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Demanding

      2018/08/14

大変な、きつい、自分勝手な 

「要求の多い」を表す形容詞。
動詞 “demand”(要求する)の現在分詞 “demanding”
が形容詞(過度に要求する)になったもの。

◆ 仕事関連の “demanding” であれば、この3つ。
辞書の文例を飾る代表格。

  • a demanding job(大変な仕事)
  • demanding customers(注文の多い顧客)
  • a demanding boss(要求の高い上司)

苦慮して対応する側にしてみれば、それぞれ本音は
「きつい仕事」「面倒な客」「うるさい上司」など。

上司やお客様とはいえ、無茶な要求が続くと、悪態を
つきたくもなる。

だが、社内であっても、基本的に悪口はご法度
プロとしての自分の価値を守るためでもある。

その代わりに活用すべきが “demanding”。

形容詞 “demanding” は、
ネガティブな響きを覆い隠しつつ、
「要求が高すぎる」ことへの不満を表す
効果がある。

※ 例外は後述

特に、自分勝手でわがままな相手を表現するのに重宝する。
相手に反撃を食らわせたいところ、立場上そこは我慢。
鬱積した感情のはけ口として、品よく言ったり書いたり
するのに、形容詞 “demanding” は便利である。

◆ 職場に限らず、家庭内での不満にも使える。

  • demanding chores(大変な家事)
  • a demanding husband(要求しすぎる夫)
  • demanding children(手のかかる子どもたち)

すべてを差し置いて、相手の要求に応じなければならない。
体調が悪い時などは、かなりしんどい。
それを察し、思いやって自制できる相手ならば、
“demanding” になりにくい。

とすれば、”demanding” は身勝手で一方的に近い。
特に大人に対して、この形容詞を起用する場合は、
反発心の表れであることが多い。

◆ 冒頭の通り、”demanding” は、動詞 “demand”
の現在分詞 “demanding” が形容詞になったもの。

“demand” の語源は、ラテン語 “dēmandāre”。
接頭辞 “dē”(強意)+ “mandāre”(命じる)で
「強く命じる」。

<動詞の類語比較>

■ “demand
権威をもって(時に、高圧的に)強く要求する

■ “claim
所有・請求などの権利を主張して要求する

■ “require
公の決まりなどによって(要求する)

ランダムハウス英和大辞典 第2版

※ 3語とも自他動詞だが、いずれも他動詞中心に使われる
※ “require” → 名詞 “requirement
(要求されるもの、要件)

このように、”demand” の語源からして、
威圧的で高飛車な態度を含んでいる。
これぞ “demanding” の本質であることが分かる。
とにかく煩わしく厄介な対象に使う。

◆ その対象を、無生物生物に分けて説明する辞書が多い。
今回調べた9点の英英辞典のうち、二分していたのは5点。

日本人に人気の高い「4大学習英英辞典」(EFL辞典)では、
LDOCE6、OALD9、COBUILD9 が該当する。

以下、1.が無生物、2.が生物。
生物は一般的に人間を指すが、ペットでもよい。

demanding” =

■ LDOCE6(ロングマン)
1. needing a lot of ability, effort, or skill.
2. expecting a lot of attention or expecting
to have things 
exactly the way you want them,
especially in a way that
is not fair.

■ OALD9(オックスフォード)
1. (of a piece of work) needing a lot of skill,
patience, effort, etc.

2. (of a person) expecting a lot of work or
attention from others; 
not easily satisfied.

■ COBUILD9(コウビルド)
1. A demanding job or task requires a lot of
your time, energy, 
or attention.
2. People who are demanding are not easily
satisfied or pleased
.

※ 下線は引用者

唯一、CALD4は1つにまとめて説明

■ CALD4(ケンブリッジ)
needing a lot of time, attention, or energy.

語釈 2 の下線部より、自己本位な気難しさが漂う。
中身はともかく、大変な点では 1と同じ。

こうして見てくると、基本的にはネガティブな形容詞
であると言える。

◆ その一方で、類語辞典で筆頭格に挙げられているのが、
同じく形容詞の “challenging“。
「やりがいのある」と「大変な」の両方の意味が単語。

challenging” (approving) =
difficult in an interesting way that tests your ability.
(OALD9)

approving” とは「褒め言葉」を指す。
凡例用語で、英英辞典によっては “approval” と記す。
反意語は、”disapproving” または “disapproval”

  • approving” =
    praising someone or something.
  • disapproving” =
    used to express dislike or disagreement
    with someone or something.
    (CALD4の凡例より)

“demanding” にも、例外的にポジティブな捉え方がある。
先の赤枠に記した「ネガティブな響きを覆い隠す」
意図ばかりとは限らないのである。

つまり、”challenging” のように、
大変だが、取り組む値打ちのある」対象
にも “demanding” は一応使われる。

もっとも、同義語とされる “challenging” に比べ、
ネガティブな文脈で使われる場合が多い。

同義語の間でも、ネガポジの比率に差があるのが普通。
“demanding” と “challenging” は「僅差」ではない。

◆ 日常用途の意味合いは、それぞれこんな印象。
※ 露骨さ回避の「婉曲」用途は「ポジティブ」に算入

  • challenging
    ポジ「やりがいのある」>> ネガ「大変な」
  • demanding
    ネガ「大変な」>>>> ポジ「やりがいのある」

「大変な仕事」というのは、往々にして「やりがいの
ある仕事」でもある。

「きつい」と文句垂れつつ、まんざらでもないのか、
どこか楽しげに、仕事に熱中する人は珍しくない。
ベテラン社会人には、言わずもがなの見慣れた光景であろう。

この点、日本語も英語も同じ。

  • きつい仕事
  • 大変な仕事
  • a demanding job
  • a challenging job

これらを誇らかに思う人も大勢いる。
人の「本音」を読み取るのは容易ではない。
矛盾する感情となるので、翻訳でも思い巡らす。

◆ 次の例文の “demanding” を “challenging” に置き換え
た場合、どれほど雰囲気が変わるか検討してみよう。

“My job is physically demanding.”
(私の仕事は肉体的にきつい。)

“I have to deal with demanding customers.”
(注文の多いお客様に対応しなければならない。)

“Her baby is so demanding.”
(彼女の赤ちゃんは、大変手がかかる。)

“My teenage daughter is extremely demanding.”
(10代の娘が極端に自分勝手なのです。)

“Do your most demanding tasks first.”
(最も大変な仕事を最初にやりなさい。)

“My boss could be demanding sometimes.”
(上司は時々うるさくなる。)

“This work is technically demanding.”
(この作業には高度な技術が必要です。)

“I had a demanding schedule back then.”
(当時のスケジュールはきつかったです。)

“Avoid taking very demanding courses.”
(超大変な講義は受けるな。)

 

 

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