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A big no-no

      2019/12/28

絶対にやってはいけないこと、ご法度

これは赤ちゃん言葉(baby talk)ではない。

正確には “baby talk” 由来だが、”a big no-no”
は堅い経済記事にも出てくる。

可算名詞の単数名詞 “no-no” に、形容詞 “big”
(大変な)を加え、不定冠詞 “a” をかぶせたもの。

単数名詞」(singular noun)とは、
単数扱いされるのが一般的な名詞

英英辞書では “S” や “sing” と略記されたりする。

後述の例文にあるように、”no-no” の場合は、
複数形でも使われている。

no-no 

informal
something that you must not do because

it is considered to be unacceptable behavior.
(ロングマン、LDOCE6)

【発音】 noʊˌnoʊ

unacceptable behavior = 許されない言動
informal = 非正式、くだけた表現

<語源>

No ! No !, as said in admonishing a young child.

Webster’s New World College Dictionary,4th Ed.

【和訳】小さな子どもに言い聞かせる「だめ!だめ!」

admonish = 穏やかに諭す(他動詞)

◆「だめ!」を単純に重複させたものなので、

二重否定(否定 × 否定=肯定)とは 無関係

<初出> 

1942, from reduplication of no.

https://www.etymonline.com/word/no-no

reduplication = 重複形(名詞)

【発音】 noʊˌnoʊ

  “no-no” の意味と語感に近いのが「ご法度」

「ご法度(ごはっと、御法度)」とは、
「一般に禁じられていること」(国語辞典は後述)。

you must not do“(上表の黄ハイライト)と重なる。

堅すぎず、軽すぎずで、少々洒落っ気のある文章に
用いられる。日常使用の「ご法度」と同じ。
口頭でも使える点も共通。

  “big” 抜きの “a no-noでも通じる。

むしろこちらが本家。

意味を強調強意する 形容詞 “big”「大変な」
を足した結果、  “a big no-no” こそ一般的 
な言い回しになった。

表題に選出した理由である。

not a big fan” と同じく、
強意の “big” なので、趣旨は変わらない

“a no-no” に比べて迫力があり、言い振りに弾みがつく
ため、”a big no-no” の方が普及しやすかったのだろう。

強意の “big” がつくと、”no-no” の程度が増し、
ここでは「大変な → 絶対」の要素を含むようになる。

definite“、”absolute“、”complete など、
その他の強意の形容詞で置き換えることも
できるが、”big” こそ定番。

“a big no-no” は、使用場面と文体に従い、
次のように和訳されることが多い。

  • ご法度
  • 絶対禁物
  • 絶対だめ
  • だめだめ

いずれも「やってはならない」の意。
強意の形容詞 “big” で「絶対」の意味合いが上乗せ。

  ごはっと【御法度】

■ 名詞(「ご」は接頭語)
「法度」を敬っていう語。また比喩的に、
それをするとさしさわりがあるような
ことがらについてもいう。御禁制。
(精選版 日本国語大辞典)

■ 禁令の意の「法度」の尊敬語。転じて、
一般に禁じられていること。
(広辞苑 第七版)

■「法度」を敬っていう語。法令により
禁止されてい事柄。また、一般に禁じら
れていること。
(大辞林 第三版)

■〔= 武家時代の禁止事項 〕
禁じられていること。
(三省堂国語辞典 第七版)

「ご法度」なら、「絶対」が略されることもある。
「ご法度」自体が、「絶対」を多分に含むから。


このフレーズには、不定冠詞 “a” がつくのが通例。

先に触れた通り、強意の “big” や「絶対」の有無
で、趣旨は変わらない。

3大学習英英辞典(EFL辞典=LDOCE6 / OALD9 / CALD4)
のすべてに “informal” の表記がある。

すなわち、非正式でくだけた言い方である。

さらに、ネイティブ向けの英英辞典の中には、
“slang” 扱いしているものもある。
Webster’s New World College Dictionary, 4th Ed.など)

しかしながら、日常使用や堅めの記事に使用されている
様子からみて、下品さはないと考えてよい。

先述の3大EFL辞典には、”slang” 表記はない。

 

◆「ア・ビッグ・ノーノー」なんて、一見ふざけた物言い。

だが、繰り返し述べているように、用途は総じて真面目 である。

プライベートとビジネスの各場面から、代表例を挙げてみる。

<日常生活>

  • “Divorce is a big no-no for us.”
    (離婚は我々にとってご法度です。)
  • “Dating at night was a big no-no at that time.”
    (その頃、夜のデートは絶対禁止だった。)

  • Puking in a restaurant is a big no-no.”
    (飲食店内でゲロするのは、絶対禁物よ。)
  • Not brushing your teeth is a big no-no
    for your hygiene.”
    (歯磨きしないのは、衛生上、絶対禁物。)

  • “This is a big no-no for my career.”
    (自分のキャリアのために、これは絶対ご法度。)
  • “Smoking is a big no-no in this house.”
    (この家では喫煙厳禁。)
  • “It’s a big no-no to go out undressed.”
    (裸で外に出るのは絶対禁物。)

 

<ビジネス>

  • The use of a pencil is a big no-no.”
    (鉛筆の使用は絶対禁止です。)

  • Wet signature is a big no-no on this document.”
    (この文書に手書きで署名することは厳禁です。)
  • Groping is a big no-no in our workplace.”
    (身体をまさぐるのは、私の職場では絶対ご法度です。)
  • “Making an unauthorized copy is a big no-no.”
    (無許可でコピーするのは、ご法度です。)
  • Dirty talks are big no-nos in the office.”
    (オフィスでの猥談は絶対にご法度です。)※ 例外的な複数形
  • “It is a big no-no to leave your belongings unattended.”
    (所持品を放置するのは絶対に禁物です。)

◆ なお、マイナー用法として「大失敗」「大失態
を指すことがある。

  • “His first solo interview was a big no-no.”
    (彼の初めての単独会見は大失敗だった。)
  • “Her performance was a big no-no.”
    (彼女の演技は最悪だった。)

時として、表題の用法と区別がつきにくい場合もある。

  • “The manager punched him, which was a big no-no.”
    (マネージャーは彼を殴ったが、それはご法度なことだった。)
    (マネージャーが彼を殴ったことは、大失態だった。)

 

【参考記事】 ※ 外部サイト

以下の見出しは、”big no-nos” と複数形を採用している。

「日本滞在中にご法度な10行為」を列挙する記事である。

Always Remember These 10 Big No-Nos
When You Are in Japan ! 

  1. No Touching
  2. Chopsticks
    2-1. Never bite/lick the chopsticks
    2-2. Never stick the chopsticks in your rice
    2-3. Never pass food from your chopsticks to someone else’s chopsticks
  3. Using Phones on Trains
  4. Right or Left?
  5. Tipping
  6. Nose Blowing
  7. Eating While Outside
  8. Taking Off Your Shoes
  9. Less is More, But Not in Japan!
  10. Smoking

https://jpninfo.com/50047
2019年4月19日付

箸の使い方(#2)をはじめ、簡潔明快な描写が目を引く記事。

「人前で鼻をかむ」がランクイン(#6)。
食事中、平気で鼻をかんだりする外国人は少なくない。
電車内での携帯電話の使用についても同様(#3)。

日本人にとっても、発見の多い “Japan Info” 。
最大級の訪日旅行者・在日外国人向け英語サイトである。

https://jpninfo.com/

率直なコメントやフォーラムも読んでいて楽しい。

 

【類似表現】

“blunder”
https://mickeyweb.info/archives/2301
(へまをする)

“mess up”
https://mickeyweb.info/archives/164
(台無しにする、失敗する)

“botch”
(自動詞:へまをする)

“flub”
(可算名詞:へま・どじ、自他動詞:へまをする)

“screw up”
https://mickeyweb.info/archives/7701
(へまをする、台無しにする)

 

 

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