつ、こうして語彙採集している。

 

◆  コツは、自分の得意で大好きな分野から手をつけること。

【例】
スポーツ、芸能、車、バイク、コレクション、ギャンブル、ガーデニング、
筋トレ、ペット、エロス、旅行、パソコン、ゲーム、アニメ、登山、建築、
コスプレ、IT、インテリア、釣り、映画、音楽、軍事、料理、絵画、時事

■  イラストや写真を眺めているだけでも、幸せな気分に包まれる
■  心身のストレスが一気に解かれる夢見心地の自分だけの世界

そこに、にじり寄るように、じわりじわり

  英語をからめていく 

今まで非日常的な存在だった英語を  得意分野経由 で、
「自分の生活」「自分の世界」「自分の人生」
に取り入れてしまおう。

  世界相手に「自分の世界」が広がります。

日常に刺激と喜びが増えます。

それが一生続きます。 きっと。

一つの外國語を學ぶのは一つの新しい世界
を發見したことになるのである。
實際に役に立つばかりでなく、一生の間
計り知れない樂みが得られるのだ。

語学修業』 (1935年発表)
正宗白鳥(1879-1962)


◆  試験勉強に勤しむ受験生や学生は別として、
その他の「英語が実質不要な方々」であれば、
早めに好きな分野の英文に取り掛かる とよい。

ご自分に合った英文法書と英単語集を各1~2冊しっかり学び、
さっさと得意分野に移る方が、学習は捗る と考えている。

市販の単語集にいつまでも執着する真剣さは、
日本人学習者にありがちな姿。

なんだかもったいなく、ちょっと違う気がする。

あたかも「勉強のための勉強」といった具合で、
思わず動機を問いたくなってくる。

英語習得を義務としない、いわば身軽な立場にある
のだから、教材は思いっきり自由に選べるだろう。

インターネットで、自分好みのサイトやメルマガを探し当てて、
当面、それをテキスト代わりに活用し、定期的に読み続ける。

「得意で大好きな分野」であれば、苦痛は覚えにくい。

私の知る日本人以外の非英語母語話者(ノンネイティブ)には、
初歩教材を読了早々、読みたい本に向かっていく学習者が目立つ。

筋トレ雑誌に、エロ雑誌と、それはもう好き放題に楽しんでいる。

日本人に見られる、あの几帳面で生真面目な悲壮感から程遠いのに、
盤石な動機づけのおかげか、あっという間に英語に親しんでしまう風。

なんといっても、うれしそう。

◆  インターネットが身近になかった頃、各種雑誌の定期購読のため、
毎年、中央郵便局にて「国際郵便為替」を組んでもらっていた。

米国から自宅直送の方が、洋販経由より安かったのである。

1990年代後半まで、これが私の年間行事。

為替発送後の深い安堵感は、今では遠い記憶になった。

英語が好きになると人生は100倍楽しくなる
プレジデント社(2017年刊)
https://amzn.to/2VJZQT3

 

 

 

 

 

 

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