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Puke / Barf

      2024/11/15

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 11 minutes

ゲロ、  ゲロする

体調不良・食中毒・酔った時など、
嘔吐したことのない成人は皆無であろう。

生きている限り、 いつ催すか分からないのが、

 ■  吐き気  ” nausea   


不可算名詞 >  uncountable  noun

【発音】  
nɔ́ːziə
【音節】  nau-se-a  (3音節)


語源は、 ギリシア語 「 船酔い 」( nausia )。

 ■  吐き気を催す状態  ” nauseous “   


形容詞 >  adjective

【発音】  
nɔ́ːʃəs
【音節】  nau-seous  (2音節)

” nauseous ” は、 ゲロしたくなる  状態だから、 形容詞。

 

 ■  吐き気を催す行為  ” nauseate “   


動詞 >  verb

【発音】  
nɔ́zièit
【音節】  nau-se-ate  (3音節)

 

絵文字 ( emoji ) コードは、 ” U+1F922 ” で、

🤢

nauseated face

 

◆  吐くのは、 実は卑近な行為なのだ。

汚いとばかり言ってられない。

嘔吐( おうと )の場合、 「 身振り手振り 」 の意思疎通は、
ちょっと恥ずかしい。

そこで、 次の4つの表現を覚えておきたい。

■  動詞 「 嘔吐する 」  =  ゲロする

  1.  vomit( 自動詞・他動詞 )
  2.  throw up( 句動詞 )
  3.  puke( 自動詞・他動詞 )
  4.  barf( 自動詞・他動詞 )

■  不可算名詞 「 嘔吐 」  =  ゲロ

  1.  vomit
  2.  throw-up    ※  通例はハイフン追加
  3.  puke
  4.  barf

■  不可算名詞 「 嘔吐」  =  ゲロ

  1.  vomit
  2.  throw-up
  3.  puke
  4.  barf


◆  中級学習者 なら、” vomit ”  と  ” throw up ”  は既習のはず。

すなわち、日常使用の正式な「 嘔吐する 」と「 嘔吐 」。

【発音】  vɑ́mit 
【音節】  vom-it  (2音節)

【発音】  θróu 
【音節】  throw  (1音節)

【 活用形 】
vomit – vomits – vomited – vomited – vomiting
throw – throws – threwthrown – throwing

過去形 「 ゲロした 」 は、” vomited ”  と  ” threw up “。

◇  エログロ描写  にはよくあることだが、

俗称   も定着している。


それが、puke barf

【発音】  pjúːk  (1音節) 
【発音】  bɑ́ːrf  (1音節)

2語とも、「 1音節 ( one syllable

◇  発音の際 は、  腹の底から、
ゲロする迫力 で、 一気に吐き出す


「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位

この 「 発音の最小単位 」 に切れ目がない 「 1音節 」

( one syllable ) なので、 一気にゲロする凄みが出る。

日本語は、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。

そのため、 音節を意識する機会は乏しい。

音節の日英比較は、” integrity ”  で事細かに取り上げている。
( 図入り、 動画入り )

◆  大人による表現であれば、 言うまでもなく、

” vomit ” と ” throw up ” 中心


基本的には、” vomit ”  と  ” throw up ”  だけで、
名詞・動詞 とも対応できる。

しかしながら、「 ゲロ 」 が常用語であるように、
” puke ”  と  ” barf ”  も意外に見聞きする。

プライベートでなら、 大人も両方使うだろう。

 



♪ ゲゲのゲ~ ♪

 


重要度と使用頻度は 「 ゲロ 」 並みであるものの、
一度は学んでおくとよい。

◆  ” puke ” には、他動詞・自動詞・名詞がある。

【発音】  pjúːk  (1音節) 

意味は「 嘔吐 」関連がすべて。

人を罵る 「 ゲロ野郎 」 などにも派生している。

” puke ” は、 早くも16世紀から使われている。

語源は不詳だが、 おそらく「 擬音語( ぎおんご ) とされている。

擬音語 ( オノマトペ、 onomatopoeia ) とは、実際の音を真似た言葉。

擬声語 ( ぎせいご )とも言う。

【参照】  “ tingling sensation (ASMR) ”、   “ ring a bell



◆  となれば、 覚え方はこう。

ピュー 吐くから  puke

【発音】  pjúːk  (1音節) 

「 1音節 」 なので、腹の底から  ゲロする勢い  で一息に発音。

 

ピュー

◆  ” barf ” にも、 他動詞・自動詞・名詞がある。

さらに、間投詞 げっ 」「 ちぇっ 」が加わる。

【発音】  bɑ́ːrf  (1音節)

「 間投詞 」( interjection )とは、感動や応答を表す語で、
単独で文となりうる呼掛け言葉。

「 感嘆詞 」( exclamation )とも言う。

「  ! ( 感嘆符 )」 は、” an exclamation mark “  または
” an exclamation point ”。

【例】
” Oh ! “、 ” Oops ! “、 ” Alas ! “、
Whoa ! “、 ” Gross ! ” 、 “ Welcome back ! ”、
Well done ! ”、 ” Snap ! “、 ” Check


” barf ” は、1960年初出。

これまた、 擬声語由来とされる。

またまた  「 1音節 」 なので、 ゲロする勢い  で発音。

バー と吐くから  barf

【発音】  bɑ́ːrf  (1音節)

 

バー

比較的新しい言葉だけあり、「 嘔吐 」 の他に、

ハッカー用の 「 エラーメッセージ 」 を意味する。

 

絵文字 ( emoji ) コードは、 ” U+1F92E ” で、

🤮

face vomiting

◆  ” puke ” と ” barf ” は、ほとんどの英和辞典に【 】、
そして英英辞典の一部に  ” slang ” と記載されている。

確かに、

  ” informal ”  →  非正式、くだけた表現  

ただし、

  卑語ではなく、 格別下品でもない  


まさしく 「 ゲロ 」 

 

ピュー

バー

 

イメージも、 語感も、 ゲゲゲのゲ~ 

 


◆  上掲「 堅さ 」ランキング( 私見 )の通り、
” puke ” の方が、 若干上品な印象を帯びる。

これを裏付けるため、 世界最大の英語辞典  “ OED ” を挙げる。

” barf ” には、 初っ端から ” slang ” とある。

動詞  “v.“( verb )も、 名詞  “sb.“( substantive )も、
まず  “slang” ( スラング ) と明示されている。

◇  “ sb. ”  =  “ substantive
「 実質的な 」 「 かなりの 」 に加え、 文法用語としては、
名詞の 」 「 名詞的な 」 を意味する形容詞。


◇  動詞 
” barf / bɑ́ːrf1音節


“Barf.”  The Oxford English Dictionary.  2nd ed. 1989.


一方、” puke ”  の場合、 ” vomit ” を意味する語義( 1 と 2 
に  ” slang ”  表記はない。

” puke ”  の  ” slang ”  は、 別語義の「 嫌な奴 」( 3. U.S. a slang
などに当てられている。


◇  動詞 
” puke “ / pjúːk1音節


“ Puke. ”  The Oxford English Dictionary.  2nd ed. 1989.


以上は、“ OED “ ( オーイーディー )の略称で名高い、
“ The Oxford English Dictionary ” ( オックスフォード英語辞典 )。

[公式サイト]  →  http://www.oed.com/

1884年にイギリスで刊行が始まり、最新版の第2版は1989年刊。

全20巻、2万1730頁、29万1500の見出し語、62kg。

世界最大の英語辞典である。

語義の配列は、頻出順ではなく、発生順の「 歴史主義 」。

成立の経緯を、系統的にたどれる利点がある。

“ OED ”  編集主幹の James Murray 博士  ( 1837-1915 )
については、” in place ” で触れている( 写真入り )。

◆  お次は 「 げろ 」。


「 げろ 」

  へど。   嘔吐。

( 広辞苑 第七版 )


 

一  (名・自サ)
1.  へど。
2.  自白。

二  (造語)
ひどく

( 三省堂国語辞典 第八版 )

(名)


嘔吐物。   反吐。

( 明鏡国語辞典 第三版 )


先の世界最大 ” OED ” と同じく、どれも語釈の全文である。

日本国語辞典名を誇る、『 日国 』全文はこちら。



日本国語辞典 第二版 』 第4巻、 p. 1440.

小学館( 2001年刊 )


別巻を含めると、 全14巻 で構成されている。

「  げろげろ  」も、 れっきとした言葉である模様。

今度、 職場で使ってみようと思う。

 

◆  「 嘔吐 」することを、 婉曲的 に 「 リバース 」 と
カタカナ表記する傾向が、 インターネットなどで見られる。

英語の  ” reverse ” には、 吐く意味はない。

【発音】  rivə́ːrs
【音節】  re-verse  (2音節)


語源は、 ラテン語 「 折り返す 」「 戻す 」( revertere )。

「 戻す 」  →    ゲロ

巧みなセンスを感じる流れとはいえ、 残念ながら、

” reverse ”  に 「 嘔吐 」 の意はなく、 和製用法。

 

 リバース 

 

◆  思うに、 「 リバース 」 の代わりに、 日本でも、

ピューク 」 または 「 バーフ 」 を取り入れるとよい。

ピューク 」 「 バーフ 」 の語調は、

なんだか滑稽でかわいらしく、 日本語との相性も良好な印象。

私たち日本語母語話者にも言いやすい。

どことなく愛嬌のある響き。

  •  ピューク しちゃった。
  •  バーフ したいの。

頭をなでて、 介抱したくなる気分。

こっちはどうか。

  •  ゲロ しちゃった。
  •  ゲロ したいの。

思わず、 ぶん殴りたくなる汚さ。

近寄るなよ。

語感は 動機を 左右する


やはり言葉遣いは大事。

もしも、 「 ピューク 」 「 バーフ 」 が定着したら、
ゲロ 」 同然の不潔な取り扱いに変容するか。

普及に伴う位置づけの変化を観察したくなってくる。

 

◆  微妙な成り立ち ( 戻す  →  ゲロ ) で、  へんてこ和製語の

リバース 」 に比べ、 どうせなら英語でも立派に通じる

ピューク 」 「 バーフ 」 の方がふさわしいと考える。

嘔吐は世界共通。

人類みなゲロ仲間。

ますます加速する国際化に向けて、 改称を提唱してみたいが、
いかがだろう。

× リバース 」  →  「 ピューク 」 and/or 「 バーフ

ピュー  と吐く「 ピューク 」

 

バー と吐く「 バーフ 」



英語の擬声語 ( onomatopoeia ) つながりで覚えやすい。

いざ、 ゲロしたくなった時のために、 知っていて損はない。

非常時に苦しい  「 身振り手振り 」  は絶対避けたいもん。

洗練された語彙運用でキメてみたい。

備えよ常に。

  •  I’m going to vomit.
  •  I’m going to throw up.
  •  I’m going to puke.
  •  I’m going to barf
    ( ゲロ吐きそう。)

疑問文( interrogative )にすると、

  •  Are you going to vomit
  •  Are you going to throw up
  •  Are you going to puke
  •  Are you going to barf
    ( ゲロ吐くの ?


上記は思いやりに欠ける応対で、 露骨な本音が匂い立つ。

「 えええっ !? 」  「 まさか 」  「 やめてよ

明け透けに嫌がる雰囲気なので、 推奨できない言い様。

げろげろは歓迎されない為体、 自然な反応には違いない。


◆  誰に対しても適切なのは、 既述の形容詞  ” nauseous “。

  •  I feel nauseous.
  •  Do you feel nauseous

大人の知性がきらめく、 シンプルな言い回し。

デリカシーのかけらもない 「 ゲロ 」 が放つ、
あからさまな気品のなさを包んでくれる心遣い。

けれども、 とにかく発音しにくい。

【発音】  nɔ́ːʃəs
【音節】  nau-seous  (2音節)


あらかた親しみやすい音で構成される、 擬声語の偉大さをふと思う。

◆  英語  ” reverse ”  の使用例は、

 

ゲロ ギア ?

  •  reverse gear 
    ( バックギア )    ※  車両の後退ギア
    AT車・MT車 とも、 「 R 」 がこれ。
  •  See reverse.
    ( 裏面参照 )    ※  文書など
  •  Reverse page order.
    ( ページ順序を逆にする )    ※  プリンターの設定文言
  •  reverse power harassment 
    ( 逆パワハラ )


「 逆パワハラ 」 は、 米国人上司と口論した際に、 面と向かって、


I could sue you for reverse power harrassment !

( 逆パワハラで訴えてやりたいくらいだ !


こうして面罵されたおかげで、 すかさず銘記できた ( 2022年5月 )。

直ちに長期記憶 ( long-term memory、 LTM ) 入りした自覚あり。

大声で怒鳴られ、 くっきり記憶に焼きつき、 恩に着ます。

きっと、 今後も忘れないだろう。

これぞ、 直接体験 ( firsthand ) の持ち味で、 ” No pain,  no gain. ”

当日中に  単語帳  に登録してしまうのが、 長年の習わし。

【参照】   語彙採集、  「Gmail」で作る単語帳、 ” no need




誰かに話したくなる人生で役立つ雑学まとめ
https://www.youtube.com/watch?v=vcAoowDs6_k&t=603s
2024年10月6日付    ※  動画全長 12分58秒



叱られまくって半世紀、 日毎夜毎、 語彙力を強化中。

 

◆  なお、 セクハラ ( sexual harassment ) と異なり、
「 パワハラ 」  は世界標準には至っていない感触がある。

検索 しても、 日本関連の記事が圧倒的多数。

その一因として、 パワハラに関しては、 「 戦わずに逃げる 」
潮流が他国の主流を占め、 表面化しにくいからかもしれない。

【発音】  rivə́ːrs
【音節】  re-verse  (2音節)

◆  近頃は耳にしないが、 昔は 「 こまもの 」 も割かし身近だった。

「 つい飲み過ぎて、 こまもの広げちゃった !

という感じで、 普通に使われていた気がする。

もしかして、 私だけだったのかしらん。



日本国語辞典 第二版 』 第5巻、 p. 1056.
小学館( 2001年刊 )


◇  『 日国 』 と ” OED ” は入手済み   →   辞書の「自炊」と辞書アプリ
( 写真入り )

 

◆  ちなみに、 飛行機などの備品 「 エチケット袋 」。

ゲロ袋 とも言う。

英語では  ” nausea bag ”  が一般名称。

【発音】  nɔ́ːziə
【音節】  nau-se-a  (3音節)

sick bag ”  も使う。

【発音】  sík
【音節】  sick  (1音節)

【参照】 ” sick ”  →  名詞よりは、 形容詞が中心

例のごとく、 英日それぞれ  俗称   もある。

◇  ” barf bag ”  と 「 鬼太郎袋 ( きたろうぶくろ )」 がそれ。

出所は『 ゲゲゲの鬼太郎 』( 水木しげる 、1922-2015 )で、

擬声語  に準じる。

「 鬼太郎袋 」は、プロの客室乗務員も使っている語らしい  …

♪ ゲゲゲのゲ~ ♪

 


ゲロ袋 」の 俗称

↑  おすすめの ゲロ袋

poop bags ” 用途  や  トイレが詰まった  時にも大変便利

( 人畜共通 で使える逸品 )


  • “Sorry, I puked on your bed.”
  • “Sorry, I barfed on your bed.”
    ( ごめん、 ベッドの上にゲロしちゃった。)
  • “I woke up to find her puking in my bed.”
    “I woke up to find her barfing in my bed.”
    ( 起きたら、 彼女が俺のベッドでゲロしてた。)
  • “He puked all over the place.”
  • “He barfed all over the place.”
    ( 彼はそこら中にゲロしたんだ。)
  • “Puking in a restaurant is a big no-no.”
  • “Barfing in a restaurant is a big no-no.”
    ( 飲食店内でゲロするのは、絶対禁物よ。)
  • “My father got drunk and puked on me.”
  • “My father got drunk and barfed on me.”
    ( 父が酔っぱらって、私にゲロしたの。)
  • “I got boozy and puked on my daughter.”
  • “I got boozy and barfed on my daughter.”
    ( 酔っぱらって、娘にゲロ吐いてしまった。)
  • “I puked on the drive home.”
  • “I barfed on the drive home.”
    ( 帰りの車でゲロ吐いた。)
  • “I was carsick and puked in a barf bag.”
  • “I was carsick and barfed in a sick bag.”
    ( 車酔いして、 ゲロ袋に吐いた。)
  • “I’m wearing clothes that are covered in dog puke.”
  • “I’m wearing clothes that are covered in dog barf.”
    ( 犬のゲロまみれの服を着ています。)   ※  名詞
  • “We spent seven months covered in baby puke. “
  • “We spent seven months covered in baby barf. ”
    ( 赤ちゃんのゲロまみれで7か月を過ごしました。)   ※  名詞
  • “This makes you want to puke.”
  • “This makes you want to barf.”
    ( こんなのゲロしたくもなるわ。)
  • “You make me puke.”
  • “You make me barf.”
    ( あんたはゲロを催させる。)    ※  罵倒

 

 

げろげろ

ピュー ク                   バー
リバース
( 和製用法 )

 

 

 

【参考】    ※  外部サイト

  「 ゲロ袋 」 が主題のドキュメンタリーのショートムービー( 全編 ) 

カンヌライオンズ 2024 – ヘルス&ウェルネス部門グランプリ ( Grand Prix ) 受賞作。



https://www.canneslions.com/news/first-winners-announced-at-the-71st-cannes-lions-festival
2024年6月17日付

※  2024年7月3日 アクセス


【 和文の解説 】
https://note.com/kikakusya/n/n4001ac8fa384

2024年6月18日付

 

 

 

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