Offensive
2018/11/16
無礼な、不快な、侮辱的な、攻撃的な
他者のぶしつけな態度を口頭注意する際に、
多用される形容詞が “offensive” 。
ビジネス・プライベートを問わない。
文面でも多用する。
正当な理由がないのに、無礼を働く人は珍しくない。
そういう人に直言する時に使う。
類義語 “rude” と異なり、小学生は通常使わない堅めの言葉。
そこそこ品位があり、大人を注意するのに便利である。
◆ “offensive” には、名詞と形容詞がある。
語源は、ラテン語「傷つける」(offendere)の名詞形
“offense” に、性質を示す接尾辞 “ive” を加えたもの。
名詞「攻撃」「攻勢」は、軍事とスポーツにおける
攻防の描写で用いるケースがほとんど。
よって、日常的用法とは言えない。
◆ 本稿では、頻出で用途の広い形容詞
を中心に取り上げる。
“offensive” とは、
人の神経に障る森羅万象(特にネガティブ言動)
形容詞 “annoying“(うざい、うっとうしい)
のように、迷惑で不快なだけでなく、
侮辱的要素が含まれ、程度も深刻で甚だしい
主要な英和辞典と英英辞典では、形容詞 “offensive” を
「無礼な・不快な・侮辱的」と「攻撃的な」に二分する。
例えば、「無礼な・不快な・侮辱的」は、
“offensive”
1. very rude or insulting and likely to upset people.
2. very unpleasant.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】əfénsiv
だが日常使用では、これらの意味を厳密に分ける
ことは少ないのが、私の実感である。
◆ 確実に判別できる “offensive” は、次の例。
- “an offensive odor”
(不快な臭い、悪臭) - “an offensive noise”
(不快な音)
特に「普通名詞」を修飾する際は分かりやすい。
※ 普通名詞とは、同一種属の人間または生物・
に共通する語で、単数と複数の区別がある
だが、人間の言動を示すとなると、こう明快にはいかない。
特に、ネガティブ感情の要因は不明瞭であることが多い。
攻撃的で不快、無礼で攻撃的など、
さまざまな因子が絡み合うのが現実である。
指摘する本人も、自分の不愉快を詳しく分析してから
発言したりしないだろう。
よって、本稿では「無礼な・不快な・侮辱的」と
「攻撃的な」をあえて区別しない。
◆ “offensive” には、典型的な口頭表現がいくつかある。
大勢の好む言い方が確かに存在するのだ。
以下の10文が代表例。
主語・目的語を入れ替えると、かなり応用が利く。
1)”Your jokes are too offensive.”
(あなたの冗談は行き過ぎで不快です。)
2)”I don’t like your offensive remark.”
(あなたの無礼な言葉が嫌なのですが。)
3)”I find that quite offensive.”
(それはとても侮辱的に感じます。)
4)”Why are you being so offensive ? ”
(なぜあなたはそんなに攻撃的なのですか?)
5)”Don’t be so offensive.”
(すごく失礼ではないですか。)
6)”I don’t mean to be offensive, but – ”
(攻撃するつもりはないのですが、~)
7)”This movie is offensive, disgusting and gross.”
(この映画は侮辱的、不快できもい。)
8)”Your comment was unsolicited and offensive.”
(あなたの発言は、余分で攻撃的です。)
9)”Don’t use offensive language.”
(攻撃的な言葉を使うな。)
10) “Using offensive racial slurs is inexcusable.”
(侮辱的で人種差別的な中傷を使うことは、許しがたい。)
◆ 上掲の例文は、状況次第で
「無礼な」「不快な」「侮辱的な」「攻撃的な」
のいずれもありうる。
実際に和文を置き換えてみよう。
1′ )”Your jokes are too offensive.”
(あなたの冗談は攻撃的すぎです。)
2′ ) “I don’t like your offensive remark.”
(あなたの攻撃的な言葉が嫌なのですが。)
3′ )”I find that quite offensive.”
(それはとても攻撃的に感じます。)
4′ )”Why are you being so offensive ? ”
(なぜあなたはそんなに侮辱的なのですか?)
5′ )”Don’t be so offensive.”
(そんなに攻撃的にならないでください。)
6′ )”I don’t mean to be offensive, but – ”
(無礼になるつもりはないのですが、~)
7′ )”This movie is offensive, disgusting and gross.”
(この映画は攻撃的、不快できもい。)
8′ )”Your comment was unsolicited and offensive.”
(あなたの発言は、不要で侮辱的です。)
9′ )”Don’t use offensive language.”
(侮辱的な言葉を使うな。)※ 意訳「卑わいな言葉」
10′) “Using offensive racial slurs is inexcusable.”
(攻撃的で人種差別的な中傷を使うことは、許しがたい。)
どれも自然である。
当事者でない限り、どの和訳が最適かは不確実。
否、発言者ですら「侮辱的」だか「攻撃的」だか、
はっきり認識していないかもしれない。
心情の解釈とその表現は単純にはいかないのが常。
ネガティブ感情の場合、ひときわ複雑で難しい。
本稿であえて区別せず、一緒くたにした理由はここにある。
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◆ なお、同じく形容詞で「攻撃用の」の意もある。
“an offensive weapon”
(攻撃武器)
反意語は、”defensive”。
出番が軍事やスポーツ中心なので、
先述の名詞同様、ここでは詳説していない。
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【関連表現】
“snub”
https://mickeyweb.info/archives/14036
(鼻であしらう、無視する)
※ 他動詞・名詞・形容詞
“No offense, but – ”
https://mickeyweb.info/archives/11414
(悪気はないのですが、~)