鼻であしらう、無視する
他者に冷たく接する時に使う。
「鼻であしらう」はぴったりの和訳。
ニュアンスも用途も “snub” に重なる。
同義語の代表は、他動詞 “cold-shoulder“。
<芸能記事>に多用されている。
セレブ間の仲違いの話に、好んで使われる感じ。
また、<経済の見出し>でも見かける。
こちらは企業間のトラブルである。
有名どころが「鼻であしらう」様子は、
意外性があり、かつ刺激的。
読者の好奇心と妄想をかき立てる。
■ 当てこする言動を表す場面が目立つ。
あてこする【当て擦る】
他の事にかこつけて、遠まわしに
その人にあてつけ、皮肉や悪口を言う。
(広辞苑 第六版)
実際のところ、その場で目撃しない限り、
本当に鼻であしらったかは不明である。
上記のような記事を書く者のほとんどは、
当事者ではなく、現場にもいないはず。
よって、取材から浮かび上がった<冷遇>
や<当てこすり>の状況を描写する用途で、
“snub” は主に使われている。
表現者が当事者の場合は、この限りでない。
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◆ “snub” には、他動詞・名詞・形容詞がある。
自動詞はない。
語源は、古ノルド語「非難する」(snubba)。
原義は「短くする」。
13世紀から使われている古い言葉。
基本的意味は、
- 他動詞「鼻であしらう」「発言を急に遮る」
- 名詞「冷遇」「拒絶」 ※ 可算名詞
- 形容詞「長さが短い」 ↓ 写真参照
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※ 米俗
◆ 温かみに欠けた、ネガティブな印象。
1音節(one syllable)であり、
ぴしゃりとはねつける語調。
腹の底から ゲロする 勢いで、
スナッブ
と一気に吐き出す。
【発音】 snʌ́b (1音節)
「鼻であしらう」には、あつらえ向きの冷たい響き。
※ 「音節」(syllable)とは、発音の最小単位。
日本語の場合、原則として「仮名一字が1音節」。
そのため、音節を意識する機会は乏しい。
【活用形】 snub – snubs – snubbed – snubbed – snubbing
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◆ 次の通り、対面でも無視する(下線部)侮辱的な態度。
自制や気遣いがなく、悪意丸出しである。
実に失礼。
“snub”
to treat someone rudely, especially
by ignoring them when you meet.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 snʌ́b (1音節)
※ 下線は引用者
“snub” が<見出し>に踊ると、思わず野次馬根性が生じたりする。
「一体、何があったの」などと、背景を知りたくなってくるのだ。
◆ ウェブ記事より “snub” を抽出。
- “X snubs Y on plant investment.”
(X社はY社の設備投資を拒絶。)
– - “He has snubbed the President’s call to invest.”
(大統領による投資の呼び掛けを、彼は鼻であしらった。)
– - “It was a rude snub to creditors.”
(それは債権者に対する無礼な対応だった。)
– - “Snubbed! P Not Invited to Q’s Wedding”
(完全無視!Qの結婚式に招かれなかったP)
– - “Oscar Nominations: Snubs and Surprises”
(アカデミー賞候補:無視された作品と予想外の作品)
– - “10 Best Films That Got Snubbed By the Oscars”
(アカデミー賞から無視された最高映画トップ10)
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なにゆえ無視なんだ? もっと読んでみたい…
“snub” は、そんな気にさせる強烈な力を放つ。
後半3つは<見出し>である。
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◆ 同様に、芸能・エンタメ系の見出しでよく目にする表現が、
- open up about –
(~について打ち明ける)
– - break the silence
(沈黙を破る)
– - gush about –
(〜についてしゃべりまくる)
– - slam
(激しく非難する)
– - smitten with –
(~に夢中)
– - dish on –
(~についてべらべらしゃべる)
いずれも、集客・販促に効果的な文言である。
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◇ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語