Newsworthy
2020/09/16
報道価値のある
たった1語で「報道価値のある」を表せる形容詞。
「報道価値のある」と言いたい時には、即刻飛び出る
ようにするとよい。
文面でも使うので、ビジネスパーソンに役立つ。
“newsworthy” は型通りの単語である。
この構成を一度学んでおけば、同パターンの形容詞の
多くを、初見で読み取ることができるようになる。
◆ 構成は、
- 不可算名詞 “news“(報道)
- 形容詞 “worthy“(価値のある)
すっきりシンプル、分かりやすい。
“newsworthy” の初出は、1932年(昭和7年)。
ちょうど英国のテレビで、世界初の定期番組が
始まった年である。
先行するラジオに次ぐ電波メディアの登場
により、情報の伝達範囲が広まっていく。
印刷メディアしかなかった時代と違い、
ニュースも急速に拡散するようになっていった。
そんな黎明期に生まれた形容詞である。
3大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈にも、
メディア媒体が明示されている(下線は引用者)。
”newsworthy”
- important or interesting enough to be
reported in newspapers, on the radio,
or on television.
(LDOCE6、ロングマン)
– - interesting and important enough to be
reported as news.
(OALD9、オックスフォード)
– - interesting enough to be described
in a news report.
(CALD4、ケンブリッジ)
【発音】 núzwɝ̀ði
【音節】 news-wor-thy (3音節)
→ “th”(ð) の発音は、”smooth out” 参照
これから “newsworthy” を分解していく。
◆ “news” の語源は、中期英語「新しいこと」の複数形(newis)。
形容詞が名詞化したもの。
< 名詞 “news” の基本的意味 >
1. ニュース、報道
2. 消息、うわさ
日本社会に定着した「ニュース」と
そっくりそのまま重なる意味合い。
ニュース【news】
新しい出来事。また、その知らせ。報道。
報知。特に新聞・ラジオ・テレビによる報道。
(広辞苑 第七版)
※ 下線は引用者
◆ 英語学習上は、次の5点に留意する。
ー
いずれも基本だが、間違いやすい。
< 名詞 “news” の原則 >
1)不可算名詞
2)単数扱い
3)不定冠詞 “a” はつけない ※ 定冠詞 “the” は可
4)個々のニュースは、”a piece of news”
※ イギリス英語では、”a bit of news” など
5)ニュース番組・記事は、”the news”
◆ “worthy” の語源は、
- 不可算名詞 “worth“(価値)
- 接尾辞 “–y“
この接尾辞 “y” は、名詞の後につけて、
「~のある」「~のような」という意味の
形容詞をつくる。
【例】
“juicy“(汁の多い)、”sugary“(甘ったるい)
よって、”worthy” は、形容詞「価値のある」。
◆ 先に「型通りの単語」と書いたが、”worthy”
を含む形容詞には、以下の日常語がある。
-
blameworthy (非難する価値がある)
-
creditworthy (信用付与する価値がある)
-
noteworthy (注目する価値がある)
-
praiseworthy (称賛する価値がある)
-
trustworthy (信頼する価値がある)
それぞれ次のように言い換えることができる。
-
worthy of blame (非難に値する)… worth blaming
-
worthy of credit (信用付与に値する)… worth crediting
-
worthy of note (注目に値する)… worth noting
-
worthy of praise (称賛に値する)… worth praising
-
worthy of trust (信頼に値する)… worth trusting
和訳の言い換えは、<可能>または<当然>
の助動詞「べし」の連体形「べき」を用いて、
- 非難すべき
- 信用付与すべき
- 注目すべき
- 称賛すべき
- 信頼すべき
◆ 以上は「1語」の形容詞である。
一方、複合形容詞 “-worthy” も多い。
すなわち、連結形 “worthy” をハイフンで
つないだ形容詞である。
接尾辞 “-wise” 同様、辞書に載っていない形容詞を
自作することもできる。
<複合形容詞の例>
- Guinness-worthy(ギネスブックに値する)
- headline-worthy(見出しに値する)
- medal-worthy(メダルに値する)
- quote-worthy(引用に値する)
ただ、辞書によって、ばらつきのある語も見受けられる。
ハイフンの有無が分かれるケースである。
例えば、
- “blameworthy” と “blame-worthy“
- “creditworthy” と “credit-worthy“
表題 “newsworthy“、”noteworthy“、”trustworthy”
は、1単語として確立している。
ばらつきはなく、ハイフン入りは不適切。
ハイフンの付け方には、例外が多くある。
厳密に文法を適用すると、相当厄介なのがハイフン。
実際に、誤用がまかり通っている感がある。
◇ ネイティブ校閲者による解説 ↓
ハイフンの2用法と誤用例について
ざっとまとめると、
◼︎ 形容詞 “〇〇worthy”、”〇〇-worthy”
= 〇〇する価値がある
= 〇〇に値する
≒ 〇〇すべき(当然または可能の助動詞)
このように、”worthy” または “-worthy”
を含む形容詞の場合、ほぼ機械的に和訳できる。
「型」に当てはめることができるため、
「型通りの単語」と記してみた。
◆ “-worthy” は、先述の “-y” と異なり、「接尾辞」
(suffix)ではなく、「連結形」(combining form)。
独立した形容詞 “worthy” から生じた点で、
単独使用できない「接尾辞」と異なる。
間違いやすい点なので、おさらいしてみよう。
■「接尾辞」suffix
単語の意味を変えたり、広げたりする。
【例】
- ”ly”
1)形容詞につけて副詞に「~で」「~に」
2)名詞につけて形容詞に「~のある」「~のような」
3)時間の単位につけて「~ごとに」
- hopefully(できることなら)
- originally(当初は、もともとは、出身は)
- knowingly(意味ありげに、故意に)
- unsightly(醜い、見苦しい)
■「連結形」combining form
組み合わせて新しい用語を作りだす。
技術・科学・医学など、理系の専門分野で重宝される。
【例】
- –mania(~狂) → “bibliomania”(蔵書狂)
- –phobia(~嫌い)→ “claustrophobia”(閉所恐怖症)
–
<参照> 「接頭辞」と「連結形」の違い
この2つを混同して説明する日本の参考書は少なくない。
普段は意識しなくてもよいが、英文法上、
「接尾辞」と「連結形」は区別すべきものである。
◆ なお、”worthy” “-worthy” のマイナー用法として、
「~に耐える」「~に適した」の意味もある。
技術系の言葉中心で、代表格はこちらの4つ。
- airworthy(耐空性のある)
→ 航空機の強度などが基準に適合すること - seaworthy(耐航性のある)
→ 船舶が正常に航海できる状態のこと - crashworthy(衝撃に耐える)
- roadworthy(路上使用に適した)
- “A dog biting a human isn’t newsworthy,
but a man biting a dog is.”
(犬が人間をかみつくことに報道価値はないが、
人間が犬にかみついたらニュースになる。)
– - “The 2018 FIFA World Cup opening ceremony
was a newsworthy event.”
(2018年FIFAワールドカップの開会式は、
報道価値のあるイベントだった。)
– - “The high number of deaths made the disaster
more newsworthy.”
(死者が多数に上り、その災害の報道価値が高まった。)
– - “I don’t consider that a newsworthy topic.”
(それが報道価値のある話題とは思えない。)
– - “Nothing newsworthy ever happens here.”
(報道価値のあることは、何もここでは起こらない。)