さあ始めよう。
行動 に着手する時の掛け声。
” Let’s get rolling. “
とも言う。
こちらとほぼ同義。
- ” Let’s begin. “
- ” Let’s get going. ”
–
◆ ここでの ” get “(下線部) は 自動詞。
自動詞用法の ” get ” の本義は「 ある状態に達する 」。
「得る」を意味する他動詞 “get” に比べれば、
自動詞 “get” はマイナー扱いされる。
※ カタカナ「 ~ をゲットする」は、他動詞 の ” get ”
自動詞 ” get ” も、基本かつ重要レベルの用法に
違いないので、同時に押さえておきたい。
「 SV doing 」のパターンで、「 ~ し始める 」。
- get rolling ( rollを始める → 開始する )
- get going ( rollを始める → 開始する )
その他の代表例は、
- get talking ( talkを始める → 話し始める )
- get moving ( moveを始める → 動き始める )
- get working ( workを始める → 取り掛かる )
–
◆ 2001年の同時多発テロで、歴史に刻まれた表現。
Are you guys ready ?
Let’s roll !
Todd Beamer ( 1968-2001 )
aboard United Airlines Flight 93
– September 11, 2001
( みんな準備はいいか。 いくぞ! )
–
コックピット内のハイジャック犯に立ち向かう際、
一乗客が発した ” Let’s roll ! “。
当時、あらゆるメディアに取り上げられ、
この大事件を象徴する言葉となった。
–
- Wikipedia – ” Let’s roll ”
– - Neil Young – ” Let’s Roll ” ( 2001年 発表曲 )
– - ” Let’s Roll ! : Ordinary People, Extraordinary Courage ”
–( 2006年、Todd氏の妻 Lisa Beamer による手記 )
– - ” The Flight That Fought Back ”
( ドキュメンタリー、 全長10分 )
–
※ すべて英語版
◆ ” roll “ の語源は、ラテン語「 車輪 」(rota)。
自動詞・他動詞・名詞がある。
いずれも多義、しかも日常的に使うものばかり。
動詞 ” roll ” の重要度と頻出度は、
LDOCE6(ロングマン)の表記によれば、
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
基本的意味は、
- 自動詞 「 転がる 」「 (車・時が)進む 」
「 (カメラを)回す 」 - 他動詞 「 転がす 」「 巻く 」
- 名詞 「 巻物 」「 名簿 」
【発音】 róul (1音節)
–
◆ 語源「 車輪 」や「 ロールケーキ 」「 ロールキャベツ 」のように、–
クルクル回転するイメージ
クルクル転がりつつ、前に 繰り出す 勢い
これで、 「 始める 」 に。
自動詞の ” roll ” である。
「 繰り出す 」は「 押し出す 」とざっくり換言できる。
–
◆ ” Let’s “ は、 “ let us ” の縮約形。
「 さあ皆さん、ご一緒に 」 または 「 私たちは ~ しよう 」。
- “ let ” – 他動詞 「 ~ しよう」
- “ us ” – ” we ” の目的格 「 私たち 」
「 レッツゴー 」は、“ Let’s go. ”
–
◆ 表題 ” Let’s roll. ” は、力強い掛け声そのもの。
- 「 さあ皆さん、ご一緒に始めよう 」
別の意味合いとして、
- 「 ご一緒に巻きましょう 」 … 料理などに使う
- 「 ご一緒に転がりましょう 」 … 妙だが、運動で使うかも
◆ ” roll “ は、日本人の苦手な ” R ” と ” L ” を含む。
【発音】 róul (1音節)
しかし、英語ネイティブには発音しやすい模様。
–
舌を 奥に巻き込み( R )、伸ばす( L )だけ
–
破裂音 plosive ( [p][t][k][b][d][g] )
のような、 舌・唇・歯・呼吸間の 複雑な相互作用は不要。
丸めた舌を「 べろ~ん 」とストレッチする流れなので、
無理のない自然な動き。
【発音】 róul (1音節)
1音節( one syllable )ゆえに、腹の底から ゲロする 迫力で、
一息に「 ロ ~ ル 」と発声する。
べろ~ん
ロ ~ ル
◆ 「 音節 」( syllable、シラブル )とは、発音の最小単位。
“roll” みたいな 1音節単語には、「 発音の最小単位 」
に切れ目がないため、ゲロするような凄みが出る。
一方、原則として「 仮名一字が1音節 」なのが日本語。
そのため、音節を意識する機会は乏しい。
日英の「 音節 」 については、” integrity ” で深掘りしている。
–
◆ あの極限の非常事態で ” Let’s roll ! ” が飛び出した事実は、
たやすく発音できる表現であることを物語るかもしれない。
- ” All set. Let’s roll. ”
(準備万端。では始めよう。)
【類似表現】
“Let’s get down to – ”
https://mickeyweb.info/archives/562
(さあ、〜に取り掛かりましょう。)
“move forward”
https://mickeyweb.info/archives/7144
(前進する、行動を起こす)
“Let’s get things going.”
https://mickeyweb.info/archives/10469
(みんなで事を進めましょう。)
【関連表現】
■ ” roll out ”
動詞 “roll” と 副詞 “out” が組み合わされた、句動詞( phrasal verb )。
“roll out” の場合、
自動詞の句動詞(句自動詞)と他動詞の句動詞( 句他動詞 )
の両方がある。
- 句自動詞 ( intransitive phrasal verb )
- 句他動詞 ( transitive phrasal verb )
- 句動詞の詳細 → “ follow through ”
【参考】 ※ 外部サイト
- 句自動詞 「 寝床から出る 」「 起床する 」
→ ベッドから「 転がって( roll )、外に出る( out )」
– - 句他動詞 「 広げる 」「 平たく伸ばす 」
–
◇ ビジネス用途 の句他動詞 ” roll out ” は、主に2つ。
1. 新製品を発売 する
2. 量産・本格展開 する
→ 市場に向けて、繰り出す・押し出す( roll out )
-
- “Swiss researchers plan to roll out new vaccine in October”.
(10月に新ワクチンを発表予定 – スイス研究者) ※ 見出し
– - “X and Y Roll Out New Coronavirus Tracking App”
(X社とY社がコロナ追跡の新アプリを発表) ※ 見出し
– - “US bases roll out new coronavirus restrictions”
(米軍基地、コロナウイルスの新たな制限を発表) ※ 見出し
– - “Economic benefits of COVID-19 vaccine roll out”
(新型コロナワクチン発売がもたらす経済効果) ※ 見出し
– - “X is rolling out 24/7 phone support.”
(X社は、24時間体制の電話サポートを開始します。)
- “Swiss researchers plan to roll out new vaccine in October”.