1)総計、総収益を上げる
2)ひどい、不快な
ビジネス・日常会話ともに欠かせない頻出単語。
発音は、「グロス」でなく「グローース」。
【発音】 gróus
語源は、中期フランス語「大きい」(gross)。
ここから、「全体」「総計」。
さらに、大きく、程度が甚だしい様子から、
強意語「ひどい」→「不快」→「むかむか」
と派生した。
多義だが、主な用法が二分できる点が特徴。
便宜上、ビジネス用と日常用に区分してみた。
ロングマン(LDOCE6)記載のキーワードも添えた。
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<概要>
1)ビジネス ※ 定訳があるので単純
「総計(の)」「総収益を上げる」
– “total” “profit”
2) 日常会話 ※ ネガティブ内容が中心
「ひどい」「不快な」「むかつかせる」
– “very bad” “nasty” “fat” “disgusting”
1)ビジネス(total、profit)
形容詞「総計の」「全体の」
名詞「総計」「総収入」「ダース」
他動詞「総収益を上げる」
副詞「総計で」
間投詞(特になし)
GNP(gross national product、国民総生産)
GDP(gross domestic product、国内総生産)
から自明だが、”gross” は「総計」を表す。
「総~」は、形容詞・名詞・副詞に共通の意味合い。
ここから派生する意味中心なので、理解は難しくない。
他動詞用法も単純で、たいてい次のパターンで使う。
“The movie grossed over $1million at the box office.”
(その映画の興行収入は100万ドルを超えた。)
2)日常(very bad、nasty、fat、disgusting)
形容詞「ひどい」「デブの」「下品な」※ 強意語
名詞(ビジネスと同じ)
他動詞「むかつかせる」”gross out”
副詞(特になし)
間投詞「汚ねー」「ひでぇ」「きもい」
一方、日常用法は多義。
ポイントは、ビジネス用法と打って変わり、
ネガティブ内容ばかりとなる点。
さらに、間投詞が加わる。
※「間投詞」(interjection)とは、
感動や応答を表す語で、
単独で文となりうる呼掛け言葉。
【例】”Oh ! “、”Oops ! “、”Alas ! ”
“Whoa ! “、”Snap ! “、”Welcome back ! “、
“Well done ! “、”Barf ! “、”Check!”
少年少女の “Gross ! ” は、
「汚ねー!」「きもい!」くらい。
小学生が最もよく使う言葉の一つである。
いじめにも使われる。
食べ物などを前に「グローース(gróus)!」と
しかめっ面で騒ぐ子どもの姿は、映画・ドラマによく出てくる。
その渋顔とイントネーションを、真似てみよう。
大人の “Gross ! ” は「ひどい!」が多め。
“Disgusting ! ” とほぼ同義。
上記の通り、日常用法は総じてひどい内容。
卑語でないものの、印象は悪い。
形容詞の強意語以外は、ビジネスで使いにくい。
冒頭の通り、語源は同じものの、
意味が二分できるのが、”gross” の特徴である。
1)ビジネス
- “gross sales”
(総売上高) - “gross area”
(総面積) - “gross amount”
(総計) - “gross demand”
(総需要) - “three gross of pens”
(ペン3ダース) - “box-office gross”
(映画興行収入高) - “We grossed at least 1 billion yen.”
(少なくとも10億円の総収益を上げた。)
2)日常 –
- “gross violations”
(過度の違反) - “gross misconduct”
(重大な不法行為) - “gross abuses”
(ひどい虐待) - “He was grossly overweight”
(彼はひどく太ってる。) - “She manners were gross.”
(彼女のマナーは下品だった。) - “Its odor really grossed me out.”
(その臭いにむかむかした。) - ”Her rudeness grossed me out.”
(彼女の無礼な行為にむかついた。) - “This movie is offensive, disgusting and gross.”
(この映画は侮辱的、不快できもい。) - “I get goose bumps when I eat gross food.”
(まずい食べ物を食べると、鳥肌が立つ。) - “So gross ! ” ※ 小・中学生の発言の和訳例
(めちゃきもい)(マジまずい)(超臭い)