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英文法の参考書 『一億人の英文法』

      2020/11/26

  •  網羅性 :  ★★★★★ (充分網羅している)
  •  読みやすさ :  ★★★★★
    (配色・書体・画像・枠組みに配慮が行き届き、引き込まれる見やすさ)
  •   :  ★★★★☆  (詳細な説明で手が込んでいる)
  •  学参 専門書   ★★★☆☆
    ( 副題  「すべての日本人に贈る 『話すため』 の英文法」 )
  •  中級者への推奨 :  ★★★★★
    (実務的な深みがあり、大学入試に限定されない充実ぶり)
  •  目次と索引 :  ★★★★★  (両方とも丁寧な作り)

【 概評 】
  TBD

一億人の英文法

大西 泰斗、 ポール・マクベイ (著)
東進ブックス、 2011年刊

A5判、 688頁、【「アプリ」及び「CDブック」は別売り 】
<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天ブックス>

 

  東進Web書店様 HPより   ※  PDF 全5頁、 422KB


物の見事にまとめ上げた、完成度の高い文法書である。

< 飛びぬけて優れている > と言いたいほどの集大成。

読みやすさに徹した、配慮の行き届く構成が目を引く。

落ち着いた渋い色味のオールカラーで、枠組みと書体に創意
工夫がうかがえ、文章とイラストの配置も巧みに整っている。

見た目が心地よく、開始前にして、知的刺激と好感をそそり立てる。

魅力的な外観ゆえに、好印象を受ける相手は、人間に限らないのか。

 

◆  まずは、帯からチェック。

 「 話すため 」の英文法が  日本の英語を変える。

 

   話すための英文法 ! 


どこぞの見出しみたいに、多彩を極める帯であり、先に掲げた表紙
と同じく 「 話すための英文法 」 のキャッチで、首尾一貫している。

この旗幟鮮明な方針を、きっちり具現するのが、本書の強み。

笑顔で仲良く肩を寄せ合う姿は、立ち飲み居酒屋で意気投合した
おっさんたちの「ほろ酔い気分でツーショット」風に見えなくもない。

いいえ。  滅相もない。

こちらのご両人こそが、画期的な 『一億人の英文法』 を、
この世に送り出してくれたのだ。

本書カバーの折り返し(「そで」)

お二方そろって、立派な経歴の持ち主である。

「 共著, テレビでの共演多数 」と鬼に金棒の二人組。

その叡智を結集した1冊が、学参価格で入手できる幸せよ。

これほど輝かしいプロフィール欄に、先ほどの生酔いめいた、
ご近影を使い回すのは、ちょっといただけない。

◆  学生対象の学習参考書(学参)の場合、新旧入り混じって
立ち並ぶ教材の山々から、明確に差別化を図る必要がある。

若者に向けて、特色を端的に伝える姿勢と技量が問われる模様。

前出の著者プロフに加えて、表紙カバーを内側に折り曲げた
「そで」部分を飾るのが、次の「特長」。

「 話せる英語 」を最速で達成するための文法書  

  高校生から社会人まですべての人が読者対象 

 

大学入試はもちろん、社会で実際に英語を使うため
おおいに役立ちます。

本書カバーの折り返し(「そで」)

「本書が対応する大学受験のレベル」がグラフ化
されているので、主目的は入試対策と考えられる。

今一つ、意味が読み取りにくいグラフと感じる反面、
箇条書きのチェック欄は、押し並べて分かりやすい。

英語を必要とする 日本人すべて 」と明記してある。

ざっくり言えば、国民全体が対象ということ

英語教材にありがちな大風呂敷、つまり現実味に乏しく、
不相応に崇高すぎる理念に該当するかどうか。

これから検討していきたい。
– 

◆  上掲「本書の特長」を具体的に説明するのが、以下4頁。

「特長」ではなく「特徴」とあるから、特別すぐれた利点以外の
説明も展開されているはず。

 

続きます。insert

 

◆  丁寧な記述に感心しつつ、結びの(5)に差し掛かって、驚き入った次第。

最後に、酷烈なご鞭撻が待ち受けていた。

これまでの穏当なご指導と打って変わり、なによ、いきなり。


p. 7  「本書の使い方」

高校生なら10日以内に本書を読破し、英語の輪郭をつかみとる
くらいの知性と勢いが必要です。  大丈夫だよ,  カンタンだから。

えええっ ?

そのレベルの「 知性 」を、高校生に求めるの ?

「 大丈夫だよ,  カンタンだから。」 って …

◆  ご指示通り、やってみたけど、全然 「カンタン」 でなかったぞ。

高校卒業後、何十年も勉強し、なおかつ英語の実務に長年従事
してきたものの、とてもじゃないが「カンタン」 には思えなかった。

英語の輪郭をつかみとるぐらい 」とおっしゃるけれど、思うに、
「輪郭」を把握するまでが、とてつもなく長い道のりなのです。

◇  日本語母語話者(ネイティブ)の場合、
10日以内でつかめる「英語の輪郭」など、
単なる「幻想」にすぎない。

おそらく、間違いだらけの「輪郭」になりやすく、危険。

もし、つかめるとすれば、多分それは「受験英語」の範囲の「輪郭」。

日英は、文法のみならず、発音・音節・語順にも共通点は乏しい。
言語系統が別次元なので、糸口が得られにくく、ハードルが高い。

本物の「輪郭」は、はるか彼方に存在すると認識する方が正しい。

例えば、「冠詞」「時制」「前置詞」は、勉強すれば勉強するほど
混乱し、胸突き八丁のプラトーを乗り越え、ようやく土台が固まる。

中級以上の英語学習者であれば、体験済みのしんどさに違いない。

掘っても、掘っても、定まってくれない「英語の輪郭」。

私なんか、40年以上も掘り続けているが、今だに底が知れない。

やっと勘所を押さえた、と喜びも束の間、新たな疑問がすぐ浮き
上がるから、いつまでたっても、輪郭がおぼつかない状態のまま。

にもかかわらず、食い扶持を英語で稼ぎ、ブログをも書いている。

母語の日本語とは、言語的に完全に別物なのだから、そう簡単な
わけないのである。

【参照】   “conclusive


◆  よって、「 大丈夫だよ,  カンタンだから。」 では後味が悪い。

発破をかけるにしても、「 カンタンだから 」 は見え透いた大嘘。

そもそも、今時の高校生が、こんな子どもだましに乗るだろうか。

さしたる覚悟なく、「カンタンだから」と取り組み、あっさり挫折
した時には、もう目も当てられない。

実力にそぐわない教材は、混迷脱落を招き、「英語嫌い」一直線。

著者自らが、上調子の言をなすのは、裏切りに近いものがある。

ましてや、相手は春秋に富む、若き俊英の高校生、我が国の宝。

そこで、なんとも生意気ではあるが、私なりに加筆改変を試みたい。

高校生なら10日以内に本書  を読破し に3回素通しで目を通し
英語の輪郭を  つかみとる    大まかに押さえる くらいの
 知性   
勇気 と勢いが必要です。
大丈夫だよ,
 カンタンだからカンタンではないけれど

◆ 「輪郭をつかみとる」に至らなくても、大学入試レベルは対処可能。

合格を目指すなら、試験に頻出の分野を洗い出し、そこに軸足を置く。

全体的な「輪郭」の理解は大づかみでよいので、必須分野を特定し、
焦点を絞って、時間とエネルギーを注ぎ込むべきなのが受験勉強。

厳格な制限時間を課し、合否を決する入試の特殊さを考慮すれば、
試験に出にくい分野は後回しどころか、手つかずで終わったりする。

全体像を「つかみとる」ことは難しくても、現状欠けている知識を
重点的に勉強し、理解を深める方法で、輪郭の一隅をかすめていく。

 

 

 

続きます。

 

 

 

 

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