間抜け、 ばか
” stupid ” と異なり、 自ら使う機会はめったにないだろう。
【発音】 ʃmʌ́k (1音節)
頻出から程遠く、 知らなくても困らない。
辞書上の重要度・頻出度は、完全ノーマーク。
間違いなく、マイナー単語。
だが、映画などで遭遇することはある。
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◆ あらかじめ知らないと、聞き落とす可能性は高い。
なぜなら、発音が相当変わっているから。
発音 / ʃmʌ́k / は、初めて聞くと「げっぷ」のよう。
1音節( one syllable )なので、 腹の底から ゲロする 勢いで、
「 シュマック 」 と一気に吐き出す。
日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います
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英 語 「 息の音 」
日本語 「 声の音 」
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シュ マッ ク
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「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位。
日本語の場合、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。
そのため、 音節を意識する機会は乏しい。
音節の日英比較は、 ” integrity ” で事細かに取り上げた ( 図入り、 動画入り )。
日本語母語話者にとって、
英語の発音は動物の鳴き声に近い。
日本語で表記しがたいのは言うもおろか。
犬猫の声と一緒で、 そもそも日本語では書き起こし
きれないのに、 英語音を無理くり邦文で表現しようとする。
等しく不条理だからアプローチを変える。
口周りをまじまじと見据えて、 模倣する。
👄 唇をよく見て 🫦
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※ やり方は、 ” integrity ” へ ( 図入り、 動画入り )
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【参考】 ※ 外部サイト
- 多言語の習得は 「 音 」 から 脳領域特定、 文法理解早く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF251YP0V20C24A2000000/
2024年2月26日付–
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◆ とにかく、 単語認識は容易でない。
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” Schmuck ! ” と面罵されても、 まるで気づかない。
ありうる話だと思う。
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ぽこちん !
ちょっと情けない。
だから、 ここで学んでしまおう。
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◆ ” schmuck ” は、 可算名詞 ( countable noun )のみの単語。
語源は、 イディッシュ語 「 ペニス 」( penis )。
【音節】 pe-nis (2音節)–
発音 / píːnis /
「 ピー ニス 」 または 「 ピー ナス 」
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「 ぺ 」 でなく 「 ピ 」
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すなわち、「 男根 」 = おちんちんのこと。
” penis ” の語源は、 ラテン語 「 尾 」 ( pēnis )。
この由来にもかかわらず、 ” schmuck ” は
「 卑語 」 とされない のが一般認識 ( 後述 )。
そもそも、 成り立ちを知らない人がほとんど。
語源を知れば、 なかなか使いにくいかも。
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◆ 次のような 下品さ も含むとはいえ、
有名人のインタビューでも見聞きする ( 例文参照 )。
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< 可算名詞 ” schmuck ” >
- ばか
- あほ
- 間抜け
- のろま
- ちんぽこ → まれ
- マスかき男 → まれ
- informal
a stupid person.
( LDOCE6、ロングマン )
– - informal, disapproving(※)
a stupid person.
( OALD9、オックスフォード )
– - Mainly US, informal
a stupid or silly person.
( CALD4、ケンブリッジ )
【発音】 ʃmʌ́k (1音節)
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◇ “ disapproving ”
( 形容詞 ) = 「 非難する表現 」「 好意的でない表現 」
英英辞典の凡例用語である。
【発音】 ˌdɪs.əˈpruː.vɪŋ
【音節】 dis-ap-prov-ing (4音節)
主要な英和辞典と英英辞典の多くに、
- 俗
- informal
- slang
のいずれかの表記がある
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『 リーダーズ英和辞典 第3版 』 に至っては、
< 【卑】 ペニス >と併記されている。
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■ しかし、 男根そのものを ” schmuck ”
と表す用法は、 日常的に極めて珍しい。
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上記の 3大学習英英辞典( EFL辞典 )の説明は、
“ a stupid person ” で一致し、完結している。
【発音】 stúːpəd
【音節】 stu-pid (2音節)
これぞ ” schmuck ” の基本的意味に他ならない。
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◆ 以上より、 名詞 ” schmuck ” は、
1) 他者を深く傷つけ、侮辱する意味合いは薄い
2) 日常的な 「 ばか 」「 あほ 」 などと同程度
3) その他はマイナー用法
- “He is such a schmuck.”
(彼って、本当に間抜けなの。)
– - “Don’t lie to me, you dumb schmuck.”
(嘘つくな、このあほったれめが。)
– - “I can’t believe what a schmuck you are.”
(信じられない、どうしてそんなにばかなの。)
– - “I was a schmuck.”
(私は間抜けだった。)
–
- “Don’t be a schmuck, you are embarrassing me.”
(ばかな真似はよせ、俺に恥をかかせるな。)
こんな具合に使うのが普通。
ひどい言い草ではあるが、 社会的には許容範囲内だろう。
” schmuck ” が 「 卑語 」 になるとすれば、
特殊な場面に限定されると考えてよい。