あなたが私にしてくれたように、私の時と同じく
Please welcome him,
like you’ve done for me.
(私にしてくださったように、
彼も温かく迎えてあげてください。)
異動に伴う仕事の引き継ぎ時に、よく見聞きする。
ご縁のあった仕事仲間への感謝と同時に、
後任者へ思いやりを示す
しんみりする挨拶である。
残される者が報われるような、心地よい穏やかさがある。
中身が濃い割に、単語も文法も基本のみ。
しかも、口頭でも文面でも使える。
自分が異動する際には、あやかりたくなる。
◆ “like you’ve done for me” だけでは意味をなさない。
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したがって、単独では使わないのが普通。
和訳と同様である。
■ 通常は、相手に対するお願いに続く文言である。
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複文(complex sentences)となるため、直前にコンマを入れるのが通例。
- “Please be nice to him, like you’ve done for me.”
(私にしてくれたように、彼にやさしくしてください。)
– - “Please give them a chance, like you’ve done for me.”
(私にしてくれたように、彼らにもチャンスをお与えください。)
– - “Please help her out, just like you’ve done for me.”
(ちょうど私にしてくれたように、彼女を助けてあげてね。)
相手にお願いするため、上記例のごとく、間投詞 “please”
(どうか、ぜひ)をつけるパターンが一般的。
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■ “like” は、前置詞「~のように」「~に似て」。
ー【参照】”and the like”
自他動詞 “like”(好き)とは、語源の異なる別物 である。
ー【参照】”well-liked”
– 動詞「好き」→ 古英語「喜びを与える」(līcian)
– 前置詞「~のように」→ 古英語「似ている」(gelīc)
この2語は、発音は完全に同じ(láik)。
1音節の「ライク」。
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■ “you’ve” は “you have” の縮約形。
代名詞 “you” は、単数・複数(あなたたち)のいずれもありうる。
その時の状況次第である。
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■ “have” は完了形を示す助動詞で、自他動詞 “do”(行う)の
過去分詞形 “done” に伴って、”you’ve done”(あなたが行った)。
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■ “for” は、目的・対象の前置詞「のために」。
目的格 “me” を加えて「私のために」。
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以上より、直訳は「私のためにあなたが行ったように」。
平たく言えば「私にしてくれたように」。
先述の通り、単語も文法も基本ばかり。
すべて日本の中学校で学ぶレベルである。
にもかかわらず、これほど心に染みる内容を
表すことができる。
むしろシンプル表現の方が、飾り気がない分、
染み入る効果が高かったりする。
日本の中高生が学ぶ英語(単語・文法)だけでも、
人の心を大きく動かすことができるのだ。
ただ、そのための<言い回し>が分からない。
既習英語でカバーできることさえ気づかない。
はがゆい。–もどかしい。–もったいない。
的確なサポートさえあれば、十分通じる力量を有する
日本人学習者は多いと常々感じている。
その一助となることを願い、弊サイトではシンプルで
実用的な英語を優先してお伝えできればと考えている。–
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【関連表現】
“in good hands”
https://mickeyweb.info/archives/39390
(安泰である)