Go-to
2024/04/10
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< お知らせ > 2020年7月16日(木)
本稿 ” go-to ” のアクセス数が、今月7月に入って、
急上昇 しております。
普段の弊サイトでは、動きの少ない地味な形容詞です。
そこで、念のため、最初にご了承いただきたいこと。
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このように考えます。
せっかくお越しいただいた皆様のお役に立てず、
申し訳ございません。
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◆ 旅行の需要喚起を目指す経済政策の趣旨から推断して、
観光庁が意図する内容は、
- 自動詞 ” go ” ( 行く、 出かける )
- 前置詞 ” to ” ( ~ へ、~ まで、~ に )
→ 方向・方角を示す前置詞
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折もあろうに、
「 旅行に出かけましょう ! 」と国民に促したい模様。
それにしても、
「 Go To トラベル 」は、 妙な言い回し
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「 to + 動詞の原形 」で、 一見すると「 to不定詞 」。
英語ネイティブにも、どうにか通じると思われるものの、
「 英文法的に間違い 」 と判断できる印象です。
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◆ ” travel ” は、 不可算名詞・可算名詞で「 旅行 」。
名詞なら 不可算 原則で、 名詞よりも 動詞が中心 ( 後述 )。
自動詞・他動詞で 「 旅行する 」。
【発音】 trǽvl
【音節】 trav-el (2音節)
【活用形】 travels – traveled – traveled – traveling
- “I learned of her passing while traveling.”
(旅行中に彼女の訃に接しました。)
語源は、古フランス語「 苦労して働く 」( travaillier )。
” travail “( 苦労、苦労する ) と同源で、 同語扱いされていました。
初出は13~14世紀で、当初から一貫するのが「 苦労 」の意味合い。
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◆ ” travel ” は、主に「 動詞 」で使います。
別の動詞( ここでは ” go ” )を伴わなくても、1語で 「 旅行する 」。
マイナー用法としては、以下の通り、「 移動する 」。
車両ならば、「 走行する 」。
- “I travel that road every night.”
(毎晩、あの道を通ります。)
– - “Traveling the crane while personnel are hoisted is prohibited.”
(作業員がつり上げられている間は、当該クレーンの走行を禁じる。)
– - “The players travel across Japan during the season.”
(シーズン中、選手たちは日本各地を移動する。)
– - “Do not travel beyond Kanagawa Prefecture.”
(神奈川県外に行かないようにしてください。)
(神奈川からの県外移動は禁止です。)
– - “Residents are allowed to travel to and from work only.”
(住民の皆様は、職場の往復以外は、移動禁止です。)
– - “Effectively immediately all personnel travel to X
is prohibited unless for emergency reasons.”
(本日より、全職員のX国渡航を禁ずる。 緊急時は除く。)
– - “Effectively immediately, all travel to Tokyo is authorized.”
(本日より、東京への移動を全面解禁します。)
– - “Employees are granted up to 2 hours of time off
to travel safely to their workplace.”
( 職場への安全な移動のため、 最大2時間の休暇が
従業員に与えられる。)
– - “Overtime payment is not authorized for
time spent in travel to and from the X point.”
(X地点を往復する移動時間は、時間外勤務
手当の支給対象として認められません。)
– - “I want to reduce travel time.”
(移動時間を減らしたい。)
– - “Only essential workers are allowed to travel to work.”
(必須要員のみ出社が許可されている。)
(エッセンシャルワーカーだけが出勤できる。)
– - “Japan to ease COVID-19 travel restrictions in September”
(日本、9月に新型コロナによる移動制限を緩和)
※ ニュース見出し–
どうしても動詞 ” go ” を起用したいのであれば、
” go on travel ” や ” go traveling ” の方がよい。
【発音】 trǽvəliŋ
【音節】 trav-el-ling (3音節)
- “You need to pay for traveling expenses yourself.”
(旅費はご自身で支払う必要があります。)
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◆ 名詞用法の ” travel “( 旅行 )は、「 不可算 」が基本です。
この点、原則「 可算 」の名詞 ” trip “、” tour “、” journey ”
と異なります。
【発音】 trip
【音節】 trip (1音節)
【発音】 tour
【音節】 tour (1音節)
【発音】 dʒə́ːrni
【音節】 jour-ney (2音節)–
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【参考】 ※ 外部サイト
- Go To トラベル 「利用したい」 69.8% 「旅行に関する意識調査」結果発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001094.000022608.html
2021年9月14日付
- GoToトラベル全国で一時停止 12月28日~1月11日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFS147PS014122020000000
2020年12月14日付
– - わかったらすごい 「 TravelとTrip 」 の微妙な違い
https://toyokeizai.net/articles/-/386650
2020年11月8日付
– - Go Toキャンペーンが日本経済を救ったといえるこれだけの根拠
https://diamond.jp/articles/-/252723
2020年10月30日付
– - それでも「Go Toキャンペーン」をやるべき3つの理由
https://diamond.jp/articles/-/243332
2020年7月17日付
– - GoToトラベルキャンペーン ( 楽天トラベル )
▼▼▼ こちらから、 本題の 形容詞 ” go-to ” です ▼▼▼ –
頼りになる
He is my go-to guy.
(私が頼りにしているのが彼です。)
異動前の 引き継ぎ 説明をしている、我が同僚の発言。
「 彼に聞けば、確実に分かるから 」
と本人が太鼓判を押す者なので、安心感がある。
◇ 自信と親しみを込めて、周囲に紹介できる相手
が ” go-to ” の人。
” a go-to guy ” は、「 頼りになる仲間 」くらい。
さらに「 大黒柱 」「 屋台骨 」とも訳される。
少々くだけた言い振りだが、ビジネス場面でも使われる。
人を紹介するということは、自分の責任も
問われるもの。
しかも、その余波は長期に渡ることが多い。
とんでもない人を紹介して、自分の信用を
損ねるわけにいかない。
だから、分相応な相手を慎重に選ぶ。
形容詞 “go-to” を用いて紹介する場合、
その人に対する 特別な信頼 を示す。
< 皆様に堂々とご紹介できるお方 >
< お人柄も能力も申し分ないです >
こんな好意に満ちた響きが伝わるのが、
” my go-to guy ” や ” my go-to person “。
” a go-to guy ” の役割面は、役所などの
「 ワンストップサービス 」に近い。
つまり、その人に尋ねれば、不明点はなくなる。
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次にどうすればよいか分かれば、大きな不安は
雲散霧消したりするから、本当に頼りになる。
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◆ ” go-to ” は、形容詞 のみ。
【発音】 ɡoʊˈtu
【音節】 go-to (2音節)
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初出は1985年なので、比較的新しい。( Merriam-Webster )
プログラミング言語の ” goto ” と機能は似ている。
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「 この行・ラベルに即刻ジャンプ !」と実行順序
の変更を指示するコマンドだが、 同様のイメージ。
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「 なにかあれば、この人まで直行 ! 」
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それもそのはず、” go-to ” の字面から推測できるように、
動詞 ” go ” と前置詞 “ to ” が、ハイフンで合体した
複合形容詞( compound adjective )である。
- 自動詞 ” go “( 行く )
- 方向の前置詞 ” to “( ~ へ )
形容詞 ” go-to ” は、「 〜 へ 行く 」。
” a go-to person ” ならば、 読んで字のごとく
「 ~ へ行く人 」。
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視点を逆転させると、 自分が「 行くべき人 」。
すなわち、困った時に駆けつけるべき対象。
通常は人物中心 だが、次の青字にあるように、
組織 や ウェブサイト のような無生物でもよい。
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” go-to “
- the go-to person, organization, website etc
is the best one to use when you need to
achieve something.
( Macmillan Dictionary )
– - always helpful: producing desired results
or information when needed.
( Merriam-Webster’s Learner’s Dictionary )
※ 色は引用者
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上記2点の辞書は、個性的な語釈である。
- ” LDOCE is the go-to website for English words for me.”
(LDOCE こそ、英単語の頼りどころです。)
– - ” OALD is my go-to resource for translation.”
(OALD こそ、翻訳時の頼みの綱です。)
英英辞書の典型解説は次の通り。
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” go-to “
- the go-to person is someone who people
always ask for help with a particular problem,
because of their great skill or knowledge.
( LDOCE6、ロングマン )
– - relied on for expert knowledge or skill.
( Merriam-Webster )
※ 色は引用者
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◆ 熟練の技能( skills )または知識( knowledge )
に基づく信頼。
それが、 形容詞 ” go-to “。
【発音】 ɡoʊˈtu
【音節】 go-to (2音節)
今回調べた8点の英英辞書には、” American English “、
” informal ” と表記するものもあったが、それぞれ
半々くらいの割合。
” American English ” は、「 アメリカ英語、 米語 」。
” informal ” は、「 非正式またはくだけた表現 」。
語源的にも確立された説であれば、ほぼ一律に記載
される表示が ” American English ” と ” informal “。
半数だから、そのレベルに至らないと考えてよいだろう。
任せなさい!
◆ 先に述べたように、飾る名詞は人物が目立つ。
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よく出るパターンは、可算名詞 ” guy ” につける、
” go-to guy “。
「 タフガイ 」( a tough guy )の ” guy ” である。
【発音】 ɡaɪ
【音節】 guy (1音節)
「 男 」「 やつ 」が定訳で、 男性を指すのが一般的。
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1605年に英国の国会議事堂を爆破しようとした、
首謀者 Guy Fawkes ( 1570-1606 )にちなむ成り立ち。
そのため、男性が原則となる。
複数形 ” guys ” の性別は無関係( gender-nutural )。
【発音】 ˌdʒen.dɚˈnuː.trəl
男女または女性だけのグループにも、日常的に用いられる。
「 君たち 」といった風。
敵対的な状況では、「 あんたら 」「 お前ら 」。
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◆ 片や、単数形の ” guy ” は、圧倒的に男性を指す。
- a go-to guy
- the go-to guy
- my go-to guy
は、男性と考える方が自然。
女性であれば、同じく可算名詞の ” person ” を用いる。
実際のところ、” a go-to person “、” the go-to person “、
” my go-to person ” は、ほとんど聞かない感じ。
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” go-to ” と言えば、” guy ” がぴったりなのは、
1985年の初出以来、主にこうして使われてきたため。
現実的に頼られる側は、まだまだ男性が多い。
無論、頼りがいのある優秀な女性がいないからではない。
女性の場合、” go-to ” とあまり表現してこなかっただけ。
「 一家の大黒柱 」ときたら、大勢がまず男性を思う。
それと重なる、従来からの風潮に他ならない。
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だいこくばしら【大黒柱】
2. ある集団の中心となり、 それを支える働きを
している人。
( 大辞林 第四版 )
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やたいぼね【屋台骨】
2. 家庭や組織を支える〈人/もの〉。財産。
( 三省堂国語辞典 第八版 )
※ 語釈の該当項のみ引用
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- “He is the go-to guy for harassment issues.”
(ハラスメント問題では、彼こそ頼りになる。)
– - “He’s my father’s go-to guy on baseball.”
(野球のことになると、父は彼に頼っている。)
– - “He was the group’s go-to guy.”
(彼はそのグループの大黒柱であった。)
– - “Ken was the go-to politician for such matters.”
(そうした問題で、訪ねるべき政治家はケン。)
– - “She is my go-to attorney.”
(彼女は私の頼れる弁護士です。)
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– - “She is our team’s go-to player.”
(彼女は我がチームの大黒柱です。)
– - “They are my go-to highlighters for books.”
(読書に欠かせない蛍光ペンです。)
– - “Mary is the go-to person for this matter.”
(この件については、メアリーがよくご存じです。)
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【類似表現】
” You are in good hands.”
( 後任者は頼りになる方です。)
( 後任者に安心してお任せください。)