Under scrutiny
2022/06/21
調査中
- NFL team under scrutiny for cheerleader trip
(チアリーダーの出張でNFLチームに調査)
– - EPA pesticide settlement comes under scrutiny
(環境庁の農薬合意に調査が入る)
– - Major News Outlets Under Scrutiny
(大手報道機関を調査)
– - X Board’s expense report policies
come under scrutiny
(X社取締役会の経費報告書規定に調査)
– - Short-term rentals come under scrutiny
(短期民泊に調査が入る)
上記5点とも、過去1週間以内のニュース見出し。
今月2018年5月初旬に発表された記事ばかり。
–
どれも “under scrutiny” の典型的用法。
こんな感じで、年がら年中見出しに踊る。
和訳は一例。
“scrutiny” の定訳が「調査」なので、こう訳した。
- 関係者による 内部調査
- 第三者機関による 厳格な調査
- 世間一般の 厳しい目
- 取り調べの代わりの 監視
いずれも “under scrutiny” で表わせる (緑字)。
–
こうしてあいまいさが漂うため、調査の種類を
的確に和訳するには、本文を読み込む必要がある。
これが “scrutiny” の特色のひとつ。
【発音】 skrúːtəni
【音節】 scru-ti-ny (3音節)
品詞は名詞のみ。
語源は、ラテン語「探す」(scrūtārī)。
不可算名詞(uncountable)である。
※ 「可算名詞」を併記する辞書もある
→ 『ジーニアス英和大辞典』 など
“scrutiny”
uncountable
- careful and thorough examination of
someone or something.
(ロングマン、LDOCE6)
– - careful and thorough examination.
(オックスフォード、OALD9)
– - the careful and detailed examination of
something in order to get information
about it.
(ケンブリッジ、CALD4)
–
※ 下線は引用者
【発音】 skrúːtəni
【音節】 scru-ti-ny (3音節)
多義ではない。
3大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈の共通項は、
青字 “ careful ” と “ examination “。
下線の “thorough” と “detailed” も、「詳細な」。
よって、要旨は、
慎重で詳細な examination
先の緑字のようなばらつきの一因に、”examination” が
関係すると見当がつく。
“examination” と言えば、まずは可算名詞の
「テスト」「試験」「検査」。
–
「入学試験」「検死」「健康診断」も表す。
“examination” の略は、“exam”。
【発音】 igzǽm
【音節】 ex-am (2音節)
いずれも該当しないのは明らかなので、除外。
その他の意味は、以下の通り。
“examination”
countable, uncountable
- the process of looking at something carefully
in order to see what it is like.
(ロングマン、LDOCE6) - the act of looking at or considering something
very carefully.
(オックスフォード、OALD9) - the act of looking at or considering something
carefully in order to discover something.
(ケンブリッジ、CALD4)
–
※ 下線は引用者
【発音】 igzæ̀mənéiʃən
【音節】 ex-am-i-na-tion (5音節)
こちらの共通項は “looking at” と “carefully”。
「慎重に見て調べる」の意。
“looking” なので、「厳しい目」や「監視」(緑字)も、
どうにか説明できる。
じっくり調べる
以上より、”scrutiny” = 「慎重で詳細な examination」は、
「慎重で詳細に見て調べる」行為を指すことになる。
定訳が「調査」なのは、無難な選択であろう。
「調査」
ある事項を明確にするためにしらべること。とりしらべ。
「調べる」
(4)かれこれ照らし合わせて考える。
(ア)点検する。調査する。研究する。
(イ)糾明する。尋問する。
(広辞苑 第七版)
「調べる」
(1)物事を明らかにするために、観察したり、
尋ねたり、本を読んだりする。調査する。
(大辞林 第三版)
冒頭の見出しには「厳しい目」が注がれるとの意味の
“under scrutiny” も含まれる。 「監視」も同様。
実際に記事を読んでみて分かったことである。
具体的な調査の着手を報じる内容ではなく、
疑いが浮上し、大いに注目されている様子を示唆
している。
–
これを「調査」と和訳するのは、不自然な気もするものの、
国語辞典の青字に該当すると考えることは可能であろう。
すなわち、注目されているだけであっても、「調査」と称する
のは間違いではない。
たとえ、その主格が「世間」であっても。
–
「厳しい目」も「調査」に入るということとなれば、
冒頭の参考和訳は、誤訳とまでは言えない。
以上のように、名詞 “scrutiny” の意味合いは、
時につかみどころのないこともある。
一方で、用法には明確なパターンがあり、これ以外
はめったに出てこない。
換言すれば、コロケーション(連語)は限られている。
LDOCE6に見やすくまとまっているので、転載させていただく。
LDOCE5 アプリ版より
※ 「LDOCE6」アプリの問題点については、こちら
このうち最頻出の “under”(~中で)を表題に選んだ。
–
従属の前置詞である。 同じ用法例は、
- under construction (工事中)
- under consideration (検討中)
- under discussion (討議中)
- under investigation (調査中)
- under repair (修理中)
本稿で引用した英英辞典はすべて、ノンネイティブ向けの
「EFL辞典」だが、英語ネイティブ向けでも大差ない。
“under scrutiny”
idiom / formal
being carefully examined especially in a critical way.
(Merriam-Webster)
“in a critical way” とは、「批判的なやり方で」。
–
【関連表現】
“scrutinize”
– 他動詞 「綿密に調べる」
– 自動詞 「綿密に調べる」 ※ マイナー用法
【発音】 skrúːtənàiz
【音節】 scru-ti-nize (3音節)
- “We need to scrutinize their news sources.”
(彼らの情報源を綿密に調べる必要がある。)