Just checking in
2024/09/13
「 いかがお過ごしですか 」 と様子を伺う
–
機嫌伺い・様子伺いの常套句がこちら。
–
–
I’m just checking in to see
if you are doing fine.( お久しぶりです。 お元気ですか。)
( 近頃の調子はどうですか。)
–
最近は、 もっぱらメール。
その 「 件名( subject )」も、
” Just Checking In ” や ” Checking In ” だったり。
–
■ ” just checking in ” は、 比較的親しかった知人 に対し、
「 その後 いかが ? 」 「 調子どう ? 」
と久しぶりに連絡を取る
際に多用される < 3語ワンセット >
–
メール・手紙なら、差出人が使う。
相手は、 自分と同等か目下が普通。
目上には、 あまりそぐわない。 ※ 理由は後述
双方の性別は問わない。
「 久しぶり 」なので、対面では少し不自然かもしれない。
その場面をついぞ見かけたことない。
理論上は ありうる。
定訳はない風なので、 相手との関係に応じて和訳する。
ー
◆ ” check in ” と言えば、 ホテルの宿泊手続き。
–
空港での搭乗手続きの「 チェックイン 」も思い浮かぶ。
英語でも同様で、主に旅行・移動で起用する句動詞。
–
” check in ”
1. to go to a desk in a hotel, an airport, etc.
and tell an official there that you have arrived.
2. to leave bags or cases with an official to be
put on a plane or train.
( オックスフォード、OALD9 )
1. 到着の報告 → 搭乗手続き、 宿泊手続きも含む
2. 荷物などを預ける
–
◆ ” check “ には、他動詞・自動詞・名詞・間投詞がある。
【発音】 tʃék (1音節)
全品詞とも多義である。
語源は、 アラビア語 「 王手 」( shāh )。
チェスの 「 王手!」 は、 ” Check ! “。
間投詞である。
「 間投詞 」( interjection )とは、
単独で文となりうる呼掛け言葉。
「 感嘆詞 」( exclamation )とも言う。
「 ! ( 感嘆符 )」 は、 ” an exclamation mark “ または
” an exclamation point ”。
【例】
Oh ! Alas ! Oops ! Whoa ! Gross !
Welcome back ! Well done ! Barf ! Snap !
◆ 日常使用の ” check ” で頻出なのは、
自動詞・他動詞の 「 調査する 」 及び 「 確認する 」。
ところが、 主要な英和辞典は「 止める 」を最初に置く。
–
【例】
・ 『 ジーニアス英和大辞典 』
・ 『 リーダーズ英和辞典 第3版 』
・ 『 ランダムハウス英和大辞典 第2版 』
これはよくない。
この用法は、普段出てこないのである。
カタカナでも定着した 「 調査する 」「 確認する 」
の意味の方が、 英語でも顕著。
–
◇ これぞ、 典型的な < 英和辞典の難点 > (※) である。
優先順位 が不適切。
頻度順 ではなく、 発生順 に語義を並べるとこうなる。
※ 「 難点 」の例は、下記参照
lambaste、 impressive、 deprivation、
clarify“、 reunite、 wacky / wacko
語義の配列は、各辞書の編集方針に従う。
–
発生順は 「 歴史主義 」と言われ、 語義を系統的にたどるには最適。
しかし、 一般的な英語学習者には、 頻度順の方が実用的と考える。
–
この点、 学習英英辞典 が役立つ。
3大学習英英辞典 ( EFL辞典 = LDOCE6 / OALD9 / CALD4 )
のすべてが、 以下のいずれかを第1、 第2に置く。
- find out
- ask somebody
- examine
- make sure
いずれもカタカナ「 チェック 」 と重なる意味である。
–
以下、 ” initial ” から再掲。
–
–
手元の 著名英和を調べると、 概ね以下の模様。
- 『 リーダーズ英和辞典 第3版 』 → 発生順
- 『 ランダムハウス英和大辞典 第2版 』 → 発生順
- 『 ジーニアス英和大辞典 』 → 発生順
- 『 研究社 新英和大辞典 第6版 』 → 頻度順
学習者対象の 学習英英辞典(EFL辞典) は、 大方 「 頻度順 」。
英語ネイティブ向けの英英辞典は 「 発生順 」 が目立つ印象。
–
弊サイトが日本人にお勧めするネイティブ用辞書は、世界最大の英語辞典の ” OED ” = 『 オックスフォード英語辞典 』
も、発生順(歴史主義)。成り立ち重視の表れである。
【公式サイト】 http://www.oed.com/
国語辞典では、『 広辞苑 』は発生順、『 大辞林 』は頻度順。
【参照】
■ 英語辞書は「紙」か「電子版」か
■ 「自炊本」「紙」の辞書を含む 使用辞書一覧
—-→ 世界最大 “ OED ” と 日本最大『 日国 』入手済み
( 写真入り )
–
◆ 表題の ” check ” も、同じく他動詞「 確認する 」。
その 現在分詞形 ( present participle ) の ” checking ” で、
「 確認している 」。
「 まさに ○○ している !! 」
「 まさしく ○○ しつつある !! 」
こうした 能動的な生感覚 が、 現在分詞形の持ち味である。
【参照】 ” Moving forward “、 ” He is in a better place now. ”
” Just checking in ” の場合、
「 まさに 確認している !! 」
「 まさしく 確認しつつある !! 」
–
前触れなく、 いきなり一方的に確認される側
にしてみれば、 なんとも 薄気味悪いかも。
苦手な相手なら、 なおさら。
※ 後述
【関連表現】
- ” double-check “
- “ fact-check ”
- ” check against – “
◆ ” in “ には、前置詞、副詞、形容詞、名詞がある。
ここでは、副詞 「 内へ 」。
◆ ” just “ には、 形容詞と副詞がある。
【発音】 dʒʌ́st (1音節)
–
語源は、ラテン語 「 公正な 」( jūstus )。
本稿での ” just ” は、 比較・程度の副詞
「 ただ ~ だけ 」 「 ちょっとだけ 」 「 念のため 」。
副詞 ” only “、” simply “、” merely ” が主な同義語。
露骨さを軽減する 婉曲用法で重宝
される。
「 邪( よこしま )な動機はありませんから 」 とアピール。
” just for your information ” の ” just ” と似た使い方。
言い振りを柔らかくしておき、 相手の誤解と反発を防ぐ。
いうなれば、 予防線を張っている。
日本語にも見られる、 トラブル回避の婉曲表現。
「 クッション言葉 」 同然の役割を果たす。
◆ 以上より、 ” just checking in ” の直訳は、
「 ただ内へ確認しているだけ 」
–
まさに、 様子伺い。
ぬかりなく見張られているような、 不気味な気配が迫ることも。
相手が目上ならば、 ぶしつけな態度になりうる。
–
月並みのご挨拶であり、
怪しい意図はないとの趣旨
–
- ” I just wanted to check in and say hello.”
(お久しぶりです、とご挨拶したくて。)
– - ” I just wanted to check in how you are doing.”
(どうしているかなと思い、ご連絡しました。)
表題の用法では、
上掲 “ OALD ” の 句動詞「 チェックイン 」 は 適用されない。
–
–
◆ とはいえ、 掛詞的 な言い回しも、 旅行業界で使われている。
実際のメールがこちら。–
実物そのまま。
ひと目で読み取れるだろうか。
–
–
We are just checking in to let you knowit’s time to check in for your flight to Guam.
–
最初の ” just checking in ” は、先述の、
「 月並みのご挨拶であり、怪しい意図はないとの趣旨 」。
単なる連絡事項ですよ、という具合。
続く ” check in ” は、 上掲 ” OALD ” の句動詞 の通りで、
飛行機の搭乗手続き「 チェックイン 」を指す。
” We ” とは、 人称代名詞( personal pronoun )の一人称複数形の主格。
「 私たち 」 または 「 弊社 」など、 このメールの発信者。
参考和訳を2つ添えると、
- グアム行きの便に チェックイン していただく時間であることを、
お客様にご連絡するための お知らせ です。
– - グアム行きの便の 搭乗手続き 時間が来たことを、
お客様にお知らせするために ご連絡 申し上げます。
2つの ” check in ” を重ね、 しゃれた表現であるものの、
「 ご挨拶 」的な “check in” を知らないと、 理解困難。
–
「 ご挨拶 」 的な ” check in ” とは、
本稿で取り上げている「 様子伺い 」 の ” check in ” のこと。
旅行者対象なのに、 英語ネイティブ以外には分かりにくい通知文である。
◆ ハイフン入りの複合名詞 ” check-in ” は、可算名詞。
「 内への確認 」で、「 状況確認 」「 近況確認 」の意味に。
- ” My boss is a micro-manager and requires
a lot of check-ins.”
( 私の上司は細かく管理するタイプで、しつこく確認してくる。)
– - ” Every now and then, I receive check-in
emails from former supervisors.”
( 時折、かつての上司から近況確認のメールが届く。)
◆ これまで文法面を見てきたが、 常套句・慣用句については、
文法解釈に多くの時間を注ぐ意義は薄いのが一般的。
英語学習者として、 文法面を把握することは大切なのだが、
基礎文法を習得する目的には 「 特殊すぎる 」 ケースが多め
なためである。
指示・注意喚起と等しく簡潔明快を旨とするため、 英文法の基本
から逸脱する表記が少なくない。
「 冠詞 」 と 「 be動詞 」 の省略が代表格。
視認性重視の看板・掲示板、 記事見出し( headlines ) や
格言・ことわざ・慣用句・常套句にも通じる考え方である。
–
◇ 「 見出し 」 英語の解説は、 こちらが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方 ( 見出し編 ) RNN時事英語
大勢が使う 「 決まり文句 」 の場合、 さほど考えすぎずに、
そういうものだと 真似してみる
–
さしあたり、 このくらいがちょうどよかったりする。
【参照】 ” hiatus “、 “ smooth out ”
◆ ” just checking in ” では、3パターンが多用される。
–
I’m just checking in to see if – .
( ~ か確認させていただければと思います )
–
I just wanted to check in to see if there is –
( ~ があるかどうか、念のため確認させてください )
–
I haven’t heard back from you, so I
just wanted to check in.
( ご回答がなかったので、確認のご連絡を
差し上げたいと思いました )
–
■ (1)の例は、 冒頭の一文が典型である。
親しい相手なら、
「 お久しぶりです、お元気ですか 」
という感じ。
- ” I’m just checking in to see if you are OK.”
( お変わりないですか。)
– - ” I was just checking in to see how you are doing.”
- ” I just wanted to check in and see how you are doing.”
( どうしているかなと思って、ご連絡しました。)
これらも同じ系統。
–
■ (2)の例は、
- ” I just wanted to check in to see if there is
anything I can do for you.”
( 私に何かお手伝いできることがあるかどうか、
念のため確認させてください。)
似通ったものに、
- ” I wanted to check in with you
to express my concern.”
( 心配なので、ご連絡したいと思いました。)
–
■ (3)は、
売り込みのフォローアップ によくある営業文言。
少々 なれなれしい ので、 不快を覚える受取人もいるはず。
–
–
うっせぇわ
–
◆ ” Just Checking In ” メールを、 かつての上司から
何度いただいたことか。
–
–
I’m just checking in to see if
you are still working there.( お久しぶりです。 まだそこで働いていますか。)
–
部下だった私のことを忘れないでいてくれる
上司たち ( former supervisors または ex-supervisors )
に恵まれたことを、 大変うれしく思う。
–
その反面、
などと、 生意気にも うっとうしく 感じる自分がいたりする。
–
- Mind your own business.
You’re no longer my boss.
「 余計なお世話。 もう私の上司じゃないだろ。」
–
– - Your ‘Just Checking In’ emails
are so annoying.
「 様子伺いのメールが、 超うざいんですけど。」
–
無論、 こんな返答はしないで、 次のようにおだて上げておく。
–
–
Yes, I do. I realize now that you
were the best boss I’ve ever had.( ええ。 あなた様こそ、 これまでで最高の上司
だったと、 今では実感しております。)
–
結果的に、 私のボスは 「 最高の上司 」 だらけ。
【類似表現】
■ ” check on an elderly neighbor “
—-( ご近所のお年寄りの様子を確認する )
< 5語ワンセット > の決まり表現である。
警察官などによる 安否確認 ( a wellness check )
のようなもの。
【発音】 wélnəs
【音節】 well-ness (2音節)
- ” I went to check on an elderly neighbor. ”
( ご近所のお年寄りの様子を見に行った。)
【発音】 éldərli
【音節】 eld-er-ly (3音節)
【発音】 néibər
【音節】 neigh-bor (2音節)
–
近所の高齢者以外であれば、 例えば、
- ” I went to check on him. “
- ” I went to check on Mary. “
- ” I went to check on my son. ”
( ◯◯の様子を見に行った。)
[no_toc]