プロ翻訳者の単語帳

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英文法の参考書 『キク英文法』

      2021/04/22

  •  網羅性 :  ★★★★☆  ( おおかた網羅している )
  •  読みやすさ :  ★☆☆☆☆  ( 本文がすし詰め気味で、配色が残念 )
  •   :  ★★★☆☆  ( 中級者にはそう難しくない )
  •  学参 専門書   ★☆☆☆☆  ( 表紙に「学参」と明示 )
  •  中級者への推奨 :  ★★☆☆☆  ( 主目的は大学入試で、過去問が素材 )
  •  目次と索引 :  ★★★★★  ( 両方とも丁寧な作り )

【 概評 】
・ 英文法の基礎力がない人に、文法書としてはおすすめしない
・ 基礎力が盤石ならば、大学入試に役立つ「 文法書  問題集 」
・ プロ4名の朗読音声は、見事な仕上がりで、リスニングに有益

キク英文法

一杉 武史 (編著)
アルク、 2007年刊、【 CD2枚つき(57分、54分)】
18.2×13.1cm、 396頁、【 音声ダウンロード無料

<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天ブックス>

  Contents (目次、全6頁) に掲げる 「 文法項目212 」


中身はしっかりしているのに、以下の具合に配色がひどい。

過半を占める、本文素地の「」と「」が、どぎついのである。

わずかに色薄ければ、読み心地はだいぶ違ったはず。


上記の色様式が、全体を貫くので、結構きつい。

読み続けると、文字色と対抗し合い、目がチカチカする。
やたらと疲れて集中力が削がれ、学習どころでない感じ。

下地が濃すぎて、蛍光ペンなどでマークしても、際立たない。
白地以外への書き込みも大変で、余計なストレスが積もり積もる。

なにをどう間違えば、こんな色あしらいになるのだろう。

ああ、もったいない。

◆  暗記のためかと思い、手持ちの赤シートをかぶせてみた。


中途半端に文字が隠れてしまい、意味をなさない。

よって、赤シート用の色使いではないのは明らかである。

その旨の説明はなく、シートも付属していないので当然か。

価格(本体 1,600円)からして、専門書よりは学参(学習参考書)扱い。
確かに「アルク学参シリーズ」と表紙に明記されている。

若者ならば、平気で読める色味なの?

さっぱり分からない。


◆  幣サイトのレベルですら、初歩的な配色管理を実施している。

読者様には、中高年の年齢層が多い。
我が同世代に向けて、できるだけ色合いに配慮するよう努めている。

もとより、色覚の弱い方々が大勢存在することは、統計に出ている。

「先天色覚異常」については、

日本人での頻度は男性の約 5%、女性の 0.2%

日本眼科学会 「 先天色覚異常 」
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_senten.jsp

フランスや北欧では男性で約 10%、女性で約 0.5%

ウィキペディア 「 色覚異常 」
https://ja.wikipedia.org/wiki/色覚異常

加えて、後天的な要因。
遺伝子の特性の違いや、緑内障などの網膜の病気、
白内障などのために、
一部の色の組み合わせを区別
しにくく不便を感じる人が、日本に 数百万人
います。
『 カラーユニバーサルデザイン  推奨配色セット  ガイドブック 』

見やすい色調はもちろんのこと、視認性・可読性・判読性を含む
ユニバーサルデザイン の視点は、シニア限定の課題ではない。

※  本稿末尾に、参考動画のご紹介

◆  2007年5月の初版以降、『キク英文法』は幾度も刷を重ねている。

2020年3月購入分の奥付に 「2019年1月17日(第14刷)」、
スキャン用の2冊目には 「2020年8月25日(第16刷)」。

アルク様(創業 1969年)のように、名の知られた株式会社の商業出版で
あれば、色相や印刷方面のプロも製作過程に関わるのでは、と不審が募る。

色彩設計に役立つ、こちらの資料は、無料で入手可能。

◇  『 カラーユニバーサルデザイン  推奨配色セット  ガイドブック
http://www2.cudo.jp/wp/wp-content/uploads/2016/10/CUD_Colorset_Guidebook.pdf
2013年11月 第1版発行

※  PDF 全12頁、8MB


◆  やや不体裁な見てくれの印象が否めない『キク英文法』。

一方、複数の英語教育系 YouTubers 推しの英文法書でもある。

絶賛を博したおかげか、殊に2019年から2020年上旬にかけて、
極端な品薄で、新本はどこも品切れ、中古価格が高騰していた。

私の1冊目も中古本で、定価の3倍の「ほぼ新品」。

プレミアム価格と引き換えに、ようやく手に入れた。

その価値はあったか。

“Was it worth it ? ”
“Definitely.”

◆  これから本領のご案内。

立ち位置を大学入試に定めているのは、彩り華やかな帯が表す。

 「 文法書 X 問題集 として 大活躍 ! 」 


目を引く「シリーズ ○○○万部突破」。

数値が、着々と伸びている様子からも、
手堅く売れ続けていることが分かる。

手元の2冊の帯は、
・「2019年1月17日(第14刷)」 → 「シリーズ 400万 部突破
・「2020年8月25日(第16刷)」 → 「シリーズ 450万 部突破

出版業界の目安として、売上部数 10万冊以上を「ベストセラー」
と呼ぶ風潮がある。

シリーズ全体とはいえ、売上基準を優に超えた学参は、
確実に「ベストセラー」の域に達しているに違いない。

【参照】  トーハン 年間ベストセラーアーカイブ

◆  矢印 の「対応範囲」は、本書の自信の表れだろう。

「中学卒業」から「難関大学」まで対応可能とある。

しかし、この帯が描写する想定読者層は、少々無謀な気がする。

CEFR(セファール、 ヨーロッパ言語共通参照枠)の「A1」と「C1」
に属する学習者の用いる学参が共通するケースは少ないと感じる。

英検「4級」と「1級」の教材も、一緒くたにしがたい。

双方の4技能(聞く・読む・話す・書く)の力量は、完全に異なる。

辞書・事典類を除き、通常、使用教材が重なるわけないのだ。

カバー範囲を、ここまで堂々押し出す学参は珍しい。

これでは、あたかも 「英語力不問」 と宣伝するようなもの。
あるいは、対応範囲 「小学3年生    高校3年生」の如し。

現に、文科省発行の対照表では、英検(実用語技能定)
の「4級」は圏外。

文部科学省  公式サイト
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/__icsFiles/afieldfile/2019/01/15/1402610_1.pdf


無用の誤解を防ぐため、ターゲット層を絞って示す方がよいと考える。

まだ全体像を把握していない初学者・初心者には、見分けがつかないから。

見合わない教材で勉強すると、混迷脱落しやすく、「 英語嫌い 」一直線。

実際に、どのレベルの学習者に最適か、本稿で考察していきたい。

◆  「 ゼッタイに覚えられる 」が、本書の触れ込み。

若さあふれる高校生向けらしく、特長を鮮明にアピールする。


上掲の前置きと最初に掲げた目次(Contents)は、白地で見やすい。

次の通り、索引(Index)も、この上なく明瞭に整っている。

和文・英文とも、きめ細かく拾い上げ、丹念に作りこんだ親切さが素晴らしい。

  Index (和文 全4頁、 英文 全14頁) の一部

 

本文の見場も、こうすっきりしていたら、よかったのに。

◆  可処分時間に応じて、3つの「学習モード」を編み出している。

1日「3分」「6分」「9分」と設定した「学習時間の目安」で、
「学習モード」を選ぶ形式を取り入れた工夫は特筆大書すべき。

きっかり「Day49」まで区分けされており、そのまま従えばよい。

なにかと多忙な現役学生にとって、手頃な手引きとして期待できる。

「モード学習」に基づき、7週間の「スケジュール学習」
で「大学入試最頻出」の「文法項目212」をマスター

1日4ページで、2項目 x 7週間 (49日間)

2枚のCDで「目」と「耳」同時にインプット

「主要100大学    センター試験」の過去問題に加え、
コーパスを徹底分析して、選出した文法項目。

 「ゼッタイに覚えられる」 文法書 ・ 問題集です !

  Preface (全1頁)


このレベルの文法力があれば、難関・最難関大学に

楽々合格できるだけでなく、海外の大学へ将来留学
することも夢ではなくなります。

p. 3  “Preface”

本書で扱う212の項目をマスターすれば、文法ミスを
せずに
「話す・書く」ことができる素地が完成します。

p. 3  “Preface”

単に入試を突破するだけでなく、
将来英語を使って世界で活躍するために必要な
「総合的な文法力」をマスターできます。

p. 10

 

「ゼッタイ」 って …

なんだか、すごそう。

でも、1日「3分」「6分」「9分」、合計7週間 (49日間)で、
本当にこなせる分量なのか。

それぞれ確認していこう。

 

◆  「1日最短3分、最長9分」の「Day学習」の内訳は、

  1.  3分 : 「チェックモード  –  Rule をチェック
    Check 1 】 例文を読み、解説を読み、CDを聞
  2.  6分 : 「チャレンジモード  –  Exercise にチャレンジ
    Check 1 】  +  Check 2 】 過去問を解く

  3.  9分 : 「フィニッシュモード  –  Point を押さえてフィニッシュ
    Check 1 】  + Check 2  + 
    Check 3 】 解説を読み、CDを聞く

件のどぎつい下地の色に従い、「」と「」でハイライトしてみた。

以下、そっくり真似て、色分け。

それでは Day学習をスタート!

例文を読む  →  解説を読む  →  CDを聞く  →
問題を解く  →  解説を読む  →  CDを聞く

の順番で進めよう!

p. 34


◆  上記「利用法」を当てはめると、こうなる。

  1.  3分 Check 1
    例文を読む  →  解説を読む  →  CDを聞く 
  2.  6分 Check 1 】 +  Check 2
    例文を読む  →  解説を読む  →  CDを聞く  →
    問題を解く
  3.  9分 Check 1 】 +  Check 2 】 +  Check 3
    例文を読む  →  解説を読む  →  CDを聞く  →
    問題を解く  →  解説を読む  →  CDを聞く

文法項目212」は、合計18章に分かれており、各章の結びに
「章末問題」( End-of-Chapter Exercise )を設けている。

見開き左側に6問の入試過去問、右側にその「解答と訳」。

  •  6問 x 18章  =  「108問」

  End-of-Chapter Exercise ( 全108問 ) の一部

この「章末問題」は、本書の売りである「1日最短3分、最長9分」
には不算入。

仕上げの試験みたいなものだから、と一応納得する。

◆  逆に、問題視したくなる不算入が2つある。

まず、各章(第18章以外)のとば口を飾る “Introduction” が、
度外視されている。

「モード学習」(p.11)による計算上は、

  •  1日2項目 x 49日間  =  「98項目」

「212項目」から程遠い一因は、各4ページの ” Introduction ” に、
「6項目」が詰まっているから。

  •  6項目 x 17章  =  「102項目」

  Introduction (全102項目) の一部


Day学習に入る前に、まずは○○に関する基本的な文法ルール
をチェック
」と右上で呼びかける。

Introduction” の中身の重要性(「基本的な文法ルール」)を考慮に
入れると、これこそ「Day学習」から外せないのではないか。

さらに、皮切りである ” Prologue ” の 「12項目」も、計算外。

計12ページの例文と解説が、 “Prologue”  兼 「DayX」用の課題。

「きっかりDay49」と先述したが、「DayX」はカウントされていない。

語順5文型平叙文疑問文命令文感嘆文句と節

これらの文法要素と基礎概念を、12ページで淡々と説明するのが、
DayX 」 すなわち  ” Prologue “。

設問はない。

  Prologue 「DayX」(全12項目) の一部

いわく、

中学レベルの文法を、「語順」の視点から解説しています。
中学英語を完全にマスターしてる人は、ここは飛ばして
p.29 の Chapter 1 から学習を始めましょう。

p. 15


◆  「スケジュール学習」とうたう割には、意想外のからくりを蔵する。

1日「3分」「6分」「9分」、合計7週間 (49日間)
「学習モード」に 算入されていない 文法項目が、
  全「 212項目 」のうち「 114項目

 53.7% が対象外 


つまるところ、

 ◇  文法項目  全「 212項目 」の内訳

□  ” Prologue ”  12項目  →  「学習モード」除外
□  ” Introduction ”  102項目  →  「学習モード」除外

□  「 Day 学習 」 98項目 【 Check 1   +   Check 2   +   Check 3 】

この部分のみで「 7週間、 49日 」

以上、合計 212項目。

おまけに、既述の通り、章末問題も「学習モード」から除外されている。

□  ” End-of-Chapter Exercise ”  108問    「学習モード」除外



◆  迫力みなぎる帯が強調するように、大学入試に焦点を合わせている。

  Prologue” 及び “Introduction” 以外の素材は、
すべて大学入試の過去問題から抽出

■  過去問を解き、その解説から文法を習うパターン

  全部翻訳されているが、長文問題はない

全過去問は、出題大学名入り。  

手が込んでいるが、出題年は一切記載なし。

本書を 文法書 としてのみ活用したい人は、Check 1 だけでOK !
(p.13)と臆面もなく言ってのけるが、例文ばかりの【 Check 1 】は過去問だらけ。

むしろ、”Prologue” と “Introduction” の方が、「文法書」にふさわしい。
どちらの例文も、過去問から切り離されている様相で、基礎文法そのもの。

各章の “Introduction” の中身が濃いことは、上掲「Chapter 7  副詞」の記述
から推知できよう。

過去問に立ち向かう前に、基本を固める大切さは言を俟たない。

◆  提示された「学習モード」で実行しようとすれば、「文法項目212」
のうち、実に 過半数の「114」もの基礎項目をスルーしなければならない。

「中学レベル」とする “Prologue” 12項目はおろか、
Introduction102項目を、習得済みの学力が前提

114項目 」 =  53.7% が対象外 

要は、

◇  高水準の英語力がなければ、3つの「 学習モード 」は無効

標榜する「 7週間後には、大学入試再頻出の212の文法項目が身につく 」
ためには、”Prologue“と “Introduction” の計「114項目」を飛び越せる
実力が、あらかじめ要求されている。

いくらなんでも、現役高校生には無理でない?

大雑把な「英検4級    英検1級」 の背景は、こういうことね。

どこが 「スケジュール学習」なのか、と疑問が頭をもたげる。

それよか「飛び級」もどき。

規定の「モード学習」(p.11)は、大半の高校生には実現不可能。

「1日最短3分、最長9分」なんて、まったくもって、現実的ではない
というのが、私の結論。

「1日最短30分、最長90分」の方が、よほど合点が行く。

◆  スケジュール設定に対しては、辛口の批評となった。

続いて、肝心な内容の適否を検討していきたい。

冒頭の目次において、「文法項目」は “Rule”、「章」は “Chapter”。

本文中には、日英の言い回しが混在している。

“Preface”、”Prologue“、”Introduction“、”Appendix”、”Index”
は英語表記で概ね統一されているが、慣れるのに一苦労するかも。

何度も触れてきたように、本文はごちゃごちゃ立て込んでいる。
配色のまずさもあり、見た目で大損している印象が付きまとう。

外観の弱点は打ち捨てて、以後、文法面を精査していく。


◆  本書の基幹となる Day 学習 98項目 について、例文(Check 1)と
設問(Check 2)のすべての典拠が過去問である特徴は、既に記した。

それぞれの解説Check 1)、解答と訳Check 3を読み込むことで、
英文法を学ぶパターンであることにも触れた。

こうして、目次(Contents)にある文法項目を、きちんと網羅している。

取り上げる項目自体は、ほとんど重なるものの、過去問をこれほど
中心に据える構成は、昔ながらの英文法の専門書にはない特色。

専門書は、説明・解説から入り、その後に問題を解く運びが一般的。

文法要素の分類に忠実で、なおかつ語義や文法の成り立ちを系統的
にたどる道筋を重視する傾向がある。

  結論と根拠を結びつける流れが、専門書とは大きく異なる。
確立された系統で文法を学びたい人には、不向きと考えられる

 ★★★  基軸は過去問  ★★★ 

■  大学入試の過去問題を解き、答えの「解説」から文法を習得

過去問で学び取る 98項目 に加え、課外扱いの基礎文法が 114項目 

  •  ” Prologue ”   = 「 中学レベルの文法 」12項目 )
  •  ” Introduction ”   = 「 基本的な文法ルール 」102項目 )

とにかく『キク英文法』では、「文法項目212」(Rule)が学べる。

全項目は、前掲の目次(Contents)にて、目視確認できる。

 文法書  X  問題集  として 大活躍

「大活躍」と帯(前出)で自画自賛する破廉恥はどうかと思うが、
「文法書」以上に「問題集」の性質が顕著なのは確か。

実際に使われた入試問題なので、見慣れる効果が期待でき、
受験対策には多少なりとも有効。

素材が過去問ゆえに、難易度は出題校の英語の難易度に沿っている
と言っても過言ではない。

全編を通じて、センター試験から難関大まで、手広く取り揃えている。

主要100大学 + センター試験の過去問題 」と顕示するのが、例の帯。

つまり、難易度にばらつきがあり、かつ材源が広範囲に及んでいる
側面を鑑みると、「中学卒業    難関大学」は正しいかもしれない。

◆  「すし詰め」の項目が散見される理由は、既記のパターンと
上図を見比べれば理解できる。

各文法項目(Rule)の紙幅は、等しく割り当てられている。

その枠内に収める必要があるため、詳細な説明を要する
項目であれば、ぎゅう詰めになるのは道理ということ。

論点が多ければ、項目を切り分けできるはずだが、本書みたいに、
「スケジュール学習」を前面に押し出す場合、諸々絞らざる得ない。

しわ寄せは、多寡を調整しやすい解説に及ぶことになる。

仮に、紙幅に合わせて入試問題を選択していたとしても、
さほど不思議はないだろう。

こうした制約があるため、説明が総じて平易明快なのは、自然の数。

それでも、全「文法項目212」にて、必須レベルの知識はもれなく
踏まえている。

さすがである。

◆  しかしながら、「なぜ」には答えてくれない。

日本語と英語の違いは果てしない( “conclusive” 参照 )ため、
日本語母語話者( 日本語ネイティブ )が抱く疑問も際限ない。

本書は、日本人学習者が英文法を学ぶ上で、絶え間なく生じる
「なぜ」を解明する種類の文法書ではない。

質問は、てんで受け付けない姿勢で、不明点の追究など論外に近い。

これまで述べてきた持ち味を思えば、そこまでは求められない。

  •  こぢんまりした枠内で、簡潔かつ正確な表現 に徹している感
  •  英文法の基礎知識が盤石なら、そつはない「 文法書 X 問題集 」
  •  基礎知識が不足しているなら、文法書としてはおすすめしない

◆  2枚の音声CDは、Check 1 】  Check 3 で用いる。

Listen )))   解説を読んだら、CD-□○○で左ページの英文を聞いてみよう。

□  =  ディスク A または B
○○  =  トラック番号

手抜かりなく誘導してくれるおかげで、どっちのCDを、
いつ聞くべきか迷わずに済む。

ナレーションは、日英とも男女1名ずつ。

合計4名のプロが、澄み切った声で穏やかに読み上げており、
とても聞きやすい感触。

英語ネイティブ同士の日常会話に比べると、大幅にゆっくりだが、
有名どころの英語試験のナレーションと比較すれば、普通の速度。

普段、英語に接する機会が少なければ、猛烈なスピードに感じる。

英語の発音は、アメリカ英語。

男女別にペアを組み、{  男性ペア    女性ペア  } と繰り返す。

英文(男性) →   和訳(男性)}   ⇔ 英文(女性) →   和訳(女性)}

一文ごとに、男女ペアが交互に朗読しているので、変化に富む。

Check 1 】 は、例文とその和訳。
Check 3 】 は、正答とその和訳。

発音・声質・速度・間隔のどれをとっても、完成度は高い。

男女の日英共演は、ぼうっと聴くだけで、うっとりするほど高品質。

プロ4名が、代わりばんこに出てくるから、飽きにくいのも強み。

ただし、朗読中は終始一貫、小音量のBGM(音楽)が鳴り響く
ため、神経質な方であれば、気になってしまうかも。

◆  入試問題の朗読といっても、大概が文法問題で出題された
英文であるため、素材そのものはリスニング専用ではない。

『 キク英文法 』は、あくまでも「 文法書 X 問題集 」である。

どこまで自力で聴き取れるかを判定したり、聴き取り力を日頃
訓練したりする教材としては良質で、かなり使えるに違いない。

翻って、リスニングには主眼を置いていないことも間違いない。

そのため、受験直前期のリスニング対策には、別の教材がよい。

◆  「1日最短3分、最長9分」の「Day学習」を再掲すると、

  1.  3分 : 「チェックモード  –  Rule をチェック
    Check 1 例文を読み、解説を読み、CDを聞く
  2.  6分 : 「チャレンジモード  –  Exercise にチャレンジ
    Check 1 】  +  Check 2 】 過去問を解

  3.  9分 : 「フィニッシュモード  –  Point を押さえてフィニッシュ
    Check 1 】  Check 2  + 
    Check 3 】 解説を読み、CDを聞く

9分間で、「フィニッシュモード」を試してみたが、恐ろしくせわしい。

先の結論通り、時間配分は現実的ではない。

音声は、例えば章ごとに、まとめて聞く方が効率的と考える。

 

◆  これまたメディア付き教材でよく出会う煩わしさだが、
「見返し」に貼付された音声CDの包装が取り外しにくい。

CD2枚付きの『キク英文法』の場合、表表紙と裏表紙
の「見返し」に1枚ずつ、べっとり貼り付けられていた。

収納用に用意されたケースではなく、再利用は望めない仕様。

開け口は、再剝離可能になっているとはいえ、極薄袋で心許ない。

空の袋がひっついたままでは、読みずらく、ちょいと目障り。

ところが、がむしゃら頑張っても、きれいにはがせない。

泣く泣くやむなく、表と裏の各「見返し」を切り取った。

その結果、表紙をめくると「本とびら」。
「奥付」直後に裏表紙。

外観上、みっともないばかりでなく、本の強度が弱まってしまう。

読みさしならない本である以上、製本テープで「ノド」を補強した。



取り組む前からこんな作業が必要となると、意欲に差し障る。

時間とモチベーションの損失。

配色同様、今一つの出来。  どうにかならないものか。

できれば、改善をお願いしたいと思う。

【参照】     ※  外部サイト

・  本の構成要素と印刷・製本
https://ksp-group.co.jp/knowledge/p05_book.html

・  本の部位の名称
http://pro.bookoffonline.co.jp/book-enjoy/books-trivia/20150804-books-name.html

◆  もっとも、アルク様の公式サイトによると、音声CDの提供は
順次終了していくとある。

今後は、ダウンロード音声を提供する方針を明らかにしている。

2019.10.29

【お知らせ】書籍及び教材に付属する
音声CDの提供終了について

https://ec.alc.co.jp/info/notice1910-cd.html

『キク英文法』の音声は、以下の専用サイトから、
誰でもダウンロードできる仕組み。

◇  アルク様 ダウンロードセンター より   ↓

本文学習用音声【mp3】68.5MB

本文学習用音声【mp3】65.0MB
https://www.alc.co.jp/dl/7007131/

 

◆  ともあれ、雑な色取りが惜しい。

内容が立派でも、読みずらいと美点がかすむ。

反復学習が肝要な学参であれば、使わずじまいになりがち。

かえすがえすも、残念な話。

 

【参考動画】     ※  YouTube

色覚補正眼鏡( EnChroma 製)で、生まれて初めて色を目にした瞬間。

  中級の英語力の持ち主であれば、あらかた聴き取れる動画

視聴者の心がこもった英文コメントも、ぜひご覧いただければと願う。

 

◇  「英文法の参考書」 連載

 

 

 

 

 

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