Schmuck
2021/12/02
間抜け、 ばか
” stupid ” と異なり、 自ら使う機会はめったにないだろう。
【発音】 ʃmʌ́k (1音節)
<頻出>から程遠く、知らなくても困らない。
辞書上の重要度・頻出度は、完全ノーマーク。
間違いなく、マイナー単語。
だが、映画などで遭遇することはある。
–
◆ あらかじめ知らないと、聞き落とす可能性は高い。
なぜなら、発音が相当変わっているから。
発音 / ʃmʌ́k / は、初めて聞くと「げっぷ」のよう。
1音節(one syllable)なので、腹の底から ゲロする 勢いで、
「 シュマック 」と一気に吐き出す。
–
「 音節 」( syllable、シラブル )とは、発音の最小単位。
日本語の場合、原則として「 仮名一字が1音節 」。
そのため、音節を意識する機会は乏しい。
→ 音節の差異が顕著な日英比較は、” integrity ” 参照
◆ とにかく、単語認識は容易でない。
–
–
” Schmuck ! ” と面罵されても、まるで気づかない。
ありうる話だと思う。
–
ぽこちん !
ちょっと情けない。
だから、ここで学んでしまおう。
–
ー
◆ ” schmuck ” は、可算名詞 のみの単語。
語源は、イディッシュ語 「 ペニス 」( penis )。
” penis ” は、2音節( pe-nis )。
発音 / píːnis /
「 ピー ニス 」 または 「 ピー ナス 」
「ぺ」 でなく 「ピ」
すなわち、「 男根 」 = おちんちんのこと。
” penis ” の語源は、ラテン語 「 尾 」 ( pēnis )。
この由来にもかかわらず、 ” schmuck ” は
「 卑語 」 とされない のが一般認識 (後述)。
そもそも、成り立ちを知らない人がほとんど。
ー
◆ 次のような 下品さ も含むとはいえ、
有名人のインタビューでも見聞きする (例文参照)。
< 可算名詞 ” schmuck ” >
- ばか
- あほ
- 間抜け
- のろま
- ちんぽこ → まれ
- マスかき男 → まれ
- informal
a stupid person.
( LDOCE6、ロングマン )
– - informal, disapproving(※)
a stupid person.
( OALD9、オックスフォード )
– - Mainly US, informal
a stupid or silly person.
( CALD4、ケンブリッジ )
【発音】 ʃmʌ́k (1音節)
–
–
◇ “ disapproving ”
( 形容詞 ) = 「 非難する表現 」「 好意的でない表現 」
英英辞典の凡例用語である。
【発音】 ˌdɪs.əˈpruː.vɪŋ
【音節】 dis-ap-prov-ing (4音節)
主要な英和辞典と英英辞典の多くに、
【俗】 / “informal” / “slang”
のいずれかの表記がある
–
『 リーダーズ英和辞典 第3版 』に至っては、
< 【卑】 ペニス >と併記されている。
–
■ しかし、男根そのものを ” schmuck “
と表す用法は、日常的に極めて珍しい。
–
上記の 3大学習英英辞典( EFL辞典 )の説明は、
“ a stupid person ” で一致し、完結している。
【発音】 stúːpəd
【音節】 stu-pid (2音節)
これぞ ” schmuck ” の基本的意味に他ならない。
ー
◆ 以上より、名詞 ” schmuck ” は、
1) 他者を深く傷つけ、侮辱する意味合いは薄い
2) 日常的な「 ばか 」「 あほ 」などと同程度
3) その他はマイナー用法
- “He is such a schmuck.”
(彼って、本当に間抜けなの。)
– - “Don’t lie to me, you dumb schmuck.”
(嘘つくな、このあほったれめが。)
– - “I can’t believe what a schmuck you are.”
(信じられない、どうしてそんなにばかなの。)
– - “I was a schmuck.”
(私は間抜けだった。)
–
- “Don’t be a schmuck, you are embarrassing me.”
(ばかな真似はよせ、俺に恥をかかせるな。)
こんな具合に使うのが普通。
ひどい言い草ではあるが、 社会的には許容範囲内だろう。
” schmuck ” が 「 卑語 」 になるとすれば、
特殊な場面に限定されると考えてよい。