Every now and then
2022/06/10
時折、時々
文面でも口頭でも、日頃から見聞きする。
ー
内容に応じて、文頭・文中・文尾のいずれ
にも置けるため、使い勝手のよい副詞的フレーズ(副詞句)
である。
使用されている全4語が、英単語全体から見て、
最重要かつ最頻出。
LDOCE6(ロングマン)の指標によれば、4語すべて
最高ランクの位置づけにある。
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
ロイヤルストレートフラッシュばりの最強の手と言いたいところ。
ところが、熟語としてしっかり学ばない限り、
英語学習者に把握できない可能性が高い。
ー
なぜなら、初めて接した際は、意味不明で推測困難だから。
基礎単語のみで構成されているのに、なぜ。
悔しい。
ー
英語の常用語には、この類のフレーズが少なくない。
【例】 “be into –“、 “square off”
しかし、もとより難解ではなく、一度学んでおけば、
次回はすんなり自力でいける。
–
◆ “every now and then” には、4パターン ある。
–
辞書で同義扱いされているもの。
–
(every) now and again / then
-
every now and then ※ 一般的
-
now and then
-
every now and again
-
now and again
違いは、”every” の有無、並びに “then” 及び “again”。
※ “again” も、最上位(最重要かつ最頻出)の単語
このような場合、英英辞典の典型表記は次の通り。
–
(every) now and again / then
- ( )= あってもなくてもよい語 = optional
- / = いずれか = または = or
本件では、OALD9(オックスフォード)と
Macmillan(マクミラン)が採用している。上記の 4パターン を、1項目のみで
示せる「省スペース」の項目立て。(every) now and again / then
–
英英辞典に頻出の表記法なので、押さえておきたい。
–
◆ 無論、4パターンの意味は同一。
ー
だからこそ、統一できる。
定訳は「時折」「時々」。
ときおり【時折】
1. 時々。ときたま。
ときどき【時時】
2. いつもではないが、時として。
ときおり。まま。
–
天気予報では、その現象が断続的に起こり
合計時間が予報期間の2分の1未満のときをいう。
(広辞苑 第七版)
–
※ 下線は引用者
時間の感覚は人それぞれなので、
「時折」「時々」の長さは特定しがたい。
とりわけ、時間感覚の差異の厄介さは、別稿にて、
繰り返し取り上げてきた。
- “from time to time“(時々)
- “a while back“(先日、このあいだ)
- “Take a moment to – ”(〜する時間をとる)
- “foreseeable future“(近い将来)
- “Let somebody down“(~をがっかりさせる、~を失望させる)
上掲の広辞苑は、天気予報では半分未満、と説明している。
少々まだるっこい。
ときおり【時折】
副詞
頻度がかなり低いさま。ときどき。ときたま。
たまに。
ときどき【時時】
副詞
2. 頻度がかなり低いさま。ときおり。
(大辞林 第三版)
–
※ 下線は引用者
大辞林は「頻度がかなり低い」。
「2分の1未満」の広辞苑に矛盾しない。
普段、何気に使っている「時折」や「時々」
の頻度が、これほど低いとは意外。
類語の副詞を調べると、筆頭に出てくるのは、
“sometimes” または “occasionally“。
和訳は「時折」「時々」で一致する。
両方「2分の1未満」で「かなり低い」
頻度を指すと考えられる。
ー
“sometimes” については、同じく類義の
“from time to time” で検証している。
以下再掲してみる。
“sometimes” は「50%くらいの頻度」とされている。
同じ「時々」でも、”occasionally” より、頻度は高い。
“often” や “frequently” より、頻度は低い。
その根拠として、『 ジーニアス英和大辞典 』を引用する。
–
–
類語・関連語を頻度順・可能性の順に並べると
だいたい次のようになる。■ 100%
always
–
■ 80%
generally
–
■ 60%
often, frequently, not always
–
■ 50%
sometimes
–
■ 20%
occasionally
–
■ 10%
seldom, rarely
–
■ 0%
never–
ただし、always, never 以外は
判断基準によって実際の%は異なることもある。–
『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、2001年刊 ( アプリ版 )
… “ always 1 ” の語法より
<大修館書店HP>
–
青字の英単語は、ここでは副詞。
普段使いの「時々」は、日英ともに副詞が一般的。
以上、” from time to time ” より。
–
◆ 一方、3大学習英英辞典( EFL辞典 )では、
” every now and then / again “
( also every so often )
sometimes, but not often or regularly.
( LDOCE6、ロングマン )
” (every) now and again / then “
from time to time; occasionally.
( OALD9、オックスフォード )
” every now and again / then “
sometimes but not often.
( CALD4、ケンブリッジ )
–
※ 下線は引用者
–
ここの下線2本は、ただし書きのようなもの。
–
-「 時々。ただし、しばしばでも定期的でもない。」
( LDOCE6 )
-「 時々。ただし、しばしばではない。」
( CALD4 )
いずれも “sometimes” 未満の頻度を示す。
とにかく「2分の1未満」で「かなり低い」
と理解して間違いない。
–
◆ では、なぜ “every now and then” が
「時折」「時々」を意味するのか。
分解していこう。
- every (形容詞)あらゆる
- now (副詞)現在(※1)
- and (接続詞)及び
- then (副詞)あの頃(※2)
※1
“now”
日本語の「今」より長め。
「今」は、”at the moment” の方が適切。
–
※2
“then”
過去と未来の両方に用いる。
ここでは、過去を指す。
“every now and then” を直訳すると、
「あらゆる現在及びあの頃」。
既記のように、表題の “every” はカッコ扱いされることも。
有意差の出ない任意の形容詞。
すなわち、強意の “every” である。
ー
したがって、”now and then” と中身は等しい。
–
–
” Now ” is an occasion.
” Then ” is also an occasion.So ” now and then ” means ” occasionally”.
https://www.quora.com/Why-does-the-phrase-every-now-and-then-mean-occasionally
< 参考和訳 >
「 現在 」 も 「 あの頃 」も、「 時( とき )」を表す。
「 時と時 」 だから 「 時々 」。
–
いろいろ調べたが、確実な説明が見つからない。
最も納得できた理由が上記。
「 イディオムだから 」で済ます英文サイトも多い。
確立した説がない場合、 適当なことを書き散らす。
よくある傾向。 困ったものだ。
【例】
・ https://english.stackexchange.com/
・ https://www.phrases.org.uk
・ http://www.dictionary.com/
“now and then” の初出が15世紀である点
は、メリアム ウェブスターで確認できた。
ー
◆ 名詞 “occasion” は比較的多義だが、基本的意味は、
場合、 折、 際、 度
ここでは、これらの「時」を抽象的に表す。
現在の「時」(now)と過去の「時」(then)。
よって、「時」and「時」で「時々」。
ー
◆ “then” の代わりの “again” も副詞。
ー
「再び」の意味だが、「またの機会に」
の意味合いもあり、やはり「時」を示す。
定説がない以上、これは一説に過ぎない。
先述の通り、時間の感覚は人それぞれ。
このあいまいさに適合し、しっくりくる説と
感じるが、いかがだろう。
同義の “from time to time”(時々)にも、
似通った考え方である。
成り立ちはともかく、「時折」「時々」と
覚えておけば十分である。
ー
◆ 繰り返すが、表題は文頭・文中・文尾に挿入できる。
- “Every now and then, I receive check-in
emails from former bosses.”
(時折、かつての上司から近況確認のメールが届く。)
– - “We reunite together every now and then,
but not as often as we should.”
(今も時々同窓会を開くけど、もうめったにやらない。)
– - “She still comes to visit me every now and then.”
(彼女は今も時々遊びにくる。)
– - “Even I feel disgusted, every now and then,
at the bad news.”
(私だって時折、悪いニュースに嫌悪感を覚えたりする。)
– - “We go out every now and then.”
(僕たちは時々デートします。)
ー
【関連表現】
“once in a while”
(たまに)
“every so often”
(たびたび)
“on and off”
https://mickeyweb.info/archives/4956
(断続的に)
“ever and again”
(時々)
“from time to time”
https://mickeyweb.info/archives/38193
(時々)