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Demanding

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大変な、  きつい、  自分勝手な 

「  要求の多い 」 状態を表す形容詞。

【発音】  dɪˈmæn.dɪŋ
【音節】  de-mand-ing  (3音節)

動詞  ” demand “( 要求する ) の現在分詞 ” demanding ” が、
形容詞 ( 過度に要求する ) になったもの。

◆  仕事関連の  ” demanding ”  であれば、 この3つ。

辞書の文例を飾る代表格。

  • a demanding job
    ( 大変な仕事 )
  • a demanding customer
    ( 注文の多い顧客 )
  • a demanding boss
    ( 要求の高い上司 )


苦慮して対応する側にしてみれば、 それぞれ本音は
「 きつい仕事 」 「 面倒な客 」 「 うるさい上司 」
など。

上司やお客様とはいえ、 無茶な要求が続くと、 悪態を
つきたくもなる。

だが 、社内であっても、 基本的に悪口はご法度

プロとしての自分の価値・品位を守るためでもある。

その代わりに活用すべきが  ” demanding “。

◇  形容詞  “ demanding ”  は、

ネガティブな響きを  覆い隠し つつ、
「 要求が高すぎる 」 ことへの不満を表す


こんな効果がある。

【発音】  dɪˈmæn.dɪŋ
【音節】  de-mand-ing  (3音節)

※  例外は後述


とりわけ、 どこか 自分勝手でわがままな困った相手
を体よく表現するのに重宝する。

相手に反撃を食らわせたいところ、 立場上そこは我慢。

鬱積した感情のはけ口として、 自分の品性を保ちながら
取り扱うのに、 形容詞  ” demanding ”  は便利である。

◆  職場に限らず、 家庭内での不満にも使える。

  • demanding  chores
    ( 大変な家事 )
  • a  demanding  husband
    ( 要求しすぎる夫 )
  • demanding  children
    ( 手のかかる子どもたち )


すべてを差し置いて、 相手の要求に応じなければならない。

体調が悪い時などは、 かなりしんどく、 煩わしい。

それを察して、 気遣い、 自制してくれる相手ならば、
” demanding ”  になりにくい。

とすれば、 ” demanding ”  は身勝手で一方的に近い。

特に、 大人に対して、 この形容詞を用いる場合は、
反発心の表れ  であることが少なくない。

◆  冒頭の通り、” demanding ” は、動詞 ” demand ”
の現在分詞  ” demanding ”  が形容詞になったもの。

” demand ”  の語源は、  ラテン語  ” dēmandāre “。

で、 「 強く命じる 」。

 

<  動詞の類語比較  >


■  ” demand
権威をもって ( 時に、高圧的に ) 強く要求する

■  ” claim
所有・請求などの権利を主張して要求する

■  ” require
公の決まりなどによって

■  ” exact
強要する

『 ランダムハウス英和大辞典  第2版 』
小学館、 1993年刊 ( 物書堂  アプリ版 )
…  ” demand ” の語釈より


※  4語とも、 自他動詞だが、 いずれも 他動詞 中心に使われる

※  ” require ”  →  名詞  ” requirement
( 要求されるもの、要件 )

このように、 ” demand ”  の語源からして、
威圧的で、 高飛車な態度を含んでいる。

これぞ  ” demanding ”  の本質であることが分かる。

とにかく  うざく厄介な対象  に使う場面が目立つ。

◆  その対象を、 無生物 生物 に分けて説明する辞書が多い。

今回調べた9点の英英辞典のうち、 二分していたのは5点。

日本人に人気の高い「 4大学習英英辞典 」( EFL辞典 )では、
LDOCE6、 OALD9、 COBUILD9  が該当する。

以下、 語釈の 1. が無生物、  2. が生物。

生物は一般的に人間を指すが、 ペットなどでもよい。

demanding

■  LDOCE6 ( ロングマン )
1.   needing a lot of ability, effort, or skill.
2.   expecting a lot of attention or expecting
to have things exactly the way you want them,
especially in a way that is not fair.

■  OALD9 ( オックスフォード )
1.   (of a piece of work) needing a lot of skill,
patience, effort, etc.
2.   (of a person) expecting a lot of work or
attention from others; not easily satisfied.

■  COBUILD9 ( コウビルド )
1.   A demanding job or task requires a lot of
your time, energy, or attention.
2.   People who are demanding are not easily
satisfied or pleased
.

※  下線、 ハイライトは引用者

 

唯一、CALD4は1つにまとめて説明

■  CALD4 ( ケンブリッジ )
needing  a lot of time, attention, or energy.

 

【発音】  dɪˈmæn.dɪŋ
【音節】  de-mand-ing  (3音節)


語釈 2. ( 生物 ) の下線部を読むと、  自己本位な気難しさが漂う。

大変な点は、 語釈 1.( 無生物 )と、 そう変わらない。

” need ” ( ハイライト部分 ) の語感と注意点については、
no need ”  で事細かに取り上げた。

” need ”  は、  重要かつ頻出なのに、  注意を要する基礎単語。

【発音】  níːd  (1音節)

 

◆  以下、 ” no need ”  より再掲。

need ” は、日本語の「 必要 」に比べ、


「 感情 」に強く訴えかける単語


切羽詰まった「 神経質 」な響き

( 中略 )

◆  あえて大胆な言い方をすれば、

限界状態に身をよじり、 もう 我慢できず、
ギャー ギャー 騒ぎ立てる有様 が  ” need “


ヒステリックな気配で、 押しが強い。

日本語の 「 必要 」 「 要求 」 「 需要 」 「 求め 」
が備える、 品よく、 しっとりした落ち着きには乏しい。

どこまでも自分側の意思通りに、 無理無体に事を運ぼうとする
強引さ。

とにかく、 余裕がない。

 

▲▲  再掲終わり  ▲▲


◆  先ほど、 引用した「 4大学習英英辞典 」の語釈には、
needing ”  が3つ入っている。

動詞  ” need ”  の 現在分詞形 ( present participle ) である。

こんな強烈な単語を、 複数のEFL辞典が起用している
ことからも、 ” demanding ”  の性質が理解でいるはず。

こうして見てくると、基本的にはネガティブ な形容詞
であると考えられる。

 

◆  その一方で、 類語辞典で筆頭格に挙げられている のが、
同じく形容詞の  ” challenging “。

「 やりがいのある 」 と 「 大変な 」 の両方の意味が単語。

challenging

difficult in an interesting way that tests your ability.

( OALD9 )

【発音】  ˈtʃæl.ɪn.dʒɪŋ
【音節】  chal-leng-ing  (3音節)


◆  ” demanding ” にも、 例外的にポジティブな捉え方がある。

先の赤枠に記した、
ネガティブな響きを 覆い隠す 意図ばかりとは限らない

つまり、 ” challenging ”  のように、
大変だが、 取り組む値打ちのある 対象にも、
” demanding ”  は使われる。

もっとも、 同義語扱いされる  ” challenging ”  に比べると、
ネガティブな文脈で使われる場合が多めな印象。

同義語の間でも、 ネガポジの比率  に差があるのが普通。

” demanding ”  と  “challenging” は 「 僅差 」 ではない。

◇  日常用途の意味合いは、

  • challenging
    ポジ 「 やりがいのある 」  >>  ネガ 「 大変な 」
  • demanding
    ネガ 「 大変な 」  >>>>  ポジ 「 やりがいのある 」

※  露骨さ回避の 「 婉曲 」 用途は、 ここでは「 ポジティブ 」 に算入


◆  「 大変な仕事 」というのは、 往々にして「 やりがいのある仕事 」。

「 きつい 」 と文句垂れつつ、 まんざらでもないのか、
どこか楽しげに、 仕事に熱中する人は珍しくない。

ベテラン社会人には、 言わずもがなの見慣れた光景であろう。

この点、 日本語も英語も似通っている。

これらを誇らかに思う人も大勢いる。

人の 「 本音 」 を読み取るのは容易ではない。

矛盾する感情となるため、 翻訳でも思い巡らす。

◆  次の例文の ” demanding ”  を  ” challenging ”  に置き換え
た場合、 どれほど雰囲気が変わるか検討してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

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