最悪の事態
「最悪の事態」が定訳。
日常使用では、
“a nightmare scenario“(悪夢のシナリオ)
と置き換えることができる。
この日本語と同じく、ビジネス・プライベート
問わず見聞きするフレーズ。
◆ “worst-case” は、ひとまとまりで形容詞。
新しい表現で、初出は1964年。
形容詞 “worst” と 可算名詞 “case” をハイフン
でつないだ複合形容詞(compound adjective)である。
※ ハイフンを入れない表記もある
【例】”so-called“、”laid-back“、”unheard-of“、
“fill-in“、”wake-up“、”self-explanatory”、
“long-overdue”
“worst” には、形容詞・副詞・名詞・他動詞
がある。
「ワースト」だから「最悪」。
- 形容詞 “worst” は、同じく形容詞の
“bad” や “ill” の最上級 - 副詞 “worst” は、同じく副詞の
“badly” や “ill” の最上級
反意語は、どちらも “best”。
最上級なので、ともに “the” がつくのが通例。
表題は、形容詞の “worst”。
※ “a nightmare scenario” には
最上級を含まないため、可算名詞の
“scenario” に従って、不定冠詞 “a”
※ “worst-case scenario” をひとくくりで
「名詞」と解釈し、“a” を用いる場合もある。
この場合、複数の<最悪ケース>を想定している。
(例文参照)
◆ “case” は、名詞のみだが多義で、
可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
基本的意味は、
「場合」「事例」「真実」「真相」
「状態」「訴訟」「事件」「該当者」
このうち、表題では「場合」「事例」
「状態」に該当し、可算名詞。
◆ “scenario” も、可算名詞のみであるが、
こちらは多義でない。
語源はイタリア語で、「シナリオ」の意味。
「台本」「脚本」から派生して、
「筋書」「予定」も意味する。
表題では「筋書」で、今後起こりそうな予想を指す。
最上級の冠詞 “the” + 形容詞 “worst-case” +
可算名詞 “scenario”
したがって、”the worst-case scenario”
の直訳は「最悪の筋書」。
けれども、計画は立てられる。
戦略的な計画(strategic planning)のためには、
「最悪の事態」を想定する必要がある。
■ “the worst-case scenario” の概念は、
リスクマネジメント(危機管理)の分野で
開発された。
実は、れっきとした<専門用語>なのである。
具体的には、機械工学・情報科学・自然災害など
の事故予防や対策に用いられてきた概念である。
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最悪の事態を想定し、あらゆる側面から検討する。
ビジネスの「ベスト・ケース、ワースト・ケース分析」
に共通する考え方である。
これは、個人の日常や人生にも役立つ。
未来は不確実である以上、最悪の状態も考慮しなければ、
なかなか前進できないのは、ビジネスに限らない。
だからこそ、場面を問わず、幅広く使われるのである。
“We have to avoid the worst-case scenario.”
(我々は最悪の事態を防がなければならない。)
“I think we are facing the worst-case scenario.”
(私たちは最悪の事態に直面していると思うわ。)
“What is your worst-case scenario ? ”
(ご自分の想定する最悪の事態とは何か?)
“In the worst-case scenario, we will all die.”
(最悪の場合、私たちは全員死ぬ。)
◆ 複数の「最悪ケース」を想定し、そのうちのひとつ
を例示する場合は、“the” でなく “a” も可能。
“In a worst-case scenario, we may lose 100 lives.”
(最悪の場合、100名の人命が失われかねない。)
“Think about a worst-case scenario and prep for it.”
(最悪の事態を考えて、それに備えよ。)
“You should have asked for a worst-case scenario.”
(最悪の場合を考えておけばよかったのに。)
“Here are our worst-case scenarios.”
(これが我々が想定する最悪の事例です。)