Let’s roll.
2020/11/17
さあ始めよう。
行動に着手する時の掛け声。
“Let’s get rolling.“
とも言う。
こちらとほぼ同義。
- “Let’s begin.“
- “Let’s get going.”
–
◆ ここでの “get”(下線部) は 自動詞。
自動詞用法の “get” の本義は「 ある状態に達する 」。
「得る」を意味する他動詞 “get” に比べれば、
自動詞 “get” はマイナー扱いされる。
※ カタカナ「~をゲットする」は、他動詞 “get”
自動詞 “get” も、基本かつ重要レベルの用法に
違いないので、同時に押さえておきたい。
「SV doing」のパターンでは、「 ~し始める 」。
- get rolling (rollを始める → 開始する)
- get going (rollを始める → 開始する)
その他の代表例は、
- get talking (talkを始める → 話し始める)
- get moving (moveを始める → 動き始める)
- get working (workを始める → 取り掛かる)
–
◆ 2001年の同時多発テロで、歴史に刻まれた表現。
Are you guys ready ?
Let’s roll !
Todd Beamer (1968-2001)
aboard United Airlines Flight 93
– September 11, 2001
(みんな準備はいいか。 いくぞ!)
コックピット内のハイジャック犯に立ち向かう際、
一乗客が発した “Let’s roll ! “。
当時、あらゆるメディアに取り上げられ、
この大事件を象徴する言葉となった。
- Wikipedia – “Let’s roll“
- Neil Young – “Let’s Roll“(2001年 発表曲)
- “Let’s Roll ! : Ordinary People, Extraordinary Courage”
–(2006年、Todd氏の妻 Lisa Beamer による手記) - “Let’s Roll : The Story of Flight 93”
–(2002年、イギリス TV映画、全長55分) - “The Flight That Fought Back”
(ドキュメンタリー、全長10分)
–
※ すべて英語版
◆ “roll” の語源は、ラテン語「車輪」(rota)。
自動詞・他動詞・名詞がある。
いずれも多義、しかも日常的に使うものばかり。
動詞 “roll” の重要度と頻出度は、
LDOCE6(ロングマン)の表記によれば、
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
基本的意味は、
- 自動詞「転がる」「(車・時が)進む」
「(カメラを)回す」 - 他動詞「転がす」「巻く」
- 名詞「巻物」「名簿」
【発音】 róul (1音節)
–
◆ 語源「車輪」や「ロールケーキ」「ロールキャベツ」のように、–
クルクル回転するイメージ
クルクル転がりつつ、前に 繰り出す 勢い
から 「始める」 に。
これが、自動詞 “roll” 。
「繰り出す」は「押し出す」とざっくり換言できる。
–
◆ “Let’s“ は、“let us” の縮約形。
「さあ皆さん、ご一緒に」または「私たちは~しよう」。
- “let” は、他動詞「~しよう」
- “us” は、”we” の目的格「私たち」
「レッツゴー」は、“Let’s go.”
–
◆ 表題 “Let’s roll.” は、力強い掛け声そのもの。
- 「 さあ皆さん、ご一緒に始めよう 」
別の意味合いとして、
- 「 ご一緒に巻きましょう 」 … 料理などに使う
- 「 ご一緒に転がりましょう 」 … 妙だが、運動で使うかも
◆ “roll“ は、日本人の苦手な “R” と “L” を含む。
【発音】 róul (1音節)
しかし、英語ネイティブには発音しやすい模様。
舌を奥に巻き込み(R)、伸ばす(L)だけ。
破裂音(P、B、T、D、K、G)のような、
舌・唇・歯・呼吸間の 複雑な相互作用は不要。
丸めた舌を「 べろ~ん 」とストレッチする流れなので、
無理のない自然な動き。
【発音】 róul (1音節)
1音節(one syllable)ゆえに、腹の底から ゲロする 勢いで、
一息に「 ロ~ル 」と発声する。
「音節」(syllable、シラブル)とは、発音の最小単位。
→ 音節の差異が顕著な日英比較は、”integrity” 参照
–
あの極限の非常事態で ” Let’s roll ! ” が飛び出した事実は、
たやすく発音できる表現であることを物語るかもしれない。
- “All set. Let’s roll.”
(準備万端。では始めよう。)
【類似表現】
“Let’s get down to – ”
https://mickeyweb.info/archives/562
(さあ、〜に取り掛かりましょう。)
“move forward”
https://mickeyweb.info/archives/7144
(前進する、行動を起こす)
“Let’s get things going.”
https://mickeyweb.info/archives/10469
(みんなで事を進めましょう。)
【関連表現】
■ “roll out”
動詞 “roll” と 副詞 “out” が組み合わされた、句動詞(phrasal verb)。
“roll out” の場合、
自動詞の句動詞(句自動詞)と他動詞の句動詞(句他動詞)
の両方がある。
- 句自動詞 (intransitive phrasal verb)
- 句他動詞 (transitive phrasal verb)
- 句動詞の詳細 → “follow through”
【参考】 ※ 外部サイト
- 句自動詞 「寝床から出る」「起床する」
→ ベッドから「転がって(roll)、外に出る(out)」
– - 句他動詞 「広げる」「平たく伸ばす」
–
ビジネス用途の句他動詞 “roll out” は、主に2つ。
1. 新製品を発売する
2. 量産(本格展開)する
→ 市場に向けて、繰り出す・押し出す(roll out)
-
- “Swiss researchers plan to roll out new vaccine in October”.
(10月に新ワクチンを発表予定 – スイス研究者) ※ 見出し
– - “X and Y Roll Out New Coronavirus Tracking App”
(X社とY社がコロナ追跡の新アプリを発表) ※ 見出し
– - “US bases roll out new coronavirus restrictions”
(米軍基地がコロナの制限を新たに発表) ※ 見出し
- “Swiss researchers plan to roll out new vaccine in October”.