- 網羅性 : ★★★★★ ( 充分網羅している )
- 読みやすさ : ★★★★★
( 配色・書体・画像・枠組みに配慮が行き届き、引き込まれる見やすさ ) - 難 ⇔ 易 : ★★★★☆ ( 詳細な説明で手が込んでいる )
- 学参 ⇔ 専門書 : ★★★☆☆
( 副題 「 すべての日本人に贈る 『 話すため 』 の英文法 」 ) - 中級者 への推奨 : ★★★★★
( 実務的な深みがあり、大学入試に限定されない充実ぶり ) - 目次と索引 : ★★★★★ ( 両方とも丁寧な作り )
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【 概評 】
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TBD
【発音】ˌtiː biː ˈdiː
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『 一億人の英文法 』
大西 泰斗、 ポール・マクベイ (著)
東進ブックス、 2011年刊、 A5判、 688頁
【 「 アプリ 」 及び 「 CDブック 」は別売り 】
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物の見事にまとめ上げた、完成度の高い文法書である。
「 飛びぬけて優れている 」 と言いたいほどの集大成。
読みやすさに徹した、配慮の行き届く構成が目を引く。
落ち着いた渋い色味のオールカラーで、 書体と枠組みに創意
工夫がうかがえ、 文章とイラストの配置も巧みに整っている。
イラストは全部、 著者( 大西氏 )自らが描いたという気の入れよう。
使用紙は、 かすかに黄みを帯びた薄クリーム色で、 目に優しい感触。
見た目が心地よく、 開始前にして、 知的刺激と好感をそそり立てる。
魅力的な外観ゆえに、 好印象を受ける相手は、 人間に限らないのか。
◆ まずは、 帯からチェック。
「 話すため 」の英文法が 日本の英語を変える。
「 話すための英文法 ! 」
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どこぞの見出しばりに、 多彩を極める帯であり、 先に掲げた表紙
同様 「 話すための英文法 」 のキャッチで、 首尾一貫している。
この旗幟鮮明な方針を、 きっちり具現するのが、 本書の強み。
笑顔で仲良く肩を寄せ合う姿は、 場末の居酒屋でたちまち意気投合した
おっさんたちの 「 ほろ酔い気分でツーショット 」風に見えなくもない。
いいえ。 滅相もない。
こちらのご両所こそが、 画期的な 『 一億人の英文法 』 を、
この世に送り出してくださったのだ。
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本書カバーの折り返し ( 「 そで 」 )
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ご両人そろって、 立派な経歴の持ち主である。
「 共著, テレビでの共演多数 」 と鬼に金棒の二人組。
その叡智を結集した1冊が、 学参価格で入手できる幸せよ。
これほど輝かしいプロフィール欄に、 先ほどの生酔いめいた
ご近影を使い回すのは、 ちょっといただけない。
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◆ 学生対象の学習参考書 ( 学参 ) の場合、 新旧入り混じって
立ち並ぶ教材の山々から、 明確に差別化を図る必要がある。
若者に向けて、 特色を端的に伝える姿勢と技量が問われる模様。
前出の著者 プロフ に加えて、 表紙カバーを内側に折り曲げた
「 そで 」 部分を飾るのが、 下記の 「 特長 」。
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「 話せる英語 」 を最速で達成するための文法書
高校生から 社会人まで すべての人が 読者対象
「 大学入試はもちろん、社会で実際に英語を使うため
おおいに役立ちます。」–
本書カバーの折り返し(「 そで 」)
–
「 本書が対応する大学受験のレベル 」 がグラフ化
されているので、 主目的は入試対策と考えられる。
今一つ、 意味が読み取りにくいグラフと感じる反面、
箇条書きのチェック欄は、 押し並べて分かりやすい。
「 高校生から社会人まですべての人が読者対象 」、
「 英語を必要とする 日本人すべて 」と明記してある。
ざっくり言えば、 国民全体が対象ということ ?
だから、「 一億人の 」英文法 ?
英語教材にありがちな大風呂敷、 つまり現実味に乏しく、
不相応に崇高すぎる理念に該当するかどうか。
これから検証していきたい。
–
◆ 上掲「 本書の特長 」を具体的に説明するのが、 以下4頁。
「 特長 」ではなく「 特徴 」とあるから、特別すぐれた利点以外の
説明も展開されているはず。
–
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「 本書の特徴・使い方 」 ( 全4頁 )
続きます。insert
◆ 丁寧な記述に感心しつつ、結びの(5)に差し掛かって、驚き入った次第。
最後に、 酷烈なご鞭撻が待ち受けていた。
これまでの穏当なご指導と打って変わり、なによ、いきなり。–
‐
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p. 7. 「 本書の使い方 」
–
「 高校生なら10日以内に本書を読破し、英語の輪郭をつかみとる
ぐらいの知性と勢いが必要です。 大丈夫だよ, カンタンだから。 」
えええっ !?
そのレベルの「 知性 」を、高校生に求めるの ?
「 大丈夫だよ, カンタンだから 」 って …
–
◆ ご指示通り、やってみたけど、全然 「 カンタン 」 でなかったぞ。
高校卒業後、 何十年も勉強し、 なおかつ英語の実務に長年従事して
きたものの、 とてもじゃないが 「 カンタン 」 には思えなかった。
「 英語の輪郭をつかみとるぐらい 」 とおっしゃるけれど、
「 輪郭 」 を把握するまでが、 とてつもなく長い道のりなのです。
当初は私も、「 深さ50cm、 最深せいぜい2m 」 くらいに見積った。
けれども、 実相は底なしの奈落であることを、 数十年後に知りました。
職業選択を間違ったかも、 と絶望して泣きました。
【参照】 ” no need ” ( 動画入り )
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–
◆ 思うに、
◇ 日本語母語話者( 日本語ネイティブ )の場合、
「 10日以内 」 でつかめる 「 英語の輪郭 」 など、
単なる 「 幻想 」 にすぎない。
–
おそらく、 間違いだらけの「 輪郭 」 になりやすく、 まあ危険。
つかめるとすれば、 多分、 それは日本の「 受験英語 」の「 輪郭 」。
日英は、 文法のみならず、 発音・音節・語順にも共通点は乏しい。
言語系統が別次元 なので、 糸口が得られがたく、 ハードルが高い。
日本語は、 今なお起源不詳であり、 系統不明な 孤立言語 とされる。
英独仏を含む、 大規模な印欧語族( インド・ヨーロッパ語族 )に、
縁もゆかりもない点は、 幾多の専門家による論証が裏打ちする。
【参考】 インド・ヨーロッパ語族系統図 ※ 後掲
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–
◆ 本物の「 輪郭 」は、 はるか彼方に存在すると認識する方が正しい。
例えば、 「 冠詞 」「 時制 」「 前置詞 」 は、 勉強すれば勉強するほど
混乱し、 胸突き八丁の プラトー を乗り越え、 ようやく土台が固まる。
中級・上級の英語学習者であれば、 ご体験済みのしんどさに違いない。
私なんか、 40年以上も毎日掘り続けているが、 未だに底が知れない。
掘っても、 掘っても、 定まってくれない 「 英語の輪郭 」。
何を隠そう、 脳に渦巻く猛烈な焦燥のあまり、 半ベソかきながら、
勉強したり翻訳したりと、 情けないあがきの、 星霜ここに幾十年。
受験が苦しいのは言うに及ばず、 プロになっても、 なかなか大変。
やっと勘所を押さえた、 と喜びも束の間、 新たな疑問がすぐ浮き
上がるから、 いつまでたっても、 輪郭がおぼつかない状態のまま。
にもかかわらず、 食い扶持を英語で稼ぎ、 ブログをも書いている。
母語の日本語とは、 言語的に完全に別物なのだから、 そう簡単な
わけないのである。
【参照】 ” no need ” ( 動画入り )
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◆ 本書全編に散りばめられているキーワードが、
- ネイティブの 感覚
- ネイティブの 意識
- ネイティブの キモチ
これらを、至れり尽くせり図示し、解説している心意気は素晴らしい。
本書に限らず「 ネイティブの ○○ 」を日本語でじっくり解き明かす
英文法書は増えてきており、 このこと自体は望ましい傾向と考える。
ところが、
◇ 日本語母語話者にとって、
「 感覚的に 」とらえにくいのが、
ネイティブ( 英語母語話者 )の感覚
–
手取り足取り教えてもらっても、 あらかた「 よく分からない 」。
なんとなく頭では分かった気になるので、 英会話・英作文の際に、
喜び勇んで 「 ネイティブの意識 」 を試みるが、 戸惑うばかり。
—–ちゃんと覚えたはずなのに … なんで …
実のところ、上辺だけの見せかけの英語力だったことに気づき、自身の
自惚れた勘違いに愕然とするのも、 おおよそ 中級学習者に達してから。
私もそうだった。
悔しくて、 意地になって、何度も読み込むが、一向に合点がいかず、
自信をもって活用する水準に到達することはなく、 成長が止まる。
これが、先述の 「 胸突き八丁の プラトー 」。
半ベソ期の到来。
頑張るのが馬鹿らしくなってきて、 なにもかも投げ出したくなる。
—–こんなのやってられるかよ … くだらね …
母語に比べて、「 言語系統が別次元 」とは、 こういうこと。
–
■ 学習上の手掛かりを、 日本語から得にくく、
習得の困難なのが英語。
–
■ 母語を踏み台にして、 理解への足掛かり
を作る好機が、 極端に少ない。
–
◆ 英語もじりの和製語やカタカナ語は、 大意をつかむ目的では確かに有効。
しかし、大半の外来語は、 両言語間の文法の壁を乗り越える力量に欠け、
そのまま適用できず、 英語学習の難易度をむしろ上げている印象がある。
カタカナで学ぶ英語学習法は、 昔から出ては消えての繰り返しで、 正統
な手法として浸透しなかった理由に、 このような理屈があると推察する。
本当に効果があるならば、 日本人の英語力は今とは違う形になっていた。
日英の文法に精通している指導者は、 きっとお勧めしない学習法である。
【参照】 詐欺教材大国の日本、
–
■ 「 本能的に 」 習い覚えた第一言語( 母語 )の影響力は、 常に絶大
■ 人間は言語を用いて考えるため、 母語こそ「 思考の土台 」を形作る
–
一般的な環境に育った日本人が、 どうやって学んでも、
「 感覚的 」 には身につかないのが英語であり、
もはや宿命的なもの、 と言い切っても過言ではない。
言語面にとどまらず、物事の見方を左右する、文化的な違いも顕著。
そのため、 ある程度の 「 異文化理解力 」 を具えていなければ、
円滑なコミュニケーションは遠のく。
語学力と両輪をなす能力 で、 これまた修めるのに時間を要する。
それなりに高度な語学の4技能 「 聞く・読む・書く・話す 」 の実現
には、 文化的側面に対する教養が欠かせない。
異文化を知ることは 「 語学力より不可欠 」 と説く論も根強い。
国際結婚が難しいと言われるのは、 言葉のみの問題であるまい。
ネイティブの視点や思考を、 机上で知ったからとて、
おいそれと会得できるわけなく、 紙上に兵を談ず。
大抵は限界を伴う。
ほぼ無意識に作用する「 感覚 」へ、 すっと吸収される見込みは薄め。
したがって、 自然な流れで、 すとんと腑に落ちるような学び方は、
私たち日本人には 「 現実的でない 」 と自覚する方が妥当だろう。
こうした話は、 “ conclusive ” と ” integrity ” ( 図入り ) に
事細かに記した。
結局、 英語が苦手なまま、 ぽっきり心が折れてしまう。
「 あんなに、頑張ったのに … 」
「 あの努力はなんだったんだ … 」
日本人の大勢に見られる、 哀しい現象である。
「 ずっと勉強してきてるのに、 ろくに通じないって … 」
日本人がなめ尽くしてきた屈辱は計り知れない。
真面目に頑張っても通じないのだから、 つまらない。
喜びが伴わず、 期間限定の 「 お勉強 」 で終わる。
多年に及ぶ、 汗と涙の刻苦勉励が、 あたら台無しに。
大いなる損失で、 非常にもったいなく、 残念無念でたまらない。
いじけた日本人を大量発生させたのが、 「 通じない英語 」 教育。
未来を担う人材はおろか、 日本人全般の自己肯定感を毒してきた。
「 教育 」 の趣旨に反し、 国民に自信喪失とトラウマをもたらした。
ひどい教育。
この辺も、 “ conclusive ” ( 地図入り ) できめ細かく述べた。
–
–
自信の築き方は人それぞれだろうが、 相手に伝わらない英語の授業が、自信につながるとは考えられず、 エネルギーの消耗を余儀なくされる。
税金を注ぎ込んで、 無力感と羞恥心のくすぶる日本人を量産している。
–
–
“ conclusive ” より
–
–
大抵の 印欧語族 の人は、 ここまで高い語学ハードルを見たことない。
–状況が違いすぎて、 この苦労を思い描くことは、
彼らには不可能に近い。
プロの通訳者・翻訳者として、 しょっちゅう感じ入る意識のギャップ。
彼らには把握しきれぬ事案と知悉し、 余計な説明などいたしませんわ。
日本人が耐える苦しい気持ちを安易に推量するのは、 軽佻浮薄な態度。
中途半端な見識で半可通を振り回されると、 かえって面倒くさくなる。
「 知らないくせに生意気こくな 」 と反感が募るから黙ることにしている。
–
–
「 日本語と英語の違い 」 より
–
◆ 「 前置詞3年、冠詞8年 」 は、先達の経験を踏まえた教え。
–
–
『 英語の冠詞がわかる本 改訂版 』正保 富三 (著)
研究社、 2016年刊
四六判、 180頁
–
「 何十年勉強しても、冠詞の用法を体得するのは至難である。 」
–
さらに、 英学界の巨人、 斎藤秀三郎 ( 1866-1929 ) のたまわく、
- ” English, though a comparatively easy language,
is far from being so to the Japanese student. ”
( 英語は比較的平易な言語であるが、日本人学習者に
とっては、平易から程遠い。 )
– - ” a pronunciation wholly alien to that of his mother-tongue ”
( 母語の発音に対し、完全に異質な発音 )
–
–
–
p. 5. “ PREFACE ”『 正則英文教科書 第4冊 ( 第4学年用 ) 』
斎藤秀三郎 (著)
興文社、 1908年刊
–※ 斎藤秀三郎は、 世界初の EFL辞典を生んだ 影の立役者
→ 辞書は 「 紙 」 か 「 電子版 」
–
日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います
–
日本語音と同じ感覚で英語音を発音するから伝わらない。
–
👄 唇をよく見て 🫦
–
リスニングばかりで口は置いてきぼりの日本人が多すぎ。
–
英 語 「 息の音 」
日本語 「 声の音 」
–
日本語母語話者にとって、
英語の発音は動物の鳴き声に近い。
日本語で表記しがたいのは言うもおろか。
犬猫の声と一緒で、 そもそも日本語では書き起こし
きれないのに、 英語音を無理くり邦文で表現しようとする。
日本語音と同じ感覚で英語音を発音するから伝わらない。
等しく不条理だからアプローチを変える。
口周りをまじまじと見据えて、 模倣する。
👄 口をよく見る 🫦
–
※ やり方は、 ” integrity ” へ ( 図入り、 動画入り )
–
【参考】 ※ 外部サイト
- 多言語の習得は 「 音 」 から 脳領域特定、 文法理解早く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF251YP0V20C24A2000000/
2024年2月26日付
–
◇ 英独仏を含む、 大規模な印欧語族 ( インド・ヨーロッパ語族 ) を
母語とする学習者と異なり、 母語が日本語の私たちは、
手掛かり・足掛かり が全然つかめない。
–
文字表記・発音・音節・アクセント・語順 はほとんど重ならない。
舌・唇・歯・呼吸間の相互作用 が大違いで、 発音時の口周りも異次元。
言語面にとどまらず、 物事の見方を左右する、 文化的な違いも天地。
だから、 「 異文化理解力 」 も身につけなければならない。
母語 = 日本語の宿命を担うと、
英語習得はやたらと難しくなる。
–
母語が 「 踏み台 」 になってくれないから。–
やること多すぎ。
◆ 英語は 「 印欧語族 」 ( the Indo‐European languages )。
–
画像の拡大
–
【出典】 小学館 日本大百科全書 ( ニッポニカ ) より
–
母語に存在せず、 イメージしづらいことだらけなので、
どうあがいても、 すんなり理解できない。–
繰り返すと、
母語に比べて、「 言語系統が別次元 」とは、 こういうこと。
–
詳細は、 「 日本語と英語の違い 」 と ” integrity ” で取り上げたので、
ご高覧いただければ幸い。 ( 図入り )
–
印欧語族同士は 「 りんご – ぶどう 」 、
日英間は 「 りんご – くるま 」 みたいな差。
この雲壌の相違が、 英語習得の難易度の隔たり。
–
–
英語に近い言語とは、 立ち位置が違う。例えば、 「 オランダ人は英語がペラペラ 」。
語順も文法も、 英語に類似する印欧語の代表格が、 オランダ語。
出自が同じだから、 学習上の手掛かり・足掛かりはかなり多い。
初歩から洗いざらい手ほどきを受けなくても、 普段使っている母語との
共通点を見出し、 規則性を汲み取ることで、 ある程度は独力で体得可能。Both languages share the same root.
「 オランダ人から学ぶ英語学習法 」
これに類した情報商材が堂々と売られている。
日本語母語話者の悩みを解決するには的外れ。
言語・文化が完全異質ゆえ、 逐一ねじり鉢巻きで勉強して学ぶ日本人。
–
–
「 日本語と英語の違い 」 より
–
◆ 一方、 中国人には英語堪能な方が多いとの反論がある。
確かに、 中国語は日本語と同じく、 印欧語族に属さない。
–
しかし、 日英に比べれば、 文法と語順が似通っていることは検証済み。
中国語( Mandarin )を大学の第二外国語で学んだ際、 自ら実感した。
–
–
「 動詞 」 が出る前に詰まるから通じない–
日本語は語順が違うから、 機械的に置き換えにくい
→ 語順を入れ替えないと、 動詞までたどり着けない
–
–
『 ITエンジニアが覚えておきたい英語動詞30 』 pp. 8-11.板垣 政樹 (著)
秀和システム、 2016年刊
A5判、 248頁【 音声ダウンロード 無料 】
–
日本語の動詞は後半に来るから、 語順を全面的に再構成しないと通じない。
むごい試練で、 頭がしっちゃかめっちゃか、 その場で思考がフリーズする。
母語と英語の語順が似ていれば、 ぱかぱか代入するだけで伝わったりする。
◆ 英語と中国語・日本語・フィンランド語の語順を見比べた図の一例。
英語の動詞 ( to 不定詞 ” want to try ” ) がどこに該当するか目を向ける。
中国語は英語と同じく前半、 ぱかぱかいけそう。
日本語は末尾部に飛ばされ、 頭がこんがらがる。
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https://awed-frog.tumblr.com/post/617561392469393408/whoa※ 2024年3月22日 アクセス
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最終の ” Finnish ” とは 「 フィンランド語 」。
日中同様、 印欧語 ( インド・ヨーロッパ語族 ) ではない。
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そのため単語も文法も全く異なります。
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https://twitter.com/FinEmbTokyo/status/225793076612972544※ 2024年3月22日 アクセス
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ちなみに、 朝鮮語と日本語の語順は酷似するが、 語族は別。
※ 言語学では 「 Korean = 朝鮮語 」 が正しく、 「 韓国語 」 は便宜上の名称
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https://blog-imgs-101.fc2.com/t/e/s/tesuto93/oXzhjas.jpg※ 2024年3月22日 アクセス
◆ よって、「 大丈夫だよ, カンタンだから。」 では後味が悪い。
発破をかけるにしても、「 カンタンだから 」 は見え透いた大嘘。
そもそも、今時の高校生が、こんな子どもだましに乗るだろうか。
さしたる覚悟なく、「 カンタンだから 」と取り組み、 あっさり
挫折した時には、 もう目も当てられない。
実力にそぐわない教材は、混迷脱落を招き、「 英語嫌い 」一直線。
著者自らが、 上調子の言をなすのは、 裏切りに近いものがある。
ましてや、 相手は春秋に富む、 若き俊英の高校生。
我が国の宝。
そこで、 なんとも生意気ではあるが、 私なりに加筆改変を試みたい。
–
「 高校生なら10日以内に本書 に3回素通しで目を通し、 を読破し
英語の輪郭を 大まかに押さえる くらいの つかみとる
勇気 と勢いが必要です。 知性
大丈夫だよ, カンタンではないけれど。 」 カンタンだから
–
◆ 「 英語の輪郭をつかみとる 」 に至らなくても、 日本の大学の
一般入試レベルは対処可能。
合格を目指すなら、 試験に頻出の分野を洗い出し、 そこに軸足を置く。
全体的な「 輪郭 」の理解は大づかみでよいので、 必須範囲を特定し、
焦点を絞って、 時間とエネルギーを注ぎ込むべきなのが、 受験勉強。
厳格な制限時間を課し、 合否を決する入試の特殊性を考慮すれば、
試験に出にくい方面は後回しどころか、 手つかずで終わったりする。
学者・専門家が重視する系統的な成り立ちより、 頻出度の方が大事。
成立に忠実な段取りは理想的だが、 可処分時間は限られているのだ。
英語に明け暮れるだけで、 万事好都合に事が運ぶ学生なんぞいるまい。
しっかりメリハリをつけ、 手堅く集中し、 さっさと合格してしまおう。
底知れぬ深淵で、 しぶとく踏ん張ってきたからこそ分かる、 英語の深遠さ。
全体像を 「 つかみとる 」 努力は難しくても、 現状欠けている重要知識
を重点的に勉強し、 理解を深める寸法で、 輪郭の一隅をかすめていく。
学者向けの勉強とは、 軌を一にしないと見切る方が、 効率よく捗る。
本来の趣旨に照らして、 高校生の受験勉強と英語を生業とする学者・
専門家らプロの手段を、 一緒くたに論じることは見当違いと考える。
実務家であれば、 顧客満足を優先し、 試験に出る分野か否かは無関係。
とすれば、「 英語を必要とする 日本人すべて 」 と銘打つ「 そで 」の
売り文句に、 過大な期待を託すべきではないかも、 と仄暗い陰りが宿る。
◆
続きます。
◇ 「 英文法の参考書 」 連載