便利な、 役立つ
身近な便利さと手軽な器用さを表す形容詞。
【発音】 hǽndi
【音節】 hand-y (2音節)
–
◇ 可算名詞 ” hand “( 手 )
◇ 接尾辞 ” y “( 特徴を持つ )
初出は14世紀。
ここでの ” y ” は、名詞に伴い、
- ~ のような
- ~ がたくさんの
を意味する形容詞を作る接尾辞( suffix )。
以下同様。
- bossy ( ボスみたいな、いばりたがる )
- juicy ( 汁の多い、水気の多い )
- cheesy ( チーズのような、 安っぽい )
- bony ( 骨の多い、 骨ばった )
- creamy ( クリームを多く含んだ、 クリーム状の )
- fruity ( 果物のような )
- icy ( 氷のような )
- lengthy ( 長い )
- pricey / pricy( 高価な )
- roomy ( 広々とした )
- salty ( 塩気のある、 辛辣な )
- scammy ( 詐欺みたいな、 詐欺まがいの )
- shitty ( くそみたいな )
- sketchy ( 略画みたいに大雑把な )
- stony ( 石のような、 石の多い )
- streaky( 縞の多い、 むらがある )
- sugary ( 砂糖のような、 甘ったるい )
- worthy ( 価値のある )
–
” handy ” の場合、「 手がたくさん 」。
たくさんの手に恵まれている様子。
そこから手近( conveniently accessible ) を表すことに。
–
てぢか【手近】
《名》( 形動 )
1. 手もとにすぐ近いこと。 身近にあること。
また、そのさま。 かたわら。 すぐそば。
2. 身近にあって、わかりやすいこと。
身近なこととして、人々によく知られていること。
簡単で便利なこと。 また、そのさま。 卑近。
( 精選版 日本国語大辞典 )
–
1. 手が届くほど近くにあること。
2. ごく普通にあって、わかりやすいこと。 ありふれていること。 卑近。
( 明鏡国語辞典 第三版 )
–
手の届くほど近いようす。 手もとの、近い所。
( 三省堂国語辞典 第八版 )
–
1. 手もとに近いところ。手の届くあたり。 近辺。 ⇔ 手遠( てどお )
2. 身近でありふれていること。 卑近。
( 広辞苑 第七版 )
–
※ 「 形動 」とは、「 形容動詞 」の略。
形容詞と異なり、「 手近である 」と表現できる。
日本語の形容詞と形容動詞の違いは、” conclusive ” に詳述。
–
どの語釈からも、親しみやすい雰囲気が広がる。
便利よく( conveniently ) 近づきやすい( accessible )。
コンビニ店( convenience store )のイメージに似通う感。
” handy ” の持ち味は、身近な便利さと手軽な器用さ。
主要な和訳を図に示す。
いいことづくめで、好都合だらけ。
日本語からも、頼もしい 心地よさが漂ってくる。
基本的意味に、ネガティブな語義はない。
これが、” handy ” の強み。
–
◆ いかにも小回りが利く感の、 ポジティブ一辺倒な感じよさ。
加えて、発音しやすい取柄が買われ、商品名にも起用されている。
–
–
◆ あえて、「 留意点 」に準じる3つを、英和辞書3点から引用する。
” handy “
- 《俗》
ワル[相当なタマ、やり手、切れ者]の、 ずるい、
こわもての、てごわい、 男っぽい、 荒っぽい
( リーダーズプラス )
–
–- 上手な、巧みな、器用な
簡単な手仕事についていう。
「 複雑なことに器用な 」 は dexterous。
( ジーニアス英和大辞典 )
–
–- 【日英比較】
日本語で小型で持ち運び可能で扱いやすいことを
「 ハンディ 」というが、英語の handy は大きさには関係なく、
扱いやすいくて便利なことを表す。
( 研究社 新英和大辞典 第6版 )※ 青字は引用者
–
「 基本的意味に、ネガティブな語義はない 」と述べたばかりなのに、
『 リーダーズプラス 』 は俗語としてのきつい形容詞を記載する。
それが、「 留意点 1 」。
研究社『 リーダーズ英和辞典 』の補強・補遺版にあたる辞書である。
” An Encyclopedic Supplement to the Dictionary for the General Reader ”
が英語名。
しかし、以下4点の英和「 大辞典 」及び 4大学習英英辞典( EFL辞典 )
には見当たらない用法なので、さほど気にするに及ばない( 後述 )。
- “ LDOCE6 ” ロングマン現代英英辞典 第6版
- “ OALD9 ” オックスフォード現代英英辞典 第9版
- “ CALD4 ” ケンブリッジ現代英英辞典 第4版
- “ COBUILD9 ” コウビルド英英辞典 第9版
いずれも、現時点( 2020年1月21日 初稿時 )の最新版。
8点全部、暗い解説は皆無なのが、 形容詞 ” handy “。
主な和訳は、図示済みなので、4大EFL辞典 をご紹介。
例によって、コウビルドは冗長気味である。
キーワードにハイライト。
“ handy ”
1. useful.
2. informal near and easy to reach.
3. good at using something, especially a tool.
( LDOCE6、ロングマン )
–
1. easy to use or to do.
SYNONYM: useful
2. [not before noun] located near to somebody / something;
located or stored in a convenient place.
3. [not before noun] skilful in using your hands or tools
to make or repair things.
( OALD9、オックスフォード )
–
useful or convenient.
( CALD4、ケンブリッジ )
–
1. Something that is handy is useful.
2. PHRASE If something comes in handy, it is useful in particular situation.
3. [usu v-link ADJ] A thing or place that is handy is nearby and therefore
easy to get or reach.
4. [v-link ADJ with n] Someone who is handy with a particular tool is
skilful at using it [informal]
( COBUILD9、コウビルド )
–
【発音】 hǽndi
【音節】 hand-y (2音節)
–
[not before noun] 、 [usu v-link ADJ] 、 [v-link ADJ with n] は、
次のように 「 叙述用法 」 の形容詞 ( adjective )を示唆する。
- not before noun
→ 名詞の前には使われない - usu v-link ADJ
→ The adjective is usually used after a link verb.
It is sometimes used before a noun. - v-link ADJ with n
→ The adjective is used after a link verb and used with a noun
” a link verb ” とは「 連結動詞 」。
名詞を直接修飾する「 限定用法 」の対をなし、
自らが「 文の要素 」となる形容詞の用法。
” handy ” は、名詞を修飾する「 限定用法 」も兼ねる。
–
■ 叙述用法
- “This map is handy.”
(この地図は便利だ。)
– - “This area is handy for the train station.”
(この辺りは駅から近い。)
– - “She is handy with a sewing machine.”
(彼女はミシンの扱いがうまい。)
■ 限定用法
- “This is a handy tool.”
(これは便利な道具だ。)
– - “It’s a handy way of keeping a record of English vocabulary.”
(英単語を記録するのに、これは便利な方法だ。)
– - “Grandma told me handy tips for removing stains.”
(祖母がしみ抜きのこつを教えてくれた。)
–
【参考】 ※ 外部サイト
・ 形容詞の「 叙述的用法 」と「 限定的用法 」
・ 形容詞の限定用法と叙述用法
・ 英語の連結動詞とは?
◇ 詳細は、 ” Please be aware that – ”
- 英語の形容詞の用法は2つ
→ 「 限定的用法 」と「 叙述的用法 」
– - 日本語の形容詞の用法は3つ
→ 「 限定的用法 」と「 叙述的用法 」と「 副詞的用法 」
※ 「 用法 」の直前の「 的 」が抜けても同義
◆ ハイライトを施したキーワードは、見事重なり合う。
上図の和訳とも符合する。
- useful
- convenient
- near / nearby
- good
- easy
- skilful
4辞書すべてイギリス系なので、 英式に ” skilful ” とつづる。
米式なら ” skillful ” で、 ” skill ” はそのまま。
形容詞 「 熟練した 」の意。
【発音】 ˈskɪl.fəl
【音節】 skil-ful (2音節)
先の「 留意点3 」の説明通り、英英はどれも
サイズと携帯性に言及していない。
◆ 片や、カタカをナ「 ハンディー 」はこちら。
ハンディー【handy】
《形動》
手ごろな大きさで、持ち運びのしやすいさま。
簡便で扱いやすいさま。
( 明鏡国語辞典 第三版 )
–
持ちやすいようす。 てがる。 軽便。
( 三省堂国語辞典 第八版 )
–
持ち運びのしやすいさま。 携帯用。
( 大辞林 第四版 )
–
大きさが手ごろで取り扱いやすいさま。
( 広辞苑 第七版 )
–
機械、道具などが、簡易で扱いやすいさま。
また、書籍などが、手ごろで持ちやすく便利なさま。 軽便。
( 精選版 日本国語大辞典 )
–
※ 「 形動 」とは、「 形容動詞 」の略。
形容詞と異なり、「 ハンディーである 」と表現できる。
日本語の形容詞と形容動詞の違いは、” conclusive ” に詳述。
–
国語辞典5点は、携帯しやすさを一律に明記する。
一見微差に思えるが、なかなか大きな差異である。
今一度、上記4点の英英語釈を読み込めば分かる。
英語ネイティブ向け辞書3点でも確認してみる。
–
“ handy ”
1 a. conveniently near.
– b. convenient for use.
– c. of a ship : easily handled.
2. clever in using the hands especially in a variety of useful ways.
( Merriam-Webster.com )
–
1. conveniently or easily within reach.
2. easy to manoeuvre, handle, or use.
3. skilful with one’s hand.
( Collins English Dictionary, 12th Edition )
–
1. close at hand; easily reached; conveniently located; accessible.
2. easily used; saving time or work; convenient
3. easily managed or handled: said of a ship, etc
4.clever with the hands; deft; adroit
5.capable of making simple repairs to a house, an automobile,
electrical appliances, etc.
SYNONYM: dexterous
( Webster’s New World College Dictionary, 5th Edition )
–
【発音】 hǽndi
【音節】 hand-y (2音節)
–
※ 赤字は引用者
–
さすがネイティブ用、難しい単語も出てくる。
『 リーダーズプラス 』の示す「 ワル 」の意味合いは記載なし。
やはり、気にするに及ばない用法とみなしてよい。
赤字にした ” simple repairs ” は、
「 留意点2 」の「 簡単な手仕事についていう 」
と一致する。
一方で、「 複雑なことに器用な 」はdexterous とする「 留意点 2」
と違って、” dexterous ” を同義語( synonym )に挙げる。
【発音】 ˈdek.strəs
【音節】 dex-ter-ous (3音節)
「 器用な 」「 巧みな 」を表す形容詞。
『 ジーニアス英和大辞典 』は、先ほどの ” skilful / skillful ” と
同義扱いする。
この “ Webster’s New World College Dictionary “ は、
弊サイトが日本人にお勧めしているネイティブ向けの辞書。
“ tapped out “ にて、書籍版とアプリ版の写真を添えた。
最初の「 メリアム ウェブスター 」と並んで、アメリカ系辞書。
「 ウェブスター 」の名を冠する辞書は、基本的にアメリカ系。
真ん中の「 コリンズ 」は、コウビルドの兄弟辞書で、イギリス系。
一様に並べた上掲EFL辞典4点が、イギリス系なのは既述の通り。
※ 詳細は、LDOCE( ロングマン現代英英辞典 )
–
◆ 親近感を抱きやすい ” handy ” の利便性は、
以上より理解できるだろう。
英単語全体から見た重要度・頻出度は、さほど高くない。
LDOCE6( ロングマン )の表記によれば、
- 重要度:<3001~6000語以内>
- 書き言葉の頻出度:<2001~3000語以内>
- 話し言葉の頻出度:3000語圏外
それでも、すこぶる重宝する形容詞であることに違いはない。
なにしろ、「 便利な 」「 身近な 」「 器用な 」を1語で表せる。
「 叙述用法 」と「 限定用法 」に分けた先述の文も交え、
基礎例文を掲げる。
–
「 便利な 」「 役立つ 」
- “This map is handy.”
(この地図は便利だ。)
– - “You may find this handy as a quick reference tool.”
(ささっと参照するには、これが役立つだろう。)
– - “Just visit our handy, 24/7 portal.”
(弊社の便利な年中無休のポータルまで、お気軽にどうぞ。)
「 身近な 」
- “I always keep my dictionary handy.”
(私は常に辞書を手元に置いている。)
– - “This area is handy for the train station.”
(この辺りは駅から近い。)
「 器用な 」
- “She is handy with a sewing machine.”
(彼女はミシンの扱いがうまい。)
– - “I was not quite so handy with the language.”
(その言語はそれほどうまくなかった。)
「 便利 」か「 器用 」か迷うケースのあるのが、 対人用途。
- “He is a handy person.”
「 気安く利用できる、 便利な人 」などと、 搾取的解釈もありうる。
人物を「 便利 」と評する際は、この種のリスクを帯びる。
この点、日英に共通するものの、文脈からだいたい判断できる。
” handy ” の基本は、ポジティブと押さえておいてよい。
–
◆ これらの例文は、日常生活に即した使い方である。
ニュース見出しを調べると、” come in handy ”
の3語ワンセットが目立つ印象。
「 思いがけないときに役立つ 」という具合。
既記の 4大EFL辞典 のうち、例文のみでなく、解説を入れているのが、
” OALD9 ” と ” COBUILD9 “。
それぞれ ” idiom “、” phrase ” として、3語ワンセットの熟語
であることを明示する。
–
“ come in handy ”
Idioms
( informal ) to be useful.
( OALD9、オックスフォード )
PHRASE
If something comes in handy, it is useful in
a particular situation.
( COBUILD9、コウビルド )–
–
◆ 少々物足りないゆえ、CALDの兄弟辞典も援用する。
–
軒並みシンプルすぎて、代わり映えのしない気がする。
- “That was not quite handy.”
(あんまり役に立ってないね。)
気を取り直して、今年2020年発表の見出しを10点抽出する。
- 10 INVENTIONS THAT WILL COME IN HANDY
(きっと役立つ発明10件)
– - When Do Ultrasounds Come in Handy ?
(超音波検査はいつ役立つか)
– - 5 Color Tools That Come In Handy For Web Designing
(ウェブデザインに役立つ配色ツール5点)
– - A Car Safety Kit Can Come In Handy During The Winter
(冬に役立つ車の安全セット)
– - 21 Life Hacks That Could Come in Handy
(21の便利なライフハック)
– - Mobile washrooms to come in handy for women police on duty
(勤務中の女性警察官に便利な移動式トイレ)
– - Cold War bomb shelter comes in handy during tornadoes
(冷戦中の防空壕は竜巻で役立つ)
– - A ‘hood pedigree comes in handy later in life
(低所得者出身の経験は人生後半で役立つ)
– - Medical background comes in handy
when administering country, says PM
(医学の経歴は国家統治に役立つと首相)
– - Oxygen comes in handy at 35,000 feet
(高度3万5千フィートで酸素が役立つ)
確かに、辞書の記す ” useful “( 便利な、役立つ )
で間に合っている感じ。
–
–
◆ なお、「ハンディがつく」の「ハンディ」は、”handicap” を指す。
【発音】 ˈhæn.dɪ.kæp
【音節】 hand-i-cap (3音節)
通常のカタカナ表記では、長音「 ハンディー 」ではなく、
「 ハンデ 」「 ハンディ 」だが、話し言葉では混同することも。
「 帽子の中の手 」の意で、くじ引きが語源。
帽子( cap )にお金を入れ、賭けに出る時、お金を手で握ることから、
” hand in cap ” → ” hand i’ cap ” → ” handicap “。
初出は17世紀。
18世紀になると、競馬の「 ハンデキャップ競走 」に流用された。
競走馬に均等に勝機を与える目的で行われるレースで、
「 ハンデ戦 」「 ハンディ戦 」とも呼ぶ。
馬の能力に応じて、鞍の下に重りを付けて、重量を増減させる。
すなわち、優者に不利な条件をつけることで、負担する重量が
” handicap “。
この「 不利な条件 」が「 心身障がい( a mental or physical disability ) 」
を表現するようになるのが、20世紀初頭。
近年では、形容詞であれば ” disabled ” や ” challenged ” が中心となり、
心身障がいとしての ” handicapped ” は、めったに見聞きしなくなっている。
【発音】 dɪˈseɪ.bəld
【音節】 dis-a-bled (3音節)
【発音】 ˈtʃæl.əndʒd
【音節】 chal-lenged (2音節)
名詞であれば、” handicap ” ではなく、 ” disability “。
【発音】 ˌdɪs.əˈbɪl.ə.t̬i
【音節】 dis-a-bil-i-ty (5音節)
変化をもたらしたのが、
1992年に ” National Center on Disability and Journalism ”
( NCDJ )が発表した指針。
現在、NCDJのサイトで紹介されている。
–
NCDJ Recommendation:
Avoid using “ handicap ” and “ handicapped ” when describing a person.
Instead, refer to the person’s specific condition or use “person with a disability.”” NCDJ STYLE GUIDE Revised 2018 “
【PDF】 2018年版
–
ADA( 米国障がい者法 )の 関連機関 が発行するガイドラインでも、
心身障がいの意味合いでは、 ほぼ死語扱いされている。
–
Note that ‘ handicapped ’ is an outdated and unacceptable term
to use when referring to individuals or accessible environments.” Guidelines for Writing About People With Disabilities ”
https://adata.org/factsheet/ADANN-writing
【 PDF 】 2017年版
【参考】 ※ 外部サイト
■ 障害を表す英語の表記
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n302/n302017.html
寺島彰( 浦和大学総合福祉学部、当時 ),
月刊「 ノーマライゼーション 障害者の福祉 」2006年9月号,
(財)日本障害者リハビリテーション協会発行.
–
■ 障害者を英語で何という? 覚えておきたい表現5選
https://www.rokutanjuku.com/syougaisya-eigo
- person with disabilities
- disabled person
- handicapped person
- impaired person
- challenged person
◇ 接尾辞 ” y “( 特徴を持つ )
【 ご注意 】
「 量が多い 」を意味する「 ボリューミー 」は和製語。
” volume ” の形容詞は、 英語では ” voluminous “。
【発音】 vəlúːmənəs
【音節】 vo-lu-mi-nous (4音節)
ほとんど接したことはない単語。
同義語扱いされる ” full “、” large “、” numerous ”
などに比べ、 接する機会が皆無に近いマイナー語。