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Consensual

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合意に基づく  

性的暴行のニュース報道によく出る形容詞。

加害者とされる側は、

■  consensual sex  ( act )


合意に基づく性交渉

だったと主張する。

対して、 被害者 ( 性別不問 ) はそれを否定する。

■  non-consensual sex  ( act )


合意のない性交渉

未来永劫不変の争点である。

◇  ” non- ”  =  否定の接頭辞 ( 非・不・無 )



◆  今回調べた 英英辞典6冊 すべての例文で、
” consensual sex ”  が挙げられている。

” consensual ”  は 「 合意に基づく

を  1語で示す形容詞  の代表格

【発音】   kənˈsɛnʃʊəl
【音節】    con-sen-su-al  (4音節)


【参考】      ※  外部サイト

「 同意のない性行為 」にNO  スウェーデンの性犯罪規定
https://forbesjapan.com/articles/detail/32564
2020年2月26日付

 

◆  日常会話にはあまり出てこない法律用語でもあるが、
ニュースに加え、実務で出会う機会は珍しくない。

例えば、

  •  consensual agreement
    ( 合意に基づく契約 )
  •  consensual contract
    ( 諾成契約 )
  •  consensual marriage
    ( 合意に基づく婚姻 )
  •  consensual divorce
    ( 合意離婚 )( 協議離婚 )
  •  consensual relation
  •  consensual relationship
    ( 合意に基づく関係 )


◆  ” consensual ” の品詞は形容詞のみ。

語源は、ラテン語「 同意する 」( consentīre )から
生じた名詞 ” consensus “( 合意、コンセンサス )に、
接尾辞 “ al ” を加えたもの。    ※  末尾の  “ s ”  は落とす

” al ” がつくる形容詞の意味は、「 ~ の( 性質の )」。

【例】

したがって、” consensual ‘ は「 合意の 」で、
「 合意に基づく 」となる。

◆  なお、似た成り立ちで同義の ” consentual ”
もあるが通常は  ” consensual ” を用いる。

   ” consentual ” は、 3大学習英英辞典( EFL辞典 )はおろか、

著名な  “ Black’s Law Dictionary “  にも記載がない。


米国の 『 ブラックス法律辞典 』。

判例などに最も引用される辞典である。

1891年刊で、 130年以上の歴史を誇る。

英米法を学ぶ学生で、 知らない者は皆無レベルの 存在感

2014年刊の 「 第10版 」。

 


Amazon Japan / Amazon US

 

2019年刊の 「 第11版 」。


Amazon Japan  /  Amazon US

 

いずれにも、 ” consentual ”  の項目立てはない。

” consensual ”  は、 それぞれこちら。



Black’s Law Dictionary, 10th Edition ”
p. 368.  (Thomson Reuters 2014).

 


“ Black’s Law Dictionary, 11th Edition ”
p. 379.  (Thomson Reuters 2019).


なんと、 一言一句一致している。

 

◆  英語学習者向けの 『 オックスフォード現代英英辞典 』 もチェック。

「 第9版 」と「 第10版 」 はほとんど変わっていないが、
なぜか、 語釈 1. の 関係代名詞  ” which ”  が  ” that ” へ。

関係代名詞 ( relative pronoun ) の典型的な論点だが、
ここの  ” which ”  と  ” that ”  は代替可能ということ。

【参考】      ※  外部サイト

関係代名詞 「 That 」 と 「 Which 」 の簡単ルール

” consensual “

■  formal
1.  which people in general agree with.
2.  ( of an activity ) which the people
taking part have agreed to.


( OALD9、オックスフォード ) 2015年刊
Oxford University Press  アプリ版

■  formal
1.  that people in general agree with.
2.  ( of an activity which the people
taking part have agreed to.


OALD10、オックスフォード )  2020年刊
Oxford University Press   アプリ版

※  太字・下線は引用者


“ formal ” 表示なので、 やはり堅い言い回し。

語源とOALD9から 自明 なのは、” agree ” ( 同意する )
を前提とすること。

当事者が同意したから、合意に至っている。

そんな 状態 を示す形容詞が  ” consensual “。

【発音】   kənˈsɛnʃʊəl
【音節】    con-sen-su-al  (4音節)

  どうい 【同意】

1.  同じ意味。
2.  同じ意見。 同じ意思。
3.  他人の意見に賛成すること。

  ごうい【合意】

意志が一致すること。 法律上は契約当事者
の意思表示の合致をいい、 契約の成立要件
となる。

( 広辞苑 第七版 )


以上、 語釈全文。

要は、 正しく理解した上で、 お互いにその状況を
受け入れている様子。

内容は問わないため、 次の2例とも ” consensua “。

 

◆  ちなみに、 日本国憲法第24条
「 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し( 以下略 ) 」
の英訳は以下の通り。


Article 24

Marriage shall be based only on the
mutual consent of both sexes …

【 首相官邸版 】    http://japan.kantei.go.jp/

下線の2語 「 相互の同意 」 で 「 合意 」 を表現している。

これを  “ consensual ” で言い換えると、 こんな感じ。

Marriage shall be based only on the
consensual decisions  made by both sexes …


下線部の構造は、

ここでは名詞を飾る形容詞( 限定的用法、後述 )なので、
文法的には難しくはないだろう。

◆   片や  ” consensual ” を述語で用いる場合は、
「 be動詞 」に続くのが基本。

その理由は、” consensual ” が形容詞だから。

では、なぜ 「 形容詞なので、” be動詞 ” に続く 」 のか。

日本語の形容詞との違いをおさらいしてみよう。

以下、 ” aware ” より再掲。

日本語の形容詞は「 用言 」の一つで、
単独で述語 になることができる。

  •  私は 悲しい
  •  彼女は きれい
  •  それが 楽しかった

太字は形容詞( adjective )。

「は」と「が」は、助詞postpositional particle )。

名詞・代名詞の後ろに置き、
他の語との文法的関係を示す語。

前置詞( preposition )の反対の 後置詞( こうちし )。

それが、日本語の助詞。

◇  『  』の語釈全文を後掲

一方、 英語の形容詞は「 be動詞 などの
助けを借りないと、 述語になれない。

日本語の形容詞に比べて、
力が弱いから。

  • I am sad.
  • She is beautiful.
  • It was fun.


黒の下線部が  ” be動詞 “。

※  be動詞 」  be、am、was、been、will be、is、were、are


要するに、英語の形容詞は、

  弱すぎて、述語として自立不能。

先述の文例を比べると、


< 日本語の形容詞 > 
単独で述語  〇  

強くて独立している ので「 助詞 」が欠けても可。

少なくとも「 話し言葉 」なら、大抵問題ない。

何もつかなくても、「 述語 」として、 立派に自立。

  私、悲しい
  彼女、きれい
  それ、楽しかった

  < 英語の形容詞 >  単独で述語  ×  

弱くて依存している
ので、「 be動詞 」などは 不可欠

よって、以下は完全に間違い。

×  I sad.
×  She beautiful.
×  It fun.

間投詞 」 や 「 感嘆詞 」( 感動・応答・呼掛け  →  単独で文に )
でもない限り、   英語の形容詞には、必ず動詞がついて回る。

英語の形容詞

必ず動詞が伴う
とりわけ「 be動詞 」が大活躍

 

 

形容詞の力量の違いが、直接文法に表れているのだ。
重要なので、以上おさらいしてみた。

◆  例文でも確認してみよう。

下線が be動詞。

  • “He insisted that the sex was consensual.”
    (彼は性交は合意の上だったと主張した。)
  • “I believe everything is consensual.”
    (すべてが合意の上だと信じている。)
  • “Their relationships were consensual.”
    (彼らの関係は合意の上でした。)
  • “We had engaged in sex, but it had been consensual.”
    (性交渉はありましたが、それは合意の上でした。)
  • “Sexual shoots were consensual.”
    (性的な撮影は合意の上だった。)

  • “Everything I have done has been consensual.”
    (私のやったことすべては合意の上でした。)
  • “The bullying had been consensual.”
    (そのいじめは合意の上だった。)

上記は、形容詞 ” consensual ” 自らが「 文の要素 」となる「 叙述用法 」。

次のように、名詞を直接修飾する「 限定用法 」でも使われる。

  • “The law cracks down  on non-consensual distribution
    of sexual content.”
    (その法律は、合意のない性的コンテンツの配信を
    取り締まる。)
  • “All non-consensual recording of conversations
    at the workplace is prohibited.”
    (この職場における会話の秘密録音は、全面禁止されている。)

    ◇  ” non- ”  =  否定の接頭辞 ( 非・不・無 )
  • 英語の形容詞の用法は2つ
    →  「 限定的用法 」 と 「 叙述的用法 」
  • 日本語の形容詞の用法は3つ
    →  「 限定的用法 」 と 「 叙述的用法 」 と 「 副詞的用法

※  「 用法 」 の直前の 「 的 」 が抜けても同義

◆  日本最大の国語辞典   の名を誇る 『 日国 』。

「 助詞 」 全文は、 以下の通り。



日本国語大辞典 第二版 』 第7巻、 p. 357.
小学館( 2001年刊 )

※  傍線は引用者


おまけに、「 形容詞 」 全文。



日本国語大辞典 第二版 』 第4巻、 p. 1287.
小学館( 2001年刊 )

※  傍線は引用者


緑の傍線が、 既記の

英語の形容詞は「 be動詞 などの 助けを借りないと、述語になれない

に該当する。

◆  英語も「 印欧語 」。

インド・ヨーロッパ語族( the Indo‐European languages )とも言う。

インド・ヨーロッパ語族系統図


画像の拡大

【出典】  小学館 日本大百科全書 ( ニッポニカ ) より



「 印欧語 」 と 「 形容動詞 」 は、 ” conclusive ”  で取り上げている。

◆  日本語の文の種類は、3種類に大きく分けられる。

1.  名詞文
2.  形容詞文
3.  動詞文


1.  「 名詞文 」  →  述語に名詞が使われる

1-1   私は学生です。
1-2   父は今ニューヨークです。

2.  「 形容詞文 」  →  述語に形容詞または形容動詞が使われる

2-1   富士山は美しい。(形容詞)
2-2   京都は有名である。(形容動詞)

3.  「 動詞文 」  →  述語に動詞が使われる

3-1   彼はそこに行きました
3-2   私は昼食を食べました

上記を英訳してみる。

青字は動詞 ( 下線部は 「 be動詞 」 )。

1-1   I am a student.
1-2   My father is in New York now.

2-1   Mt. Fuji is beautiful.
2-2   Kyoto is famous.

3-1   He went there.
3-2   I ate lunch.

– 
動詞が「 3. 動詞文 」に用いられることは言うまでもない。

ところが、

「 1. 名詞文 」 と 「 2. 形容詞文 」 にも
動詞 be動詞 ) が使われている。


日本語の「 1. 名詞文 」「 2. 形容詞文 」には動詞はないのが普通なのに、

英語になると、必ず 動詞 が出てくる。

名詞文 」 「 形容詞文 」 「 動詞文
すべて に、 英語では 動詞 が使われる。


日本語と英語の大きな違いである。


【参照】  日本語と英語の違い  ( 図入り )

 

 

 

 

 

 

 

 





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