プロ翻訳者の単語帳

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What is the significance of – ?

      2019/06/30

~の意義とは何か。 

事物の目的や価値を問う際に用いる表現。
堅めで知的な言い回しである。

“of” の後に、意義を知りたい目的語を置く。

“significance” の定訳は「意義」。
「意義」の響きも堅めで知的。

語感が似通うばかりでない。
両者の使用場面は重なる場合が多い。

その対象にどんな意義があるのか。
真剣な考察を促す典型表現である。

時事・学術をはじめ、多岐に渡る分野の評論・
論文でも、よく起用される。教材でも見かける。

検索かけても、わんさか出てくる。

◆ “What is the significance of – ” は、
意義を明らかにするためだけの表現ではない。

襟を正し、再検討を提起するためにも役立つ。

事業では特に、目的や価値を見直す機会を設けることで、
立ち止まって三思し、結果的に軌道修正できたりする。

新規まき直しの必要性に気づくケースもある。

他者に直接質す場面のみならず、
自問・自省する内容の手記やエッセイにも使える。

つまり、筆舌不問かつ自他不問。
さらに、公私不問だから強い。

時に、四角四面すぎて、うっとうしい弱みを帯びる
ものの、仕事とプライベートで重宝するに違いない。

ぜひ、押さえておきたい。


◆ 表現のポイントは、名詞 “significance”。

先述の通り「意義」が定訳。

  いぎ【意義】

■ 1. ある言葉によって表される内容
特に、その言葉に固有の内容概念
2.物事が他との関連において固有にもつ価値重要性
(大辞林 第三版)

■《名》
1. 言葉などの表現によってあらわされる意味内容
2. 言葉、事柄、行為などが現実にもつ価値ねうち
多く、重要なものをいうのに用いる
(精選版 日本国語大辞典)

■ 1. 意味。わけ。言語学では、特に「意味」と区別
して「一つの語が文脈を離れてもさし得る内容」の意
に使うこともある。
2. 物事が他との連関において持つ価値重要さ
(広辞苑 第七版)

■(名)
1. その言葉のあらわす内容
2. あることがらについての、積極的なねうち
(三省堂国語辞典 第七版)

■《名》
1.  記号(特に、ことば)の表す内容。意味。
2.  物事の持つ価値重要性。意味。
(明鏡国語辞典 第二版)

国語辞典5点の語釈は、きれいに二分されている。

表題 “What is the significance of – ? ” の日常用法では、
特定の言葉の意味・概念など聞いていないのが一般的。

すなわち、”signigicance” =「意義」と言えど、
国語辞典の筆頭の語釈(1)が示す意味合いはまれ。

主な趣旨は、「語意」「語義」ではなく、
以下を確かめること。

  • 価値
  • 重要性
  • ねうち

語釈(2)の青ハイライト部に該当する。

高等教育における研究では、語釈(1)で
用いることもあるが、ビジネス用途やプライベート
であれば、大抵は(2)。

私たち英語学習者は、「その言葉の意味は?」という風
に使えるが、一般社会ではやはり(2)中心。

(1)の例として、

  • What is the significance of the word “Amen”
    in a prayer ?
    (お祈りで唱える「アーメン」の意義は何でしょう。)
  • What is the significance of the word “KY” ?
    (「KY」ってどういう意味でしょうか。)

いずれも難なく通じるが、”significance” は御大層で場違い
な感がある。 なんとなく仰々しいのである。

「KYって何?」なら、次の聞き方の方がずっと自然。

  • What does the word “KY” mean ?
  • What does “KY” stand for ?

単なる意味の確認に、”significance” が飛び出すと、
聞かれた側もきっと身構えてしまう。


◆ 日本語でも「意義」と大上段に振りかぶるより、
「どんな意味ですか?」くらいが普通だろう。

ここで、上掲の国語辞典の補足説明をご案内。
上述の各語釈の直後にて、「意味」と「意義」の違いを述べる。

  いぎ【意義】

■ 2.  類義の語に「意味」があるが、「意味」は言語や
行為によって示される内容、また物事が持つ価値をいう。
それに対し、「意義」はある言葉が表す内容、また、物事
他の物との関係において持つ固有の重要な価値をいう。
(大辞林 第三版)

1.「意味」のほうが用法が広く、かつ一般的
(「意味する・ある意味で」などの言い方は「意義」にはない)。
「意義」は文脈を離れても成立する抽象的内容、
「意味」は文脈的・具体的内容を表す傾向がある。
2.「意味」よりもやや硬い言い方
(明鏡国語辞典 第二版)

先の「精選版 日本国語大辞典」にも「重要なものをいう」
(赤ハイライト)とあったが、補足説明でも
「重要」がキーワード。

繰り返すと、表題の “significance” では、「語意」「語義」よりは、

  • 価値
  • 重要性
  • ねうち

4大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈はこちら。

“significance”

■ noun [singular, uncountable]
1. the importance of an event, action etc, 
especially because of the effects or influence 
it will have in the future.
2. the meaning of a word, sign, action etc,
especially when this is not immediately clear.
(LDOCE6、ロングマン)

■ noun [uncountable, countable]
1. the importance of something, especially when
this has an effect on what happens in the future.
2. the meaning of something.
(OALD9、オックスフォード)

■ noun [uncountable]
1. importance
2. special meaning
(CALD4、ケンブリッジ)

■ noun [uncountable]
The significance of something is the importance
that is has, usually because it will have an effect
on a situation or show something about a situation.
(COBUILD9、コウビルド)

【発音】 signífikəns

英英4点のうち、COBUILD以外の語釈もまた二分
されている。

再び、共通キーワードにハイライト。
先ほどの国語辞典とかなり似通った中身である。

着目すべきは、英英語釈(1)”importance” と
(2)“meaning” は、国語辞典5点と順序が真逆
になっている点。

つまり、EFL辞典の語釈(1)は、国語辞典の(2)に該当 。
COBUILDに至っては、“meaning” =「語意」「語義」
の解説は一切省かれている。

語義の配列は、各辞書の編集方針に従う。
学習者向けに特化されたEFL辞典は、発生順ではなく、
使用頻度順に語義が並ぶのが基本。

【参照】”just checking in

したがって、配列の先立つ語釈こそ、頻出度は高い。

4大EFL辞典すべてが “importance” =「重要性」優先する。
英語では “meaning” =「語意」「語義」より重視される
と考えられる。


◆ もっとも、英単語全体における “significance” の
位置づけはそれほど高くはない。

“LDOCE6” の指標によれば、名詞 “significance” は、

  • 重要 :<3001~6000語以内>
  • 書き言葉の頻出:3000語圏外
  • 話し言葉の頻出:3000語圏外
    【発音】 signífikəns

形容詞 “significant” の方が、重要度も頻出度も上回る。

  • 重要最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉の頻出最上位 <トップ1000語以内>
  • 話し言葉の頻出:<1001~2000語以内>
    【発音】 signífikənt

◆ “significance” が名詞である点に争いはない。

しかし、「可算名詞」「不可算名詞」「単数名詞」に
論が分かれることが、上記EFL辞典より分かる。

決して珍しくない辞典間のばらつきである。

単数名詞(singular noun)とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞

その他の辞書を調べても、「不可算名詞」だけは
記載があった。

ゆえに、”significance” の原則は「不可算名詞
と考えられる。


◆ 加えて、英和辞典4点をチェック。

“significance”

■ 不可算名詞
1. ((正式)) 意義、意味(meaning);意味ありげなこと
2. 重要性、重大さ《importance より堅い語》
3. 《統計》有意性
ジーニアス英和大辞典

■ 名詞
1. 重要性大切さ重大さ( importance SYN)
2. 意味のあること;意味[いわく]ありげなこと、
意味深長(expressiveness、meaningfulness、suggestiveness)
3. 意味、意義(meaning)、趣旨(import)( meaning SYN)
4. 【統計】有意性
研究社 新英和大辞典 第6版)

■ 名詞
1. 重要さ、重大性( importance 類語)
2. 意味、意義、趣旨( meaning 類語)
意味深長(expressiveness、meaningfulness、suggestiveness)
3.(1)意味のあること;<表情などが>意味ありげなこと、
意味深いこと
(2)《統計》有意性
ランダムハウス英和大辞典 第2版

■ 名詞
重要性(importance)、重大性意味、意義、趣旨
意味あること、意味深長;《統計上の》有意(性)
リーダーズ英和辞典 第3版+リーダーズプラス

【発音】 signífikəns

※ SYN = synonym = 同義語

これまで通り、ざっと色分けしてみた。

EFL辞典と異なり、語義の配列にばらつきが見られる。
それでも、国語辞典、EFL辞典に見られた語釈2つは
明記されている。


◆ 本稿では、国語5点、EFL4点、英和4点の合計13冊の
辞書比較をしてきた。

引用した全辞書は、アプリ版も発売中。※ 2019年4月現在
それなりに需要があることを示唆している。

とりわけ、EFLと英和の各4点は、中級学習者なら、
一度は見聞きしたことのある定番辞書である。

  “significance” =「意義」と、定訳が確立している
ために、各語釈を突き合わせる作業に紙幅を費やしてきた。

語釈が相当似ていると感じるが、いかがだろう。


◆ “significance” の語源は、ラテン語 “significantia” で、
「意味」「真意」のこと。 初出は13~13世紀。

一方、日本語「意義」の「重要性」については、
日本最初の哲学辞典である『哲学字彙』(1881年刊)
が「Import 意義、旨趣」と記す。

「定訳」と称するにふさわしい重なり具合なのも、
当然な流れの感がある。


◆ 仕上げは文法。 難しくない。

  • 疑問代名詞 “what“(何)
  • be動詞 “is“(である)
    ※ 三人称単数直説法現在形
  • 定冠詞 “the“(その)
  • 名詞 “significance“(意義)
  • 前置詞 “of“(~の)
    ※ 所属関係

“of” に続く目的語を指し、「~のその意義は何であるか」
が直訳。

複数の「意義」が存在する場合、不定冠詞を用いて、
a significance” と表す使い方もある。

すなわち、可算または単数名詞扱いの “significance” である。

ところが、表題では、あたかも詰問するかのように追及の上、
以下をはっきりさせるのが主目的。

  • 価値
  • 重要性
  • ねうち

これらがいくつも存在するのは妙。
よって、文脈上限定的となり、”the” 。


◆ 最後に、今月2019年4月に発表された見出しをご紹介。

主にQ&A(質疑応答)サイトと個人ブログから採集したもの。

「意義とは何ぞや」の問いかけは事々しい。
ヘッドラインとしては、なかなか出番がない模様。

今月のニュース見出しを飾った形跡は見当たらない。
これといってめぼしい記事は見つからなかった。

image.pngCredit: Event Horizon Telescope collaboration et al.

  • “What is the significance of the black hole ? ”
    (ブラックホールの意義とは何か。)
  • “What Is The Significance Of Social Media
    In Digital Marketing ? ”
    (デジタルマーケティングにおけるソーシャルメディア
    の意義とは何か。)
  • “What Is the Significance of the Baptism of Jesus Christ ? ”
    (キリストの洗礼の意義とは何か。)
  • “What is the significance of pi in mathematics”
    (数学のパイの意味は何か。)
  • “What is the significance of the atomic number, Z ? ”
    (原子番号の「Z」の意味は何か。)


例文5つのうち、最後の2文はEFL辞典の語義(2)に属する。
すなわち、“meaning” =「語意」「語義」

既に “Amen” と “KY” を引き合いに出して、解説を試みた
ものの、あえて本稿の焦点から外した用法である。

Q&Aサイトから引用したため、こうなってしまった。


◆ これでは示しがつかない。

埋め合わせに、普遍的で大味な問いを掲げ、
しかつめ顔にて本稿を締めたい。

  • “What is the significance of life ? ”
    (人生の意義とは何か。)
  • “What is the significance of education ? ”
    (教育の意義とは何か。)
  • “What is the significance of democracy in society ? ”
    (社会における民主主義の意義とは何か。)
  • “What is the significance of my job in my life ? ”
    (我が人生における仕事の意義とは何か。)
  • “What is the significance of learning English in your life ? ”
    (ご自分の人生において、英語を学ぶ意義とは何か。)

 

 

 

 

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