にらみつける
- President Glares At Fox News’ X After Y Questions
( 大統領、Y事件を質したフォックスニュースのXをにらみつける )
–- PM GLARES at X after tense BBC interview
( 緊迫したBBCインタビュー後、Xをにらみつける首相 )
–- X glares at Y after mentioning police shooting
( Xが警官発砲事件に触れたYをにらみつける )
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- X glares at heckler during NFL Draft
( NFLドラフト中、Xがやじり屋をにらみつける )
–
- Actress X glares at Supreme Court nominee
throughout hearing
( 女優X、米最高裁判事候補を審問中にらみつける )–
◇ 「 見出し 」 英語の解説は、 ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方( 見出し編 ) RNN時事英語
いずれも今年2019年発表のニュース見出し。
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目に角を立てているのは、各界の名士。
各記事内の写真や動画を確認すると、本当ににらんでいる。
本文中、 ” icy glare ” や ” icy stare “なども顔を出す。
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目を三角にした著名人。
これが見出しを飾るのだから、世間の好奇心をくすぐる。
滑稽味を覚える一方で、メディアのえげつなさを感じたりもする。
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◆ 上掲例文の ” glare ” は、 自動詞 「 にらみつける」。
【発音】 glέər (1音節)
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他動詞 「 にらみつけて 」 もあるが、 こちらはマイナー用法。
多用される 「 他動詞 」 表現は、 以下3つ。
- ” My wife glared hate at me.”
→ “My wife gave me a glare of hate.”
( 妻が憎しみの目を私に向けた。)
– - ” My daughter glared anger at me.”
→ “My daughter gave me a glare of anger.”
( 娘が怒りの目を私に向けた。)
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- ” My son glared defiance at me.”
→ “My son gave me a glare of defiance.”
( 息子が反抗の目を私に向けた。)
可算名詞 ” glare “( にらみ )で換言した文も添えてみた ( → )。
過去形の動詞 ” glared ” の直後に、 目的語 がある。
こうした決まり表現が目立つのが、 他動詞 ” glare ” の特色。
片や、 多彩な広がりを見せるのが自動詞 ” glare “。
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冒頭の例文すべてにおいて、 ” glares ” 直後に前置詞 ” at ” がある。
動作の方向性を指す ” at “( ~ に向けて )( ~ に対して )。
前置詞 ” at ” の基本そのもの。
自動詞( intransitive verb )は、 自己完結の動作を表す。
すなわち、 目的語がなくても、 意味が完結する。
目的語 がない代わりに、 前置詞 を使う場合が多い。
【参考】 ※ 外部サイト
◆ 自動詞 ” glare ” に続く前置詞は ” at ” が中心となる。
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『 オックスフォード コロケーション辞典 』 の示す前置詞は、
次の3つ。
和訳を付すると、
- glare at (~をにらみつける)
- glare down at (~を見下して、にらみつける)
- glare up at (~を見上げて、にらみつける)
後ほど詳しく見ていく。
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◆ 語源は、 中期英語「 輝く 」( glaren )。
初出は、動詞が13世紀、 名詞が15世紀。
「 ぎらぎら 」なイメージを貫くのが ” glare ” の持ち味。
「 きらきら光る 」でなく、 どぎつく 「 ぎらぎら 輝く」。
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ぎらぎら
- 《副》
(「と」を伴って用いることもある )
強く光り輝くさまを表わす語。
「 きらきら 」 にくらべてどぎついさまに
いう場合が多い。
( 精選版 日本国語大辞典 )
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- 1. 強い光が小刻みに連続して輝く様子。
強すぎる光や、強くはないが不快に感じる光をいう
場合が多い。
特に 「 ぎらぎら 」で形容される目の輝きは、野望や
邪(よこしま)な欲望、激情の現れ であることが多い。
そこから、光の様子としてではなく、情熱や欲望など
がみなぎってどぎつい感じのする様子をたとえていう
場合にも用いられる。
2. あぶらが光る様子。 また、脂ぎった様子。
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( 講談社 擬音語・擬態語辞典 )
※ ハイライトは引用者
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生き生き澄んで美しくきらめく 「 きらきら 」。
目を射る不気味な強烈さを放つ 「 ぎらぎら 」。
清音 と 濁音 の違いだが、 印象は大違い。
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濁音の 「 ぎ 」 は、 声帯振動を伴う子音 [ɡʲi]。
” glare ” も、 声帯振動を伴う子音 [ɡ] の破裂音で、
具体的には 「 有声軟口蓋破裂音 」。
実際に発音してみると、「 ぎらぎら 」 と “glare”
の語感は似ていると思うが、 いかがだろう。
とはいえ、 ” glare ” は 「L」 と「R」 入り。
私たち日本人にはなかなか難しい。
【発音】 glέər (1音節)
アクセントの 「 レ 」で、 上顎前歯の裏側に舌を打ちつける。
そのまま、クルッと強めの巻き舌に。
1音節なので、腹の底から ゲロする 勢いで、一気に吐き出す。
グレァ
「音節」( syllable、シラブル )とは、 発音の最小単位。
日本語の場合、 原則として「 仮名一字が1音節 」。
そのため、音節を意識する機会は乏しい。
” integrity ” で事細かにご案内した ( 図入り )。
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◆ 「 ぎらぎら 」 した語感と意味合いが日英で重なり合う上、
派生の流れも分かりやすい。
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語源は “ glaren ” = 中期英語 「 輝く 」
語源 「 輝く 」 → 「 ぎらぎら 照り付ける 」 → 「 ぎらぎら にらみつける 」
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日本語から考えても、すんなり筋が通る感がある。
おまけに、 用途もかなり共通するのは、 これまでの例文より明らか。
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◆ ” glare ” の基本的意味は、
– 名詞 「 ぎらぎらする光( 不可算 )」 「 にらみ( 可算 )」
– 自動詞 「 ぎらぎら輝く」 「 にらみつける 」
– 他動詞 「 にらみつけて 」 ※ マイナー用法
3大学習英英辞典 ( EFL辞典 ) の語釈は、 次の通り。
–
まず、 名詞から。
–
” glare ”
- 1. [singular, uncountable]
a bright unpleasant light which hurt your eyes.
2. [countable]
a long angry look.
( LDOCE6、ロングマン )
–
- 1. [uncountable, singular]
a very bright, unpleasant light.
2. [countable ]
a long, angry look.
(OALD9、オックスフォード)
–
- 1. [countable]
a long, angry look.
2. [uncountable]
unpleasantly bright or strong light.
(CALD4、ケンブリッジ)
–【発音】 glέər (1音節)
※ ハイライトは引用者
–
「 にらみつける 」 の名詞 「 にらみ 」は、 可算名詞。
一様に ” a long, angry look ” と説明する。
違いはコンマの有無のみの酷似ぶり。
「 ぎらぎらする光 」は、不可算名詞。
“ LDOCE6 ” と “ OALD9 ” は、 ” singular ” を併記している。
これは 「 単数名詞 」 のことで、 単数形で使われるのが
一般的な名詞。
“ S ” または “ sing ” と略記される。
エネルギーとしての 「 光 」は、 不可算名詞が基本。
自然か人工かは、可算・不可算の決め手にならない。
人工でも、物理的なエネルギーである光は、不可算。
–
この区別は、 “ come to light ” で詳述した ( 図入り )。
全3辞書が ” uncountable ” と明記するように、
” glare ” の「 ぎらぎらする光 」は、 不可算名詞。
–
次いで、 動詞 ” glare “。
基本的には名詞の語釈と変わらない。
–
“glare”
- [intransitive]
1. to look angrily at someone for a long time.
2. [ always + adverb/preposition ]
to shine with a very strong bright light
which hurts your eyes.
( LDOCE6、ロングマン )
–
- 1. [intransitive]
to look at somebody/something in an angry way.
2. [intransitive]
to shine with a very bright unpleasant light.
( OALD9、オックスフォード )
–
- 1. [intransitive]
to shine too brightly.
2. [intransitive]
to look directly and continuously at someone
or something in an angry way.
( CALD4、 ケンブリッジ )
–
【発音】glέər(1音節)※ 赤字・ハイライトは引用者
–
名詞同様、 軒並みシンプルな語釈。
キーワードの 「 ぎらぎら 」 に 「 angry 」を追加したい。
–
一律に自動詞 ( intransitive ) だけを記載する。
他動詞 ( transitive ) は見当たらない。
ゆえに 「 マイナー用法 」 と既述した点を裏付けている。
赤字にした ” always + adverb/preposition “( LDOCE6 )
とは、「 常に副詞または前置詞が後に続く 」 の意。
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—+ (プラス)→「足す」だから「後に続く」
— / (スラッシュ)→「または」
- always + 副詞 ( adverb )
または - always + 前置詞 ( preposition )
【参照】 “ (every) now and again / then ”
先ほどの 『 オックスフォード コロケーション辞典 』
の黄枠内を指す内容である。
まとめると、
■ 自動詞 ” glare “
- glare at ( ~ をにらみつける )
→ 前置詞 ” at ” - glare down at ( ~ を見下して、 にらみつける )
→ 副詞 ” down ” + 前置詞 ” at ”
- glare up at ( ~ を見上げて、にらみつける )
→ 副詞 ” up ” + 前置詞 ” at ”
- 前置詞 ” at ”
→ 動作の方向性を指す 「 ~ に向けて」 「 ~ に対して 」 - 副詞 ” down ”
→ 「 下に 」 - 副詞 ” up ”
→ 「 上に 」
–
先に名詞をご紹介したものの、 重要度と頻出度は同等。
LDOCE6の指標によれば、 名詞・動詞ともに、
- 重要度 :<6001~9000語以内>
- 書き言葉の頻出度:3000語圏外
- 話し言葉の頻出度:3000語圏外
英単語全体から見れば、大して重要でもなく、
頻出でもなく、特筆に値しないレベルと言える。
–
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◆ にもかかわらず、 ” glare ” はどこか馴染み深い気がする。
–
その理由に、 語感・音節・意味合い・成り立ちを挙げた。
もう一つ加えて、 カタカナ「 グレア 」を見聞きする機会
が増えている傾向を指摘しておきたい。
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グレア【glare】《生》
視野における照度の分布が不均等なために、
対象が見えにくくなったり、一過性の盲目状態
になったりする現象。
強い光を見たとき、また水晶体・ガラス体に混濁が
あるときなどに起こる。
–
『 大辞林 第四版 』
松村 明(編集)三省堂、 2019年刊
( 物書堂 アプリ版 )
<三省堂HP>–
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–
グレア【glare】輝度分布の偏りや極端な輝度対比などによって
感じられるまぶしさ。
–
『 広辞苑 第七版 』
新村 出(編) 岩波書店、 2018年刊
( ロゴヴィスタ アプリ版 )
–
専門的で理解しにくい解説だが、 実例は身近にある。
- コンピュータ・スマホの画面 ( screen glare )
→ 反射防止にはノングレア ( アンチグレア ) 加工
– - 車両のヘッドライト( headlight glare )
→ まぶしい光による視界不良や雨天の路面反射
–
- サングラス ( glasses glare )
→ ぎらつきを防ぐ偏光レンズの採用
–
- 電気スタンド ( lighting glare )
→ 机や紙に反射して見えづらい照明
–
- レーシック手術後のグレア現象 ( post-LASIK glare )
→ 夜間光がまぶしく見える症状
とりわけ、 自動車のヘッドライトとレーシックのグレアは、
安全・健康に直結するため、 規制や基準が課題となっている。
–
◆ 本稿では、 自動詞 「 にらみつける 」 を主に検討した。
– 名詞 「 ぎらぎらする光 ( 不可算)」「 にらみ( 可算 )」
– 自動詞 「 ぎらぎら輝く 」 「 にらみつける 」
– 他動詞 「 にらみつけて 」 ※ マイナー用法
その他の語義は、「 ぎらぎら 」 や 「 グレア 」を想起すれば、
比較的把握しやすいと考えたからである。
さらに、 ニュース報道としての価値 を考慮した。
–
既に述べたように、 有名人が目を剥く姿は話題を呼ぶ。
良し悪しは別としても、 ” glare ” の描写がぴったりな場面は、
確かに存在する。–
まさしく冒頭に掲げた見出しの通り。
そんなニュースに出てくる目つきを見てみると、胸中穏やか
ならずどころか、 大抵心底 ” angry ” なのが分かる。
–
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目は口ほどに物を言う言葉に出さなくても、目の表情で相手に伝える
ことができる。
また、言葉でうまくごまかしても、
目に本心が表れる ものである。『 大辞林 第四版 』
松村 明(編集)三省堂、 2019年刊
( 物書堂 アプリ版 )
<三省堂HP>※ 下線は引用者
–
英文の言い回しはいくつもある。
有力なのは、
- ” The eyes are the window to the soul.”
※ “ windows ” 版もある
– - ” The eyes are eloquent as the tongue.”
※ “ mouth ” 版もある
–
- ” Eyes speak louder than words.”
普通に生きていれば、 体験的に知る普遍的な教え。
同趣旨の表現は、シェイクスピア、 キケロ、 ダ・ヴィンチ、
新約聖書 ( マタイによる福音書 ) の言葉にも含まれる。
「 目に本心が表れる 」 とすれば、 メディアが ” glare ” を
取り上げることには、 高尚な 意義 も帯びると推察できる。
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◆ 報道メディアによる 不要な注目 を、 ” a media glare ” と称する。
“the glare of publicity/the media etc”
attention from newspapers and television,
especially when you do not want it.
https://www.macmillandictionary.com( リンク切れ )
※ 2019年8月 アクセス
–
“ a publicity glare ” とも言う。
「 注目( ≒ にらみ ) 」 は、 可算名詞( countable noun )。
時に、 比喩的な 「 メディアの ぎらぎらする光 」 の意味合いで
起用され、 無冠詞の不可算名詞( uncountable noun )
でも使われている。
SNSの興隆に従い、 日頃接するチャンスが増していくはず。
併せて押さえておきたい表現である。