理由、根拠
This video contains content from XXX,
who has blocked it on copyright grounds.
※ XXX = 権利者などの名称
著作権に触れて、削除された旨を示す定型告知。
YouTube で目にされた方も多いのではないだろうか。
話題性に富むドラマやバラエティは、本放送の数時間後
には早くもアップロードされる。
自動検出に引っかからなければ、アップまではできる。
こうして違法動画が横行するわけだが、権利者が大手筋だと、
瞬く間に削除されたりする。
そして、先のような文言に置き換わる。
◆ 単文構造ではないものの、比較的容易な一文である。
簡明直截を主眼とする告知文である以上、当然だろう。
中級学習者であれば、一読して分かるレベル。
すんなり理解できなかったとすれば、おそらく “grounds” のせい。
この用法は、便利で応用範囲が広いため、ぜひ押さえておきたい。
堅めの表現だが、ビジネスではかなり使われる。
特に、次の12点はニュースで多用される。
日本のメディアにもよく出てくる内容。
- on economic grounds
(経済的理由で) - on ethical grounds
(倫理的理由から) - on environmental grounds
(環境面の理由で) - on humanitarian grounds
(人道的見地から) - on legal grounds
(法律的な観点から) - on medical grounds
(医学上の観点から)(健康上の理由で) - on political grounds
(政治的な理由で) - on religious grounds
(宗教的な理由で) - on scientific grounds
(科学的根拠に基づいて) - on security grounds
(安全上の理由で) - on social grounds
(社会的観点から) - on strategic grounds
(戦略上の理由から)
※ 各和訳は、あくまで一例
理由・根拠の前置詞 “on” と “grounds” の間に、
形容詞を挟むだけ。
「~という理由で」「~を根拠として」、さらには
「~の観点から」「~の見地から」などの意味。
このパターンで、広範に表現できることは、
容易に推量できよう。
冒頭文は、”on copyright grounds” なので、
「著作権上の理由から」。シンプルである。
◆ “grounds” は、名詞 “ground” の複数形。
しかし、普通の複数形ではなく「複数名詞」である。
すなわち、原則として “grounds” と複数扱いとなる名詞。
単数扱いが通例の「単数名詞」(singular noun)
の対が、この「複数名詞」(plural noun)。
“ground” そのものは、可算と不可算を兼ねる普通の
名詞だが、意味する内容によって「複数名詞」になる。
「単数名詞」も同様である。
<複数名詞の例>
“doldrums“、“strings“、”leftovers“、”odds“、
”belongings”、”clothes”
“ground” が複数名詞になるのは、
「理由」「根拠」を表す時。
この用途では、原則として複数形 “grounds”
で使われる。
3大学習英英辞典は、すべて “plural” と明示する。
“usually plural” とは「複数扱いが通例」の意。
可算名詞(countable、C)としての複数名詞
である。
“grounds” =
- [plural]
a good reason for doing, believing,
or saying something.
(ロングマン、LDOCE6)
– - [countable, usually plural]
a good or true reason for saying,
doing or believing something.
(オックスフォード、OALD9)
– - [C usually plural]
a reason, cause, or argument.
(ケンブリッジ、CALD4)
【発音】 gráund
三者とも似通った語釈である。
他に言いようがないほど、単純な意味合いということ。
“ground” には、名詞・形容詞・他動詞・自動詞がある。
語源は、古英語「底」(grund)。
多義な単語だが、基本的意味は語源を彷彿させる。
【発音】 gráund
– 名詞「地面」「場所」「基盤」「根拠」「立場」
– 形容詞「地上の」「基礎の」
– 他動詞「基礎に置く」「確立する」
– 自動詞「基礎を置く」「着陸する」
このうち、圧倒的に使われるのは名詞。
名詞 “ground” は、英単語として最頻出かつ最重要。
口語・文面とも、頻出度は<トップ1000語以内>。
重要度も<トップ3000語以内>
どれも最高ランクの位置づけにある。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)
派生の流れは、まあまあ分かりやすい。
「基礎工事」は、”ground work(s)” または
“groundwork” とも称す。
土台となる部分の工事である。
ここでは複数名詞でなく、通常の “ground”
◆ 複数名詞 “grounds”(理由、根拠) には、
いくつか典型フレーズがある。
主要な辞書に出そろう言い回しで、
実際に使われる。
その中で、最も基本となるのは、上掲の
1. “on(形容詞)grounds”
に加えて、以下4つ。
2. “on the grounds of”
(~という理由で、~を根拠として)
※ “the” 抜きで “on grounds of” とも言う。
“the” の有無で違いはないとされる。
https://english.stackexchange.com
3. “grounds for”
(~の理由、~の根拠)
4. “have grounds”
(~の理由がある、~の根拠がある)
5. “on the grounds that”
(~との理由により、~との根拠により)
◆ 5つとも、基礎文法に忠実な表現ばかり。
中級の英語力の持ち主であれば、解説不要な程度。
それほど基本に徹している。
複数名詞 “grounds” を学習した今、次の例文を
一目で把握できると頼もしい。
- “He was fired on grounds of sexual
harassment.”
(彼はセクハラで解雇された。)
(〃 セクハラを理由に解雇された。)
– - “You cannot be dismissed on the
grounds of being pregnant.”
(妊娠しているという理由で解雇されること
はない。)(〃 解雇できない。)
– - “I have reasonable grounds for punching him.”
(彼を殴ったことの合理的な理由があります。)
– - “She has no grounds for divorce.”
(彼女には離婚の根拠はない。)
– - “They have grounds for rejection.”
(彼らには拒絶する根拠があります。)
– - “We have no legal grounds.”
(我々には法的根拠がない。)
– - “He has resigned on the grounds that
he wanted to spend time with his family.”
(家族と時間を過ごしたいという理由で、
彼は辞任した。)
– - “She accepted the offer on the grounds
that it would make her happy.”
(幸せになれるだろうと考えて、彼女はオファー
に応じた。)
【類似表現】
“justification” ※ 不可算・可算兼用
https://mickeyweb.info/archives/10059
(理由、根拠)
【発音】 dʒʌ̀stəfikéiʃən
<違い>
- “justification”
正当化するために用いる理由や根拠。
社会的に確立しているかどうかは
無関係。
– - “grounds”
既存または確立した理由や根拠
を中心とする。
先のリストにあるように、社会的
に確立しているもの中心。
(OALD9の解説を中心にまとめた)