プロ翻訳者の単語帳

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What is the significance of – ?

      2021/10/01

~  の意義とは、何か。

事物の目的や価値を問う際に用いる表現。

堅めで知的な言い回し である。

” of ” の後に、意義を知りたい目的を置く。

” significance ” の定訳は「 意義 」。
「 意義 」の響きも堅めで知的。

語感が似通うばかりでない。
両者の使用場面は重なる場合が多い。

その対象にどんな意義があるのか。
真剣な考察を促す典型表現である。

時事・学術をはじめ、多岐に渡る分野の評論・
論文でも、よく起用される。教材でも見かける。

検索 かけても、わんさか出てくる。

◆  ” What is the significance of – ”  は、
意義を 明らかにする ためだけの表現ではない。

襟を正し、再検討を提起するためにも役立つ。

事業では特に、目的や価値を見直す機会を設けることで、
立ち止まって三思し、結果的に軌道修正できたりする。

新規まき直し の必要性に気づくケースもある。

他者に直接質す場面のみならず、
自問・自省する内容の手記やエッセイにも使える。

つまり、筆舌不問かつ自他不問。
さらに、公私不問だから強い。

時に、四角四面すぎて、うっとうしい弱みを帯びる
ものの、仕事とプライベートで重宝するに違いない。

ぜひ、押さえておきたい。


◆  表現のポイントは、名詞 ” significance “。

先述の通り「 意義 」が定訳。

  いぎ【意義】

■  1. ある言葉によって表される内容
特に、その言葉に固有の内容概念
2.物事が他との関連において固有にもつ価値重要性

(大辞林 第三版)


■  《名》
1. 言葉などの表現によってあらわされる意味内容
2. 言葉、事柄、行為などが現実にもつ価値ねうち
多く、重要なものをいうのに用いる

(精選版 日本国語大辞典)


■  1. 意味。わけ。言語学では、特に「意味」と区別
して「一つの語が文脈を離れてもさし得る内容」の意
に使うこともある。
2. 物事が他との連関において持つ価値重要さ

(広辞苑 第七版)

 

■  (名)
1. その言葉のあらわす内容
2. あることがらについての、積極的なねうち

(三省堂国語辞典 第七版)

 

■  《名》
1.  記号(特に、ことば)の表す内容。 意味。
2.  物事の持つ価値重要性。 意味。

(明鏡国語辞典 第二版)


◆  国語辞典5点の語釈は、きれいに二分されている。

表題  ” What is the significance of – ? ” の 日常用法では、
特定の言葉の意味・概念など聞いていない のが一般的。

すなわち、” signigicance ”  = 「 意義 」と言えど、
国語辞典の筆頭の語釈(1)が示す意味合いはまれ。

主な趣旨は、「 語意 」「 語義 」ではなく、
以下を確かめること。

  •  価値
  •  重要性
  •  ねうち

語釈(2)の青ハイライト部に該当する。

高等教育における研究では、語釈(1)で
用いることもあるが、ビジネス用途やプライベート
であれば、大抵は(2)。

私たち英語学習者は、「その言葉の意味は?」という風
に使えるが、一般社会ではやはり(2)中心。

(1)の例として、

  • What is the significance of the word “Amen”
    in a prayer ?
    (お祈りで唱える「アーメン」の意義は何でしょう。)
  • What is the significance of the word “KY” ?
    (「KY」ってどういう意味でしょうか。)

いずれも難なく通じるが、”significance” は御大層で場違いな感がある。

なんとなく仰々しいのである。

「 KYって何?」なら、次の聞き方の方がずっと自然。

  •  What does the word “KY” mean  ?
  •  What does “KY” stand for  ?

単なる意味の確認に、”significance” が飛び出すと、
聞かれた側もきっと身構えてしまう。


◆  日本語でも「 意義 」と大上段に振りかぶるより、
「 どんな意味ですか? 」くらいが普通だろう。

ここで、上掲の国語辞典の補足説明をご案内。

「 意味 」と「 意義 」の違いを、上述の各語釈直後に記す。

  いぎ【意義】

■  2.  類義の語に「意味」があるが、「意味」は言語や
行為によって示される内容、また物事が持つ価値をいう。
それに対し、「意義」はある言葉が表す内容、また、物事
他の物との関係において持つ固有の重要な価値をいう。

(大辞林 第三版)



■ 
1.「意味」のほうが用法が広く、かつ一般的
(「意味する・ある意味で」などの言い方は「意義」にはない)。
「意義」は文脈を離れても成立する抽象的内容、
「意味」は文脈的・具体的内容を表す傾向がある。
2.「意味」よりもやや硬い言い方

(明鏡国語辞典 第二版)

先の『 精選版 日本国語大辞典 』にも「 重要なものをいう 」
( 赤ハイライト )とあったが、補足説明でも
「 重要 」がキーワード。

繰り返すと、表題の “significance” では、「 語意 」「 語義 」よりは、

  • 価値
  • 重要性
  • ねうち

4大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈はこちら。

significance

■  noun [singular, uncountable]
1.  the importance of an event, action etc, 
especially because of the effects or influence 
it will have in the future.
2.  the meaning of a word, sign, action etc,
especially when this is not immediately clear.

(LDOCE6、ロングマン)

 

■  noun [uncountable, countable]
1.  the importance of something, especially when
this has an effect on what happens in the future.
2.  the meaning of something.

(OALD9、オックスフォード)

 

■  noun [uncountable]
1.  importance
2.  special meaning

(CALD4、ケンブリッジ)

 

■  noun [uncountable]
The significance of something is the importance
that is has, usually because it will have an effect
on a situation or show something about a situation.

(COBUILD9、コウビルド)

 

【発音】  signífikəns
【音節】  sig-nif-i-cance  (4音節)

英英4点のうち、COBUILD以外の語釈もまた二分
されている。

再び、共通キーワードにハイライト。
先ほどの国語辞典とかなり似通った中身である。

着目すべきは、英英語釈(1)” importance ” と
(2)” meaning ” は、国語辞典5点と 順序が真逆
になっている点。

つまり、EFL辞典の語釈(1)は、国語辞典の(2)に該当 。

COBUILDに至っては、” meaning ”  = 「 語意 」「 語義 」
の解説は一切省かれている。

語義の配列は、各辞書の編集方針に従う。

学習者向けに特化されたEFL辞典は、発生順ではなく、
使用頻度順 に語義が並ぶのが基本。

【参照】  ” just checking in

したがって、配列の先立つ語釈こそ、頻出度は高い。

4大EFL辞典すべてが、 ” importance ”  = 「 重要性 」優先する。

” meaning ”  = 「 語意 」「 語義 」より重視していると考えられる。


◆  もっとも、英単語全体における ” significance ” の
位置づけはそれほど高くはない。

“LDOCE6″ の指標によれば、名詞 ” significance ” は、

  • 重要 :<3001~6000語以内>
  • 書き言葉の頻出:3000語圏外
  • 話し言葉の頻出:3000語圏外

    【発音】  signífikəns
    【音節】  sig-nif-i-cance  (4音節)

形容詞 ” significant ” の方が、重要度も頻出度も上回る。

  • 重要最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉の頻出最上位 <トップ1000語以内>
  • 話し言葉の頻出:<1001~2000語以内>

    【発音】  signífikənt
    【音節】  sig-nif-i-cant  (4音節)

◆  ” significance ” が名詞である点に争いはない。

しかし、「 可算名詞 」「 不可算名詞 」「 単数名詞 」に
論が分かれることが、上記EFL辞典より分かる。

決して珍しくない辞典間のばらつきである。

単数名詞( singular noun )とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞

その他の辞書を調べても、「 不可算名詞 」だけは
記載があった。

ゆえに、” significance ” の原則は「 不可算名詞
と考えられる。


◆  加えて、英和辞典4点をチェック。

significance

  不可算名詞
1.  ((正式)) 意義、意味(meaning);意味ありげなこと
2.  重要性、重大さ《importance より堅い語》
3.  《統計》有意性

ジーニアス英和大辞典

 

  名詞
1.  重要性大切さ重大さ(   importance SYN)
2.  意味のあること;意味[いわく]ありげなこと、
意味深長(expressiveness、meaningfulness、suggestiveness)
3.  意味、意義(meaning)、趣旨(import)(   meaning SYN)
4.  【統計】 有意性

研究社 新英和大辞典 第6版 )

 

  名詞
1.  重要さ、重大性(   importance 類語)
2.  意味、意義、趣旨(   meaning 類語)
意味深長(expressiveness、meaningfulness、suggestiveness)
3. (1)意味のあること;<表情などが>意味ありげなこと、
意味深いこと
(2)《統計》有意性

ランダムハウス英和大辞典 第2版

 

■  名詞
重要性( importance )、重大性意味、意義、趣旨
意味あること、意味深長;《統計上の》有意(性)

リーダーズ英和辞典 第3版+リーダーズプラス

 

【発音】  signífikəns
【音節】  sig-nif-i-cance  (4音節)

※  SYN  =  synonym  =  同義語

これまで通り、ざっと色分けしてみた。

EFL辞典と異なり、語義の配列にばらつきが見られる。

それでも、国語辞典、EFL辞典に見られた語釈2つは
明記されている。


◆  本稿では、国語5点、EFL4点、英和4点の合計13冊の
辞書比較をしてきた。

引用した全辞書は、アプリ版 も発売中。

※  2021年10月 現在

それなりに需要があることを示唆している。

とりわけ、EFLと英和の各4点は、中級学習者 なら、
一度は見聞きしたことのある定番辞書である。

  ” significance ”  = 「 意義 」 と、定訳が 確立している
ために、各語釈を 突き合わせる 作業に紙幅を費やしてきた。

語釈が相当似ていると感じるが、いかがだろう。


◆  ” significance ” の語源は、ラテン語 ” significantia ” で、
「 意味 」「 真意 」のこと。

初出は13~14世紀。

一方、日本語「 意義 」の「 重要性 」については、
日本最初の哲学辞典である『 哲学字彙 』(1881年刊)
が「  Import   意義、旨趣  」と述べる。

※  後述

「 定訳 」と称するに、ふさわしい重なり具合なのも、
当然な感がある。


◆  仕上げは文法。    難しくない。

  •  疑問代名詞  ” what ” ( 何 )
  •  be動詞  ” is ” ( である )
    ※  三人称単数直説法現在形
  •  定冠詞  ” the ” ( その )
  •  名詞  ” significance ” ( 意義 )
  •  前置詞  ” of ” ( ~ の )
    ※  所属関係


” of ” に続く目的語を指し、「 ~ のその意義は何であるか 」が直訳。

複数の「 意義 」が存在する場合、不定冠詞を用いて、
a significance ” と表す使い方もある。

すなわち、可算または単数名詞扱いの  “ significance ” である。

ところが、表題では、あたかも詰問するかのように 追及の上、
以下をはっきりさせるのが主目的。

  •  価値
  •  重要性
  •  ねうち

これらがいくつも存在するのは妙。

よって、文脈上限定的となり、定冠詞 ” the ” 。


◆  最後に、今月2019年4月に発表された見出しをご紹介。

主にQ&A( 質疑応答 )サイトと個人ブログから採集したもの。

「 意義とは何ぞや 」の問いかけは事々しい。
ヘッドラインとしては、なかなか出番がない模様。

今月のニュース見出しを飾った形跡は見当たらない。
これといってめぼしい記事は見つからなかった。

 

Credit : Event Horizon Telescope collaboration et al.
参考記事 : ノーベル物理学賞、ブラックホール研究の3氏に

  • “What is the significance of the black hole ? ”
    (ブラックホールの意義とは何か。)
  • “What Is The Significance Of Social Media
    In Digital Marketing ? ”
    (デジタルマーケティングにおけるソーシャルメディア
    の意義とは何か。)
  • “What Is the Significance of the Baptism of Jesus Christ ? ”
    (キリストの洗礼の意義とは何か。)
  • “What is the significance of pi in mathematics”
    (数学のパイの意味は何か。)
  • “What is the significance of the atomic number, Z ? ”
    (原子番号の「Z」の意味は何か。)


例文5つのうち、最後の2文はEFL辞典の語義(2)に属する。

すなわち、” meaning ”  = 「 語意 」「 語義 」

既に ” Amen ” と ” KY ” を引き合いに出して、解説を試みたものの、
あえて焦点より外した用法である。

Q&Aサイトから引用したため、こうなってしまった。


◆  これでは示しがつかない。

埋め合わせに、普遍的で大味な問いを掲げ、
しかつめ顔にて本稿を締めたい。

  • “What is the significance of life ? ”
    (人生の意義とは何か。)
  • “What is the significance of education ? ”
    (教育の意義とは何か。)
  • “What is the significance of democracy in society ? ”
    (社会における民主主義の意義とは何か。)
  • “What is the significance of my job in my life ? ”
    (我が人生における仕事の意義とは何か。)
  • “What is the significance of learning English in your life ? ”
    (ご自分の人生において、英語を学ぶ意義とは何か。)

 

◆  ご参考までに、本稿で引用した辞書の見所を並べてみる。

まず、日本最大の国語辞典の名を誇る『 日国 』がこちら。

前出の『 精選版 日本国語大辞典 』の本家本元( 全13巻+別巻 )である。

『 精選版 』の記述に加え、「 語源 」と「 用例 」が詳しい。

「 意義 」全文。

日本国語大辞典 第二版 』第1巻、 p. 856、
小学館( 2000年刊 )より転載

上記傍線の『 哲学字彙 』( てつがくじい )は、以下
「 国立国会図書館デジタルコレクション 」にて。

1884年( 明治17年 )刊の改訂増補版。

奥付  ↑

 

「 Meaning   義理  旨趣  旨意  意義 」 ↑

 

「 Import   意義  旨趣 」 ↑
「 Important   重大  緊要 」 ↑

 

「 Significance   旨趣 」 ↑

 

哲学字彙 改訂増補

井上哲次郎、有賀長雄 (著)
東洋館、 1884年刊
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001240968-00


◇  国立国会図書館蔵書   NDLデジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994560/1

※  傍線は引用者


マイクロフィルムとはいえ、「 自炊本 」の仲間か。
1880年代に出版されたためか、やや読みづらい。

インターネットで無料公開されており、 感謝千万。

◆  日本最大の国語辞典をご案内したとなれば、
世界最大の英語辞典もご覧に入れたくなってくる。

“ The Oxford English Dictionary ”  の  “ significance ” 全文。

併せて ” significant ” も。

◇  名詞  significance ”  / signífikəns /  sig-nif-i-cance (4音節) 

“Significance.”  The Oxford English Dictionary.  2nd ed. 1989.

 

◇  形容詞  significant ”  / signífikənt /  sig-nif-i-cant (4音節)

“Significant.”  The Oxford English Dictionary.  2nd ed. 1989.


◆  “ OED “ ( オーイーディー )の略称で名高いのが、上の
“ The Oxford English Dictionary ” ( オックスフォード英語辞典 )。

[ 公式サイト ]  →  http://www.oed.com/

1884年にイギリスで刊行が始まり、最新版の第2版は1989年刊。

全20巻、 2万1730頁、 29万1500の見出し語、 62kg。

語義の配列は、頻出順ではなく、発生順の「 歴史主義 」。

成り立ちを、系統的にたどれる利点がある。

▼ 「 縮刷版 」及び「 CD-ROM版 」も発売されている  ▼

[ 両方入手済み ]  →  辞書の「自炊」と辞書アプリ

“OED” 編集主幹の James Murray 博士  ( 1837-1915 )
については、”in place” で触れている( 写真入り )。

 

 

 

 

 

 

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